祖さまの草の邑
石牟礼道子さんの詩集。タイトルは、「おやさまのくさのむら」と読みます。祖さまというのは、連綿と続いてきた命そのもののことかもしれません。生き物のそれぞれが音を持っている。耳を傾けることのできる人は、自然の交響曲を楽しむことができる。この辺りの描写は、ミヒャエル・エンデの「モモ」(岩波書店)を思い出しました。マイスター・ホラに連れられて、モモは「時間の花」を見ます。そこでは豊かな音楽が流れていました。人々は、自然の中で生きていました。そこに「会社(チッソ)」がやってきた。護岸工事をし、渚をコンクリートで固めてしまった。渚は、海と陸とが呼吸をするところ。小さな貝たちや、タコの赤ちゃんたちがたくさんいた。近代化の名の下に、壁を作っていったのは人間。電気に化学肥料にビニール。どれも欠かせなくなった。一方で、不要と...祖さまの草の邑
2024/03/30 14:24