ウィリアムは一瞬固まった。どう反応したら良いのか分からなかったのだ。 久義がそう言ってくれたことは嬉しい。だが、彼と一緒に帰ったらどうなる? 信吉の言うように、きっとウィリアムの周りにいる者は皆、久義を悪者に仕立て上げ、彼に自重を求めるだ
教師率、裏社会率、オヤジ率、ストーカー率少々多め 短編もあります!
BL/MLの小説・イラスト・マンガを趣味で書いております。下克上やオヤジ受け、年の差カップルが大好物ですので、そのうち増えていきます(笑)スーツとか眼鏡属性も高いです。
◇◇◇ ◇◇◇ 謳子からは、久義が東京に帰る事を、ちゃんとフィッツガード伯爵家にも知らせておけ、と言われていた。真理恵夫人が久義のお菓子を当てにしていると悪いから、その期間はイギリスにはいないちゃんと伝えておけと言うのだ。そ
『ん〜、そうだけどさぁ。私いる?いらなくない?別にデザイナーの挨拶、いらなくない?クリスマスプレートは何ヶ月も前にデザイン搬入してるし、イベントの指示は十一月には終わってるじゃない?私いる?いなくても良くない?』『当日チェックがあるだろ』『
※『』内の台詞は日本語です💦 ◇◇◇ ◇◇◇ 久義があれだけの啖呵を切ったにもかかわらず、テオドアからはその後何も言っては来なかった。トーマスが何かを言ってくれたのかもしれないが、彼が金魚のティーセ
皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来て下さりありがとうございました!8月1日に、当blogはありがたいことに開設10周年を迎えました!御礼ページをアップしておりますので、まだ見ていないよ、という方はぜひ覗いてみて下さい! 開設10周
皆様、コメントありがとうございます。お礼が送れていて、大変申し訳ありません💦💦お返事はコメントをいただいた順に書いております。先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、
Happy 10'th Anniversary〜真っ白い世界〜
気がつくと、そこは辺り一面真っ白い空間だった。ふわふわして、なんだか天国みたいだ……と思ったとき、設楽は今自分が夢を見ているのだと気づいた。 そっか。夢か。 真っ白くて、ふわふわで、暖かくて、何だか幸せな場所だ
皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来てくださってありがとうございます!10周年です!とうとう開設10周年を迎えました!!こんなに長い間、「真昼の月」を応援してくださりありがとうございます!! 昨年は時間が無くて開設ページにお礼イラス
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ウィリアムは一瞬固まった。どう反応したら良いのか分からなかったのだ。 久義がそう言ってくれたことは嬉しい。だが、彼と一緒に帰ったらどうなる? 信吉の言うように、きっとウィリアムの周りにいる者は皆、久義を悪者に仕立て上げ、彼に自重を求めるだ
◇◇◇ ◇◇◇ 久義の熱は夕方には下がり、夕飯は皆と一緒にこたつで食べられるようになった。『ちゃーちゃん、大丈夫?無理しないで、だるかったらすぐ上に戻るのよ?』 おばあちゃんはそう言って、久義に厚めの袢纏(はんてん)を着させ、ご飯の代わ
謳子はこの村を出てから、1度もここに来たことはないと聞いた。それでも、久義は幼い頃から冬になると1人でこの村に来ていたのだと。 信吉がいなければ、久義の父親は妻と子供と一緒に、もっと早くに村を出ていたのかもしれない。そうすれば、彼が死ぬこ
不思議そうな顔をするウィリアムに、信吉は苦笑した。「まぁ、とにかく、1度国に帰って、お父上やお母上とちゃんと話し合ってきな。やるだけのことをやって、久義にあんたを負い目に思わないようにしてやってくれ。それができて初めて、村の連中はあんたを
◇◇◇ ◇◇◇ 朝食を食べ終わったウィリアムに、「少しその辺を散歩しないか」と誘ったのは信吉だった。 信吉は結構な年だというのに、この村で育ってきた為だろうか、全く危なげなく雪の中を歩いて行く。『おじいさん』 信吉の後ろを歩
◇◇◇ ◇◇◇ 翌朝、情けないことに久義は熱を出してしまった。 体の節々が痛いのは、熱の為だと思いたい。決して、あんな事やこんな事をしたせいだとは思いたくない。「ヒ、ヒース、大丈夫か……?」 ウィ
(R18)です。そして今回、いつもよりちょっと長いです💦 当blogは18才未満の方は読んでいないはずですが、苦手な方、生理的に無理な方が読んでしまわないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを
「私はヒースをとても可愛いと思うし、とても愛しいと思うし、とても美味しそうだと思っているんだよ」「そ、それは、俺が和菓子を作ってるから、とか、食いしん坊だから、とか、そういうことか……?」「違うよ。ふふ、だって、
(R15)です。当blogは18才未満の方は読んでいないはずですが、苦手な方、生理的に無理な方が読んでしまわないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。-
テオドアも、そうしてもちろんウィリアムも人知れぬ努力を積み上げてきた。日本人の久義からすると横柄で威圧的に見えるテオドアの態度だって、あれは貴族であろうとする彼の努力で作られた物なのだ。 それをこの人は、まるで何でも無い事のように弟に譲ろ
貴族としての体面を常に気にしていた、古いタイプの貴族に育てられた母は、自分が育てられたようにしか自分の子供を育てる方法を知らなかった。子供が生まれたら乳母に預け、長ずればパブリックスクールに入れて高等教育を受けさせる。たまの休暇に帰ってき
「さぁ、もう分かっただろう?ヒースが気にしなければならないようなことは何もないんだ。父だって、愛しい新妻との息子を手元に置いて跡を継がせる事に歓びを見いだす可能性は高いと思うぞ?」「そんな筈……!」「そう?でも、
◇◇◇ ◇◇◇ 窓の外で、木の枝からだろうか、雪が滑り落ちる音がした。そんな音が耳に入るほど、この村の夜は静かだった。 村の中に小さな呑み屋が無い訳では無いのだが、当たりの静寂を破るような大声を出す人はいない。 外は暗くて、
『待ってくれ!少なくともウィルはその計画から外してくれ!ウィルは由緒ある貴族の跡取りなんだよ!将来は伯爵家を継いで領地を運営しないといけないんだ!日本でそんな事をしている暇なんてないんだよ!』 必死な久義の声を、しかしその場の一
『古民家カフェだよ! 古い空き家なんていっぱいあるから、リノベーションしてうちの器でお前の和菓子を出せば絶対当たるぞ!ぶっちゃけ、お偉方みたいなうん十万の器じゃなくて、俺らヒヨッコの作った器でも、古民家カフェなら使ってもらえるだろ!?』 ほ
◇◇◇ ◇◇◇ こたつの中で、一緒にテレビを見ながらミカンを食べる。ここでは皆が当たり前にしていることが、久義やウィリアムにとっては奇跡の瞬間だ。 こたつという人類史上に輝く発明(いや中東や中央アジアにもあるけど)、ミカン
◇◇◇ ◇◇◇ 深い雪の中を、久義とウィリアムはゆっくりと歩いていた。この村はとても居心地が良いが、二人でいる時間が少し少ない。どちらからそう言った訳ではないが、今日は何となく、二人だけでいたかった。「寒くない?
◇◇◇ ◇◇◇ 祖父に「話し合う時間が必要だ」と言われたのには、きっと、何か理由があるのだろう。ほんの少しウィルに会っただけの祖父にすら見えて、自分には見えない物があるのかもしれない。そう思うと、久義ももうウィリアムに「帰れ
『初めまして。突然の訪問、は、失礼しました。ウィリアム・オーガスタ=オブライエンです。父は伯爵ですけれども、私は違います。私は会社で働いているなのでさら……サラリーマン?です。私はイギリスでヒースと友達になりまし
◇◇◇ ◇◇◇ どれだけの時間が経ったのか。襖の向こうから、祖父の信吉が声をかけてきた。『おい、久義。話が終わったんなら、茶でも飲みに来い』 まだウィリアムの胸の中でぼーっとしていた久義は、その声にハッとして慌ててウィリアム
「……分かった。他でもない、ゲストの望みなのだからな。誰か、ヒースを呼んできてくれ」 それがあくまでも自分の意思であるかのように、テオドアは重々しく周りの使用人達に指示を出した。 周りで様子を伺っていたメイドの一
◇◇◇ ◇◇◇ 結局三回スヌーカーをプレイして、二対一でウィリアムが勝利した。テオドアに言わせれば、ビリヤードは背も高く、手足も長いウィリアムが有利だ、という事になるのだが、真相は明らかではない。 勝敗が思い通りにならなかったせいか、
◇◇◇ ◇◇◇ 真理江が温室で夫人方のお茶会を“楽しんでいる”間、ウィリアムはテオドアと遊戯室でスヌーカーに興じていた。 スヌーカーはビリヤードの一種だが、プールテーブルの大きさも違えばボールの数も
「よろしかったら、貴族の子息達を数多く教えている乳母を紹介しましてよ?ちゃんとした乳母を雇い入れることは大切な事ですもの。彼女たちは貴族としての振る舞いや常識を教えてくれることはもちろん、暴漢や誘拐だけでなく、パパラッチやSNSから身を守る
◇◇◇ ◇◇◇「まぁ、フィッツガード夫人!本日はようこそいらっしゃいました!」 結局、真理江はマウリッツ……海翔を連れてお茶会に参加することにした。個人的なお茶会なのだから、子供を連れて行っても良いかと打診
◇◇◇ ◇◇◇ ウィリアムの言うとおり、真理江は高野親子を諦めてはいなかった。既に一回、バーマストンと来訪の予定が合わず、お茶菓子を連続でポーターが運んできた時点で諦めても良さそうなものなのに、「次はいつバーマストンへ行こう
久義は見開いた目を伏せ、それからパチパチと何度も瞬きをした。そうして、どうやら彼は自分の中で、それを冗談にすることにしたらしい。「金魚を自慢したいだけだろう?」「そうとも言う!」 ウィリアムもすぐに久義の考えに乗ることにした。事を急ぎすぎ
「最近は、ヒースが届けに来ないから、義母が少し気にしていたよ」「ああ……パティシエの俺が届けるのもおかしいだろうと言われて……。今迄は、真理江夫人が領地に馴染むためにと俺が行くように言
そういえば久義は、エジプトのミイラにもビビっていた。おいおい、ミイラは大英博物館の人気展示物だぞ?六千体も所蔵されてるんだぞ?いや、人気だから収蔵してる訳ではないだろうけど。 その時の様子を思い出し、ウィリアムは口元がムズムズとにやけそう
◇◇◇ ◇◇◇ 真理江夫人はあの後、久義がこちらにこられないならと、バーマストンに訪問したい旨を打診した。だが、その日は忙しいからと、」バーマストン側から断られてしまった。 もちろん、バーマストン伯爵もフィッツガード伯爵も、暇な訳でも時
◇◇◇ ◇◇◇「どうして久義さんがこないの!?」 今日せっかく和菓子をフィッツガード城まで届けてもらったというのに、運んできたのは高校を出たての新人ポーターだった。いかにも「まだ仕事も覚えていないから、ちょうど良いから配達に出しました
◇◇◇ ◇◇◇ 一通り仕事が終わり、自室に戻った後、久義は執事のトーマスの元を訪ねた。 今日、自分がフィッツガード伯爵家に和菓子を配達しなかったが、それで良かったと確認したかったのだ。「伯爵の指示に従ったのだろう?君が気に
◇◇◇ ◇◇◇ サマーバケーションの時期がやっと終わり、ティールームは少しだけ落ち着いてきた。だから真理江夫人から秋の練り切りを注文されても、「ああ、今日なら別に時間があるから良かった」と思っただけだった。 だが、お客様が
◇◇◇ ◇◇◇ 結局、久義はウィリアムをローズウッド城の最寄り駅ではなく、フィッツガードとは反対側の、少し離れた駅まで送っていくことにした。ローズウッド城の最寄り駅と言っても城からは車で二十分程かかるが、それでも地元の街には
◇◇◇ ◇◇◇ 「陶器の商用で」と言われたせいか、クラリスは就業後の久義をボーディングルーム(応接室)に案内した。中にはウィリアムとテオドアが既に座って待っている。さすがに久義も一瞬体を硬くしてしまった。そんな久義の様子を見て
「おい、夫人には伯爵がガツンと言ったんじゃなかったのか?」「そ……そうだけど……その時のは子爵、いらっしゃらなかったからなぁ……」 シェフパティシエのウッデ
「ごめんなさいね、久義さん。私、少し舞い上がっていたみたい。でも、本当に考えておいてね。きっとあなたのキャリアの無駄にはならないから!」「……いえ」 それでも、久義はもちろん、バーマストン伯爵も、謳子も、真理江夫
すいません、先週は1日遅れの日曜22時に更新致しました💦先週の分を読まれていない方は、『金魚の恋 28』からお読みいただけるようお願い致します!! イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇
◇◇◇ ◇◇◇ 目が醒めて、今自分がどこにいるのか一瞬分からなかった。母に与えられた本館のベッド────子供の頃は久義もそこで寝起きしていた────なのか、日本の祖父の家の、畳に敷かれた布団なのか……でも、
そうか。そうなんだ。 別に、彼女たちが言うようにひとりぼっちだったことなんか無い。友達もたくさんいるし、彼らとはいつもたわいもない話をしたり、悪ふざけをしたり、サッカーの試合を見に行ったり、家に呼ばれてお泊まりをした事もある。自分が彼らか