テオドアも、そうしてもちろんウィリアムも人知れぬ努力を積み上げてきた。日本人の久義からすると横柄で威圧的に見えるテオドアの態度だって、あれは貴族であろうとする彼の努力で作られた物なのだ。 それをこの人は、まるで何でも無い事のように弟に譲ろ
教師率、裏社会率、オヤジ率、ストーカー率少々多め 短編もあります!
BL/MLの小説・イラスト・マンガを趣味で書いております。下克上やオヤジ受け、年の差カップルが大好物ですので、そのうち増えていきます(笑)スーツとか眼鏡属性も高いです。
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テオドアも、そうしてもちろんウィリアムも人知れぬ努力を積み上げてきた。日本人の久義からすると横柄で威圧的に見えるテオドアの態度だって、あれは貴族であろうとする彼の努力で作られた物なのだ。 それをこの人は、まるで何でも無い事のように弟に譲ろ
貴族としての体面を常に気にしていた、古いタイプの貴族に育てられた母は、自分が育てられたようにしか自分の子供を育てる方法を知らなかった。子供が生まれたら乳母に預け、長ずればパブリックスクールに入れて高等教育を受けさせる。たまの休暇に帰ってき
「さぁ、もう分かっただろう?ヒースが気にしなければならないようなことは何もないんだ。父だって、愛しい新妻との息子を手元に置いて跡を継がせる事に歓びを見いだす可能性は高いと思うぞ?」「そんな筈……!」「そう?でも、
◇◇◇ ◇◇◇ 窓の外で、木の枝からだろうか、雪が滑り落ちる音がした。そんな音が耳に入るほど、この村の夜は静かだった。 村の中に小さな呑み屋が無い訳では無いのだが、当たりの静寂を破るような大声を出す人はいない。 外は暗くて、
『待ってくれ!少なくともウィルはその計画から外してくれ!ウィルは由緒ある貴族の跡取りなんだよ!将来は伯爵家を継いで領地を運営しないといけないんだ!日本でそんな事をしている暇なんてないんだよ!』 必死な久義の声を、しかしその場の一
『古民家カフェだよ! 古い空き家なんていっぱいあるから、リノベーションしてうちの器でお前の和菓子を出せば絶対当たるぞ!ぶっちゃけ、お偉方みたいなうん十万の器じゃなくて、俺らヒヨッコの作った器でも、古民家カフェなら使ってもらえるだろ!?』 ほ
◇◇◇ ◇◇◇ こたつの中で、一緒にテレビを見ながらミカンを食べる。ここでは皆が当たり前にしていることが、久義やウィリアムにとっては奇跡の瞬間だ。 こたつという人類史上に輝く発明(いや中東や中央アジアにもあるけど)、ミカン
◇◇◇ ◇◇◇ 深い雪の中を、久義とウィリアムはゆっくりと歩いていた。この村はとても居心地が良いが、二人でいる時間が少し少ない。どちらからそう言った訳ではないが、今日は何となく、二人だけでいたかった。「寒くない?
◇◇◇ ◇◇◇ 祖父に「話し合う時間が必要だ」と言われたのには、きっと、何か理由があるのだろう。ほんの少しウィルに会っただけの祖父にすら見えて、自分には見えない物があるのかもしれない。そう思うと、久義ももうウィリアムに「帰れ
『初めまして。突然の訪問、は、失礼しました。ウィリアム・オーガスタ=オブライエンです。父は伯爵ですけれども、私は違います。私は会社で働いているなのでさら……サラリーマン?です。私はイギリスでヒースと友達になりまし
◇◇◇ ◇◇◇ どれだけの時間が経ったのか。襖の向こうから、祖父の信吉が声をかけてきた。『おい、久義。話が終わったんなら、茶でも飲みに来い』 まだウィリアムの胸の中でぼーっとしていた久義は、その声にハッとして慌ててウィリアム
「爵位を海斗様が継げるということは分かった。でも、問題はそこじゃないだろ?俺は男なんだよ?あなたが男の俺と一緒になるなんてそんなことは許されな……」 だが、その台詞も言いきる前にウィルに叩き落とされる。「爵位をマ
遅くなりましてすいません💦💦USB、見つかりました〜!ご心配おかけしてすいませんでした!!それでは、『金魚の恋』76話、お付き合いくださいませ。 イヌ吉拝 ーーーーーーーーーーーーーーーー
皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来てくださってありがとうございます!すいません、今週のお話なのですが、いつもの土曜日ではなく、週明けの月曜にさせて下さい💦💦💦 USBが!!お話を入れ
「もしも私の自惚れでないのなら、ヒースは私を少なからず想ってくれていると……そう思っても良いのだろうか」 ウィリアムは久義の手を取って、下から覗き込むようにしてそう言った。「……っ」
皆様、明けましておめでとうございます!!いつも「真昼の月」に遊びに来てくださり、ありがとうございます! 昨年中は皆様にたくさん遊んでいただいて、本当に嬉しかったです!今年も亀の歩みではありますが、頑張っていこうと思って
「これは父の描いたデザイン画や……ああ、これは俺が描いた物で……」 そこには、たくさんの金魚が泳いでいた。父の手によるティーセットのデザイン画を久義の手で描き直した物は、父ほどの洗練さ
「良いか、ウィル。今からここに紙を貼る」「あ、ああ?」 そう言って久義は、襖と襖の間に一枚の紙を剥がせるタイプの糊で貼り付けた。「大昔、この紙は鍵だった」「は?」「もし誰かが勝手に箱を開けたり部屋や家に入れば、紙がちぎれて落ちる。そうすれば
先週はお話の入っているUSBメモリを職場に忘れてきたので、1日遅れでアップしました。もし前回のお話を読んでいない方がいらしたら、こちらからお読みいただければと存じます……💦💦
すいません!!お話の入っているUSBメモリーを職場に忘れてきてしまい、昨日は更新できませんでした💦慌てて取ってきましたよ〜〜💦💦💦遅くなりましたがお付き合いいただけると嬉しいで
◇◇◇ ◇◇◇ 真理江夫人はあの後、久義がこちらにこられないならと、バーマストンに訪問したい旨を打診した。だが、その日は忙しいからと、」バーマストン側から断られてしまった。 もちろん、バーマストン伯爵もフィッツガード伯爵も、暇な訳でも時
◇◇◇ ◇◇◇「どうして久義さんがこないの!?」 今日せっかく和菓子をフィッツガード城まで届けてもらったというのに、運んできたのは高校を出たての新人ポーターだった。いかにも「まだ仕事も覚えていないから、ちょうど良いから配達に出しました
◇◇◇ ◇◇◇ 一通り仕事が終わり、自室に戻った後、久義は執事のトーマスの元を訪ねた。 今日、自分がフィッツガード伯爵家に和菓子を配達しなかったが、それで良かったと確認したかったのだ。「伯爵の指示に従ったのだろう?君が気に
◇◇◇ ◇◇◇ サマーバケーションの時期がやっと終わり、ティールームは少しだけ落ち着いてきた。だから真理江夫人から秋の練り切りを注文されても、「ああ、今日なら別に時間があるから良かった」と思っただけだった。 だが、お客様が
◇◇◇ ◇◇◇ 結局、久義はウィリアムをローズウッド城の最寄り駅ではなく、フィッツガードとは反対側の、少し離れた駅まで送っていくことにした。ローズウッド城の最寄り駅と言っても城からは車で二十分程かかるが、それでも地元の街には
◇◇◇ ◇◇◇ 「陶器の商用で」と言われたせいか、クラリスは就業後の久義をボーディングルーム(応接室)に案内した。中にはウィリアムとテオドアが既に座って待っている。さすがに久義も一瞬体を硬くしてしまった。そんな久義の様子を見て
「おい、夫人には伯爵がガツンと言ったんじゃなかったのか?」「そ……そうだけど……その時のは子爵、いらっしゃらなかったからなぁ……」 シェフパティシエのウッデ
「ごめんなさいね、久義さん。私、少し舞い上がっていたみたい。でも、本当に考えておいてね。きっとあなたのキャリアの無駄にはならないから!」「……いえ」 それでも、久義はもちろん、バーマストン伯爵も、謳子も、真理江夫
すいません、先週は1日遅れの日曜22時に更新致しました💦先週の分を読まれていない方は、『金魚の恋 28』からお読みいただけるようお願い致します!! イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇
◇◇◇ ◇◇◇ 目が醒めて、今自分がどこにいるのか一瞬分からなかった。母に与えられた本館のベッド────子供の頃は久義もそこで寝起きしていた────なのか、日本の祖父の家の、畳に敷かれた布団なのか……でも、
そうか。そうなんだ。 別に、彼女たちが言うようにひとりぼっちだったことなんか無い。友達もたくさんいるし、彼らとはいつもたわいもない話をしたり、悪ふざけをしたり、サッカーの試合を見に行ったり、家に呼ばれてお泊まりをした事もある。自分が彼らか
この文章の中には、人種差別に関する記載があります。皆様を不快にさせる意図はありませんが、辛い方は3話ほど飛ばして下さい。 イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇ 久し振りに夢を見た。セカンダリースクール(※)の頃の夢だ。 久義は物心つく前
◇◇◇ ◇◇◇ 結局、その日はスイーツを食べた後、ヴィクトリア&アルバート美術館を見て、テムズ川の畔を散策した。観覧車に乗らないかとウィルに誘われたが、それは断って、早めに帰途につく。 明日の仕込みもしなければならないし、
さて、最後にダンディーケーキである。 ダンディーケーキはアーモンドホールがみっちりと焼き込まれ、オレンジピールがふんだんに練り込まれたケーキだが、このケーキにはアーモンドの他にピーナッツやカシューナッツ、ピスタチオやマカデミアンナッツなど
たくさんのスイーツをたくさん食べたい。スイーツ好きなら誰もが抱く欲求をかなえてくれるのが三段重ねのアフタヌーンプレートであるが、そんな物がなくても、シェアすれば良いのだ。それでもこの店のスイーツは結構量もがっつりしてるから、それほどたくさ
「そろそろカフェに移動しようか。ランチもスイーツも充実しているカフェを友人に勧められてね?」 ウィリアムはあらかじめリサーチしてくれていたようで、すぐにブラックキャブ───ロンドン名物のタクシーである───を止めて、店の名前を告げた。「モダ
◇◇◇ ◇◇◇ 電車からホームに降りて辺りを見回す。ガラス張りの高い天井。バーマストンのような田舎ではお目にかかることのない景色だ。久し振りのロンドンの空気を胸いっぱいに入れていると、長身の男性が手を挙げているのが見えた。
◇◇◇ ◇◇◇ 仕事が終わって、自室で軽く夕飯を食べてから、久義はウィリアムにもう一度メールを送った。仕事時間、自由になる時間を書き記し、繁忙期と閑散期の予定も記しておく。繁忙期なら、お休みは週に一度。閑散期なら週に二度。閑散期である
「もう行って良い」「畏まりました」 久義は器を一つ一つ、丁寧に和紙に包み、行李の中に詰めていった。 何度もそうしているのだろう。どこに何を入れるのか、その順番まで決められているようで、美しい所作で片付けていく。「それでは、これで失礼いたしま
先週の更新は、土曜日ではなく、日曜日にさせて貰いました💦もし前回の更新をお読みでない方がいらしたら、「金魚の恋 17」を先にご覧下さると嬉しいです。 イヌ吉拝 ---------------