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真昼の月 http://mond.fliegen.chu.jp/

教師率、裏社会率、オヤジ率、ストーカー率少々多め 短編もあります!

BL/MLの小説・イラスト・マンガを趣味で書いております。下克上やオヤジ受け、年の差カップルが大好物ですので、そのうち増えていきます(笑)スーツとか眼鏡属性も高いです。

イヌ吉
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2013/04/17

  • 金魚の恋 38

    そういえば久義は、エジプトのミイラにもビビっていた。おいおい、ミイラは大英博物館の人気展示物だぞ?六千体も所蔵されてるんだぞ?いや、人気だから収蔵してる訳ではないだろうけど。 その時の様子を思い出し、ウィリアムは口元がムズムズとにやけそう

  • 金魚の恋 37

    ◇◇◇ ◇◇◇ 真理江夫人はあの後、久義がこちらにこられないならと、バーマストンに訪問したい旨を打診した。だが、その日は忙しいからと、」バーマストン側から断られてしまった。 もちろん、バーマストン伯爵もフィッツガード伯爵も、暇な訳でも時

  • 金魚の恋 36

    ◇◇◇ ◇◇◇「どうして久義さんがこないの!?」 今日せっかく和菓子をフィッツガード城まで届けてもらったというのに、運んできたのは高校を出たての新人ポーターだった。いかにも「まだ仕事も覚えていないから、ちょうど良いから配達に出しました

  • 金魚の恋 35

    ◇◇◇ ◇◇◇  一通り仕事が終わり、自室に戻った後、久義は執事のトーマスの元を訪ねた。 今日、自分がフィッツガード伯爵家に和菓子を配達しなかったが、それで良かったと確認したかったのだ。「伯爵の指示に従ったのだろう?君が気に

  • 金魚の恋 34

    ◇◇◇ ◇◇◇  サマーバケーションの時期がやっと終わり、ティールームは少しだけ落ち着いてきた。だから真理江夫人から秋の練り切りを注文されても、「ああ、今日なら別に時間があるから良かった」と思っただけだった。 だが、お客様が

  • 金魚の恋 33

    ◇◇◇ ◇◇◇  結局、久義はウィリアムをローズウッド城の最寄り駅ではなく、フィッツガードとは反対側の、少し離れた駅まで送っていくことにした。ローズウッド城の最寄り駅と言っても城からは車で二十分程かかるが、それでも地元の街には

  • 金魚の恋 32

    ◇◇◇ ◇◇◇ 「陶器の商用で」と言われたせいか、クラリスは就業後の久義をボーディングルーム(応接室)に案内した。中にはウィリアムとテオドアが既に座って待っている。さすがに久義も一瞬体を硬くしてしまった。そんな久義の様子を見て

  • 金魚の恋 31

    「おい、夫人には伯爵がガツンと言ったんじゃなかったのか?」「そ……そうだけど……その時のは子爵、いらっしゃらなかったからなぁ……」 シェフパティシエのウッデ

  • 金魚の恋 30

    「ごめんなさいね、久義さん。私、少し舞い上がっていたみたい。でも、本当に考えておいてね。きっとあなたのキャリアの無駄にはならないから!」「……いえ」 それでも、久義はもちろん、バーマストン伯爵も、謳子も、真理江夫

  • 金魚の恋 29

    すいません、先週は1日遅れの日曜22時に更新致しました💦先週の分を読まれていない方は、『金魚の恋 28』からお読みいただけるようお願い致します!!  イヌ吉拝   ◇◇◇ ◇◇◇ 

  • 金魚の恋 28

    ◇◇◇ ◇◇◇ 目が醒めて、今自分がどこにいるのか一瞬分からなかった。母に与えられた本館のベッド────子供の頃は久義もそこで寝起きしていた────なのか、日本の祖父の家の、畳に敷かれた布団なのか……でも、

  • 金魚の恋 27

    そうか。そうなんだ。 別に、彼女たちが言うようにひとりぼっちだったことなんか無い。友達もたくさんいるし、彼らとはいつもたわいもない話をしたり、悪ふざけをしたり、サッカーの試合を見に行ったり、家に呼ばれてお泊まりをした事もある。自分が彼らか

  • 金魚の恋 26

    この文章の中には、人種差別に関する記載があります。皆様を不快にさせる意図はありませんが、辛い方は3話ほど飛ばして下さい。 イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇  久し振りに夢を見た。セカンダリースクール(※)の頃の夢だ。 久義は物心つく前

  • 金魚の恋 25

    ◇◇◇ ◇◇◇  結局、その日はスイーツを食べた後、ヴィクトリア&アルバート美術館を見て、テムズ川の畔を散策した。観覧車に乗らないかとウィルに誘われたが、それは断って、早めに帰途につく。 明日の仕込みもしなければならないし、

  • 金魚の恋 24

    さて、最後にダンディーケーキである。 ダンディーケーキはアーモンドホールがみっちりと焼き込まれ、オレンジピールがふんだんに練り込まれたケーキだが、このケーキにはアーモンドの他にピーナッツやカシューナッツ、ピスタチオやマカデミアンナッツなど

  • 金魚の恋 23

    たくさんのスイーツをたくさん食べたい。スイーツ好きなら誰もが抱く欲求をかなえてくれるのが三段重ねのアフタヌーンプレートであるが、そんな物がなくても、シェアすれば良いのだ。それでもこの店のスイーツは結構量もがっつりしてるから、それほどたくさ

  • 金魚の恋 22

    「そろそろカフェに移動しようか。ランチもスイーツも充実しているカフェを友人に勧められてね?」 ウィリアムはあらかじめリサーチしてくれていたようで、すぐにブラックキャブ───ロンドン名物のタクシーである───を止めて、店の名前を告げた。「モダ

  • 金魚の恋21

    ◇◇◇ ◇◇◇  電車からホームに降りて辺りを見回す。ガラス張りの高い天井。バーマストンのような田舎ではお目にかかることのない景色だ。久し振りのロンドンの空気を胸いっぱいに入れていると、長身の男性が手を挙げているのが見えた。

  • 金魚の恋 20

    ◇◇◇ ◇◇◇ 仕事が終わって、自室で軽く夕飯を食べてから、久義はウィリアムにもう一度メールを送った。仕事時間、自由になる時間を書き記し、繁忙期と閑散期の予定も記しておく。繁忙期なら、お休みは週に一度。閑散期なら週に二度。閑散期である

  • 金魚の恋 19

    「もう行って良い」「畏まりました」 久義は器を一つ一つ、丁寧に和紙に包み、行李の中に詰めていった。 何度もそうしているのだろう。どこに何を入れるのか、その順番まで決められているようで、美しい所作で片付けていく。「それでは、これで失礼いたしま

  • 金魚の恋 18

    先週の更新は、土曜日ではなく、日曜日にさせて貰いました💦もし前回の更新をお読みでない方がいらしたら、「金魚の恋 17」を先にご覧下さると嬉しいです。  イヌ吉拝  ---------------

  • コメントありがとうございます!!

    皆様、コメントありがとうございます。お返事はコメントをいただいた順に書いております。先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、と思われたら、下の方をググッとスクロールしていただけると嬉しいです。&nb

  • 金魚の恋 17

    ◇◇◇ ◇◇◇ 「金魚のティーセットですか?畏まりました。すぐにお持ちします」 やれやれと思いながら、ヒースは仕方なく頭を下げた。 ウィリアムになら、言ってくれれば休日に見せることもできるのに。なんでわざわざ勤務中に呼びに来

  • 金魚の恋 16

    ◇◇◇ ◇◇◇「は!?またヒースを呼び出し!?」 申し訳なさそうに久義を呼びに来たメイドに、光留もシェフパティシエのウッディもすぐに牙を剥いた。「若様達はヒースを何だと思ってるんだ!奴らの玩具になる為にここに居る訳じゃないんだぞ!」

  • 金魚の恋 15

    「ほら、車も小さい訳だし、あんまり私をテオドアのような貴族とは一緒にしないでくれよ?」「車の大きさは関係ないじゃないですか」「じゃあ、イタ車※に乗ってる私のことは、テオドアと同じように思わないで?」 ウィリアムがテオドアの貴族趣味をからかう

  • 金魚の恋 14

    「本当にもう帰ります!俺、仕事を残してきてるんです!」「しょうがないな」 残念そうに溜息をついたウィリアムは、それでも腕の囲みを解こうとしない。「じゃあ、ウィルって呼べたら帰してあげよう」「……!」 思わずギッと

  • 金魚の恋 13

    「そ……そういう事を言う方だとは思いませんでした」 真っ赤になった久義に、思わずウイリアムは声を上げて笑った。「あははは、素直な良い子だ」「俺は子供じゃありません!」「知ってるよ。もう二十五なんだろう?」「そうで

  • 金魚の恋 12

    「次はこっちも見てくれるかい?水草や流木のレイアウトに凝ってみたんだ。ああ、ワキンやデメキンはこっちに種類ごとに入れていて、ブリーディングもしているんだよ」 なるほど、機能的な水槽には、種類毎に金魚が分けられていた。まるで金魚の水族館のよう

  • 金魚の恋 11

    ◇◇◇ ◇◇◇  フィッツガード伯爵邸は、南に向かって本館が建ち、西翼と東翼がせり出すコの字型の城だ。その本館と西翼をホテルとして貸し出し、フィッツガード伯爵家族は東翼に居住している。 ホテル業は専門の業者に任せ、伯爵一家は

  • 金魚の恋 10

    ◇◇◇ ◇◇◇  マリエ夫人からお茶菓子を頼まれたのは、それからすぐの事だった。ロンドンの知人を招いてお茶会をするのだという。「本格的なお茶会じゃないんだけれど、せっかくロンドンから来てくれるなら、久義さんのお菓子を食べていた

  • 金魚の恋 9

    「和菓子は季節感を大事にするので、夏にはこういう涼しいお菓子をお出しするんです。お気に召していただければよろしいのですが」「美しい。これは、君のデザインか?」「父の作陶した器を参考に作ってみました」 ウィリアムは頬を上気させ、“

  • 金魚の恋 8

    元々、ロンドンで証券アナリストとして働くウィリアムは、金魚の世話があるからと週末だけには屋敷に帰ってくるが、普段はロンドンにフラットを借りて暮らしている。だから、父と真理江が二人でいる所を見る機会はずっと少ないのだ。本当なら、屋敷に帰って

  • 金魚の恋 7

    ◇◇◇ ◇◇◇  ウィリアムはテオドアの部屋で、テオドアと向かい合って座っていた。学生時代から仲の良い二人ではあるが、大学を卒業してから、これほど密接に行き来していた事はない。 伯爵は、バーマストンへの来訪にはいつもウィリアムを

  • 金魚の恋 6

    ◇◇◇ ◇◇◇ 初めてフィッツガード伯爵一家がバーマストンを訪れてから、もう三ヶ月が過ぎた。あの時は桜や紫陽花の和菓子を提供する季節だったが、今はもう夏だ。 隣の領地と言っても、フィッツガードは車で一時間もかからずに行き来できる距離だ。

  • 金魚の恋 5

    久義の視線に気がついたらしいウィリアムが、自分の時計に目をやってから、久義を見た。 ウィリアムが久義の顔を見たのは、今が初めて、と言っても良いかもしれない。何か、驚いたような顔をしている。 その二人の雰囲気に気づいたのか、フィッツガード伯

  • 金魚の恋 4

    長男であるラッセル子爵を失礼にならないようにそっと見る。子爵はバーマストン伯爵の嫡子であるテオドアと同い年位だろうか。二人は並んで座り、にこやかに談笑しているから、きっと学生時代からの友人なのだろう。 が、ラッセル子爵とテオドアは先程から

  • 金魚の恋 3

    ◇◇◇ ◇◇◇  本館のゲストルームのソファには、バーマストン伯爵とその夫人、バーマストン伯爵の嫡男であるメルプール子爵テオドア、久義の母親であり、バーマストンの磁器デザイナー兼プロデューサーの謳子(うたこ)が座っていた。そう

  • 金魚の恋 2

    「まぁ、これだけ繊細なスイーツを量産するのは無理だよなぁ……」「マネージャーに、もう少し人を入れるように頼んでくれよ。ヒース、日本のおじいさんの店から、何人かこっちに引き抜けないか?」  このティールー

  • 金魚の恋 1

    皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来て下さり、ありがとうございます!本日から土曜の22時に「金魚の恋」をお送りしようと思います。ちょっとずつでも長く続けられれば……と思っております。イギリスの架空の町のお話となりま

  • 開設9周年ありがとうございます!(画像無しです💦&新連載の告知でございます)

    皆様!開設9周年目、ありがとうございます!! ということなのですが、すすすすいません、今年、お礼画像ができてません……💦💦💦 こんなイヌの事を見

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