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真昼の月 http://mond.fliegen.chu.jp/

教師率、裏社会率、オヤジ率、ストーカー率少々多め 短編もあります!

BL/MLの小説・イラスト・マンガを趣味で書いております。下克上やオヤジ受け、年の差カップルが大好物ですので、そのうち増えていきます(笑)スーツとか眼鏡属性も高いです。

イヌ吉
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2013/04/17

  • 金魚の恋 97

    ウィリアムは一瞬固まった。どう反応したら良いのか分からなかったのだ。 久義がそう言ってくれたことは嬉しい。だが、彼と一緒に帰ったらどうなる? 信吉の言うように、きっとウィリアムの周りにいる者は皆、久義を悪者に仕立て上げ、彼に自重を求めるだ

  • 金魚の恋 96

    ◇◇◇ ◇◇◇ 久義の熱は夕方には下がり、夕飯は皆と一緒にこたつで食べられるようになった。『ちゃーちゃん、大丈夫?無理しないで、だるかったらすぐ上に戻るのよ?』 おばあちゃんはそう言って、久義に厚めの袢纏(はんてん)を着させ、ご飯の代わ

  • 金魚の恋 95

    謳子はこの村を出てから、1度もここに来たことはないと聞いた。それでも、久義は幼い頃から冬になると1人でこの村に来ていたのだと。 信吉がいなければ、久義の父親は妻と子供と一緒に、もっと早くに村を出ていたのかもしれない。そうすれば、彼が死ぬこ

  • 金魚の恋 94

    不思議そうな顔をするウィリアムに、信吉は苦笑した。「まぁ、とにかく、1度国に帰って、お父上やお母上とちゃんと話し合ってきな。やるだけのことをやって、久義にあんたを負い目に思わないようにしてやってくれ。それができて初めて、村の連中はあんたを

  • 金魚の恋 93

    ◇◇◇ ◇◇◇  朝食を食べ終わったウィリアムに、「少しその辺を散歩しないか」と誘ったのは信吉だった。 信吉は結構な年だというのに、この村で育ってきた為だろうか、全く危なげなく雪の中を歩いて行く。『おじいさん』 信吉の後ろを歩

  • 金魚の恋 92

    ◇◇◇ ◇◇◇  翌朝、情けないことに久義は熱を出してしまった。 体の節々が痛いのは、熱の為だと思いたい。決して、あんな事やこんな事をしたせいだとは思いたくない。「ヒ、ヒース、大丈夫か……?」 ウィ

  • 金魚の恋 91(R)

    (R18)です。そして今回、いつもよりちょっと長いです💦 当blogは18才未満の方は読んでいないはずですが、苦手な方、生理的に無理な方が読んでしまわないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを

  • 金魚の恋 90(R−15)

    「私はヒースをとても可愛いと思うし、とても愛しいと思うし、とても美味しそうだと思っているんだよ」「そ、それは、俺が和菓子を作ってるから、とか、食いしん坊だから、とか、そういうことか……?」「違うよ。ふふ、だって、

  • 金魚の恋 89(R-15)

    (R15)です。当blogは18才未満の方は読んでいないはずですが、苦手な方、生理的に無理な方が読んでしまわないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。-

  • 金魚の恋 88

    テオドアも、そうしてもちろんウィリアムも人知れぬ努力を積み上げてきた。日本人の久義からすると横柄で威圧的に見えるテオドアの態度だって、あれは貴族であろうとする彼の努力で作られた物なのだ。 それをこの人は、まるで何でも無い事のように弟に譲ろ

  • 金魚の恋 87

    貴族としての体面を常に気にしていた、古いタイプの貴族に育てられた母は、自分が育てられたようにしか自分の子供を育てる方法を知らなかった。子供が生まれたら乳母に預け、長ずればパブリックスクールに入れて高等教育を受けさせる。たまの休暇に帰ってき

  • 金魚の恋 86

    「さぁ、もう分かっただろう?ヒースが気にしなければならないようなことは何もないんだ。父だって、愛しい新妻との息子を手元に置いて跡を継がせる事に歓びを見いだす可能性は高いと思うぞ?」「そんな筈……!」「そう?でも、

  • 金魚の恋 85

    ◇◇◇ ◇◇◇  窓の外で、木の枝からだろうか、雪が滑り落ちる音がした。そんな音が耳に入るほど、この村の夜は静かだった。 村の中に小さな呑み屋が無い訳では無いのだが、当たりの静寂を破るような大声を出す人はいない。 外は暗くて、

  • 金魚の恋 84

    『待ってくれ!少なくともウィルはその計画から外してくれ!ウィルは由緒ある貴族の跡取りなんだよ!将来は伯爵家を継いで領地を運営しないといけないんだ!日本でそんな事をしている暇なんてないんだよ!』  必死な久義の声を、しかしその場の一

  • 金魚の恋 83

    『古民家カフェだよ! 古い空き家なんていっぱいあるから、リノベーションしてうちの器でお前の和菓子を出せば絶対当たるぞ!ぶっちゃけ、お偉方みたいなうん十万の器じゃなくて、俺らヒヨッコの作った器でも、古民家カフェなら使ってもらえるだろ!?』 ほ

  • 金魚の恋 82

    ◇◇◇ ◇◇◇   こたつの中で、一緒にテレビを見ながらミカンを食べる。ここでは皆が当たり前にしていることが、久義やウィリアムにとっては奇跡の瞬間だ。 こたつという人類史上に輝く発明(いや中東や中央アジアにもあるけど)、ミカン

  • 金魚の恋 81

    ◇◇◇ ◇◇◇   深い雪の中を、久義とウィリアムはゆっくりと歩いていた。この村はとても居心地が良いが、二人でいる時間が少し少ない。どちらからそう言った訳ではないが、今日は何となく、二人だけでいたかった。「寒くない?

  • 金魚の恋 80

    ◇◇◇ ◇◇◇  祖父に「話し合う時間が必要だ」と言われたのには、きっと、何か理由があるのだろう。ほんの少しウィルに会っただけの祖父にすら見えて、自分には見えない物があるのかもしれない。そう思うと、久義ももうウィリアムに「帰れ

  • 金魚の恋 79

    『初めまして。突然の訪問、は、失礼しました。ウィリアム・オーガスタ=オブライエンです。父は伯爵ですけれども、私は違います。私は会社で働いているなのでさら……サラリーマン?です。私はイギリスでヒースと友達になりまし

  • 金魚の恋 78

    ◇◇◇ ◇◇◇  どれだけの時間が経ったのか。襖の向こうから、祖父の信吉が声をかけてきた。『おい、久義。話が終わったんなら、茶でも飲みに来い』 まだウィリアムの胸の中でぼーっとしていた久義は、その声にハッとして慌ててウィリアム

  • 金魚の恋 77

    「爵位を海斗様が継げるということは分かった。でも、問題はそこじゃないだろ?俺は男なんだよ?あなたが男の俺と一緒になるなんてそんなことは許されな……」 だが、その台詞も言いきる前にウィルに叩き落とされる。「爵位をマ

  • 金魚の恋 76

    遅くなりましてすいません💦💦USB、見つかりました〜!ご心配おかけしてすいませんでした!!それでは、『金魚の恋』76話、お付き合いくださいませ。 イヌ吉拝 ーーーーーーーーーーーーーーーー

  • すいません、今週の更新は週明け月曜にさせて下さい💦💦

    皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来てくださってありがとうございます!すいません、今週のお話なのですが、いつもの土曜日ではなく、週明けの月曜にさせて下さい💦💦💦 USBが!!お話を入れ

  • 金魚の恋 75

    「もしも私の自惚れでないのなら、ヒースは私を少なからず想ってくれていると……そう思っても良いのだろうか」 ウィリアムは久義の手を取って、下から覗き込むようにしてそう言った。「……っ」

  • 明けましておめでとうございます!

     皆様、明けましておめでとうございます!!いつも「真昼の月」に遊びに来てくださり、ありがとうございます! 昨年中は皆様にたくさん遊んでいただいて、本当に嬉しかったです!今年も亀の歩みではありますが、頑張っていこうと思って

  • 金魚の恋 74

    「これは父の描いたデザイン画や……ああ、これは俺が描いた物で……」 そこには、たくさんの金魚が泳いでいた。父の手によるティーセットのデザイン画を久義の手で描き直した物は、父ほどの洗練さ

  • 金魚の恋 73

    「良いか、ウィル。今からここに紙を貼る」「あ、ああ?」 そう言って久義は、襖と襖の間に一枚の紙を剥がせるタイプの糊で貼り付けた。「大昔、この紙は鍵だった」「は?」「もし誰かが勝手に箱を開けたり部屋や家に入れば、紙がちぎれて落ちる。そうすれば

  • 金魚の恋 72

    先週はお話の入っているUSBメモリを職場に忘れてきたので、1日遅れでアップしました。もし前回のお話を読んでいない方がいらしたら、こちらからお読みいただければと存じます……💦💦

  • 金魚の恋 71

    すいません!!お話の入っているUSBメモリーを職場に忘れてきてしまい、昨日は更新できませんでした💦慌てて取ってきましたよ〜〜💦💦💦遅くなりましたがお付き合いいただけると嬉しいで

  • 金魚の恋 70

    窓を開け、細いつららを探す。ポキンと折って、口に運ぼうとして、こないだも祖母に怒られた事を思い出す。 子供の頃はいつもつららをアイスキャンディーだと言っては口に運び、『ばっちいからやめなさい!空気中の塵とか埃がついているんだから!!』と怒

  • 金魚の恋 69

    ◇◇◇ ◇◇◇  世界に名高い伊嶋焼きの頭領、人間国宝・十三代高野彦左衛門こと高野信吉の作業場は、多くの人が想像している物よりも小さい。ここは祖父が作陶に没入する為の場所だ。 この作業場を使えと言われた時、正直久義は面食らっ

  • 金魚の恋 68

    「義母上、伊嶋焼きというのは、日本のどこで作っているのですか?」「伊嶋焼き?ああ、久義さんのお父様の?」「教えて下さい」 いつになく真剣に真理恵に向かうウィリアムに、真理江は驚いた顔をした。だが、彼女はその理由も聞かず、すぐに晴れやかな笑顔

  • 金魚の恋 67

    「だって私は日本人だもの!日本から送ってもらう海産の瓶詰めだけじゃ物足りないわ!日本とイギリスじゃお水が違うんだから、やっぱり日本のお水で炊いたお米が食べたいのよ。新潟はお米もお酒も本当においしいのよ。ああ、あなた達にも食べさせてあげたいわ

  • 金魚の恋 66

    あなた達には分からない。我々のような身分の者があなた方のような身分の方と共に接するということがどういうことなのかを。友情などと言いながら、あなたは久義に何をした。幼い頃からこの地でどんな思いをしても、久義は日本に逃げるなんて今迄考えたこと

  • 金魚の恋 65

    「久義と連絡が繋がらなくなりました。連絡先を教えていただけないでしょうか」 一瞬、謳子はどう返したものか考え込んだようだった。だが、口元に微笑を浮かべ、小さく肩を竦めて見せた。 「日本のあちこちで羽を伸ばしているのでしょうね。主人の里は山奥

  • 金魚の恋 64

    「いつまでもあんな日本人に振り回されているつもりだ。お前は日本人が嫌いだったんじゃないのか」 思わずそう声をかけると、ウィリアムは携帯からテオドアに視線を動かし、意外そうな顔をした。  「私は今迄に一度も、日本人が嫌いだ

  • 金魚の恋 63

    ◇◇◇ ◇◇◇ テオドアは今日、フィッツガード伯爵からの招待で、バーマストン伯爵夫妻や久義の母謳子と共にフィッツガード邸を訪れていた。謳子も招待されたのは、先日届けてくれたお節料理に対する返礼のようで、お茶会の中でも最も格式の高いアフタ

  • 金魚の恋 62

    『……なぁ、久義。ゆっくりしていくんなら、少し真面目にロクロでも回していくと良い』『うん、ありがとう』  久義の作る和菓子をいつも手放しで褒めてくれる伸吉だが、それでも何か少しでも良いから作陶するように

  • 金魚の恋 61

    『ありがとう、ちゃーちゃん!』『あ、これ雑誌で見たことある!ちゃーちゃん、並んだんじゃない!?』 祖母がいつも久義を子供の頃の呼び名で呼ぶから、伊嶋の親戚達は祖母に倣ってみんな久義を“ちゃーちゃん”と呼ぶのだ。&nb

  • 金魚の恋 60

    そうして暫く二人でたわいもない話に花を咲かせていたが、そのうちふと信吉が真面目な顔で久義を見つめてきた。『……どうした、久義。何だかいつもよりおとなしいな。日本語忘れたか?』 信吉の指摘に、久義は驚いた。どうし

  • 金魚の恋 59

    本日から第二部となります。舞台が変わりますのでちょっと雰囲気が変わるかもです。なお、引き続き『』の会話は日本語での会話、「」は英語の会話となります。どうぞ第二部もお付き合いの程、よろしくお願いします。 イヌ吉拝  

  • 金魚の恋 58

    気がつくと、自分の両肩にウィリアムの手がかけられていた。ハッとして上を向く。すぐ目の前に、ウィリアムの美しいオリーブグリーンの瞳があった。 白い肌。金色の長い睫毛。高い鼻。その全てが久義が属する物とは違う。 ああ、ほら。自分とウィルはこん

  • 金魚の恋 57

    ◇◇◇ ◇◇◇    ウィリアムの部屋に入るのは二度目だった。前に来た時は水槽と金魚の数に驚いたが、今はそれも目に入らない。 久義はウィリアムと二人きりの空間にいることに戸惑い、何を言えば良いのか、そればか

  • 金魚の恋 56

    ◇◇◇ ◇◇◇  謳子からは、久義が東京に帰る事を、ちゃんとフィッツガード伯爵家にも知らせておけ、と言われていた。真理恵夫人が久義のお菓子を当てにしていると悪いから、その期間はイギリスにはいないちゃんと伝えておけと言うのだ。そ

  • 金魚の恋 55

    『ん〜、そうだけどさぁ。私いる?いらなくない?別にデザイナーの挨拶、いらなくない?クリスマスプレートは何ヶ月も前にデザイン搬入してるし、イベントの指示は十一月には終わってるじゃない?私いる?いなくても良くない?』『当日チェックがあるだろ』『

  • 金魚の恋 54

    ※『』内の台詞は日本語です💦 ◇◇◇ ◇◇◇   久義があれだけの啖呵を切ったにもかかわらず、テオドアからはその後何も言っては来なかった。トーマスが何かを言ってくれたのかもしれないが、彼が金魚のティーセ

  • 金魚の恋 53

    皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来て下さりありがとうございました!8月1日に、当blogはありがたいことに開設10周年を迎えました!御礼ページをアップしておりますので、まだ見ていないよ、という方はぜひ覗いてみて下さい! 開設10周

  • コメントありがとうございます!!

    皆様、コメントありがとうございます。お礼が送れていて、大変申し訳ありません💦💦お返事はコメントをいただいた順に書いております。先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、

  • Happy 10'th Anniversary〜真っ白い世界〜

    気がつくと、そこは辺り一面真っ白い空間だった。ふわふわして、なんだか天国みたいだ……と思ったとき、設楽は今自分が夢を見ているのだと気づいた。 そっか。夢か。 真っ白くて、ふわふわで、暖かくて、何だか幸せな場所だ

  • 開設10周年ありがとうございます!!

    皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来てくださってありがとうございます!10周年です!とうとう開設10周年を迎えました!!こんなに長い間、「真昼の月」を応援してくださりありがとうございます!! 昨年は時間が無くて開設ページにお礼イラス

  • 金魚の恋 52

    目の前が赤くなるほど血が煮え滾っている。目の前のこの男は、友人の名誉と父の名誉を秤にかけて、父の名誉を踏みにじったのだ。 久義がテオドアを睨みつけると、テオドアは「何だその目は!!」と怒鳴りつけた。「だいたいウィリアムもウィリアムだ!父親

  • 金魚の恋 51

    「お言葉ですが、金魚のティーセットは父の形見であり、完全に私の私物です」 久義が反論することは分かっていただろうに、テオドアは不愉快そうに目だけを上に向け、久義を睨みつけた。「だからどうした。私が売れと言っているのだ」「っ!」 その鋭い瞳に

  • 金魚の恋 50

    ◇◇◇ ◇◇◇  そこからどうやって帰ってきたのかよく覚えていない。まぁ無事に帰ってきたのだから、おかしな運転はしなかったのだろう。 車を駐車場に停め、久義は報告の為に本館に顔を出した。玄関ホールを入ってすぐに執事のトーマス

  • 金魚の恋 49

    ◇◇◇ ◇◇◇  ウィリアムを降ろし、彼の姿が見えなくなるまで走ると、久義はノロノロと車を路肩に停めて、ハンドルに覆い被さるようにして溜息をついた。 どうして、こんなに息が苦しいんだろう。 ウィルが自分を思いやってくれる気持ち

  • 金魚の恋 48

    「ヒース!」 だが、勢い込んで言おうとした台詞は、そのまま口を出ることはなかった。 久義の固く結ばれた唇。穏やかに凪いでいると思った瞳は、今は何かを堪えるように僅かに揺れていた。 そうだ。ヒースも、何かを耐えている。彼だって、辛いのだ。「ヒ

  • 金魚の恋 47

    ぐるぐると考え込んでいるウィリアムをどう思ったのか、久義は前を見つめながら、残酷な言葉を口にした。「……金魚の陶器が欲しいのでしょう?」 陶器よりも硬く、冷たい声だった。いつもの久義の声とはあんまりにも違うから

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