月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集が「フュージョン・ベスト100 邦楽編」を眺めていて、久しぶりに「日野皓正」の存在に気がついた。元々は、限りなく自由度の高いモード・ジャズ志向のエモーショナルなバップなトランペットで、ブイブイ言わせていたのだが、いきなり、NYに渡って、思いっきりイメージチェンジ。フュージョン・ジャズに転身して、何枚かのヒット盤をリリースした訳だが、そういえば...
ジャズ喫茶『松和』は仮想喫茶店。大好きなジャズや70年代ロックの話題など、音楽三昧な日々をどうぞ。
2024年5月
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集が「フュージョン・ベスト100 邦楽編」を眺めていて、久しぶりに「日野皓正」の存在に気がついた。元々は、限りなく自由度の高いモード・ジャズ志向のエモーショナルなバップなトランペットで、ブイブイ言わせていたのだが、いきなり、NYに渡って、思いっきりイメージチェンジ。フュージョン・ジャズに転身して、何枚かのヒット盤をリリースした訳だが、そういえば...
月刊誌「レコード・コレクターズ」の 2024年6月号の特集が「フュージョン・ベスト100 邦楽編」。先月が「フュージョン・ベスト100 洋楽編」だったのだが、今月はさらにマニアック度が増して、我が国のフュージョンの名盤・好盤のベスト100。早速、チェックしてみたが、さすがに、80%程度は聴いたことがある。しかし、残りの20%は聴いたことが無い盤で、フュージョンのアルバムについても「裾野が広いなあ...
A&Mレコードの 3000 series のカタログを見渡していて、感心するのは「ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)の存在である。A&Mレコードは、ハードバップ時代から第一線で活躍してきたジャズマンを重用、一流ジャズマンで固めたリズム・セクション、そして、バックに豪華なジャズオケやオーケストラを配備して、「上質でコンテンポラリーなイージーリスニング志向のジ...
A&Mレコードの 3000 series の諸作は、リーダーを務めるジャズマンについては、錚々たるメンバーである。ハードバップ時代から活躍してきたジャズマンが、こぞって、このA&Mレコードの目指す「上質でコンテンポラリーなイージーリスニング志向のジャズ」を実現する為に集ってきた。バックを司るサイドマンも、ハードバップ時代からの一流どころが参加していて、若手のスタジオ・ミュージシャ...
「K. and J.J. 」とは、ジャズ・トロンボーンの名手の二人、J.J.ジョンソンとカイ・ウィンディング。ハードバップ時代には「KAI & J.J.」というユニットを組んで、聴き心地の良いファンキー・ジャズの好盤を連発していた。その「KAI & J.J.」の再結成風のA&M盤。単なる「懐メロ同窓会」的雰囲気で終わるのではないか、という危惧を覚える。K. and J.J. 『I...
故あって、A&Mレコードの3000 series のアルバムを聴き直している。A&Mレコードの3000 series の諸作は、クロスオーバー・ジャズの範疇だと思うが、それぞれのアルバムのパーソネルを見渡すと、大方、ハードバップ時代から活躍してきた一流ジャズマンを起用している。ハードバップ時代から活躍してきた一流ジャズマンが、優れたアレンジに乗って、エレ・ジャズをバックに、ジャズ...
ジャズ・ベーシストの「生けるレジェンド」であるロン・カーター。1970年代は、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの老舗レーベルであるCTIレコードに所属して、リーダーにサイドマンに大活躍。1970年代後半、ハービーの「V.S.O,P.」に参加、純ジャズに回帰するが、CTIレコードでの、クロスオーバー&フュージョン・ジャズのロンもなかなか良い。 Ron Carter『Blues Farm』(写真)...
ジャズの世界で、ソロ演奏にあんまり向かないフルートを専門楽器に、数々の名演を残した、ジャズ・フルート演奏家の一人がハービー・マン。フルートという楽器は、音色が甘く、音の強弱・濃淡がつけにくくて、演奏の幅とバリエーションが限定されてしまう傾向にあり、ジャズの世界では、あんまり、ソロ演奏に向かない楽器。ただし、フルートは、息をちょっと強く吹くことで、エモーショナルで、ファンキーな音色を出すことがで...
フュージョン・ジャズの源はどの辺りにあるのだろう。僕は、1960年代後半、A&Mレコードの諸作が、その源の一つだと思っている。A&Mレコードは、元々は1962年にハーブ・アルパートとジェリー・モスが設立したレコード・レーベル。ジャズのジャンルについては、ファンキー&ソウル・ジャズのエレ化をメインに、当時、ポピュラーな楽曲のカヴァーなど、ポップでジャジーなフュージョン・ジャズの先駆...
キースのアメリカン・カルテット。『The Survivors' Suite(邦題:残氓)』を録音した時点で、グループとして終わっていた。続く、ライヴ盤『Eyes of the Heart(邦題:心の瞳)』では、もうカルテットの演奏としても終わっている。キースの曲をキースの指示通り演奏することに「痺れを切らした」レッドマンが、完全にキースのカルテットから離反した。このアメリカン・カルテットの終焉を...
ザ・スクエア(1989年から「T-スクエア」)は、我が国が世界に誇るフュージョン・バンドの一つ。バンド・メンバーは自身を「ポップ・インストゥルメンタル・バンド」と称している。独特の「融合音楽」志向、独特のアレンジや引用・カヴァーは、米国フュージョン・ジャズを志向していない、我が国のフュージョン・ジャズとしても、ユニークな存在。ポップでキャッチーな音世界は、通常のフュージョン・ジャズではない、唯一...
我が国のフュージョン・ジャズ・バンドの代表格が、「CASIOPEA(カシオペア)」と「T-SQUARE(T-スクエア)」(デビューから1988年までは「THE SQUARE」)。この2つのバンドが、我が国のフュージョン・ブームを牽引していた様に思う。「T-スクエア」は、純国産フュージョン・ジャズの音作り。我が国の音楽シーンから引用される独特のアレンジや展開、他のジャンルとの融合のバリエーションが...
カシオペアは、結成時からリーダー兼ギタリストの野呂が書くオリジナル曲を中心に演奏してきた。バンドの方針なんで、良いも悪いも無いのだが、長年、その音楽性を継続してくると、演奏側からすると「慣れ」、聴く方からすると「マンネリ感」が芽生えてくる。カシオペアとて例外では無かった様である。CASIOPEA『SUN SUN』(写真左)。1986年6月8日 - 6月29日、NYでの録音。1986年9月のリリー...
CASIOPEA(カシオペア)。世界に誇る、我が国の老舗フュージョン・ジャズ・バンド。1977年に結成。1979年にデビュー。2006年に全ての活動を一旦休止。6年後の2012年、CASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)の名義で活動を再開、2022年7月からは、CASIOPEA-P4(カシオペア・ピーフォー)に名義を再々度変更して活動を継続している。カシオペアのデビューが、僕がちょうどジャ...
聴くたびに思うのだが、キース・ジャレット率いる「アメリカン・カルテット」って何だったんだろう。モードからフリー、スピリチュアルから、アフリカン・ネイティヴなビートから、アーシーでフォーキーなアメリカン・サウンドから、キースのやりたかった音をごった煮にした音世界。キースは一体、何を表現したかったのか。Keith Jarrett『Eyes of the Heart』(写真)。邦題「心の瞳」。1976...
今までのキースのアメリカン・カルテットの評価って、どうなんだろう、と思うことがある。同一日、同一メンバーによる2枚のアルバム、『Death and the Flower』と『Back Hand』。『Death and the Flower』は、我が国では大受けで、スイングジャーナルでゴールド・ディスク賞まで受賞している。しかし、『Back Hand』については、全くの低評価。しかし、ちゃんと聴い...
Monty Alexander(モンティ・アレキサンダー)。1944年6月6日生まれ。ジャマイカ系アメリカ人のジャズ・ピアニストである。ジャズ・ピアニストのスタイルとしては オスカー・ピーターソンの直系とされる。テクニック抜群、力強いタッチ、スケールの大きい弾きっぷり、下世話な位判り易い展開。さしずめ「細めのピーターソン」といったところだろうか。鑑賞に耐えるレベルで止まってはいるが、笑える位にピ...
ブラジリアン・フュージョンの雄、未だに愛され続ける人気グループ「アジムス」。現代においても、レアグルーヴ、サイケ、ヒップホップなど様々なシーンからリスペクトされている唯一無二の音世界。ソフト&メロウなフレーズに、スペーシーな音の広がりとサイケデリックなブレイクダウン、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴは独特の個性。Azymuth『Light As A Fe...
『The Flip』のリリースにて、ブルーノートを離れたハンク・モブレー。『The Flip』の録音は1969年7月12日。それから2年7か月、モブレーは短命のコブルストーン・レーベルにリーダー作を吹き込む。しかし、このリーダー作が、録音リアルタイムでリリースされた最後のモブレーのリーダー作になってしまった。Hank Mobley『Breakthrough!』(写真)。1972年2月22日の録音...
ブルーノートでの初リーダー作が、1955年3月録音のブルーノートの5066番『Hank Mobley Quartet』。以来14年間で、録音リアルタイムでリリースされたリーダー作が17枚。ほぼ1年に一枚のペースでリーダー作をリリースし、サイドマンでの参加も多数。今回、ご紹介するアルバムは、ブルーノートのハウス・テナー奏者の位置付けだったモブレーのブルーノート最終作である。Hank Mobley『...
確か、1965年リリースの『The Turnaround!』から、ジャズロックに手を染め出したモブレー。ジャズロックに加えて、ポップなハードバップにも取り組み出したモブレー。巷では、硬派なジャズ者の方々中心に「軟弱なモブレー」「ダサいモブレー」などと、すこぶる評判がよろしくない。しかし、モブレーは、ロックやソウルを意識したクロスオーバーなジャズに適応することでジャズ人気を維持する為、「コッテコテ...
2024年5月
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月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集が「フュージョン・ベスト100 邦楽編」を眺めていて、久しぶりに「日野皓正」の存在に気がついた。元々は、限りなく自由度の高いモード・ジャズ志向のエモーショナルなバップなトランペットで、ブイブイ言わせていたのだが、いきなり、NYに渡って、思いっきりイメージチェンジ。フュージョン・ジャズに転身して、何枚かのヒット盤をリリースした訳だが、そういえば...
月刊誌「レコード・コレクターズ」の 2024年6月号の特集が「フュージョン・ベスト100 邦楽編」。先月が「フュージョン・ベスト100 洋楽編」だったのだが、今月はさらにマニアック度が増して、我が国のフュージョンの名盤・好盤のベスト100。早速、チェックしてみたが、さすがに、80%程度は聴いたことがある。しかし、残りの20%は聴いたことが無い盤で、フュージョンのアルバムについても「裾野が広いなあ...
A&Mレコードの 3000 series のカタログを見渡していて、感心するのは「ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)の存在である。A&Mレコードは、ハードバップ時代から第一線で活躍してきたジャズマンを重用、一流ジャズマンで固めたリズム・セクション、そして、バックに豪華なジャズオケやオーケストラを配備して、「上質でコンテンポラリーなイージーリスニング志向のジ...
A&Mレコードの 3000 series の諸作は、リーダーを務めるジャズマンについては、錚々たるメンバーである。ハードバップ時代から活躍してきたジャズマンが、こぞって、このA&Mレコードの目指す「上質でコンテンポラリーなイージーリスニング志向のジャズ」を実現する為に集ってきた。バックを司るサイドマンも、ハードバップ時代からの一流どころが参加していて、若手のスタジオ・ミュージシャ...
「K. and J.J. 」とは、ジャズ・トロンボーンの名手の二人、J.J.ジョンソンとカイ・ウィンディング。ハードバップ時代には「KAI & J.J.」というユニットを組んで、聴き心地の良いファンキー・ジャズの好盤を連発していた。その「KAI & J.J.」の再結成風のA&M盤。単なる「懐メロ同窓会」的雰囲気で終わるのではないか、という危惧を覚える。K. and J.J. 『I...
故あって、A&Mレコードの3000 series のアルバムを聴き直している。A&Mレコードの3000 series の諸作は、クロスオーバー・ジャズの範疇だと思うが、それぞれのアルバムのパーソネルを見渡すと、大方、ハードバップ時代から活躍してきた一流ジャズマンを起用している。ハードバップ時代から活躍してきた一流ジャズマンが、優れたアレンジに乗って、エレ・ジャズをバックに、ジャズ...
ジャズ・ベーシストの「生けるレジェンド」であるロン・カーター。1970年代は、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの老舗レーベルであるCTIレコードに所属して、リーダーにサイドマンに大活躍。1970年代後半、ハービーの「V.S.O,P.」に参加、純ジャズに回帰するが、CTIレコードでの、クロスオーバー&フュージョン・ジャズのロンもなかなか良い。 Ron Carter『Blues Farm』(写真)...
ジャズの世界で、ソロ演奏にあんまり向かないフルートを専門楽器に、数々の名演を残した、ジャズ・フルート演奏家の一人がハービー・マン。フルートという楽器は、音色が甘く、音の強弱・濃淡がつけにくくて、演奏の幅とバリエーションが限定されてしまう傾向にあり、ジャズの世界では、あんまり、ソロ演奏に向かない楽器。ただし、フルートは、息をちょっと強く吹くことで、エモーショナルで、ファンキーな音色を出すことがで...
フュージョン・ジャズの源はどの辺りにあるのだろう。僕は、1960年代後半、A&Mレコードの諸作が、その源の一つだと思っている。A&Mレコードは、元々は1962年にハーブ・アルパートとジェリー・モスが設立したレコード・レーベル。ジャズのジャンルについては、ファンキー&ソウル・ジャズのエレ化をメインに、当時、ポピュラーな楽曲のカヴァーなど、ポップでジャジーなフュージョン・ジャズの先駆...
キースのアメリカン・カルテット。『The Survivors' Suite(邦題:残氓)』を録音した時点で、グループとして終わっていた。続く、ライヴ盤『Eyes of the Heart(邦題:心の瞳)』では、もうカルテットの演奏としても終わっている。キースの曲をキースの指示通り演奏することに「痺れを切らした」レッドマンが、完全にキースのカルテットから離反した。このアメリカン・カルテットの終焉を...
ザ・スクエア(1989年から「T-スクエア」)は、我が国が世界に誇るフュージョン・バンドの一つ。バンド・メンバーは自身を「ポップ・インストゥルメンタル・バンド」と称している。独特の「融合音楽」志向、独特のアレンジや引用・カヴァーは、米国フュージョン・ジャズを志向していない、我が国のフュージョン・ジャズとしても、ユニークな存在。ポップでキャッチーな音世界は、通常のフュージョン・ジャズではない、唯一...
我が国のフュージョン・ジャズ・バンドの代表格が、「CASIOPEA(カシオペア)」と「T-SQUARE(T-スクエア)」(デビューから1988年までは「THE SQUARE」)。この2つのバンドが、我が国のフュージョン・ブームを牽引していた様に思う。「T-スクエア」は、純国産フュージョン・ジャズの音作り。我が国の音楽シーンから引用される独特のアレンジや展開、他のジャンルとの融合のバリエーションが...
カシオペアは、結成時からリーダー兼ギタリストの野呂が書くオリジナル曲を中心に演奏してきた。バンドの方針なんで、良いも悪いも無いのだが、長年、その音楽性を継続してくると、演奏側からすると「慣れ」、聴く方からすると「マンネリ感」が芽生えてくる。カシオペアとて例外では無かった様である。CASIOPEA『SUN SUN』(写真左)。1986年6月8日 - 6月29日、NYでの録音。1986年9月のリリー...
CASIOPEA(カシオペア)。世界に誇る、我が国の老舗フュージョン・ジャズ・バンド。1977年に結成。1979年にデビュー。2006年に全ての活動を一旦休止。6年後の2012年、CASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)の名義で活動を再開、2022年7月からは、CASIOPEA-P4(カシオペア・ピーフォー)に名義を再々度変更して活動を継続している。カシオペアのデビューが、僕がちょうどジャ...
聴くたびに思うのだが、キース・ジャレット率いる「アメリカン・カルテット」って何だったんだろう。モードからフリー、スピリチュアルから、アフリカン・ネイティヴなビートから、アーシーでフォーキーなアメリカン・サウンドから、キースのやりたかった音をごった煮にした音世界。キースは一体、何を表現したかったのか。Keith Jarrett『Eyes of the Heart』(写真)。邦題「心の瞳」。1976...
今までのキースのアメリカン・カルテットの評価って、どうなんだろう、と思うことがある。同一日、同一メンバーによる2枚のアルバム、『Death and the Flower』と『Back Hand』。『Death and the Flower』は、我が国では大受けで、スイングジャーナルでゴールド・ディスク賞まで受賞している。しかし、『Back Hand』については、全くの低評価。しかし、ちゃんと聴い...
Monty Alexander(モンティ・アレキサンダー)。1944年6月6日生まれ。ジャマイカ系アメリカ人のジャズ・ピアニストである。ジャズ・ピアニストのスタイルとしては オスカー・ピーターソンの直系とされる。テクニック抜群、力強いタッチ、スケールの大きい弾きっぷり、下世話な位判り易い展開。さしずめ「細めのピーターソン」といったところだろうか。鑑賞に耐えるレベルで止まってはいるが、笑える位にピ...
ブラジリアン・フュージョンの雄、未だに愛され続ける人気グループ「アジムス」。現代においても、レアグルーヴ、サイケ、ヒップホップなど様々なシーンからリスペクトされている唯一無二の音世界。ソフト&メロウなフレーズに、スペーシーな音の広がりとサイケデリックなブレイクダウン、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴは独特の個性。Azymuth『Light As A Fe...
『The Flip』のリリースにて、ブルーノートを離れたハンク・モブレー。『The Flip』の録音は1969年7月12日。それから2年7か月、モブレーは短命のコブルストーン・レーベルにリーダー作を吹き込む。しかし、このリーダー作が、録音リアルタイムでリリースされた最後のモブレーのリーダー作になってしまった。Hank Mobley『Breakthrough!』(写真)。1972年2月22日の録音...
ブルーノートでの初リーダー作が、1955年3月録音のブルーノートの5066番『Hank Mobley Quartet』。以来14年間で、録音リアルタイムでリリースされたリーダー作が17枚。ほぼ1年に一枚のペースでリーダー作をリリースし、サイドマンでの参加も多数。今回、ご紹介するアルバムは、ブルーノートのハウス・テナー奏者の位置付けだったモブレーのブルーノート最終作である。Hank Mobley『...
ハンク・モブレーのテナーも、その演奏志向のブレは無かった。もともと、こってこてのハードバップ。そして、モブレーのテナーの個性を活かしたモーダルなジャズへの変化。基本はモダン・ジャズの王道、ど真ん中を行くものだった。少なくとも、ポップなジャズ志向、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズ、ジャズ・ロックに転身することは無かった。Hank Mobley『A Caddy for Daddy』(写真左)。19...
昨日から、ケニー・ドーハムのトランペットを愛でるべく、当ブログで扱っていないリーダー作を「落ち穂拾い」している。いろいろリーダー作を聴いていて、意外とドーハムって、どの盤でも溌剌としたバップなトランペットを吹いているんやなあ〜、と改めて感心した。加えて、ドーハムって、「フレーズがちょっと危うい」ところ、滑らかにアドリブ・フレーズを吹き進めていくのだが、ところどころで音の端々で「よれる」もしくは「...
この季節の雨の日の午後、しとしと降る暖かい雨を見ながら、聴きたいなあ、と思うのが、ケニー・ドーハムの『静かなるケニー』。バップ仕込みの溌剌とした丸みのあるトランペットがベースのドーハム。シットリしたバラード演奏にも味があって、ついついしみじみと聴き入ってしまう。で、ケニー・ドーハムのトランペットが無性に聴きたくなって、当ブログで扱っていないアルバムはあるのかしら、と物色して、なんと、ドーハムの初...
ディヴ・リーブマンが元気そうでなにより。そんな思いを持てるような、リーブマンがここ5年ほどの間に、様々な演奏フォーマット&内容のリーダー作を結構な数、リリースしている。頼もしい限りである。Dave Liebman『Trust and Honesty』(写真左)。2022年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dave Liebman (ss, ts), Ben Monder (g), John...
1950年代のハードバップ期から、ずっと第一線で活躍してきたレジェンド級のベーシストについて、振り返って見ると、ほとんどが鬼籍に入ってしまっている。2020年辺りで、現役でプレイしているレジェンド級のベーシストは「ロン・カーター(Ron Carter)」しか見当たら無くなってしまったようだ。Ron Carter『Foursight - The Complete Stockholm Tapes』(...
ブルーノートの4100番台をカタログ番号順に聴き直しているのだが、この4100番台は演奏されるジャズについて、バリエーションが豊か。1962年から1965年までにリリースされたアルバム群なんだが、成熟したハードバップを起点にした「ジャズ多様化」の時代の傾向をもろに反映しているカタログには感心することしきり、である。しっかりと当時のジャズ演奏のトレンドを把握していて、それに見合った内容のアルバムをリ...
ハンク・モブレーは、自身のリーダー作については、ほとんどが、ブルーノート・レーベルからリリースされている、いわゆる「ブルーノート専属」のテナー・マン。モブレーのパフォーマンの個性は、ブルーノートからリリースされたリーダー作を追うことで、しっかりと理解出来る。Hank Mobley『No Room for Squares』(写真左)。1963年3月7日と1963年10月2日、2つの異なるセッション...
伝説のフュージョン・バンド「スタッフ(Stuff)」、ガッド率いるソウル・フュージョンなバンド「ガッド・ギャング(The Gadd Gang)」は、僕の大のお気に入りのクロスオーバー&フュージョン・ジャズ志向のバンドである。スタッフとガッド・ギャングはメンバーが結構、重複していて、両バンド共通のメンバーは、ドラムのスティーヴ・ガッド、キーボードのリチャード・ティー、ギターのコーネル・デュプリーが...
つい最近、1950年代から60年代のブルーノート・レーベルのカタログには、他のレーベルには見られない、「これ誰?」レベルのユニークなジャズマンのリーダー作がある、と書いたが、特に、4100番台には、そんなユニークなジャズマンのリーダー作が多い様な気がしている。Don Wilkerson『Shoutin'』(写真左)。1963年7月29日の録音。ブルーノートの4145番。ちなみにパーソネルは、Do...
マリアン・マクパートランドは女性ジャズ・ピアニストのパイオニア。スイング期からビ・バップ期を始めとして今日まで、ジャズの歴史のほとんどをリアルタイムで活躍した本格派のジャズ・ピアニスト。また、ジャズ版 「徹子の部屋」みたいな感じのラジオ番組「The Mariian McPartlland Piiano Jazz radiio shows」の司会としても有名。Marian McPartla...
この4〜5年の間に「和フュージョン」の名盤・好盤がリイシューされている。今までは、フュージョン・ブーム当時、売れた実績のあるアルバムのみがリイシューされてきたきらいがあるが、この4〜5年の間のリイシューはちょっと様相が違う。フュージョン・ブームの時、確かにリリースされているが、内容的にマニア好み、若しくはレコード会社が販売に力を入なかった、そんな理由で、あまり売れること無く、ひっそりと廃盤になっ...
1950年代から60年代のブルーノート・レーベルのカタログには、他のレーベルには見られない、「これ誰?」レベルのユニークなジャズマンのリーダー作がある。ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンが、いろいろな人から紹介を受け、自分の耳で確認して、これは、というジャズマンに声をかけてリーダー作を作らせる。誰でも良い訳では無い。「ライオンの考えるジャズ」の吟線に響いて、ライオンが「モダ...
ジャズ・オルガンと言えば、まずは「ジミー・スミス(Jimmy Smith)」である。オルガンをジャズのメイン楽器として定着させ、ジャズ・オルガンの音色・奏法・テクニックの基準・標準を確立させたレジェンド・ジャズマン。ジャズ・オルガンの開祖は、このジミー・スミスであり、ジャズ・オルガンの「最初の基準」である。ジミー・スミスは、マイルスに紹介され、ブルーノートの総帥ディレクター、アルフレッド・ライオ...
毎月、ジャズの新盤については、まめにチェックしている。そんな新盤の中で、Smoke Sessions Recordsは、コンスタントに良い内容のアルバムをリリースしていて、常々、感心している。我が国にはその名がなかなか伝わってこない、実績のある中堅〜ベテランのジャズマンをリーダーにしたアルバムをメインにリリースしている。が、その内容は「昔の名前で出ています」的な旧来のハードバップな演奏を懐メロ風...
ジャズの世界でも、ピンのボーカルは数あれど、ボーカルのグループは「稀少」。ピンであれば、何もかもが「自分次第」なので、何かとやり易いのだが、グループの場合、メンバー同士の声質の相性が良くないといけないそ、そのグループの個性を活かした高度なアレンジが必要で、意外とグループの結成〜運営の難度が高いのが原因だと睨んでいる。The Manhattan Transfer with the WDR Funk...
プレスティッジ・レーベル(Prestige Label)は、 1949 年、ニューヨークでボブ・ウェインストック(Bob Weinstock)によって設立されたジャズ・レーベル。モダン・ジャズ全盛期を記録したハードバップの宝庫であるが、その内容は、録音姿勢の問題もあって、玉石混交とている。売れそうなジャズマン、暇そうなジャズマンをパッと集めて、殆どまともなリハーサル無しにパッと録音させる。そして...
「小粋なジャズ盤」の探索は続く。手持ちの音源をザッと見直しながら、小粋なジャズか否か、の取捨選択を繰り返しつつ、こんな盤あったんや、と聴いたはずだが、内容を忘れてしまった盤については、しっかり聴き直しつつ、「小粋なジャズ盤」の探索を続けている。Joey Baron『Down Home』(写真左)。1997年の録音。ちなみにパーソネルは、Joey Baron (ds), Arthur Blythe...
最近、Electric Birdレーベルのアルバムを漁っては聴いている。1970年代後半にキングレコードが立ち上げた、純国産のフュージョン専門レーベル。目標は「世界に通用するフュージョン・レーベル」。ちょうど、フュージョン・ブームのピークに近い時期に立ち上げられたレーベルで、リアルタイムで聴いてきたフュージョン者の我々としては、とっても懐かしいレーベルである。David Matthews『Gra...
1950年代のジャマルは「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴だった。1958年録音の名盤『But Not for Me』が、その特徴を最大限に活かしたライヴ盤で、特に日本人ジャズ者の「心の吟線」にいたく触れるらしく、大人気の名盤である。Ahmad Jamal『Happy Moods』(写真左)。1960年1月20–21日、...
逝去したから、という訳では無いのだが、アーマッド・ジャマルのリーダー作の落ち穂拾いをしている。ジャマルについては、意外とこのブログで取りあげることが多いジャズマンの1人。それには理由があって、ジャマルは「経年変化」が著しいピアニストで、活躍した年代によって異なる顔を持つ、つまり、年代によって、ピアノ演奏のスタイルが変わるピアニストなので、デビューした1950年代から逝去前の2010年代まで、それ...