はじめに

この小説は、ソプラノ歌手でキャバクラ嬢だった「優子」との出会いをもとに書いている恋愛小説です。第16話まで書く予定ですので、しばらくの間お付き合いください。（修正が入り、更新メールが飛ぶかもしれません。そのときはご容赦ください）第1話 休日出勤第2話 出会い

第7話 メール

優子はよくメールをくれた。「お疲れ様。田中さんの今日はどんな一日でしたか？私は某音楽教室まで出張していました。いつもと違う生徒に教えると新鮮味があってわくわくします」たわいのないメールだったが、明るくて前向きな子だった。それから、「今日の私です」と書いて

第6話 同伴

その後、そのキャバクラに通うようになって優子を指名するようになった。メールアドレスを交換し日々メールをするようになった。そして、同伴するような関係になった。 ある日、新横浜プリンスホテルのロビーで待ち合わせた。カフェが併設されこの円筒形のビルを支

第5話 優子

土曜の夜にキャバクラで初めて会った優子。彼女は、都内の某音楽大学の声楽科を卒業したという。 「留学すれば有名になったかもしれない程の美声の持ち主」であると、彼女本人から聞いたことがある。 彼女はおだやかだし、そして柔和に話をするので、それが

第4話 初対面

 彼女たちは必ず名刺をくれた。その名刺を今でも机の引き出しにしまってある。でも、それを一枚二枚とめくっても彼女たちの顔を思い出せない。背の高い子。美形な子。なかには自前の金ピカの名刺をくれた子もいる。人間の記憶は単純なもので、多くの人に逢うと最初

第3話 ラウンジ

「はじめまして、まりです」「僕は田中といいます」挨拶からはじまった。まりは、ブルーの素敵なドレスを着ていた。「今日はお仕事だったの？」「休みの日は何しているの？｝などの、世間話や趣味など、たわいのない話をした。共通の話題がないとそうなるのは仕方な

第2話 出会い

会社は新横浜駅から歩いて5分のところにある。会社のビルから200、300m先の外れた雑居ビルのキャバクラに一人寂しく足を運んだ。この店には初めて行く。ウイークデーではないので、もしかするとその店は閉まっているのではないかと思った。ところが、意に反してその雑居ビ

第1話 休日出勤

時は4月。その日は、桜の花が散り始めたどんよりした土曜日だった。肌寒い日で、仕事がたまっていたので家にいても仕方ないと思い休日出勤した。仕事の虫で、そのときの俺は気分転換がうまくできなかった。休日にやることがないなんて...自分はつまらないなと思いながら