まるでお酒を飲んだように顔が火照っている。鼓動も早い。坂道を駆け上ったばかりのように息も上がっている。幸福な高揚感がオーラのように結の全身を包みこんでいる。 …
小説、エッセイを読むのが好きです。小説家に憧れつつ何もしないまま時を重ねてきましたが、図書館で偶然手に取った短編小説集をきっかけに筆をとってみました。 名前はまりと読みます。よろしくお願いいたします
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まるでお酒を飲んだように顔が火照っている。鼓動も早い。坂道を駆け上ったばかりのように息も上がっている。幸福な高揚感がオーラのように結の全身を包みこんでいる。 …
読みかけの文庫本をパタンと閉じ顔を上げると、雨粒が窓を叩きつけていた。雨の音は聞こえない。周囲の物音も、人の話し声も何も聞こえない。スマートフォンとブルートゥ…
アイロンが掛かっていないレーヨンシャツが満員電車の窓に映る。その上にぼんやり乗っている自分の顔もなんだかクシャっとしているように見えて、挫折感を上塗りする。初…
猫の足音がした。微かな微かな小さな足音。 ちょうど宿題を終えた菫はプリントをランドセルにしまい立ち上がる。愛猫ロビンが部屋の前まで迎えに来ているに違いない。だ…
大きく開いた窓から心地よい風が吹き込んでくる。外をぼんやり見ていたタカシは、双子の妹ヒカルの視線に気づき、机に向き直った。 この4月からタカシは高校生になった…
「久恵はすごいよね。もうFIREしてて、仕事しなくていいなんて。羨ましい。今は、ご主人と二人で毎日大阪万博行っているらしいよ。万博が終わったら、あちこち海外を…
「春樹、いつ賞取れると思う?」 真面目な顔をして聴いてくる妻の美佐江に何と答えれば機嫌を損ねずに済むか、裕二は頭の中であれこれ思索にふけっていた。 うっかり答…
猫の足音がした。 タカシが振り向くと、サビ猫のサビイがすました顔をして近づいてきて、目の前のベンチにぴょんと飛び乗ると箱座りして寝てしまった。なんとも気持ちよ…
体調不良のためお休みします。ふわふわぼんやりすいません
宇宙人に身体をのっとられた。朝、目を覚ました瞬間、桂木大悟はそう思った。目を開けて天井が見えるのに起き上がれない。身体が動かないのだ。 頭の中で宇宙人の声がす…
うわぁ。こんなの初めて。凄い。凄いわ。 蒸気立った若い女性の声が左耳をくすぐり、達也は声の方に顔を向けた。すぐ横にいる二十歳そこそこの女性は、興奮で頬を赤らめ…
窓の外で音がする。力まかせに生垣の樹木をかき分けたようにガサッと。佑弥は首を傾げた。佑弥の住むハイツには樹木なんてない。窓をあけ外を覗くと、三毛猫がじっとこっ…
教科書を適当に詰めこんだカバンの重さが、倦怠感に輪をかける。昨夜の電話のせいで窓が白むまで眠れなかった。口の中で欠伸をしながら、中島流星は改札を抜け、ホームへ…
3月だというのに、なかなか暖かくならない。毎日の散歩でも、毛が寒さで逆立ってしまう。くりんくりんの自慢の巻き毛が台無しだ。それでも吾輩は出かける。茜姫を守るた…
三寒四温を繰り返し、確実に春は近づいて来ている。いや自分が春に近づいて行っているのかもしれない。 まばらな冬の雲の間に煌めく星を見上げながら、夕子はつぶやいた…
猫の足音がした。 窓の外を覗くために、トムが窓際にある木製デスクに飛び乗ったのだ。 今年二度目の最強寒波で、外は大雪だ。窓枠にずんずんと雪が張り付いていき、ガ…
微かな物音。小さく小さく聞こえるか聞こえないか程度に、みしっと雪がきしむ音がする。 猫の足音だ。ユズルは、そう呟いて窓の外を見る。 ほら、やっぱりウイリアムだ…
博美の実家には、大きくて高い杉の木がある。 取り立てて金持ちだったわけではないが、田舎なので土地だけは有り余っている。最近流行の古民家カフェのようなやたらに広…
図案が決まらない。もう何か月も前から多恵は考え続けていた。 春に開催される大規模なイベントが自分の人生を変えるかもしれない。そのイベント会場の一部屋全体を自分…
孫のちぃ子は、少し変わったキャラクターが好きだ。 おにぎりを被ったアリクイという不可思議な形のぬいぐるみを引き出しに押し込みながら、恵子は笑ってしまった。ちぃ…
熱で思考がポンポンしてます。体調不良のため今週はお休みします。ごめんなさい。
これ、宇治のおじちゃんに似てる。碧は石仏の前で足を止めた。緑の中に並んでいる石仏のうち一つが京都府宇治市に住む伯父にそっくりなのだ。温和で呑気な顔つきをしてい…
太陽が一瞬にして溶けた、9月23日。空を紫色に輝かせるマジックアワーのひとときが一瞬にして消え去ったあの日から、どのくらい月日が経ったのだろう。人々はあの日の…
キミドリの白目のライオンがね。そんでもってターコイズブルーのたてがみのライオンが。じっとこっちを見ている。そんな夢を見てね。目が覚めたら美術館を歩いてて。あれ…
このズレはいつから起きていたんだろう。芽衣はぼんやり考えていた。テーブルに乗ったカップにレモンを絞ると、空を映したような青色だったバタフライピーティーが紫色に…
「ほんま、疲れたぁー」無意識に溢れてしまった穂乃果の声に周りの人たちが振り返った。しまった、と内心思いながらなんでもない表情でレモンサワーを喉に流し込む。大阪…
木洩れ陽輝く春。朝から天気が良く、決まってこういう日茜姫は機嫌が良い。天気に気分を左右されるとは、我がご主人も単純なものだ。吾輩は尻尾を振って颯爽と街を闊歩し…
春だというのに寒い。せっかくのゴールデンウィークなのに雨模様で、予定していた公園キャンプも中止するしかなかった。普段なら聞き分けのいい娘がいつになくぐずり続け…
窓の外で雨の音がする。わたしは気づかないふりで陽気にふるまう誰のため?自分のためひとり暮らしは気ままでしょなんて人は言うけれど意外とそうでもない雨は嫌い雨は嫌…
春の風に吹かれながら篤紀は、悠久の歴史を感じていた。世界遺産を巡り、古代ロマンを秘めた遺跡を堪能した。予定外の一人旅ももうすぐ終わる。数年間吹ガラスの修業をす…
吾輩は、犬である。名前はマッダーナイト。茜の騎士だ。我が茜姫は、最近淡いピンクと白のツートンカラーの車を手に入れた。何年か前にCMでその軽自動車に一目惚れをし…
テーブルの上のスマートフォンが振動している。その時、茜はコールセンターの休憩室でお弁当を食べていた。ちょっと働きすぎかもしれない。今日は臨時出勤をしていた。休…
地面をじっと見るようにうつむいて立っていた。亮太の横を大勢の人間が行き来する。早足の人、小走りの人、立ち止まる人、ゆっくり歩く人。通り過ぎる人たちは口々に何か…
四月生まれが羨ましい。中学生の頃、裕子はそう思っていた。イルミネーション、夜景から朝露に差し込む太陽、そして宝石。光り輝くものが大好きな裕子にとって、ダイヤモ…
自己紹介した後、皆と一緒に居づらくなった私は、ビジターセンターの外に出るとベンチに座って空を見上げた。 真っ暗な空に、多数の星が輝いている。 全ての星は太陽の…
幼い頃から岡山県の静かな町で暮らしていた風子だが、一念発起して東京暮らしに挑戦することを決断した。一人旅も出来ない弱虫だから、従姉の家の居候でも不安でいっぱい…
優柔不断な茜と対象的に、妹の碧は極端に即断即決なタイプだ。だから大学卒業直後、出逢って二週間の幸生と結婚すると宣言した時も誰も驚かなかった。幸生とは新卒研修の…
まるで4月のような陽気が続いたと思うと凍てつくような寒さになる。繰り返す三寒四温で季節感が狂ってしまっていたらしい。朝の情報番組でナレーターが朝一番が最高気温…
吾輩は、犬である。名前はまだない。ノーネームではなくmadder knight。正確にはマッダーナイトである。 少し思い出話をしよう。いや、それ程昔のことでは…
美桜はキッチンで鼻歌を口ずさみながら牛蒡をささがきにしていた。夕食の仕込みだが、壊れたレコードのように繰り返していたのは、朝食も作れたもんね、というフレーズ。…