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大福 りす
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2011/01/21

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  • 孤火の森 第46回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第40回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第46回耳に聞こえていた呪が少し変わったことに気付いた。一部の森の民の呪が違う呪になっていた。その声が大きくなってくると、球体の中のセイナカルに異変が起こった。叫んでいた口が閉じられ、あちこちに位置を変えていた手の動きが止まった。そして次には意識を失くしたように頽(くずお)れていった。『何、何が起こったんだよ』『今、二つの呪が唱えられているのが分かるか』『う、ん・・・』『一つは女州王を囲っている目に見えない力、囲いの呪という。もう一つは女州王の意識を取り上げる、静謐(せいひつ)の呪』『意識を取り上げる?』『ああ、とは言ってもずっと意識が戻って来ないわけ...孤火の森第46回

  • 孤火の森 第45回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第40回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第45回ガタンという大きな音をたて、岩国が椅子から立ち上がり深く頭を下げる。「へ?なに?どうしたの?」思わず釧路が仰け反る。「周南といい俺たちといい、ご迷惑ばかりお掛けして」兵に追われている身だ。ましてや今津は城から脱走してきている。こんなことが兵にバレでもすれば、この医者にも兵の手が伸びてくる。岩国の態度に祇園が腕を組む。「あのさー、そういうのやめない?」頭を下げた岩国が目をギュッと瞑り唇を噛む。「アタシは兵に追われてた周南を助けただけ、医者先生はそれに協力してくれただけ。それでアンタたちにはカブキが失礼をぶっこいたから、お詫びを医者先生にさせただけ...孤火の森第45回

  • 孤火の森 第44回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第40回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第44回<呪に囚われるな。あとはもういい、木の陰に身を隠しておけ>「え?なんで?」<無暗に声を出すな。さっさと動け>そう言うとサイネムが呪を唱え指を動かし始めた。まだザリアンが迷いの道に導けていない残りの州兵たちを森の外に出し始めたのだ。迷いの道から森の外に出された州兵たちは、簡単に森に戻ってはこられない。客観的に森を外から見る事が出来なくなってしまっているでからである。ずっと森の中を彷徨い歩く感覚で森の外に歩いて行く。それこそ彷徨い疲れて倒れるまで。サイネムの様子を見ながらも渋々と木の陰に歩いて行く。訊き返せばまた何かを言われるだけ。それにブブの様子...孤火の森第44回

  • 孤火の森 第43回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第40回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第43回飲み干した湯呑をことりと置く。「そう、それじゃあ助けてもらわなかったら、危なかったということね」「逃げられなくはなかっただろうけど、そうだな、確証はない」「でもどうしてあの場所が兵に漏れたのかしら」「もしかして、ずっと前からアタリを付けられていたのかもしれない」「それで昨日ってこと?それならもう少し早く足を踏み入れるわよ」「うん、どうせなら撹乱の前に押さえたかっただろうけど、兵は撹乱のことを知らない。だからもう少し仲間が集まってから押さえようとしてたとか。で、撹乱が起きた。その後、俺たち以外に集まる様子がなかったから、逃げられる前に昨日踏み込ん...孤火の森第43回

  • 孤火の森 第42回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第40回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第42回森の呪を全て解き終えたサイネム。解くにさほどの力がいるわけではないが、これまでの積み重ねがある。かなりの体力を消耗したような疲れを身の内に感じ、州兵が来るまでは少しでも休んでいようと木の幹にもたれかかり瞳を閉じている。幹からは鼓動のように、血管を流れる血液と同じように、根から水が上がっていくのを感じる。少し前までのこの森とは比べ物にならない程の生を感じる。この森は大きい。すぐ此処に州兵が来ることも無かろう。ましてや何が起こったのかと、抜き足で歩いていることだろう。疲れた・・・そう思った時、人の気配がした。だがその気配は。サイネムの瞼がゆっくりと...孤火の森第42回

  • 孤火の森 第41回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第40回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第41回「我が母、アリシア・シーリン・ピアンサのかけし言の葉。よく聞いてくれました。森の皆よ、長き眠りから覚める時」ゆっくりと腕を下ろしたゼライアが胸の前で手の指を組み、その形を何度も替え、口には呪を唱えている。ポポやお頭たちから見えるのはゼライアの背中であるが、ゼライアの呪を唱える声がかすかに聞こえ、後ろから見ていても指を動かしてあろうことが窺える。「ブ・・・ブ」今までのブブと全く違う。ポポの知っているブブではない。呪を唱えているゼライアの口から、形を変え色んな形に組み合わされた指から、光の粒が出ている。その光の粒がゼライアの周りに広がっていく。そし...孤火の森第41回

  • 孤火の森 第40回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第30回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第40回男が、それもいい年をした男が土間に仰向けになり、その上に白い犬が覆い被さっている。「何を・・・して、い、る?」「あー・・・きっと遊ばれているんだと思います」「遊、ばれて・・・?」「はい、久しぶりに散歩に出てあげたから嬉しかったようで」遊ぶという言葉を聞いた途端、カブキが喜んで釧路の顔を舐めまわす。「ぶはっ、ちょっと、およしなさいってば」「そ、そうか。その・・・この先で大きな獣が兵を襲ったのだが?黒い身体に朱色の足の獣を見なかったか?」黒い身体・・・それはきっとあの布が黒かったからだ。丸めた体で周南が考える。だが朱色の足とは・・・確かに自分も見た...孤火の森第40回

  • 孤火の森 第39回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第30回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第39回草を踏みしだくけっして重くはない音、その音の範囲も狭い。そしてその数は・・・。宇部が二本の指を立てた。二人ということ。「姫様ぁ、お待ちくださいませぇー」あの気の抜けた声が聞こえてきた。「これでもう丸三日」セイナカルは寝ただろう、小屋の戸に背中を預けて座り込んだ。ジャジャムの独り言を耳にしたケリス。セイナカルの痣を見てからはあまりセイナカルの顔を見ないようにはしていたが、それでも今はセイナカルに命ぜられた小兵隊長として、何をすることもなくジャジャムと行動を共にしていれば、セイナカルが気を抜いたこの小屋の中では時折その痣が目に入ってしまっていた。ジ...孤火の森第39回

  • 孤火の森 第38回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第30回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第38回リョーシャンに食べさせてもらったり宿を取ってもらったり、全てをリンゼンはまだ返せないでいる。決して金を返せと言うわけではなく、こんな状態のリンゼンだからリョーシャンも置いて逃げることが出来なかった。「今日はもう店じまい。飯食って、寝て、明日が来る。言っただろ?」その明日の朝には今度こそリンゼンの前から姿を消す。「・・・申し訳ありません」リョーシャンのその台詞は毎回聞かされていた。「占いって?」二人の会話の間にドリバスが入ってきた。やはり呪師ということで気になるのだろう。「あ、失せ物を」「ああ、失せ物探しか。わたしは得意ではないからよくは分からん...孤火の森第38回

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