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大福 りす
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2011/01/21

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  • 孤火の森 第29回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第29回このまま森の中を走ってサイネムを探すわけにはいかない。兵がどこにいるのかポポには分からないのだから。「なんだい?」「兵が、兵が森を焼くって!今晩から森を焼くって、サイネムに知らせなきゃ」ずっとブブを見ていた若頭がブブから目を外しお頭を見た。ヤマネコもお頭を見ている。その二人ともが頷いてみせている。二人もそうだが、お頭もやっとサイネムが何をしようとしているのかが分かった。若頭がブブの方に目を戻し、ヤマネコもポポのことはお頭に頼んだと言わんばかりにブブの方に目を向けた。「そういうことか・・・」「お頭、そういうことって!?」お頭が両方の口の端を上げた...孤火の森第29回

  • 孤火の森 第28回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第28回サイネムは儀式の行われる場所にだけ、ある種の結界を張った。その上で森全体に人が入って来られない、または入っている者が居ればその人間を森の外に押し出す呪を使い、最後にはより呪師に対して強い結界を張ったのだが、儀式の行われるところだけはある種の結界を張った。その結界は二度目に行った結界の影響を受けないように張ったものだった。でなければブブはもとよりお頭たちも森の外に押し出されることになるからである。(ゼライアの儀式が終わるまで持てばいいのだが・・・)いやそうではない、意識がなくなっても倒れても持たさなくてはならない。城ではバルコニーにセイナカルと州...孤火の森第28回

  • 孤火の森 第27回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第27回サイネムがゆっくりと目を開け、美しい白銀の髪の毛となっていくブブの姿を揺れた眼差しで見ている。「目を開けてもいい」そっと瞼を開けた若頭と振り返ったお頭とヤマネコ。「・・・っ!」若頭だけではなくお頭もヤマネコも目を見張った。ブブの髪の毛が根元から美しい白銀に変わってきている。そして短い髪の毛がすっかり白銀の髪の毛となったのを見届けてから一言、サイネムがブブの名を呼んだ。「ゼライア・シーリン・ブリテル」ブブの額から髪の毛をそっと撫でてやる。それはブブにその名を聞かせようとしてなのか、サイネムが呼びたかっただけなのか。「これで女州王の元にあるピアンサ...孤火の森第27回

  • 孤火の森 第26回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第26回穴の奥に行ってみると、男達が何人も膝と手を着いた四つん這いの状態で、上へ上へと重なっていた。男達の身体を台にして穴を掘り上げていたのだろう。男達の頭も身体も土だらけになっている。男たちのあけた縦穴は楕円形に広げられ、四つん這いをした男の横を人が一人通ることの出来るほどの幅だった。横穴ほどに広くはないが、それでも十分である。男が竹筒を縄で縛った縄梯子を持ってきた。それはサビネコとチャトラが男達から竹筒を受け取り、縄で縛って内職をしていたものである。「それをどうする?」「今の台は疲れているから交代だ。新しいのが台になって上に上った奴が穴から出てこれ...孤火の森第26回

  • 孤火の森 第25回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第25回何もしなければよいのだ。今までのように人を殺めさえしなければ、この痛みは二度と感じないはず。徴が止まったと同時に強い痛みが引いていった。だが徴は・・・絵筆で書いたようなしなった茨の形をした徴が痣のように残っている。恐くなった。呪師を訪ねた。だが何人もの呪師を訪ねても呪師は首を横に振るだけだった。このような呪は見たこともないと言って。宝剣と首飾りを手にした事を仲間には言っていない。森の女王を宝剣で刺した時には、あの時の男には見えていなかったはず。いや“はず”ではない、見えてはいなかった。だから宝剣を差し出せとは言ってこなかった。『このままアイツラ...孤火の森第25回

  • 孤火の森 第24回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第24回数日前、仲間の足の怪我が治り、そろそろこの森を出ようと思っていた時、何気なく森の民たちの日常を頭に描いた。森の民は朝どこかへ出かけると籠の中に何かを入れて戻って来ていた。そしてあの小屋に入り、空になった籠を持って出てきていた。籠の中には木の実か茸か何かが入っていると思っていた。だから最初はあの小屋は食物小屋だと思っていた。だがよく思い返してみると、食を作る時にあの小屋には出入りをしていなかった。それに決まった数人が、朝から夕刻までずっと入りっぱなしの時もあった。だから明日森を出ようと思っていたこの日、何を考えることも無く訊いた。この森の民は“恩...孤火の森第24回

  • 孤火の森 第23回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第23回何をどう言っても傲慢に言ってきた。『お前たちがどう呼ばれているか知っているか?愚兵だ』『なにを!お前らにそんなことを言われる筋合いなどない!兵隊長からこっちが指揮を取れと指示が出たんだよ!』『愚兵の言うことなんか聞いて失敗に終わったらどうする気だ?』『この森を一番知ってるんだ、失敗になど終わるはずがないだろう!』『こんな枯れた森をグルグル回っているだけだろう。頭も何もかもこの森と一緒で枯れてるんじゃないのか?』『てめー!!』『ああ、それに愚兵に指揮をとらせようと考えるとはお前たちの兵隊長も・・・だな』殴りかかったが、向こうの方が圧倒的に人数が多...孤火の森第23回

  • 孤火の森 第22回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第22回交代要員の男達に言われ握り飯をほおばりながら、すごすごとブブのところに戻って来ると、ポポより先に男達の邪魔にならないようにサイネムがブブのところに戻って来ていた。ブブの頬に手をあてると温かい。ブブの確認をすると入口の方に足を進める。「ヤマネコ、ブブはどう?」サイネムに遅れて戻って来たポポ。ヤマネコに抱えられているブブの顔を覗き込む。「変わらないね、でもここはもう森の近くだ、落ち着いて来るんじゃないのかねぇ」「腹減ってないかなぁ・・・」いつもブブと一緒に食べていた。だが今はポポ一人で握り飯を食べている。「なぁ、ポポ、あの旦那は何をしてるんだ?」サ...孤火の森第22回

  • 孤火の森 第21回

    『孤火の森』目次『孤火の森』第1回から第20回までの目次は以下の『孤火の森』リンクページからお願いいたします。『孤火の森』リンクページ孤火の森(こびのもり)第21回「暫くは安全なようだ」いつの間に居たのだろう、若頭がポポの横を歩いていた。思わずポポが若頭を見たが返事をしたのはサイネムである。「言い換えると、兵がこの辺りを出たということか」「まぁ、そうだな。新たに後ろから来るかもしれないがな」「いったい何を目的に・・・」「さぁ、それは分からんが、俺が見たのは行列じゃない。五、六人が歩いてた。それを幾つか見た」「行列ではない・・・」「街の方から来たわけでもない。考えられるのは、あちこちの森に散らばっていた兵が数人づつあの森に向かってる、ってとこか」「そんなっ、それじゃあ、ブブの儀式は?」「情けない声を出してん...孤火の森第21回

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