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大福 りす
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2011/01/21

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  • ハラカルラ 第67回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第67回オートロックの杏里のマンションを出て暫く無言で歩いていたが、征太がポツリと言う。「虚しさ感じてるの俺だけ?」「・・・」「村から親から勉強勉強って言われて、次には水見がやってきたことを研究しろって言われ―――」「仕方ないだろ、それにそのお陰で大学も卒業出来て院生にもなれてんだから」「それはそうだし今さら変えられないけど、それって俺らの青春を村に売ったことにならないか?青春どころかこれから先も」「・・・」「杏里、生き生きしてたよな」杏里が言ったように村に居た頃は小学校中学年までしか遊んでいなかったが、それ以降杏里を見かけなかったわけではない。高校を卒業...ハラカルラ第67回

  • ハラカルラ 第66回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第66回玲人から電話がかかってきた。「なんだよ、こんな時間に」「悪い、でも長からの話だ」「長から?」玲人が杏里たちを見かけた複数の場所を言い、そこに村出身の者達がたむろしているようで何のために集まっているのかを探るように言われたという。「そんな暇あるわけないだろ」「俺もそうだよ、だけど長命令には逆らえないだろう。それとも征太(せいた)じきじきに長に協力しないと連絡を入れるか?」大きな溜息がスマホ越しに聞こえる。「他に誰が居る」「大学生は卒論に忙しいから外す。院生だけ」大学院生、白門で大学院に通っているのは他に三人が居る。白門ではこの五人に対して豊作と言った...ハラカルラ第66回

  • ハラカルラ 第65回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第65回「え?杏里?」丁度夕飯を終わらせた時間に玲人の父親が訪ねてきた。杏里の母親が後ろを振り返り杏里の父親を呼ぶ。「お父さん、啓二さんが杏里のことで何か訊きたいって」杏里の父親と玲人の父親である啓二は歳が同じである。従って玲人と杏里も歳が近く、小さな頃はよく一緒に遊んでいたが、大学に進んだ玲人と違って杏里は高校を卒業すると村を出ていた。玲人が街中で杏里を見かけた時には垢抜けていて驚いたが、それでも高校生の頃の面影を残していてすぐに杏里と分かった。だが声をかけることは無く、時々見かける程度であった。「おう、啓二、なんだ?」「明彦、お前、最近の杏里の様子を知...ハラカルラ第65回

  • ハラカルラ 第64回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第64回烏に文字を習いだして二十日が経った。「なんでじゃ?」「え?なにがですか?」「覚えるのが早すぎるだろうて」早ければそれでいいではないか。どうして疑問を持つのか。「いやぁー、文字数そんなに多くありませんでしたから」現段階で五十音より少なかったのではないだろうか。言い換えれば五十音より少ないのだから、もっと早く覚えてもよさそうなものだが、日本語のように単純に一文字が一発音ではなく、一文字で二つ三つの発音となっている文字もあり、単に文字を覚えるだけとはいかなかった。「そういえば、この文字って烏さんが考えたんですか?」「うーん、ほじくるとそうではないが、ま、...ハラカルラ第64回

  • ハラカルラ 第63回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第63回こんなタイミングで裏切りなどされては潤璃が言っていた村の中での繋がりが芋づる式に上がってきてしまう。そこに玻璃も含まれるかもしれない。後藤智一は水無瀬の返事を知りたくて今もスマホを凝視しているはずである。とにかく返事を送らねば。『今は特にないよ後藤君は静観しておいて絶対に動いちゃだめだからねちゃんとこちらで動いているから安心して』動いているのは水無瀬ではなく潤璃だが。「どうする・・・」潤璃に訊こうか。手に握るスマホを見ていた目を外した時、着信音が鳴った。画面には一ノ瀬玻璃とでている。時計を見ると例の時間である。連絡があるということは、少なくとも今現...ハラカルラ第63回

  • ハラカルラ 第62回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第62回何かが聞こえた何の音だろう顔を巡らせるキラキラと光るモノが見えるあの音は何処から聞こえてきたのだろうかキラキラからだろうかそれともずっと続く広いどこかからだろうか悲しい声が聞こえる『悲しい声』一歳の子供には言葉としての理解は出来ず、悲しい声としかわからなかった。それでも感情が伝わってきていた。―――悲しい―――痛いと。六日が経った。今日からは朱門が見張りに着く。穴にいる間、烏たちとは出来るだけハラカルラの言葉で話すようにしていた。烏が日本語で何かを言ってくればハラカルラの言葉で返し、言いたいことや質問があればハラカルラの言葉を使った。水無瀬のそんな...ハラカルラ第62回

  • ハラカルラ 第61回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第61回潤璃の話を静かに聞いた水無瀬。村という中に生まれたわけではなく、村での生活という事をよくは知らないが、それでも青門以外の三門で数日暮らした。それとなくではあるが、門を持つ村の存在の在り方は分かったつもりでいると言い、潤璃の行動を肯定する言葉を続ける。「村の在り方に意見をするということは、簡単ではないということは理解しているつもりです」潤璃が小さな声で「有難う」と言った。「いいえ、こちらこそお話を聞かせてもらえて感謝をしています。それでと言っては何ですが、一ノ瀬さんと同じお考えをお持ちの方をご存じありませんか?」「・・・そういう人間を集めるってことか...ハラカルラ第61回

  • ハラカルラ 第60回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第60回「おう、お疲れ」水無瀬をアパートまで送った稲也と茸一郎が村に戻ってきた。「どんなだった?」声をかけてきたライにファミレスで耳にしてきたことを話す。「白門小僧たちは最初こそ警戒してたけどな、その内にイイ感じになってきた雰囲気あり」「水無瀬君の“当然を実行に移そう”ってのが響いたのかもな」「それとその前に言ってた、小僧たちは特別なことを言ってない、当然なことを言ってるだけってのに溜飲が下がった思いだったんだろうな」「そうか。白門の在り方からすると自分たちがそう考えてしまうことに、落ち着かなさを感じてたのかもしれないな」「そうかもな。ライには俺らから言っ...ハラカルラ第60回

  • ハラカルラ 第59回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第59回以前、白門は一枚岩ではなかったとライから聞いた。そこのところを詳しく訊いてみると、くすぐってみると動く可能性があるのではないかと思えた。ただそこはかなりセンシティブな箇所である。一言を間違えてしまっては完全にこちらに耳を傾けてくれなくなるだろう。相手は多感な時期の高校生というだけに耳を傾けないどころか、バリケード並みを張られてしまう可能性があるが、反対に言えばくすぐりようで自己確立に舵を切らせることが出来る可能性も捨てきれない。「そういうことか、分かった。で、頼みたいんだけど」僅かではあるが、今できることはライから聞いた話の可能性にかけるしかない。...ハラカルラ第59回

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