お久しぶりです

長らく不在にしていましたWEBで小説の公開はあまりしていませんでしたが、ひっそりとは書き続けていました今まで長編小説と短編小説を分けて公開していたので、いつの…

笑顔と泪と男と女

大好きな人が死んだ。好きといっても、恋愛の好きではない。いや、もしかしたらそうだったのかもしれないけれど、今さら確かめることもできないし、したくもない。訃報を…

笑顔の命日

クリスマスなんて嫌いだ。恋人がいない人がたまに冗談粧してそう口を尖らすことがある。そうではなくて、私は本当にクリスマスが嫌いだ。だって君が死んだ日だから。「ど…

虫愛づる姫君

「でね、どんなに迫害されても挫けずに、お互いを助け合っているのよ。確かにそのせいで傷つく人はたくさんいるのだけど、私はそれが間違ったことだとは思わないわ」彼女…

幸福な苦痛

恋なんてしばらく、下手したら一生しなくてもいいと思っていた。今だってそう思っているのだけど。ぼんやりと思いふけりながら隅っこで膝を抱えてビールを飲んでいると、…

図書館

君はいつも本を読んでいたから。講義が終わるとすぐに帰ってしまうのはなぜだろう。ずっと謎だったのだけど、ある日唐突に謎が解けてしまった。レポートの調べものをする…

赤黄色の金木犀

「さむ」屋外へ出た瞬間、思わず呟いてしまった。正しくは、寒いというよりも涼しいと言ったほうが適切な気温なのだけど、想像以上に冷え込んでいたのでそこまで頭が働か…

若者のすべて

ドンという衝撃音と、どよめき、歓声。じっとりと汗ばんだポロシャツに嫌気を差しながら瞼を開くと、耳を塞ぎながら目を輝かせる息子の顔が目に入って頬が弛んだ。直後に…

雨の川

「一年に一度しか会えないなんて」ぽつり、と零れた君の声に顔を上げると、ぽつり、と傘から零れた水滴が左肩を少し濡らす。隣の君の右肩は私より濡れていて、狭い折り畳…

止まない雨

彼女は泣きながら部屋を飛び出した。ほっとけばいい。何も僕だけが悪いわけじゃあないし、追いかけることはない。そう自分に言い聞かせていたのだけど、すぐに後悔した僕…