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タイトルのないミステリー https://ameblo.jp/mio-r

長編推理小説です。 犯人を想像しながらゆっくり読んで頂ければ嬉しいです。

人間関係が複雑に絡み合って誰が犯人か分からない・・正直作者もまだ決めていない??? お楽しみ頂ければ幸いです。

葉菜
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2010/07/14

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  • 捌什捌 ー目の上のたん瘤ー

    同年11月28日、信長は安土築城を決定し、長男・信忠を後継者として公表した。家督を譲って岐阜城を出ると、新しい城が完成するまでの間、佐久間信盛の屋敷に移り住…

  • 捌什陸 ―目の上のたん瘤ー

    やって来た光秀と信長は天守閣の最上層で顔を合わせた。「日向、どうだ、この眺めは」「結構にございます。されど殿はもっと高い所をお探しで?」「おう!よう分かった…

  • 捌什伍 ー目の上のたん瘤ー

    十五.目の上のたん瘤(石山本願寺)  天正3年(1575年)10月13日、信長は北国の一向一揆を討ち、岐阜に戻った。そして改めて京都へ上った。この時の信…

  • 捌什肆 ー長篠の合戦ー

    そのような言葉を交わしていた時に武田軍が陣太鼓を打ち、攻撃してくる音が響いてきた。信長の考えが的中したという事である。秀吉は信長の先を見越す才知に改めて恐れ入…

  • 捌什参 ー長篠の合戦ー

    「勝頼がわしの倅だったらいずれは家督を譲って隠居してもいいと思うほどにな」「それはそれは」「しかし残念な事にあやつはわしの敵だ。敵は打たねばなるまい」「さよう…

  • 捌什弐 ー長篠の合戦ー

    しかし、ここでまた信長の狂気が発動した。城を明け渡した長島本城の軍勢が退去し始めると、信長は約束をいとも簡単に反故にし、彼らを攻撃した。弓矢、槍、銃による一…

  • ★お知らせ★

    皆様、こんにちは。いつも私のブログにご訪問いただき、つたない小説をご拝読頂きましてありがとうございます。こちらで小説を書き始めて、はや15年近く経ちました。当…

  • 捌什壱 ー長篠の合戦―

    髑髏となってしまえば、もはや誰もが同じに見える。だが、信長には長政だけは生前の顔に見えているのかもしれぬ。私は、この席に市殿がいないことに心から安堵した。愛…

  • 捌什 ー長篠の合戦ー

    十四.長篠の合戦  浅井との戦いの後、藤吉郎は長政が領していた湖北三郡を与えられた。この時、藤吉郎は木下藤吉郎から羽柴秀吉と名を改めた。そして、この地…

  • 漆什玖 ー滅びゆく浅井・朝倉ー

    火を放ったのは、自分たちが建てた陣所を無傷のまま信長に陣取られるのが惜しかったからである。そのまま退却を続け、何とか敦賀の城までたどり着いたが、追手である信…

  • 漆什捌 ―滅びゆく浅井・朝倉ー

    同年7月4日、信長軍は京都に入った。義昭は槇島城に移り、二条城と連携して信長を迎え討ったが、勝負にはならず、二つの城はいとも簡単に落ちた。しかし、信長は義昭…

  • 漆什漆 ―滅びゆく浅井・朝倉ー

    天正元年(1573年)2月、義昭は三井寺から還俗させた山岡景友らに反信長の兵を挙げさせた。信玄が上洛して三方ヶ原で家康を破って三河まで進めてきた事に乗じたの…

  • 漆什陸 ―滅びゆく浅井・朝倉ー

    そして元亀2年(1571年)9月20日、信長派が自ら兵を率いて延暦寺を取り囲んだ。叡山にいた者は老若男女問わず、幼き子に至るまでことごとく殺され炎が寺を包み山…

  • 漆什伍 ー滅びゆく浅井・朝倉ー

            十三.滅びゆく浅井・朝倉 「叡山を焼き払う」「は?」この時ばかりは私も我が耳を疑った。「何をおっしゃってるのですか?お気がふれましたか?」と私…

  • 漆什肆 ー姉川の戦い―

    横山城から攻めるのが一番いいように思える。横山城が浅井方の前線の要である。ここを攻め落とされると困ることになるか、ここを突くと救援に出てこないわけにはいかなく…

  • 漆什参 ー姉川の戦いー

    昨今の夏の暑さは昔と比べ物にならないほど暑い。だから昔はマシだっただろうと言われるかもしれないが私が信長と共に生きた時代だって夏は大変だった。今のようにエア…

  • 漆什弐 ―姉川の戦いー

    京都に戻った信長はいきり立っていた。素早い判断ですぐに退陣したから事なきを得た。それでも長政の裏切りは許せなかった。私が思うに信長は長政が好きだったのだ。義…

  • 漆什壱 ー姉川の戦いー

    そうして今日この日、善住坊は千草峠を越えた岩陰の下に身を潜め、のんびりと支度をして獲物が現れるのを待っていた。悪住坊はその間も足がガクガク震え、冷や汗がポタ…

  • 漆什 ー姉川の戦いー

    「殿、お迎えに上がりました。元網殿もお待ちしておりますぞ」その様子に信長は大いに満足した。やはりこの男を生かしておいたのは正解だったと改めて思った。そうして信…

  • 陸什玖 ー姉川の戦いー

    しかし事はそう簡単ではなかった。長政は信長を実の兄のように慕っていた、愛する妻の為にも時勢を鑑みても信長に着くのが一番の良策だと考えた。なれど父・久政はこれ…

  • 陸什捌 ー姉川の戦いー

    十二.姉川の戦い この日、信長は滞在中の医師半井臚驢庵(なからいろあん)の屋敷に木下藤吉郎を呼んでいた。「猿、朝倉を討とうと思っているがそちはどう思う?…

  • 陸什漆 ー信長、上洛ー

    信長は上洛した際に皇室領を復活し内裏も修復した上に公卿たちの領地も守護していた。信長がいなくなっては折角平和になった権威がまた乱されるかもしれない、時の正親…

  • 陸什陸 ー信長、上洛ー

    信長はフロイスと話して彼らの持つ教養に惹かれた。宣教師たちは一様に強い精神と医学のみならず、科学的知識も多く持ち合わせていた。古臭い僧侶たちの説教よりどれほ…

  • 陸什伍 ―信長、上洛ー

    その手紙の中に義昭が信長に対して「御父織田弾正忠殿(おんちちおだだんじょうのじょうどの)」と書かれた事は有名な話である。文意は信長の功を称しているのだが、そ…

  • 陸什肆 ー信長、上洛ー

    十一.信長、上洛  永禄11年(1568年)9月7日、信長は足利義昭を掲げて尾張、美濃、伊勢、三河、遠近江の兵、約6万を率いて岐阜を出立、京へ向かった。…

  • 陸什参 ー明智光秀、参るー

    そして覚慶は先代からの家臣、細川藤孝、一色藤長らと一緒に隙を狙いこの年の7月28日、脱出に成功したのだ。この覚慶が足利義秋(義昭)である。藤孝と藤長は覚慶を守…

  • 陸什弐 ー明智光秀、参る―

    「良かろう。さすがに胡蝶の従兄じゃ。頭も冴えるようだ、召し抱えてとらす。取り敢えず500貫だ。少ないと思うだろうが周りの目もある、妻の従兄だから甘いと思われて…

  • 陸什壱 ー明智光秀、参るー

    光秀は襖の外で中に向かって声をかける。「明智十兵衛光秀にござります」「入れ」という信長の声を聞いて光秀はそろりそろりと中に入る。「さ、こちらへ参られ。略儀で良…

  • 陸什 ―明智光秀、参る―

    十.明智光秀参る …

  • 謹賀新年

    皆様、あけましておめでとうございます。いつも私のつたない小説をご拝読いただきありがとうございます。 早いもので私がこちらのブログで小説を書き出して15年目とな…

  • 伍什玖 ー稲葉山城ー

    「わしはこれから武力を持って天下を平定していく、邪魔をする者はそこで討ち果たす」そう言って、信長は沢彦和尚に天下布武の印(いん)を見せた。「これからわしの書き…

  • 伍什捌 ー稲葉山城ー

    九.稲葉山城  永禄10年(1567年)初秋、信長は稲葉山城の天守閣にいた。私は父様の好きだったこの城に戻って来れたことがとても嬉しかった。「随分と待た…

  • 伍什漆 ー美濃攻略ー

    5日になっても雨はやまずその未明から藤吉郎は私財を流し始めた。私財を流すに至っては筏(いかだ)を用いたが、これには筏を扱う事に慣れた野武士が采配された。野武…

  • 伍什陸 ―美濃攻略ー

    この頃の野武士や士豪達は大名や豪族には用いられず百姓達を使って田畑を耕しそれぞれが小さな自治体となっていた。必要があれば自衛のために戦にも参加した。つまり表…

  • 伍什伍 ー美濃攻略ー

    八.美濃攻略  その後も信長は美濃に何度か攻め入っていたが、いつも反撃を食らって退散していた。義龍の息子の竜興が優れているというよりは軍略に長けた竹中重…

  • 伍什肆 ー嫁入りー

    その翌年、永禄8年(1565年)、信長は養女として育てていた遠山直兼の娘を、甲斐の武田信玄の四男、史郎勝頼に嫁入りさせることにした。武田とも手を結ぶためであ…

  • 伍什参 ―嫁入り―

    七.嫁入り  永禄7年(1564年)8月、信長の妹の市姫の輿入れが決まった。相手は北近江の大名。浅井長政。噂では文武両道でその上、眉目秀麗だと聞いている…

  • 伍什弐 ー清州同盟ー

    「すまんの…間に合わなかった。なれど、このように早う身罷ったは天罰かも知れぬぞ。若しくは蝮殿に呼ばれたか」「父様に…ほんにきっとそうでしょう。もしかしたら今頃…

  • 伍什壱 ー清州同盟ー

    六.清州同盟  桶狭間の戦いで、信長への周りの見る目が一気に変わった。領民も近隣の大名も信長に一目置くようになったのだ。実際に勝った側の織田勢でさえ驚い…

  • 伍什 ー桶狭間の戦いー

    敗戦の後、今川勢は駿河に向かって各々引き上げて行ったが大高城に入った松平元康と鳴海城に入った岡部元信は攻めてくるかもしれない織田軍に対して厳重なる防備をして…

  • 肆什玖 ー桶狭間の戦いー

    義元は織田の砦が次々と落ちて行く事に気を良くし、この豪雨で信長も二の足を踏んでいるであろうと高をくくって事もあろうに酒宴を開いた。隊を分散させていた義元の本…

  • 肆什玖 ー桶狭間の戦いー

    「貝を吹け!」まだこれからどう出るべくかと頭を揃えて悩んでいる老臣たちはいきなりの出陣命令に右往左往しているばかり。昨日まで今川の情勢を聞いてものらりくらりと…

  • 肆什漆 ー桶狭間の戦いー

    信長の砦は5つ、鷲津砦・丸根砦・丹下砦・善照寺砦・中島砦、そして那古野城と清州城の2つである。ここに4000の兵を分散させたら、一つの砦にはわずかな兵しか置け…

  • 肆什陸 ー桶狭間の戦いー

    今川軍が岡崎城に入ったという知らせを受けて織田の老臣たちは狼狽えた。防衛のために会議は何度も開かれたが信長は特に慌てるそぶりも見せず、老臣たちの様子を欠伸を…

  • 肆什伍 ー桶狭間の戦いー

    藤吉郎が去った後、信長は私や侍女たちを集めて酒宴を催した。随分と上機嫌だが今にも今川が攻めてくるかもしれないというこんな時に酒宴だなどと、重臣たちは苦虫を噛…

  • 肆什肆 ー桶狭間の戦いー

    「猿、そちに内密の話がある」信長の言葉に藤吉郎は大層驚いた顔をしたが、その目が一瞬光ったのを信長は見逃していない。「お前、わしに力を貸せるか?」「お話し次第で…

  • 肆什参

    「義元はどれくらいの兵を引きつれて来ている?」「25000から30000くらいかと存じます。確かな事が分かり次第、随時お耳に入れまする」今川義元が京に上り、足…

  • 肆什弐

    一族を連れ光秀は進んだ。途中稲葉山城が見える道に出ると、つい先だっては義龍側にいたものをと、世の移ろいにまた涙した。そしてその翌日、ようやく山岸光信の屋敷に辿…

  • 肆什壱

    そうしたらそこに、合戦の様子を探らせていた諜者から道三討ち死にの悲報が入った。「それは誠か?!」道三は義龍軍の猛将、林主水に切られ、そこに駆け付けた長井忠左…

  • 肆什

    弘治2年(1556年)4月20日、道三と義龍の最後の戦い、長良川の血戦を迎える前日、信長の元に道三から手紙が届いた。 そこには美濃を信長に譲るという言葉が認…

  • 参什玖

    2人が義龍の謀略によって惨殺された事はすぐさま道三の耳に入ったが、道三自身、にわかには信じられぬことであった。道三は義龍を我が子と思って育ててきた。世間の噂…

  • 参什捌

    この時代、結婚しているにも関わらず戦局やその時の情勢の都合である日突然、本人の意思など全く無視して女子は離縁させられ、別の殿方に嫁がさられるなんて当たり前のよ…

  • 参什漆

    尼僧は腰を抜かさんばかりに驚いた。ただ国主と言われただけではなくその身の丈にも人を威圧する者があったのだ。義龍はかなりの大男であった。身の丈6尺5寸(195㎝…

  • 参什陸

    義龍は稲葉城下に屋敷を構えている長井隼人正を呼びにやった。彼が現れると義龍は正面に座り、肥後守の言葉を告げた。「真実をご存知であればお聞かせ願いたい」義龍の言…

  • 参什伍

    弘治元年のある夏の日、その思いを肥後守は義龍に告げた。「お館様、山城守はお館様を廃嫡しようという腹積もりですぞ」義龍は肥後守にこう言われるまで、そんな事は考え…

  • 参什肆

    「是非、お目にかかってみとうございます」滅多に人を褒めない道三がこのように語る信長という男はどのような人間なのか、胡蝶の夫であるという事も重ねて見てみたいとい…

  • 参什参

    その頃、私の従妹である明智十兵衛光秀殿は鷺山上に滞在して父から世間話を聞く日々を送っていた。父としては光秀に世間の事を学ばせている気であったのであろう。 光…

  • 参什弐

    会見から帰って来た信長は上機嫌だった。「お父様は健やかでしたか?」「ああ、思った通りのお人じゃ、お前によく似ていた」「それは褒めておられるのですか?」「他にあ…

  • 参什壱

    涼やかだが人を見透かすような鋭い眼差し、筋の通った高い鼻、紅でもつけているのではないかと見まがうほどの血色も形も良い唇、先ほど見た猿とはまるで別人だ。周りの動…

  • 参什

    道三も槍隊くらいは連れてくると踏んでいたが、まさか弓や鉄砲隊まで引き連れて来るとは思いもしなかったのだ。実は内心、この会見で本当にウツケであったなら信長を打ち…

  • 弐什玖

    信長が以前、私にだけ話してくれた事があった。私の祖父と父のやり方を目指していると。道三とその父は古い権威の上に胡坐をかいていた連中をじわじわと、そして確実に追…

  • 弐什捌

    隣国にいる駿河の今川義元は三河の松平一族をその勢力下においていて、尾張の東部も占領している。その領地は駿河27万石、遠江(とうとおみ)27万石、三河24万石…

  • 弐什漆

    〈政秀不肖にして度々お諫め申し候へど我力及ばず不甲斐なきにより自刃仕り候。殿にはこの政秀めを不憫と思召され候らへば次なる忠言を例え一か条なりともお用いくだされ…

  • 弐什陸

    ただこの戦国乱世の時代、まだまだ天下が別れていて平和な時は長く続かない。誰もが野心を持っていて親子兄弟と言えど、いつ敵味方になるか、いつ刃を交えることになるか…

  • 弐什伍

    政秀は日頃から口が酸っぱくなるくらい、信長に行いを改めよという諫言をしていた。「お改め頂けない場合はこの皺腹搔っ切っても…」などという言葉も何度耳にした事か、…

  • 弐什肆

    父上様が鬼籍に入られて10日も経たないうちに私にとても悲しい知らせが入ってきた。産みの母の小見の方が胸の病のために身罷られたというのだ。大好きな母の死に私は涙…

  • 弐什参

    その言葉を聞いて政秀は本堂の入り口に飛んで行った。やっと来てくれたと胸をなでおろしたのであろうが、その出で立ちを見て立ち尽くした。政秀は言うまでもないと思いな…

  • 弐什弐

    三.君主 信長  町中に出て、信長と一緒に野山を駆け回る暮らしは存外楽しく、周りがどう思おうと、私的(わたしてき)にはつつがない毎日を送っていた。信長…

  • 弐什壱

    「わー、参った参った。確かに大将の嫁だわ、そんなムチャクチャな女子ここらにはおらん」「しっかし、そんな恰好で出てくる姫は初めて見た」その言葉を機にみんなが一斉…

  • 弐什

    「ブハッ!」「アーハッハッハッ!」「大将、ふざけちゃいけねぇや」と、みんな腹がよじれんばかりの笑いよう、一体全体何がそのようにおかしいのかさっぱり分らない。「…

  • 什玖

    塀の外の信長にも庭番の声は聞こえているだろうに、助けに来る様子もなくただ「早く降りろ」という仕草をしてこちらを見るだけ。そう急かされても、と思いながらも木か…

  • 什捌

    部屋の外から呼ぶ声に振り向くと、そっと襖が開き小汚い布切れが投げ込まれた。何かと思ってそれを拾い上げながら開いた襖を見ると信長が顔を覘かせる。「それに着替えて…

  • 什漆

    「その出で立ちは、いかなる所存で?」「これか?これが一番動きやすい。着る物などただの上辺だ、それで人の中身が分かるわけでもあるまい。と言うよりそんな見掛けに左…

  • 什陸

    (はあ?)「ふざけたことをぬかすな!」こんな小童(こわっぱ)が殿であるはずがない。大方盗みに入った小悪党か何かであろう。よりにもよって殿の名を語るとは不届き千…

  • 什伍

    こんな美しい妹御のいる殿の元に嫁いだのかと思うと、我が身が縮こまる思いがした。このような女性を見ていたのでは城中の者たちが私を見て内心笑うのも分かる気がする…

  • 什肆

    まげは上天茶筅(しょうてんちゃせん・上を向いた引っつめの髪に括りあげたもの)に結い、胸ははだけたまま、袴の代わりに腰には縄帯をして火打袋を下げ4尺ばかりの太刀…

  • 什参

    その後、私は光秀様に会う機会もないまま、挙式前日の天文18年2月23日(1549年3月22日)、数百荷の嫁入り道具を連ねて鷺山城の表門を出た。媒酌人である母…

  • 什弐

    そんな私の秘めたる思いを父はきっと気付いている。二人目の夫が父に毒殺されたとしたら、それは卑怯なやり口、武士道はどこに、などと言う輩もいるかもしれない。しか…

  • 什壱

    とまあ、ここまでが私が生まれるまでの父と祖父の国盗りの話である。この後、頼芸もとどのつまり美濃から追い払われることになるのではあるが、それはまたおいおい話の流…

  • 深芳野様を貰い受けて十月(とつき)が経つ前、大栄2年(1527年)7月8日に深芳野様は男の子を生んだ。これが後の斎藤義龍である。時を満たさず生まれてきたから…

  • 父は祖父が生きている間から、頼芸の側室であった深芳野(みよしの)様に懸想をしていた。当時、深芳野様は美濃一の美女と謳われていた人である。頼芸の側室として初め…

  • 父が美濃に行った前年辺りから守護代土岐家にはまたしても後継者争いが起きていた。土岐正房の嫡男政頼と次男頼芸の対立である。この時、守護代斎藤利良(さいとうよし…

  • 祖父は私の父である息子に自分の後を継がせるつもり、というか自分が成し遂げられなかったら、そのあと、息子が我が意思を継いでくれればと願っていたのだ。その為には…

  • (やがては一国一城の主(あるじ)に!)それが祖父の思いだ。そうして祖父は毎年春になると美濃路へ下った。槍で一文銭を貫く芸は、油売りの行商に役立った。白い頭巾を…

  • 祖父は二十歳の時に還俗して元の姓の松浪庄五郎と名乗って、奈良屋の婿養子となった。祖父は女房殿に自分の思いを話した。「わしはもっともっと高みを目指している。た…

  • 父は若い頃、油売りをしていたという通説が後世に伝えられているがこれは間違っている。油売りをしていたのは父ではなく祖父の松浪庄五郎である。祖父は元々武士の家の…

  • 「信秀めが平手政秀を使いに寄越してせがれの嫁にと申し出てきよった。和睦ではなくいきなり縁者になろうって言うんだ。これを断ってはわしも心の狭い大将と思われかねな…

  • 弐(本篇)

    一.蝮(まむし) 「お前の輿入れ先が決まった」「は?」  天文18年(1549年)、正月が明けた早々、父は私にそう言った。当年とって15歳の私はすでに2度も父…

  • 壱(前置き)

    蝶の舞  前置き  世の移り変わりとは何とも早く、何ともあっという間なのだろう。2024年となった今の世は私が生きていた頃とは考えられぬ世と様変わりし…

  • 迎春

    皆様、明けましておめでとうございます。更新の回数がすっかり減ったにも関わらずいつもご拝読いただきましてありがとうございます。 今年はもうすこし数多く更新できる…

  • もしもあの時…(5)

    血相を変えて家にやってきた女を見て、涼香は夫に他にも女がいたのかと思った。瑠璃の事を夫の別の浮気相手が家に乗り込んで来たと思ったのか、顔を見るなり瑠璃を罵った…

  • もしもあの時…(4)

    「一体誰なの?」「いや、俺も面識はない。ただ、同じ苗字に心当たりがあると言うだけで」「はっきり言ってよ」「松永というのは母さんが再婚した相手の姓だ」「お母さん…

  • もしもあの時…(3)

    目の前を知らない男たちが右往左往している。何だかまるでテレビの刑事ドラマみたいだ、なんて事を考えている私。家の前には赤い回転灯を光らせたパトカーが何台も止まっ…

  • もしもあの時…(2)

    27歳の時に会社の友人に合コンに誘われた。基本的にそういうものにはあまり参加しない私だったが、一生働くという確固たる思いもなく、というか勤めている会社の未来…

  • もしもあの時…(1)

    もしもあの時、違う道を選んでいたら――人生にはそう思う瞬間が必ず一度や二度はあるものだ。私のもしもはいつだったのだろう。正直、あり過ぎてどれがそうだったのか…

  • 妻の秘密 【後編】

    今日は妻の一周忌である。そうして俺はその一周忌に妻の親しかった全員を招待した。一周忌に招待というのも変か。兎に角、全員招集したのだ、容疑者全員だ。そして俺も…

  • 妻の秘密 【中編2】

    「あ、宗助君…」「どうしたんですか?こんなところでぼうっとして」「いや…」「汐里の事でも考えてました?そりゃ、考えますよね。俺も毎日、汐里の顔が頭に浮かびます…

  • 妻の秘密 【中編1】

    「よお、大丈夫か?」「あ、まあ…」大学の同級生の並河悠馬が心配して様子を見に来てくれた。俺の結婚を一番喜んでくれた親友でもある。「あ、汐里ちゃんに線香あげても…

  • 妻の秘密 【前編】

      先日、妻が死んだ――。 俺の職業は警察官、現在捜査一課の刑事。鋭い洞察力で犯人を追い詰め、理詰めでシラを切る犯人を自白に追い込む、犯人は涙を流して自白、な…

  • 親切 ⓹ 〈最終回〉

    (失敗だったなあ…)夫が死んでから私はつくづくそう思った。夫は暫く苦しんでいたようだけど、30分もしたら動かなくなった。凄く嫌な思いをしたのにたったあれだけで…

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