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 1月29日開設  大岡昇平+震災・原発・社会問題・読書

大岡昇平ノートと社会保障が柱。

風紋
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米子市
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鳥取市
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2010/01/25

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  • 【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気

    ①服部龍二『高坂正堯戦後日本と現実主義』(中公新書1,000円)②小原雅博『日本の国益』(講談社現代新書880円)③阿比留瑠比『安倍晋三の闘い官邸からの報告』(WAC920円)(1)服部龍二『高坂正堯』は、優れた評伝だ。高坂正堯は、論壇では中立論が強かった東西冷戦時代に日米安全保障条約を認め、勢力均衡論に立つ現実主義外交を訴え、保守政治家や論壇人に強い影響を与えた。〈高坂は、森本哲郎『ある通商国家の興亡──カルタゴの遺書』(一九九三年)の「解説」で、「解釈にはセンスと勇気とを必要とする。その勇気がないのか、それとも事実の発掘が研究者を疲れさせるのか、あるいは専門化が進行したことがセンスを失わせるのか、面白くもなく、教訓を汲みだすこともできない歴史書が多すぎる」と述べている。/解釈する「勇気」すらなく、「専門化が...【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気

  • 【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか

    ①小原克博『世界を読み解く「宗教」入門ビジネス教養として知っておきたい』(日本実業出版社1,700円)②佐々木雄一『陸奥宗光「日本外交の祖」の生涯』(中公新書900円)③松岡正剛『千夜千冊エディション少年の憂鬱』(角川ソフィア文庫1,280円)(1)①においては、宗教について網羅的に取り扱われている。特に興味深いのは、新宗教に対するアプローチだ。著者は〈真如苑や創価学会など一部の新宗教を除けば、ほとんどの新宗教は、この20~30年の間に信者数をかなりの程度減少させてきました。新宗教の多くが、高度経済成長や、それに伴う都市への人口移動という大きな社会変化の中で、信者数を増やしてきたことを考えれば、現在のように経済活動が停滞している時代において、かつてと同じような拡大路線を歩むことはできないでしょう。しかし、近代以...【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか

  • 【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書

    ①文藝春秋・編『文藝春秋オピニオン2019年の論点』(文藝春秋1,500円)②佐藤優/池上和子『格差社会を生き抜く読書』(ちくま新書760円)③金成隆一『記者、ラストベルトに住むトランプ王国、冷めぬ熱狂』(朝日新聞出版1,400円)(1)①には、このムックを大学入試にどう活用したらよいかというユニークな論考が収録されている。執筆者は、東進ハイスクールのカリスマ講師、樋口裕一氏だ。〈小論文においては、頭のよさを見せるということがたいへん重要だからです。小論文とは頭のよさをアピールするゲームだと考えていい。だから、本来は課題とストレートにつながっていない根拠であっても、それをうまくつなげることで、独創的な論を展開できれば、大きなアピールになります。/すると、受験生としては、すべての問題に対応できるようにあらゆる知識...【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書

  • 【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定

    ①木村草太/佐藤優/山川宏『AI時代の憲法論人工知能に人権はあるか』(毎日新聞出版1,600円)②木村誠『大学大崩壊リストラされざる国立大、見捨てられる私立大』(朝日新書790円)③堂下哲郎『作戦司令部の意思決定米軍「統合ドクトリン」で勝利する』(並木書房2,200円)(1)①において、木村氏は、<この本の発端となった私の着想は、トランプの行動は、「得票最大化のための特化型AI」のように見えるというものでした。特化型AIは、常識や倫理にとらわれず、目的のために手段を選びません(もちろん、常識や倫理をするように学習させれば別ですが)。トランプは、集票のために、差別も暴言も躊躇しませんでした。なんで、こんなにひどいことができるのだろうか。これをAIとの対比で考えてみたかったわけです>と述べる。この着想に基づいて、A...【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定

  • 【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい

    (1)<読者の中にも転職を考えている人がいると思う。あるいは、部下が転職することをやめさせたいと考えている中間管理職もいると思う。こういう人たちに本書はとても有益だ。小説の構成になっているので読みやすい。印刷機器販売会社に勤務しているが、会社の状況がよくないので転職を考えている主人公(青野)が、やり手の経営コンサルタント・黒岩仁のアドバイスを受けながら成長していく姿が描かれている。>(2)<転職エージェントもビジネスだ。その報酬メカニズムについて知っておくことが重要だ。〈僕は説明した。黒岩いわく、転職エージェントは、成果報酬型であることがほとんどらしい。そしてその報酬を受け取る権利は「転職候補者が企業と最初に接触した時点」で決められる。たとえば、ひとりの候補者が、二つの転職エージェントからA社を紹介された場合、...【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい

  • 【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘

    ①小笠原喜康『最新版大学生のためのレポート・論文術』(講談社現代新書800円)②芳沢光雄『ビジネス数学入門〈第2版〉』(日経文庫860円)③リチャード・ドーキンス(大田直子・訳)『魂に息づく科学ドーキンスの反ポピュリズム宣言』(早川書房2,700円)(1)①は、技法のみならず思考を深める観点からも有益だ。<対決するには、まずは敵=先人の考えを知らなくてはならない。考えを知るというのは、論理を追うということである。先人の知識を「お勉強する」のではない。先人の描く世界に踏み込み、その世界に参加することである。参加するには、先人がのべている世界を、自分なりに組み立てなおさなくてはならない。もちろんその組み立てなおしが、なかなかできないことがある。それは、あなたがまだとうていその域に達していないか、あるいはその先人がよ...【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘

  • 【佐藤優】内面の悪

    <わたしの内に、すなわち、わたしの肉の内には、善なるものが宿っていないことを、わたしは知っている。なぜなら、善をしようとする意志は、自分にあるが、それをする力がないからである。すなわち、わたしの欲している善はしないで、欲していない悪は、これを行っている。--「ローマ人への手紙」7章18-19節イエス・キリストは自らがユダヤ教徒であると考えていた。これに対して、イエスの教えがユダヤ教と本質的に異なることを明らかにしたのはパウロだ。その意味でパウロは、キリスト教という宗教の開祖なのである。パウロの特徴は、自らの罪深さを徹底的に深く認識したことだ。主観的に善いことを行おうとしても、客観的には悪いことばかり行ってしまう。なぜこのようなことになるのかとパウロは深く悩み、考えた。その結果、自分の内面に巣喰っている悪に気づい...【佐藤優】内面の悪

  • 【南雲つぐみ】ビタミンCと目の関係

    緑黄色野菜や果物などでビタミンCを十分に取ると、目の老化防止になる可能性がある。国立がん研究センター(東京)では、一般の人を対象に老人性白内障と食事について調査した。その結果、もっともビタミンCの摂取が多いグループが白内障と診断されるリスクは、最も摂取が少ないグループに比べて、男性0.65倍、女性0.59倍だった。白内障は、目のレンズである水晶体が白く濁り、視力が低下する病気。先天的なものや外傷によって水晶体が傷つく場合もあるが、最も多い原因は加齢によるものだ。濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術は年間110万件行われているという。早い人では40代から白内障が始まるとされるが、この研究により、食事で予防する可能性もあることが分かってきた。ビタミンCの摂取は加齢による水晶体のダメージを予防することも実...【南雲つぐみ】ビタミンCと目の関係

  • 【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想

    ①久保田勇夫『新装版役人道入門組織人のためのメソッド』(中公新書ラクレ880円)②石井暁『自衛隊の闇組織秘密情報部隊「別班」の正体』(講談社現代新書800円)③副島隆彦『「トランプ暴落」前夜』(祥伝社1,600円)(1)①では、官僚の技法が見事に伝授されている。特に興味深いのが上司との接し方だ。〈対応がむずかしいのは、上司が自ら文字通り寝食を忘れて仕事に没頭するタイプの場合である。役人のなかには、役人仲間での常識でも考えられないほど我を忘れて仕事をする人がいる。こういうタイプの人は、結局早逝することが多いし、現職のまま死亡することもある。(中略)/こういうタイプの人が部下に厳しく接するのは、多くの場合、「自分がこれほどまでに身を削って仕事に専念しているのに部下はどうしてこの程度の努力しかしないのであろうか」とい...【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想

  • 【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(5)~

    <車掌に案内されて、僕はコンパートメントに入った。狭い部屋に三段ベッドが並んでいる。床には第二次世界大戦前に製造されたようなスーツケースが4~5個と段ボール箱が2~3個置かれている。文字通り、足の踏み場もない。僕のベッドは上段だという。しかし、日本の寝台列車のようなはしごがない。中段、下段のベッドには人が寝ている。ベッドの幅もそれほど広くないので、人を踏まないように注意しながら上段に上がった。ベッドと天井の距離は50センチくらいしかない。棺桶の中に入るような感じだ。通路側に\は人間が1人すっぽり入ることができる穴が開いている。車掌がスーツケースを持ち上げて、その穴の中に入れてくれた。列車はプラハ中央駅に30分くらい停まっていた。ベッドで横になると、どっと疲れが出てきたので、すぐにうとうとした。ガチャッという激し...【佐藤優】『十五の夏』~1975年のチェコ(5)~

  • 【本】『パンの文化史』 ~稲作と文字~

    <地上のほとんどの民族に、主食となる穀物がある。その穀物は食生活のよりどころであるばかりか、精神文化の支柱でもあることは、私たちの国の米がよく示している。田植えから収穫までの農事暦につれて、行事がある。祭りもある。同じ稲作文化に由来する、元々は中国の発明にかかるものであった私たちの文字に、米偏のつくものが多いのも必然だったのであろう。米を立てると粒。米を分けると粉。弓のあいだに米がはさまると粥。そしてなんと米の変化した状態が糞。まじりけなく純粋なことは精。これは米をついて白くする意味だという>□船田詠子『パンの文化史』(講談社学術文庫、2013)の序章p.25を引用【本】『パンの文化史』~稲作と文字~

  • 【南雲つぐみ】大福茶 ~六波羅蜜寺~

    大福茶は、京都で正月に無病息災を祈って飲むお茶で、煎茶に梅干しと結び昆布を入れて飲む。951(天暦5)年、平安京で疫病が流行した際に、六波羅蜜寺を開いた空也上人が病人に梅干し入りの茶をふるまったのが起源といわれる。その後、村上天皇も服用したところから、「皇服茶」の名前が付いた。これが庶民の正月の風習として広まる時に、幸福をもたらすという意味で「大福」、または、健康のためにたくさん飲むことから「大服」の文字が当てられるようになったという。現在でも、六波羅蜜寺では正月三が日の参拝客に、元日の早朝にくんだ「若水」を使ってこのお茶がふるまわれる。お茶の中の梅干しもいただき、種を財布の中に入れると大きな福が舞い込むということだ。大福茶には、結び昆布と小梅のほかに、金粉や、玄米、黒豆、サンショウなどが入ったものがある。緑茶...【南雲つぐみ】大福茶~六波羅蜜寺~

  • 【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(4)~

    <チェコのシュニッツェルは実においしい。日本の肉屋で売っているトンカツよりは少し小さい。小学生の頃、団地のすぐそばにある商店街の木村精肉店で買ったハムカツを思い出した。シュニッツェルの場合も、肉をたたいて伸ばしてあるのでハムカツのようになる。もう一度、売店に並んでシュニッツェルを買った。共産圏に入って2日目なのに、早く西側に出たくなった。スイスでは、食事を取るのも列車の切符を買うのも日本と同じ調子でできた。しかし、チェコスロバキアではすべて勝手が異なる。プラハ中央駅の切符売り場にも「INTERNATIONL(国際)」と表示された窓口がある。しかし、そこでは切符を売ってくれない。大学の寮を開放してユースホステルになっているのだが、そこには泊めてもらえない。なんでこんな状態になっているのだろうか。僕にはよくわからな...【佐藤優】『十五の夏』~1975年のチェコ(4)~

  • 【保健】筋トレ直後・食間vs食事中 ~プロテインを摂るタイミング~

    (1)レジスタンス運動(筋トレ)ブームに乗って、プロテイン・サプリメント(プロテイン)を摂取する人が増えている。問題はそのタイミングだ。一般に筋肉の増強を目指す人は、筋トレ後30~45分以内のいわゆる「ゴールデンタイム」にプロテインを飲むことが多い。逆に、体重を減らしたい人は、一種の代替食(置き換え)としてプロテインを利用している。この棲み分けに根拠はあるのだろうか。(2)成人男女のプロテインの摂取タイミングを比較した試験を系統的にレビューしている米パデュー大学の報告を見てみよう。同報告によれば、食事と一緒にプロテインを摂取した場合、登録時点から体重が増加したグループは半数以上の56%だった。除脂肪体重--筋肉、内臓、骨など体脂肪を除いた組織の総重量で、主に筋肉量を反映する--の増加は94%で、逆に体脂肪は87...【保健】筋トレ直後・食間vs食事中~プロテインを摂るタイミング~

  • 【佐藤優】補助科学としての数学の活用

    ①アンゲラ・メルケル(松永美穂・訳)『わたしの信仰キリスト者として行動する』(新教出版社2,300円)②香山リカ『大丈夫。人間だからいろいろあって』(新日本出版社1,500円)③伊藤清『確率論と私』(岩波現代文庫1,000円)(1)ドイツのメルケル首相が旧東ドイツの牧師の娘だったということは有名だ。①を読むと、彼女のキリスト教に関する知識と霊性が、プロテスタント教会の牧師としても通用するレベルの高さであることが分かる。2001年6月13日、独フランクフルトで行った教会の会合でメルケル氏は、〈おしゃべりや嘆きに多くの時間を費やすべきではありません。最も実存的な状況においてイエスが示す厳格さ、明瞭さ、素早さ、そして言葉の少なさは模範的です。「子どもに食べ物を与えなさい」、「あなたの信仰があなたを救ったのです」、「恐...【佐藤優】補助科学としての数学の活用

  • 【南雲つぐみ】冬こそ日光浴

    「くる病」は、子どもの骨がやわらかくなり、O脚など体の変形が起こる病気だ。かつては食生活が貧しかった時代の病気だと考えられていたが、近年また増えていると、日本内分泌学会などで発表している。原因は、ビタミンD不足。ビタミンDは食品中のリンやカルシウムを腸から体内へと吸収し、骨に沈着させる働きがある。ビタミンDが足りないと、カルシウムをしっかりとっていても強い骨を作ることができないのだ。キノコ類やサケ、魚卵などに含まれるが、日光を浴びることで紫外線により皮下で合成される。紫外線は悪者扱いされる傾向だが、骨の成長には欠かせないのだ。ここ数年、ビタミンDの新たな効果として確認されているのは、筋肉を強くするということ。成長期の子どもだけでなく、高齢者の転倒予防にも重要だ。日照の少ない地域や季節、屋内で過ごすことの多い高齢...【南雲つぐみ】冬こそ日光浴

  • 【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(3)~

    <この調子だとワルシャワ行きの寝台切符を取るのも相当難しそうだ。とにかく、朝一番で中央駅に行ってみることにした。8時頃に起きて外に出ようとすると、昨日のイタリア人女性がいた。横に10歳くらいの年上の額が広くなった男性が立っていた。僕が「昨晩はどうもありがとうございました」とお礼を言うと、彼女はイタリア語で夫に説明していた。夫は笑って、「この時期にチェコスロバキアを旅行するとたいへんですよ。チェコ人は親切な人たちですけれど、能力を超えて観光客を受け入れてしまっている。それだから、あちこちでトラブルが生じています」と言った。僕はイタリア人夫妻と握手して外に出た。タクシーを拾って、「中央駅に行ってくれ」と頼んだ。中央駅の国際列車の切符売り場に行った。幸い行列はなかった。ワルシャワまでの寝台列車の切符を買いたいと言うと...【佐藤優】『十五の夏』~1975年のチェコ(3)~

  • 【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性

    ①藤井厳喜、石平『米中「冷戦」から「熱戦」へ』(WAC920円)②馬場公彦『世界史のなかの文化大革命』(平凡社新書920円)③的場昭弘『カール・マルクス入門』(作品社2,600円)(1)①では、2018年10月4日に米国のハドソン研究所でマイク・ペンス米副大統領が行った演説を詳細に分析することを通じ、米中関係の位相が変化したとの見方が示されている。特に興味深いのが、中国が独自の検索エンジンシステムを普及させようとしていることだ。<石平そう言えば、グーグルが中国に入ろうとして、ユーザーの個人情報を提供するそうですね。グーグルも中国に屈服して、資本主義の魂を売った。あれは糾弾すべき出来事です。藤井まだ最終決定していないけれど、「ドラゴンフライ」という名前の、中国共産党が望むような検閲を入れた検索エンジンをつくって試...【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性

  • 【佐藤優】争いの原因

    <あなたがたの中の戦いや争いは、いったい、どこから起こるのか。それはほかではない。あなたがたの肢体の中で相戦う欲情からではないか。--「ヤコブの手紙」4章1節人間には競争心がある。また、他人より上に立ちたいという優越への欲望もある。イエス・キリストの教えに忠実に従っていると主観的には思っているキリスト教徒でも、このような人間的弱点を免れることはできないのである。「ヤコブの手紙」の著者は、教会内部の諍いの原因について、「あなたがたの肢体の中で相戦う欲情からではないか」と戒めている。恐らくこの教会も、国家権力やユダヤ教など、外部からの脅威があったときには、一致団結して闘っていたのだと思う。企業でも官庁でも、外部との関係で大きな仕事に従事しているときは、組織内部は団結し、引き締まっている。しかし、そのような大きな課題...【佐藤優】争いの原因

  • 【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(2)~

    <国際ユースホステル協会が発行するハンドブックを頼りに市の中心にあるユースホステルを訪ねたが、満室ということで断られた。大学の寮を夏の間ユースホステルに開放しているような感じだ。空き部屋は絶対にあるはずだ。どうも資本主義の人間を泊めないようにしているようだ。僕が「どこに行けば宿を紹介してもらえるか」と尋ねると、ユースホステルの職員は、「ホテルに直接行っても、外国人旅行者は受け付けてもらえない。チェドック本社に行って相談するといい」と答えた。チェドック本社にはタクシーで行った。タクシーの運転手が「闇両替をしないか」と誘ってきたが、「コルナは十分にある」と言って断った。チェドック本社は、バーツラフ大通りからそれほど離れていないところにあった。人であふれている。HOTELと記されたカウンターにも10人くらいの行列がで...【佐藤優】『十五の夏』~1975年のチェコ(2)~

  • 【保健】受動喫煙と高血圧の関係 ~行政の対策次第でリスク低下~

    (1)罰則付き受動喫煙対策を盛り込んだ「改正健康増進法」の全面施行まで1年半余り。受動喫煙については、発がんリスクの面が強調されてきたが、このところ、高血圧への影響が指摘されている。(2)名古屋大学が中心の日本多施設共同コホート研究(J-MICCStudy)のおよそ3万人の非喫煙者を対象とした解析では、「ほぼ毎日」たばこの煙に暴露されている人の高血圧(140/90mmHg以上)リスクは、「時々、またはほとんどなし」という人の1.11倍になった。暴露時間が1日1時間増加すると、高血圧リスクが1.03倍に上昇。女性より男性のリスクが上がりやすいことも判明している。(3)このほか、25歳前後のたばこを吸わない若年成人を対象に、米国の4都市(バーミングハム、シカゴ、ミネアポリス、オークランド)で受動喫煙対策(バー、レス...【保健】受動喫煙と高血圧の関係~行政の対策次第でリスク低下~

  • 【保健】テニスで約10年の延命 ~孤独と運動不足の解消効果?~

    (1)身体を動かしたい。何か始めようか。という方にちょっとしたヒントを。1975年から続くデンマーク・コペンハーゲン市在住の一般市民を対象とした大規模疫学調査「コペンハーゲン心血管研究(CCHS)」によると、スポーツの種類で延命効果が異なるらしい。研究者らは、2万人の参加者のうち91年10月~94年9月に登録した男女から、余暇にスポーツを楽しんでいる8,577人の25年分のデータを抽出。スポーツと寿命との関連を解析した。(2)対象種目は、次の八つ。①ジムでのフィットネス(トレッドミルなど器具を使った有酸素運動やウエートトレーニング)②自重による筋トレや体操──いわゆる徒手体操③ジョギング④水泳⑤サイクリング⑥サッカー⑦バドミントン⑧テニスその結果、テニスをしていた人の平均寿命は、「運動不足」の人たちよりも平均9...【保健】テニスで約10年の延命~孤独と運動不足の解消効果?~

  • 【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(1)~

    1975年、佐藤優は高校1年生の夏休みにただ一人で、東欧とソ連を旅した。エジプトのカイロ空港経由でスイスのチューリヒ空港に降り立ち、そこからチェコスロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニアをへてソ連に入り、中央アジアを横断してナホトカからバイカル号で帰国した。スイスでは2泊(チューリヒおよびシャフハウゼン)した後、西ドイツを経てチェコスロバキアに入った。ミュンヘンでプラハ行きの切符を買った。十数両連結されている中の真ん中あたりにプラハ行きの車両が2両あった。<チェコスロバキアに行くのはどうもこの2両だけのようだ。指定された車両に入った。コンパートメントは8人掛けの椅子になっていた。コンパートメントでは2人の女性と乗り合わせた。姉妹だという。姉は30歳前後で、夫がチェコ人だという。夫はビルゼンに住んでいるが、...【佐藤優】『十五の夏』~1975年のチェコ(1)~

  • 【佐藤優】欲望が罪を生む

    <だれでも誘惑に会う場合、「この誘惑は、神からきたものだ」と言ってはならない。神は悪の誘惑に陥るようなかたではなく、また自ら進んで人を誘惑することもなさらない。人が誘惑に陥るのは、それぞれ、欲に引かれ、さそわれるからである。欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生み出す。--「ヤコブの手紙」1章13-15節誘惑(試練)には、信仰を強化する機能がある。しかし、神が人間を誘惑しているというのは、誤った考えだ。なぜなら、人間を誘惑しないというのが、神の属性であるからだ。このことをよく理解しておかなくてはならない。誘惑、すなわち人間を神から離反させようとする試みは、その人間の内部から生まれてくるものだ。恐らく、人間の欲望が、このような誘惑をもたらす原因になっている。それだから、欲望が、人間を神から離反させるという罪をもた...【佐藤優】欲望が罪を生む

  • 【佐藤優】職場にもやもやしている人

    ①髙良毅『がんの町医者』(ルネッサンス・アイ1,300円)②北野唯我『転職の思考法』(ダイヤモンド社1,400円)③手嶋龍一/佐藤優『米中衝突』(中公新書ラクレ820円)(1)①からは、がんに取り組む開業医の真摯な姿勢が伝わってくる。<がんになったときこそ、「思考の転換」が必要です。大事なのは、自分の心をしっかり持つことです。「私、これからどうなるんでしょう?」という人は、あまりよくなりません。「どうなりますか?」ではなく、「どうなりたいか」という意識が大切です。「私は治りたい!」「治って、これをしたいんです!」という人は、回復することが多いようです。自分をどう変えるか。その意識で、自分の免疫力を上げることができるのです>患者と人間同士としてきちんと向き合うことこそが医療の原点だ、という髙良氏の思いが本書の行間...【佐藤優】職場にもやもやしている人

  • 【佐藤優】フェイクニュースへの耐性

    ①中谷巌『「AI資本主義」は人類を救えるか』(NHK出版新書820円)②奥野修司『ゆかいな認知症』(講談社現代新書880円)③一田和樹『フェイクニュース』(角川新書840円)(1)①は、一級の経済学者が文明論的視座から現代資本主義を読み解いた名著だ。中谷氏は、健全な資本主義のためには他者を包摂する思想が重要であると説く。<「包摂の論理」は、資本主義を否定するものではなく、資本主義を再生するための新しい考え方です。(中略)実際に、経営学やビジネスの世界でもこの方向をふまえた発想が登場しました。たとえば、ハーバード大学ビジネススクールのマイケル・ポーター教授は数年前、CSV(CreatingSharedValue)という概念を提唱しました。これは、企業が自社のためだけを考えて投資するという考え方では持続的成長はでき...【佐藤優】フェイクニュースへの耐性

  • 【チェコ】カフカの家

    プラハ城内の黄金小路。22番の青い壁の家がカフカが住んだ家。いまは書店。【チェコ】カフカの家

  • 【真山仁】調査報道

    <新聞の購読者数は激減している。若者を中心に、新聞を読まなくなったのが最大の原因だが、新聞社が権力者のお先棒を担ぐマスゴミに堕したという批判を覆すような仕事ができないのも一因だ。批判を打破するためには、独自取材で、社会問題に切り込み、権力者、あるいは大企業の犯罪を暴く調査報道が求められた。ただ、調査報道で成果を上げるためには、覚悟とスキルを持った記者の養成が不可欠だった。そのため、若手から中堅記者を対象とした調査報道講座を開催する報道機関が多い。>□真山仁『バラ色の未来』(光文社、2017)【真山仁】調査報道

  • 【佐藤優】プラハの憂鬱

    (1)佐藤優は、外務省派遣の留学生として、1986年7月初めから翌87年8月末まで英国ロンドン郊外ベーコンズフィールドの英国陸軍語学学校(DefenceSchoolofLanguages)でロシア語を学んだ。この1年2か月の体験を2冊の本に記す。『紳士協定私のイギリス物語』は、苛烈な語学学習について語るが、テーマはむしろ、下宿先の家族とくに少年との交流を通じて浮き彫りになる英国の階級社会の実態である。その続編が『プラハの憂鬱』。語学学習の余暇にチェコの神学書を探し歩いているうちに、古書店を営む亡命チェコ人と親しくなる。学問が仲立ちとなって人間関係が広がり、深まるのだ。(2)ところで、『プラハの憂鬱』の中心人物は、元BBC(英国放送協会)国際放送のチェコ語アナウンサー兼記者で、古本屋インタープレス社長のズデニェク...【佐藤優】プラハの憂鬱

  • 【保健】入浴で循環器ケアを ~睡眠不足ケア~

    (1)科学誌「PLOSONE」に載った愛媛大学の研究によると、中高年期の日本人は週に5回以上の入浴で動脈硬化リスクが低下し、血中BNP(心臓に負担がかかると増えるホルモン)の上昇が抑制されるようだ。(2)本研究は、同大・老年内科が立ち上げた疫学調査「しまなみ健康推進プログラム」の一環。2006~3年に同大附属病院抗加齢・予防医療センターの抗加齢ドックを受診した1,593人を対象に、入浴頻度や時間、温度についてのアンケート調査を実施。回答があった873人(男性345人、女性528人)を解析対象とし、そのうち164人については、追跡期間中に2回以上の時点でデータを比較している。(3)対象者の入浴頻度は平均5.8回/週、1回の入浴で湯船につかる時間は平均12.4分だった。入浴回数で対象者をグループ分けし、動脈硬化と心...【保健】入浴で循環器ケアを~睡眠不足ケア~

  • 【佐藤優】罪の誘惑

    <この世は、罪の誘惑があるから、わざわいである。罪の誘惑は必ず来る。しかし、それをきたらせる人は、わざわいである。--「マタイによる福音書」18章7節「罪の誘惑」とは、イエス・キリストが説いた福音から逸脱させるということだ。こういうことを言っているのは、教会の中に深刻な分裂の危機があるからだ。教会内に他の信者をつまづかせる者がいるということだ。なぜこのようなことが生じるのだろうか。キリスト教徒も現実の社会の中で生きている。そうなるとイエスの教えに百パーセント従うような生活はできなくなる。どこかで現実との折り合いをつけなくてはならない。この線引きをめぐって教会内では対立が起きやすい。ある人たちが「この程度の妥協はやむをえない」と考えるのに対して、別の人たちが「こういう妥協は信仰をつまづかせるものだ」と考えるからだ...【佐藤優】罪の誘惑

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