【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
①服部龍二『高坂正堯戦後日本と現実主義』(中公新書1,000円)②小原雅博『日本の国益』(講談社現代新書880円)③阿比留瑠比『安倍晋三の闘い官邸からの報告』(WAC920円)(1)服部龍二『高坂正堯』は、優れた評伝だ。高坂正堯は、論壇では中立論が強かった東西冷戦時代に日米安全保障条約を認め、勢力均衡論に立つ現実主義外交を訴え、保守政治家や論壇人に強い影響を与えた。〈高坂は、森本哲郎『ある通商国家の興亡──カルタゴの遺書』(一九九三年)の「解説」で、「解釈にはセンスと勇気とを必要とする。その勇気がないのか、それとも事実の発掘が研究者を疲れさせるのか、あるいは専門化が進行したことがセンスを失わせるのか、面白くもなく、教訓を汲みだすこともできない歴史書が多すぎる」と述べている。/解釈する「勇気」すらなく、「専門化が...【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
2019/01/31 07:18