どうも、あたし、赤ずきん。 あたしとおばあさんが、オオカミに食べられたのに生きて帰ったあの話。 今じゃすっかり有名になって、あたしはまさに時の人。 雑誌の取材やテレビに引っ張りだこなの。 あたしが歩いたあの森は、聖地巡礼とばかりに人が集まって、屋台やキッチンカーまで出る始末よ。 どこにいてもサインを求められて大変なの。 もちろん、中にはひねくれたアンチもいるわ。 ワイルドで野蛮なオオカミ推しもいるの。 「オオカミ様が沈められた川よ」なんて言いながら手を合わせてる。 別にいいけどね。 可哀想なのはお母さんよ。 子どもを一人でお遣いに出したことが、倫理的にどうなの?って言われてる。 そのせいであたし、一人で外出禁止になっちゃった。 おまけにあの森、子どもだけで歩いちゃいけない決まりが出来たの。 おばあさまに会いたいなあ。あの森、通りたいなあ。 おばあさま、毎日..