文人システムエンジニアの書評サイトです。歴史もの中心。新書レビューも。ときおりバカ日記。
銀行系のIT企業でシステムエンジニアとして働いているが、夢は物書き。書くためには読まなくてはならない、というわけで修行の意味もこめてブログ開設に至る。最近CWS創作学校に入門。
noteにて育児休暇中の日記を始めました。 https://note.com/corogius/ ここのブログはそろそろ閉鎖し、今後はnoteを主に更新したいと思います。
「絶えず書く人」を目指して、気の向くままに書評やら何やらを書いてきたブログも、いつの間にか放棄して数年が過ぎてしまった。 きっかけはもはや忘れたが、おそらくプロジェクトが多忙になったのと、赤坂先生の「東京プリズン」を読んで打ちのめされたのと、後は通信制の小説教室を受講していたが、「こんな作品を誰が読むんだろう?」と疑問に思いながら課題を義務感のみで提出して、当然のごとく酷評のコメントが返って…
今年も、終戦の夏、を迎えた。 どの閣僚が靖国参拝をしたかしなかったかが 不思議とニュースになるのが例年のことだが、 今年はそれよりも尖閣諸島や竹島の騒動という 靖国よりもはるかに直截的な国際問題が浮上した。 そんな喧騒の中、僕は齢をまた一つ重ねた。 今年のお盆は珍しく夏季休暇を2日取った。 いつもは予定もないのに休むことはしないが、 初志を忘れてまるで読書量が足りなくなっている ことに大変な危…
僕はiPhoneが出るずっと前からスマートフォンを 使い続けているし、家にもパソコンが2台あって、 こういう文章を書く作業用端末と、映画や音楽鑑賞用 の端末とに使い分けている。その上、昨年にはiPad2を 購入し、デジタルライフを満喫しているように端からは 見えるだろう。 だが、最近どうもこれらのデジタルツールを使いこなせて いないと、感じている。前の職場では仕事用のパソコンに グループウェアが入ってい…
今年の夏、iPad2を購入した。 主な目的は、電子書籍を読むため。 家の本棚がもう満タンで、せめて古典はすべて 電子媒体で蓄積しようと考えた結果だった。 僕が買う初めてのApple製品でもある。 以前からずっと、新聞も取らず、雑誌も買うのを 止めて、全部テキスト物を電子媒体で集約して しまおうというちょっとした野望も抱いていた。 しかし、スマートフォンではどうしても字が小さくて、 解像度も悪くて、読むの…
若いうちは与えられた自分の仕事の完遂さえ 注力すればよかったし、仕事が遅くても残業 しようが休日出勤しようが、努力は評価して もらえる。しかし、30過ぎてリーダー的な 役割を受け持ってからは、明らかに仕事の やり方を変えなくてはならなくなった。 大きな違いは、自分一人だけの責任でなく、 メンバの管理責任というものが発生することだ。 自分だけでタスクを処理するのでなく、メンバに 適切にタスクを割…
井上真央と永作博美が出ていた映画『八日目の蝉』 がいたく良かったので、帰りの本屋で原作を買って 帰った。僕は映画を見てから原作を読むことが多い。 というか、単にベストセラーに疎いだけだが・・・ 映画も原作も、筋書きとしては大きく違いはない。 不倫相手の赤ん坊を誘拐して、自分の子供として 育てながら逃避行を続ける希和子(永作)と、 その女を実の母と思い込んで育った、 恵理菜(井上)の話である。 …
数年前、とある企業の広報誌の編集をして いたとき、誌内のコラムで関孝和という日本の 数学者を取り上げたことがある。もちろん僕が 書いたわけではなく、著作もあるプロのライターに お願いしたのだが、資料集めや事実チェックなど、 僕自身もずいぶんと彼について調べた記憶がある。 関孝和は日本史上最高の天才と称えられる 数学者で、その業績は西洋の数学者よりも 数十年進んでいたとされるが、謎に包まれた 人…
キケロに「歴史の父」と賞賛され、「エジプトは ナイルの賜物」という名言とともに知られる ギリシア人ヘロドトス。彼の書いた『ヒストリアイ』 (歴史)という書物が、西洋の「歴史」の基礎 となったのは、もはや歴史学の常識である。 現在連載中の岩明均の漫画『ヒストリエ』でも、 題名との関連があるかのように、ヘロドトスに ついての言及がしばしば出てくる。 (『ヒストリアイ』は『ヒストリエ』の複数形) 作…
有名な「トロイの木馬」による計略によって、 一夜にして滅亡したトロイア王国。その生き残りが 苦難の旅を経てイタリア半島にたどり着き、 アルバ・ロンガという国を建てた。このトロイア人を 率いたのが、トロイア戦争で王子ヘクトルに次いで 活躍した、アイネイアスという名の英雄だった。 アルバ・ロンガの初代国王は、アイネイアスの 息子のアスカニウスである。そして彼の末裔こそ ローマを建国したロムルスであ…
デビッド・カークパトリック『フェイスブック 若き天才の野望』
日本でTwitterがネット上に旋風を巻き起こしたのは もう新しくないできごと、先日の大地震でも随一の 連絡手段として大いに威力を発揮し、もはや単なる 独り言の暇つぶし用サービスではないことを実証した。 このTwitterの次に日本のネットに来るのが、Facebook だとまことしやかにささやかれている。 このFacebookを創った男、マーク・ザッカーバーグは、 ビル・ゲイツをも抜いてアメリカNo1の大富豪となったが、 な…
今年の2月、会社のホリデーナイン制度を利用して 学生以来8年ぶりにローマを再訪した。8年前 暴風雨のため行けなかったポンペイに行くことが 最大の目的だったけれど、ほかにもいろいろ初めて 訪ねた場所があった。 とくに平和の祭壇(アラ・パキス)という、白亜の 博物館はわりと最近公開されたものである。 初代皇帝のアウグストゥスが建てたといわれる 白い大理石の祭壇が、まるごと現代的な博物館の なか…
夏休みに行った高知が、坂本龍馬尽くしだったのはいうまでもない。 駅も商店街も土産物屋もとにかく龍馬、龍馬、龍馬。「龍馬さんの おかげです」と手書きで書かれた垂れ幕が、商店街のアーチから 下りていたりもした。ほんとうに、龍馬の名を出すだけでお客さんが たくさん来るのだろう。 しかし、ここまで龍馬ばかりフィーチャーされていると、他の高知の 偉人たちがかわいそうになってくる。大河ドラマになったは…
この夏休みに僕は、高知・長崎・京都をめぐる6泊7日の 「龍馬の旅」を敢行した。ドラマ『龍馬伝』による龍馬ブームが 始まる前から、それこそ学生のころから、一度はやってみた かった旅なのだが、結局31歳を過ぎてやっとその機会を 得ることができた。 『龍馬伝』効果を見込んでか、高知も長崎も龍馬関係の 資料館がいろいろ特別展をやっているし、商店街には 『龍馬伝』の旗やポスターが並び、龍馬たちをデザ…
公教育の崩壊、意図不明な少年犯罪の多発、少年法の甘さ。 こうした現代日本の異常さに、もうみんな麻痺したかのように 鈍感である。「また?」という感覚でしか捉えられなくなっている かもしれない。 去年の「本屋大賞」に輝き、中島哲也監督によって映画化 されて大ヒット中のこの『告白』も、少年犯罪をテーマに扱った 小説である。しかも教師が退任の挨拶で、自分の娘が「この クラスの生徒に殺されたのです」…
失われた古代王国・アトランティスの伝説は、日本でも誰もが 一度は聞いたことがあるだろう。僕もちょっと前にアイルランドこそ がアトランティスという説を聞いたことがある。もっとも僕自身は 大西洋のどっかにあったんじゃないの、くらいにしか関心を 持ってこなかった。 最近、出版社に勤める友人と飲んでいたとき、ふと一冊の 本を贈呈された。タイトルは『アトランティス・ミステリー』。 きっとアトランティ…
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