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  • 花と船

    この海はどこへも行けないまま今もまだ足もとにあっていつか僕を攫ってゆくそういう波がずっと、蝕んでいたんだとおもういま、ようやく君を目の前にして僕らはどこへだってどこまでだって行けるよその腕が蒼白くても構わない沈んでしまう船でもいいよなのに最

  • 千年したら

    許されない日とわかっているくせに眩しさは目を灼くほどの夜光もうすぐあけるよと言ったのは誰僕の足もとはずっと沈むのに頭上の紫が見たこともない終りだ落としたのが何でもきっと良くて君をつかむ腕がないうろんな声がいつも呼んでる銃の鳴る音、聞こえるで

  • 致死量の花束

    両の耳をふさぐふたつめの瞼を閉じるそれでも存在する世界を君だけが知ってる生まれるよりずっと前の縫いかけた胸の傷からあの花束は落ちたのだろうくらいところにある心すこしだけ足りない灯り僕をここから逃がさないわけをもう誰も覚えていないどんなに願っ

  • したたかに流るる

    からっぽの眼窩を埋める真冬の星は まだのぼらない南の方からやわらかな熱をともしておちる流星群からはぐれたのはオリオンの鬣と砂時計の配列と惜しげもなく愛しているあの星座だけ一等星にはならないで並ぶ幾億のなかに 君はいるねくやしいのかもしれなく

  • evolutionism

    くらい方へといつも少しだけ傾いている並ぶスピカに息を吹きかけて君は、奪われる寸前のともしびだった覚束ないあかるさでぼんやりと見えた気になる薄皮の一枚をとおすこともできない爪殺すのをためらうみたいに刃はか弱い風のまえの塵になりたい焼かれたあと

  • あざやかにして

    白い砂に沈む足がなにもない場所に座りこむあの赤いひかりが届くまでこのゆびに意識があればいいのにとてもとても鋭いものであざやかにして傷口からあふれるみたこともない色ただ、知りたかったんだよすきよりつらいことなんてないって影のないきみにこのひか

  • 世界一きれいな

    この肌に感覚はないだからきっと泥水につかっても流星にうたれてもきみの嘘にもきずつかないたそがれは無く葬られる夜の日にきみはどこにもないものを求めている事切れた僕の血肉をこえるたった一つ、きれいなものを探してる泣かなくてもそれでもいいよ、

  • 空であること

    どこまでも続く紺碧の空が僕のまぶたを灼くせいでいつまでも映らない飛沫をあげる水たまり肺がつぶれる瞬間東の町をかける彗星したためる言葉をいつか聞かせる日がきたら君にも知って欲しい落ちて、高く止まらずに侵される柔らかな腕がない日だまりの髪がない

  • 深海へのオマージュ

    ここにないやさしさは鬱蒼とした深海にある血を吸いあげて咲く花と逆上るデルタとひそむような静けさの中だった地殻のほんの一部になりたいまだ夢を感じるだろう終わりかけた熱の端っこ僕の、おちてゆく手の冷たさも君は知らずにずっと暗く、沈んで海の深くに

  • ジュジュの窓辺

    そこにあるのはおもわせぶりな摂理ふたりのあいだの決めごとはあおい花をたずさえている茎を手折るみたいにかんたんなやり方であいせたらいいのこり少ないあさひとあおばかりの窓辺できみのこといまも呼んでいるけど

  • グッド・バイ

    濁ったレンズに溶けだすくたびれた骨だとか表紙だけの本だとかふたり分の汗だとかもうきっと弱くてすぐに消えてしまういらないと投げだした真っ青な爪をした両手の大人ぶった罪だけが残ったそこが悲劇の幕開けならむせび泣けどシャッターを切ってね一瞬の光る

  • 惹かれるほど見えない色

    真下からつらぬく僕を赦すみたいなそんな目だった夜明けまでとどいた光どれほどの高さでこの骨は焼かれるくるしいのがうれしかったやさしさなんていらなかったあの人のことあの人のなまえ君の手をつかんだのはぼくの方なのにね恍惚とした魚の目は何度も言って

  • 開花する殺意

    筋交いに並んで少女が窓をあけたら真っ暗なよるの中に音だけがする舌の上でころがして甘いところだけを選ぶすずの鳴くようなこえを奥歯が嗜虐的にかむ連れていかれてしまうとき塞いでくれるピアスを掬ってくれる手のひらを欲しがる姿がかわいくて殺すちぎれて

  • 灰兎

    端っこから灰になってもう二度と生まれることのない月あたたかさの中で焼けてゆくにおい裏側に棲む意識が暗転するまぶたを縫いつけて目をひらくのを頑なにためらうたったひとつの月は今も灰色の兎を抱いているだろう道連れにするのは光をなくしてもすこしの未

  • 紺碧に沈む唇

    一度目は海のなか生まれるための呼吸で心臓の輪郭を確かめる二度目はあぶくにのまれてしまう見ひらいて眠る瞳孔をくたびれた四肢を乗せて流すよ小舟を探すよ波の終わるところに行って君とひとつになりたかった冷たくても、それでも紺碧に沈む唇が泡をはくもし

  • 夏至る日が梅雨

    指の間をすりぬけるようにおちた宇宙は海にとける君の髪をぬらすのはいつか見た八月の梅雨だ

  • あおく濁した

    きっと僕らはそういうものを見続けていたかった咲かない花ばかりの庭にあおく濁った水を撒いて僕らは幾度も蹴散らしながら文句ばかり言うけれど本当はいつまでも蕾でいたがるようなわがままな仕草が似合ってた僕はただあしあとを残すこの庭のあちこちに落ちて

  • いつか愛する世界へ捧ぐ

    一度目の生命はきみを呼ぶ名も知らない泣きたいほどの尊さをこの咽喉は教えないだから、二度目に生まれるその時はいつか愛する世界だけこの心臓を動かせるよう誰にも秘密で呼吸をはじめる

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