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  • オヤジのあくび689

    祝田秀全「建築から世界史を読む方法」を読む2 ロマネスク建築の傑作として本書に登場するのが、斜塔で有名ならピサの大聖堂。著者は世界史の先生だから、建築当時の社会背景など解説されていることがありがたい。この聖堂はピサの艦隊がイスラームの艦隊に勝った記念に建てられたのだ。ローマの模倣と名付けつつ、ローマには及ばない点も書かれています。 続いて、天をも突くようなゴシック建築が開設されます。尖塔アーチ、フライング・バットレス、リブ・ヴォールトと高さを支える工夫が説明されます。しかし、観光客目線ではステンドグラスの美しさ。口絵にもあるバリのサント・シャペル聖堂のステンドグラスは、本当に美しい! 思うに私…

  • オヤジのあくび688

    祝田秀全「建築から世界史を読む方法」を読む1 世界史のテキストには、建築様式の移り変わりが記載されている。ビザンツ様式→ロマネスク様式→ゴシック様式という具合。 でもビザンツの前に、すばらしい建築群を残した帝国を私たちは知っている。その名はローマ帝国。 テルマエ・ロマエという漫画がヒットしたけれど、ローマ人が入浴していたあの水はどこから引いてきたのだろう。そう、ローマ帝国の遺跡には今もヨーロッパ各地に残る水道橋があるのです。道を造ると同時に水道を引かなければ、そこには人は集まってこない。それをローマの皇帝たちはよく理解していて、建築という公共物をローマ市民はもちろん、属州の人々にも提供したので…

  • オヤジのあくび687

    渡辺信一郎「中華の成立 唐代まで」を読む3 始皇帝が始めたことは実に広範に及ぶが、国内の幹線道路網および駅伝制を整備した実績も大きい。人・物の移動がスムーズならば経済は発展していくのだから。 本書は続いて、漢の領土を広げて大帝国を築いた武帝とその均輸・平準政策や前半生が実にドラマチックな宣帝にふれながら、前漢時代について書いていく。 いよいよ前々回本書を読むきっかけとなったと書いた王莽が登場します。本書では王莽の世紀と題し、その影響の大きさを評価していますが、中国が文化大革命で根こそぎ価値観を変えるまでは、儒教を重んじる国であったのは、王莽が出発点だったのですね。 「儒家的祭祀、礼楽制度、官僚…

  • オヤジのあくび686

    渡辺信一郎「中華の成立 唐代まで」を読む2 国内の民を戸籍に登録して管理する。登録したら租税・軍役を課して国を強くする。その戸籍を最初に作った人が秦国の商鞅でした。実際、秦国は最強の国となり、やがて始皇帝の時代を迎えるのです。 それまでの血縁関係より支配者的な立場を確保していた時代から、軍功を立てた者が支配者の身分を獲得するという大きな改革でした。血縁から能力主義へ。 商鞅の変法と呼ばれる改革は、法を元にした中央集権国家を目指していました。民家を什伍の単位に分けて、互いに法律を破る者がいないか監視させ、誰も名乗り出ない場合には連帯責任を取らせました。 容赦ない法による管理取り締まりは、貴族支配…

  • オヤジのあくび685

    渡辺信一郎「中華の成立 唐代まで」を読む1 お江戸コラリアーずで組曲「ハレー彗星独白」の「弥生人よ きみらはどうして」という歌を歌った。大岡信さんの詩に、吉野ヶ里遺跡を思わせる集落が描かれている。周囲に塀や堀を巡らした村の原型は、中国古代、殷・周時代の邑(ゆう)に見られるようだ。山西省西南部にある龍山文化期の陶寺遺跡などは、すでに埋葬を通して階層文化の存在を示していて、吉野ヶ里遺跡を想像させる。 中国最古の王朝は夏と呼ばれる。文字資料が少なく伝説化しているが、著者は河南省の二里頭文化が夏王朝と密接な関係があったと指摘している。二里頭ではすでに巨大な宮殿が二棟発見されているのだ。 続いて殷。殷は…

  • オヤジのあくび684

    「養老孟司の〈逆さメガネ〉」を読む 養老さんは、東大紛争の頃、助手だったそうで、あの紛争の最中に学内にいて様子をリアルに見ていた。本書で改めて問いを投げています。結局学園闘争とは何だったのか、誰が説明して、誰が責任を取ったのか、全てがうやむやなのは、日本の敗戦後と似ていると。 養老さんは東京大学に入る前の話が出てきます。現在は大船から長い坂を2度登ったところにある名門栄光学園です。養老さんのころも今も休み時間になると全校生徒が上半身裸になって屋外で体操をしているらしい。冬は寒そうですね。私立の男子校だからできるような気がしますが、部屋にこもってゲームに耽っているより遥かに健康的でしょう。栄光学…

  • オヤジのあくび683

    草野友子「墨子」を読む 非攻。墨子は侵略戦争を大量殺人と位置付け、なぜこれが不義でないのかと主張します。そして実際に戦闘集団を組織して、大国から攻撃を受けている弱小国の救援にあたるのです。実際にどのようにして城を守ればよいのか、その具体的な方法が書かれています。 墨子は職人出身であると言われていますが、概して貴族に批判的な論調が目立ちます。その例が厚葬久喪と音楽。長い期間喪に服することを批判しています。今日本ではコロナ禍以来家族葬が増えていますが、まるでその時代を見通していたかのようですね。音楽についても、それがどうして民の利益に繋がるのかと批判的です。貴族が音楽に親しむ様子とその影で人々が生…

  • オヤジのあくび682

    田丸ようすけ 漫画「竜樹」をKindleで読む 仏教に取材した漫画と言えば、手塚治虫の「ブッダ」を読んで以来になります。手塚治虫は様々なエピソードを元に彼一流の脚色を施していますが、本書も架空の人物を恋人役や弟子として配置するなど、劇画としての演出を施しているようです。 さてキリスト教のアウグスティヌスが自身の履歴を振り返って、肉欲に支配されていた時期を告白していますが、竜樹も王家の女官に散々な悪行を働いている。このくだりは大いなる反省が次への進歩成長につながると言う暗示でしょうか。 最終章で故郷南インドの王様に戦争を止めるように諌めるのですが、現在戦争をけしかけている国の政治家に読んでほしい…

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