オヤジのあくび581
安部龍太郎「海の十字架」を読む2 足利将軍による治世を終わらせたのは織田信長であるが、信長が上洛する前の洛中の支配者は三好長慶であり松永弾正であった。「蛍と水草」はその内部抗争を描いている。 三好兄弟が次から次へと銃撃され、全て松永弾正の思うがままになっていく様子に救いはない。作者は三好長慶と冬康が交わした連歌にわずかな一滴の潤いを求めたのだろうか? 続く話は、大浦為信(津軽為信)、弘前藩の初代藩主。まだ津軽藩の一家臣に過ぎなかった為信が、畿内の信長の活躍に触発され津軽の信長を目指す話。彼の活躍以降、現在の青森県は南部藩の支配下である東部と弘前藩の西部に分かれてしまった。その蟠り(わだかまり)…
2023/10/27 06:05