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  • オヤジのあくび563

    若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む1 本書は「入門」というタイトルが付けられているが、その網羅する範囲は極めて広く且つかなり深い。およそ世界中で演奏されている楽器を全て紹介しようと試みているかのようです。 この手の図書に出くわした時、私の取る読書行動はつまみ食い方式。箱に雑多に詰め込まれたお菓子を、それぞれ少しだけかじってみて美味しいお菓子だけを堪能する。 まずは、弦楽器の話。ドローンと言えば、空中に浮かんで地上に居ては不可能な撮影を助けてくれる機械というイメージですが、元々は雄蜂の羽音を表す単語で音楽では基調持続のことを言います。弦楽器は、爪弾いたり弓で擦ったりして美しい旋律を奏でていま…

  • オヤジのあくび562

    田中優子「江戸の音」を読む 広辞苑によると音楽は「音による芸術」。ここからはボクの理解だけど、音楽のうち西洋の片隅で進化発展した表現は、理路整然とリズム・メロディー・ハーモニーを奏で、世界中を圧倒的している。ベリーによる開国以降の日本も圧倒された国の一つで、近代学校システムを作る際に大慌てで「音楽科教育」を始めたのは、ご承知の通り。 本書のタイトル「江戸の音」は、未だ西洋音楽的な進化を経験していない日本の音に言及しようという意気込みなのだ。 まず生活の中の音。爪弾く、口ずさむ、遠音を美しいと感じる感性は、芸術として一段高いところへ音楽をまつりあげてしまった古典派以降の西洋音楽とは違う。すぐそば…

  • オヤジのあくび561

    田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む2 島倉千代子は色紙に「まず 動け」と書く。およそ流行歌手らしくない。けれど芸能界の荒波を乗り越えてきた芯の強さが感じられる。 天才少女歌手美空ひばりに憧れて(歌手になってからも島倉はずっと「ひばり先輩」を慕い続けている)、北品川の橋で物真似を歌っていた女の子は、やがてひばりに代わって紅白のトリを務める歌手になる。 追随不可能な資質と能力で、流行歌手として歌えるジャンルをレパートリーにした美空ひばり。声域の広さ=低音域の豊かさ、ファルセットへの切り替えの上手さ、こぶしを始めとする優れた歌唱技術、全てに卓越していたひばり。比べて島倉は、高音域こそ独特のクリス…

  • オヤジのあくび560

    田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む1 昭和29年コロムビア歌謡コンクールでの優勝をきっかけに歌手デビューしている。そのコンクールで歌った曲が「涙のグラス」。鳴海日出夫という男性歌手の歌であった。東京地区予選で優勝した時、作曲家万城目正は「太鼓の破れたような声で、なかなか味がある」と評した。とても褒め言葉には思えないが、元々声帯が小さくクリスタルな音質の島倉が男性歌手の低い音を歌おうとして結果そのような印象の声になったのだろう。 代表曲として、多くの人が思い浮かべるのは「からたち日記」でしょう。実は作曲米田信一として売り出されたこの曲には、当初短調と長調の二曲がありまして、本人が長調の方を歌…

  • オヤジのあくび559

    古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む2 本書は、夫でありマネージャーであり社長である郷さんの闘病と癌の進行を、付き人目線で綴っている。夫婦の近くに見舞いに訪れる宍戸錠が登場する。郷さんの実兄なのだ。邪推に過ぎないが、夫婦二人の強過ぎる絆の行く末を予想し、その未来を不安に感じていたのは宍戸錠ではないだろうか? 郷さんの死後現在に至るまで、ちあきなおみは人前で歌っていない。美空ひばり自身が後継を託したという名歌手が自分の歌声を封印しているのだ。もちろん周囲から復帰を望む声は強くマネージャーとして、その要望に対応し続けた履歴が本書に綴られている。 本書は、著者がちあきなおみとの出会いを通して…

  • オヤジのあくび558

    古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む1 筆者は8年間ちあきなおみの付き人をしていた人。ちあきなおみのパートナーである郷さんとの思い出や仕事上の失敗談を語っている。 ちあきなおみが「朝日のあたる家」をマイクなしで歌う場面が出てくる。YouTube動画でさえ、凄い表現力が伝わってくるのだけど、至近距離で生声で聴いたらどんなに心を揺さぶられることだろう! この曲は定番アニマルズの演奏が印象に残っていたのだけれど、ボクの曲のイメージはガラッと変わってしまった。日本人歌手では内田裕也を始めとする歌手の持ちネタだったけれど、どうしてもロックの叫びにしてしまう。ちあきなおみは、それを一人の女性の生き…

  • オヤジのあくび557

    高齢者の経験や知恵を、どのように伝え引き継げるか? 中国語で教師は老師。日本語の先生は、いろいろな立場の人に使われているけれど、老師は学校の先生だけ。まだ教員になりたての頃は、60歳以降のことなんて考えられなかったが、実際に66才の今年の3月まで小学校で、音楽を教えていました。年齢だけは字面通りの老師だったわけであります。 日本は現在かなり深刻な教員不足に陥っているから、体力さえ維持できていれば、高齢者教員が活躍できる場所はあると思う。 さて、私なりに培ってきた経験とか、知恵を子どもたちにどう引き継いでいけばよいのだろうか? いやそんな狭い個人的なことではなく、高齢者の皆さんは若者に何を語り、…

  • オヤジのあくび556

    ヨハン・ガルトゥング「日本人のための平和論」を読む2 領土をめぐる緊張関係について、日本周辺で言えば、尖閣諸島や北方四島の問題について共同所有や共同管理という方法を、著者は提案する。国家同士が領土を巡って対立し戦争が起きているが、それ以前に国境を開き互いの人々が交流するという方法があるではないか! というのだ。 私はパシュトゥーン人やデュアランドラインについて、この本で知った。パキスタンとアフガニスタンの国境を越えて生活している国家を持たない民族の話だ。主権国家以外に地域共同体がある程度の独立性を保って存在している例が他に幾つもあることを示して、国と国の間の壁を高くするだけでは、一向に解決しな…

  • オヤジのあくび555

    ヨハン・ガルトゥング「日本人のための平和論」を読む1 不可逆=元に戻せない判断や行動から作者は語り始める。戦争は多くの命を奪い、その命は二度と戻ってこない。アメリカと一体化することこそが日本を守る唯一の方法であると多くの日本人が、少なくとも政権を預かる為政者が信じこんでいる。作者はそれに代わる代替案を本書で語っている。そもそも「積極的平和」という概念を提唱した人は著者だったのだ。それを我が国のA首相が歪んだ用法で語っていることにも思うところがあるようだ。 米軍基地の撤退を要求せよ! とか、沖縄(琉球)を東北アジア共同体の中心に! という主張は、「結局はアメリカのいうことを聞いているのが一番安全…

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