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  • オヤジのあくび444

    柳原良平「柳原良平のわが人生」を読む1 横浜に長いこと住んでいるので、大桟橋に停泊中の客船はずいぶん眺めてきました。知人のヨットや釣り船で湾内を巡ったこともあります。夜のノースドックの灯りが綺麗だったことを覚えています。 私の親父も若い頃海に憧れていたようで造船会社で働いていましたし、弟は船舶海洋工学科の出身です。さらに前の曽祖父は、長岡市寺泊から船で交易を試みていたらしい。妻の叔父さんは、船長さんで折に触れて航海の話を聞かせてくれました。それぞれに海洋へのロマンを感じます。 著者は曽祖父に西村捨三がいる。大阪築港の任に当たった方であります。 読んでいるうちに港の近くの学校に勤めていた頃のこと…

  • オヤジのあくび443

    横山泰行「のび太という生き方」を読む ドラえもんがポケットから出してくる「ひみつの道具」、一時はのび太の悩みが解決したように見えますが、結局はうまくいきません。そりゃ、そんな便利なアイテムに頼ってばかりじゃいけないよね。人生そんなに甘くないでしょ。ボクは今までそんな読み方をしてきました。 けれど、著者によると大切な場面はその後なのですね。結局は自力で自分で始めないと解決できないことに気がついたのび太の姿が、著者によればドラえもんの真のテーマなわけです。今さらそんなこと言われなくてもわかっとるわい! って感じありですね。 要するにこの本は、のび太の名前を借りた生き方啓発本の匂いがするのです。余計…

  • オヤジのあくび442

    工藤美代子「サザエさんと長谷川町子」を読む3 漫画のアイディアを練るとき、町子はスルメとか昆布を口にしており、胃痙攣を起こすことがあったという。ストレス過剰なのだ。だからおとなしい外面とは真反対で同居する家族にあたることもあったらしい。 力道山が亡くなった日に、町子は家出して厚生年金会館にいた。ヒーロー急死のニュースを見て「人生は短い」と感じたらしい。その後昭和42年町子は胃がんの手術を受ける。本人には胃がんであることは最後まで知らされなかった。知らされなかったことで町子の活躍時期を長引かせた気がする。 国民的な漫画「サザエさん」の著作権侵害の訴訟は、私もよく覚えています。バス会社がサザエさん…

  • オヤジのあくび441

    工藤美代子「サザエさんと長谷川町子」を読む2 この本には町子の母親と姉妹が絶えず登場する。凄いのは母親の行動力で、思い立ったら即行動! とてもエネルギッシュな人として描かれている。また当時一家は若草物語のようだと言われたらしい。女性四人の家族が力を合わせて生き抜いていく様子が喩えられたのだろう。 ところで女性漫画家という存在は、日本は元より海外でもほとんどいなかったらしい。若くて独り身の町子に下世話な興味から「結婚はしないのか?」という質問がずいぶん浴びせられたらしい。今ならモロにセクハラだけど、女性漫画家として唯一の存在であった町子をどう評価していいものかわからなかったのだろう。 今で言えば…

  • オヤジのあくび440

    工藤美代子「サザエさんと長谷川町子」を読む1 サザエさんの連載当時、頑固な親父のこだわりで我が家は一貫して朝日新聞をとっていた。おふくろはスクラップが好きで、サザエさんはスクラップブックで何度も読み返すことができた。漫画では番外編的に作者が登場して、海外旅行のエピソードなどを紹介していた。 山脇女学校を卒業して「のらくろ」の連載で超有名な田河水泡に弟子入り、才能を見出されその後は順風満帆・・に見えるが、家庭内の事情など、そううまく運んだわけではないのは、ドラマ「マー姉ちゃん」でも描かれていた通り。 ちなみに師匠田河水泡の本名は高見澤。「たがわすいほう」と誰もが読んでいるが、元々は「たかみずあわ…

  • オヤジのあくび439

    中坊公平「金ではなく鉄として」 肩書きは必要な時があるかもしれないけれど、大して当てになるものでもない。中坊さんの肩書きは、京大卒の弁護士でして、この肩書きに恐れを成していては中坊さんの人柄にせまることはできない。ボクくらいのオヤジになると聞いてもいないのに自分の学歴を自己紹介がてら話す人がいるが、その肩書きを隠れ蓑にしようということなのか? あまり好感が湧かない。 運動も勉強も出来が悪い子どもが、農作業を手伝ううちに身体が丈夫になり、抜け道的な理数系科目を受けなくていい方法で京大に入る。三回目の司法試験に受かると、今度は放蕩三昧の日々と来る。 ところでボクには弁護士をしている叔父さんがいるの…

  • オヤジのあくび438

    柄谷行人「倫理21」を読む3 話は責任論に移り、ナチス、日本の戦争責任がどのように問われたのかを辿っていきます。天皇の戦争責任〜非転向の共産党員へと。その中で棄権にも政治的な責任があり、吉本隆明の「無知にも責任がある」が、刺激的です。 戦争責任は国際法の観点からのみ生じる。これが筆者の立ち位置です。戦時中の日本軍による虐殺、米軍の原爆投下etc 責任が公共的合意とやらで曖昧になってしまうことに厳しい目を向けています。 あとがきのフロイトの言葉「知性が欲動生活に比べて無力だ」ということをいかに強調しようと・・知性の弱さは一種独特なものなのだ。知性の声は聞き入れられるまではつぶやきを止めない。しか…

  • オヤジのあくび437

    柄谷行人「倫理21」を読む2 括弧に入れておく話が出てくる。それは認識の脇に置いておいて的な意味と捉えておこう。以下引用→(われわれは自由を括弧に入れたときに自由を見出し、自然必然性を括弧に入れたときに自由を見出す。人が何かをやってしまったら、それがどんなに不可避なものであろうと倫理的に責任があるのは「自由であれ」という当為があるためです。彼に事実上自由がなかったにもかかわらず、自由であったかのように見なさなければならない・・行為者がかかる行為の結果の系列をまったく新たに、みずから始めるかのように見なしてよい)裁判で懸命に弁護に努めている方々には、厳しいかもしれないが、あくまでもこれはカントの…

  • オヤジのあくび436

    柄谷行人「倫理21」を読む1 責任とは何か、倫理とは何か、そこが本書の出発点です。 はじめに、本書における言葉の定義づけについて。人は結局は群れる動物なのだから共同体的な規範をどこかで必要としているはずと考える北野武の立ち位置とは別に、幸せであることが倫理として大切と捉える功利主義的な立ち位置があることを紹介した上で、カントが「自由であれ」という命令に従うことを自由と考えていたことを紹介しています。 本居宣長は、元々日本に道徳などないし、その必要もないと言ったそうです。その代わり世間様という得体の知れない規制が人々を拘束している。 責任を問うことと原因を認識することは別物であると筆者は強調する…

  • オヤジのあくび435

    北野武「新しい道徳」を読む2 話題は、インターネットによる世界支配、清く貧しく美しくに戻れない人々、和を持って尊しとなす、モーゼの十戒へとジャンプを繰り返していく。そして、過酷な氷河期の環境を集団として生き残るために道徳の卵のようなものが生まれたという考えは理解できる。けれど飽食の現代社会でそれは当てはまらない。今後の気候変動で似たような状況になるかもしれないけれど。宗教・国際関係など、その時代の状況によって道徳は変化してきた。そりゃそうだ、元々道徳は生き抜くための知恵なのだから。戦時中鬼畜米英などと罵っていた国との戦後の関係を振り返れば、すぐにわかる。 本書は、結局押しつけられた道徳より自分…

  • オヤジのあくび434

    北野武「新しい道徳」を読む1 最初にツッコミを入れるのは、道徳の教科書。小学校1年生に「自分を見つめさせて」どうするの? と。そりゃそうだよなぁ。昔は「何言ってんだか」という白けた目で授業を受けていた子どもがクラスに3〜4人はいて、そんな子の視線をそれなりに気にしながら授業していたんだけど、今は一見従順で素直そうに見える子の方がよっぽどわからない。耐えながらつまらない気持ちやおかしいと感じるセンサーを塞いでいるようにさえ感じるわけです。 続いて道徳教材に動物が登場する例を踏まえて、動物世界に道徳はない、人間だからこそ道徳が必要なのだ。その意味を先生方は教えられるのか? と問う。 「行列に並んで…

  • オヤジのあくび433

    斎藤文彦「忘れじの外国人レスラー伝」を読む2 私は大学を出てから学校の先生になり、まだ学校現場にしぶとく居座り続けているわけだが、一昔前までは、休み時間の教室はそこいらじゅうでプロレスごっこをしていた。ところが最近はあまり見かけない。なぜだろう? やめなさいと言われても言うことを聞かないのが、子どもの特権? なのに変に従順だ。その分抑圧された心に闇が広がっている気がする。 プロレスごっこは、あくまでも遊びであるので、相手に怪我をさせないことが暗黙の了解だった。エビ固めや足4の字固めなどが定番だったろうか? ド派手な投げ技や打撃技は危ないのでやらない。ただの悪ふざけだが、こんな体験を通して、どこ…

  • オヤジのあくび432

    斎藤文彦「忘れじの外国人レスラー伝」を読む1 まだ若い頃プロレス好きの同僚と一緒に新日本プロレスを何度か観に行った。場外乱闘になってビックバンベイダーが近寄ってきた時は、正直怖くて、友人を押し倒して逃げてしまった。ごめんなさい。 有名なプロレスラーには、日本のファンが名付けた愛称がある。本書に登場するレスラーなら「神様」「白覆面の魔王」「大巨人」「人間風車」「爆弾小僧」プロレスファンなら誰のことか、すぐ思いつくだろう。彼らは日本のプロレスファンを愛し、何度も何度も日本に足を運んだ。ビル・ロビンソンのように高円寺に長期滞在して、ジムのコーチを続けるという人もいたりして。 リング上のファイトがギミ…

  • オヤジのあくび431

    堀内隆行「ネルソン・マンデラ」を読む2 本書には、もう一人の主人公がいる。マンデラの妻ウィニーその人であります。結婚した相手がネルソン・マンデラであったことは、彼女の人生を大きく変えてしまいます。そもそも結婚後、マンデラは地下活動に入り公の場に現れず、しかもその後は終身刑で刑務所へ。何という運命でしょう! しかし、彼女はまるでエネルギー逆噴射の如く、反アパルトヘイトの運動に参加していくのです。元々は政治に対して、関心がなかった彼女は、やがてドムパス(=指紋を押した身分証明書)の抗議行動で初めて逮捕され、その二十年後「黒人親の会」を組織する。彼女は黒人居住区へ流刑となるが、そこに託児所や診療所を…

  • オヤジのあくび430

    堀内隆行「ネルソン・マンデラ」を読む1 本書のキーワードは和解。 マンデラは、ガンディーの影響を受けた非暴力主義というイメージで捉えられている時があるけれど、本書ではマンデラの非暴力主義はあくまでも戦術の一環に過ぎなかったとしている。クリスチャンとしての信仰も共産主義に接近した立ち位置と矛盾しており、さまざまな葛藤を抱えていた人物であることを解き明かしている。だからこそ実際にMK(民族の槍)で武装闘争を開始するはるか前からM計画というプランが存在したのだ。(Mはマンデラの頭文字)爆弾を用いるテロは、死刑にあたる。法廷での演説によって終身刑に減刑されたが、その後彼はロベン島での長い服役の時代に入…

  • オヤジのあくび429

    野口聡一「オンリーワン」を読む2 いよいよ宇宙へ。空から真っ直ぐに引っ張られる感触、砂利道を普通車でスピードを出して走っていくような横揺れ、7分過ぎになると加速度で3Gの負荷がかかる時間が1分間。8分28秒エンジンが止まり、無重力になる。この瞬間は急ブレーキをかけて前につんのめる感覚に近いと書かれています。これを経験しないと宇宙に行けないらしい。う〜ん、やっぱりオジさんはやめておこうかなぁって感じ。 昔「空から日本を見てみよう」という番組があったけれど、宇宙から日本を見て目立つのは、海上に突き出している空港だそうです。変化に富んだ曲線状の海岸線が続く中で、そこだけ人工的な直線が見えるので、すぐ…

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