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  • オヤジのあくび292

    稲盛和夫・山中伸弥「賢く生きるより辛抱強いバカになれ」を読む 概して対談を収録した本は読みやすいし面白い。読みやすいのは話し言葉が活字化されているからだが、同時に相手に通じるように話さなければ対談にならないからだ。もう一つは、対談を設定する妙味にある。対談の向こうに読者がいるわけだから、読者の興味関心を引きつける人と話題を選ばなければならない。 期待に違わず、この本も読みやすく面白い。 書中の言葉から。 稲盛さん「願いというものは、純粋で結晶化されたものでなければ成就しない」 山中さん「IPS細胞の研究をやり出したのも、誰もやらないなら俺がやってやるという思いだったからです」 稲盛さん「人生・…

  • オヤジのあくび291

    読書という趣味 本との関わり方は、人付き合いに似ていると思う。相性があるし、リラックスさせてくれる本があれば、心地よい緊張感を与えてくれる本もある。その面では音楽と似ている。必要に迫られて読む本とは、うまく付き合えないことが多い気がする。 読後感想みたいなブログを書いているけれど、ほとんどは、たまたま興味が湧いたとか、目に止まった本なのです。 本が好きになったきっかけは、やはり親に感謝しないといけない。休日の朝、ゴロゴロしながら布団からも出ないで、本を読んでいた小学校低学年の頃を思い出す。本を読むスピードは、その頃からだいたい1分1頁のペース。各頁の文字量が多く、内容も私の能力では即座に理解で…

  • オヤジのあくび290

    立松和平「法隆寺の智慧 永平寺の心」を読む 本のタイトルにある通り、法隆寺と永平寺での体験が語られる。ありがたいのは、経文を作者が口語訳に直してくれていて、釈迦や聖徳太子の教えを読者にわかりやすく説いているところ。 前半は法隆寺での正月の体験談。僧衣に身を包み承仕となった作者の一日が夜明け前から順に紹介される。さすがに正月の夜明け前は文を読んでいるだけでも寒そうだ。般若心経のところでは、仏教の無や空を虚無的に勘違いすることの戒めを強調している。仏教とは、さとりに向かう生き方を積極的に人々に働きかける教えなのだ。 後半は、永平寺。実はオヤジのあくびには書かなかったけれど、和辻哲郎の「道元」を読ん…

  • オヤジのあくび289

    ボクが学生だった頃の話2 ある時、私が所属しているグリークラブを含む音楽系サークル連合で、大学当局に対して抗議する場面があった。大学祭開催がきっかけだったかどうか? それさえ曖昧になっているけれど。 学生はかなり集まり、やがて構内をデモ行進し始めた。この時、構内に待ってました! とばかり機動隊が入って来たのだ。有無を言わせず、私も例のジュラルミン盾で押された。いやはや、ものすごい力だった。こうやって言いたいことを言えなくしてきているのだということを、その時ボクは実感した。 人々の行動を実力行使で無理矢理押さえ込むことの理不尽さに憤る気持ちは、この体験からボクの身体の奥底に居座ってしまう。反面教…

  • オヤジのあくび288

    ボクが学生だった頃の話1 私が通っていた大学は、昭和史上に名を記す「浅間山荘」事件に関わった学生が多いことで知られている。学生の傾向として、二期校コンプレックスというネーミングをいただいたのもこの頃で、共通一次がスタートするきっかけの一つとなっているらしい。ボク自身は東大を落ちたわけでなく、たまたまその大学に合格させてもらっただけなのだが、せっかく入ったのだから、キャンパスも保土ヶ谷に移ったばかりの綺麗な新校舎だったし、せいぜい楽しくやろう! 的な気持ちがグリークラブ入部につながっている。女の子と話すのが苦手だったことも理由の一つだけど。ちなみに女性恐怖症は今に続く。(これ本当) ところで、案…

  • オヤジのあくび287

    池上彰・佐藤優「希望の資本論」を読む どうしても政治運動としての社会主義、共産主義が話題に上るのだけど、共産という言葉が、元々日本で作られた言葉であるとは驚いた! 中国共産党の党名は日本から輸出したものだったのですね。話は戦前日本の講座派による日本特殊論と労農派による世界システム論的な視点の対立が、その後どのように影を落としているのか? が語られる。戦後の思想史を彩る主だった学者の立ち位置が分類されていて面白い。ちなみに池上彰氏には労農派の匂いがすると佐藤氏は語っている。 その後、いわゆる過激派も含めて、どのように分裂分派したか? が語られるが、学生時代の記憶も脳裏をよぎったので別に語ろうと思…

  • オヤジのあくび286

    中野東禅「良寛」を読む 如今、険崖に手を放ちて看るに、ただこれ旧時の栄蔵子。 40年間の修行を振り返って、何のことはない子どもの頃の栄蔵のままじゃないか! という一文。肩書き、名誉、金銭は、本来の自己に何の役にも立たない。ごまかしようがない自己に安住しようという呼びかけ。 手毬を袖に忍ばせ、子らと遊ぶ良寛は、誰にでも心を開くような、庶民と気持ちが通い合う僧侶だ。けれども、その本質はやはり禅僧であり、矛盾するようではあるが世事の生活とは一線を画している。フランクな存在としての良寛と、どこまでも深い精神世界の奥底に佇む良寛とが、一人の人格の中で同居している。だからこそ人々にとって興味が尽きない存在…

  • オヤジのあくび285

    鈴木大拙著 北川桃雄訳「禅と日本文化」を読む4 禅と俳句 はじめに加賀千代女の俳句「ほととぎす ほととぎすとて 明けにけり」が引用される。 俳句が直観的理解の反映であり、概念とか理屈とかではないことが、おなじみ芭蕉の「古池や 蛙飛び込む 水の音」で示される。大拙は、この句を創出させている宇宙的無意識に言及する。 そして、散文とは全く対照的な17文字の世界こそが、他の人に元来ある直覚を呼び起こすと言う。 俳句に限らず、国語の授業には解釈が必要とされていて、本書でも名だたる名句に対する解釈が引用されている。けれど千代女の句にしても「釣鐘に とまりて眠る 胡蝶哉」蕪村の句にしても、分析的に状況場面を…

  • オヤジのあくび284

    鈴木大拙著 北川桃雄訳「禅と日本文化」を読む3 禅と儒教 禅は、インド仏教が元になっているとはいえ、中国を経由して、かつ中国で儒教と半ば一体がしながら、南宋の頃に日本に持ち込まれた。禅とは、一切の理屈や言葉を否定した境地なので、グチャグチャ言わせない儒教倫理と結合しやすかったのでしょう。 朱子学と言えば、江戸幕府が身分制度維持、秩序維持のために、奨励したように理解されているが、本書では朱子自身が南宋に身を置き、情けない官僚の姿、国を北方民族に奪われる様を見て、己の名、位、分=役割、立場、責任を弁えよと諭したらしい。 禅と茶道 茶道と言えば、千利休の名前が思い浮かぶのですが、利休以前の人々も茶の…

  • オヤジのあくび283

    鈴木大拙著 北川桃雄訳「禅と日本文化」を読む2 禅と美術 初めに禅が美術に及ぼした影響として、侘び寂びが語られる。水墨画では南宋の画家馬遠による一角様式の影響など。非対称、釣り合いが取れない表現に理詰めの西洋美術とは違う世界があると語ります。わざと画面に何も描いていない広い空間が残してあることに禅の影響があるのだそうです。 禅と武士 続けて鎌倉武士。北条時頼、時宗父子に始まる武士と禅の関わり。迷いを捨てて自分が心に決めたことへまっしぐらに進む生き方をサポートした禅。功罪半ばするけれど、その精神性は今もどこかで流れている気がします。 この章には、柳生但馬、塚原卜伝、武田信玄、上杉謙信など名だたる…

  • オヤジのあくび282

    鈴木大拙著 北川桃雄訳「禅と日本文化」を読む 禅のモットーは、言葉に頼らないところにあるという。ではこの読書感想文もどきのブログもどきは一体何を語ればいいのか? 元々原文が欧米人向けの講演で英語だから日本人の著書なのに訳者がいる。だからこそ執筆からかなりの歳月を経ても、すっかり欧米化した今の私たちにもわかりやすいのでしょう。 禅は、形式主義を否定して系統的な科学を遠ざける。そして規範的な道徳とは結びつかないと、大拙は語る。最終章では、禅=悟りと言う。私たちは何とまぁ遠いところへやって来てしまったのだろう! 私たちが日常息苦しさを感じる主な原因を80年以上前に言い当てているではありませんか! し…

  • オヤジのあくび281

    頑張った結果に責任がもてるか? 5 かなりテキトー教師だったボクにも転機が訪れました。40歳を迎えた頃のことです。その頃校内に「新しい学校づくり委員会」というチームができて、なぜか? メンバーに選んでいただきました。1990年代の後半、学校像、教育観はかなり揺らぎまくっていましたが、勤務校でも今までと同じことをしていては、ダメでしょ! 的な雰囲気ができたのだと思います。私がそこで学んだことは、結局は地域の中に学校があること、地域なくして学校なし、という考えです。未来の街をつくるのは子どもらなのです。 転機でした。そして学校運営・これからの学校づくりに関心が高まりました。それから退職までのおよそ…

  • オヤジのあくび280

    頑張った結果に責任がもてますか? 4 子どもたちは、学校に来たら先生の顔を見て過ごさなければなりません。先生が怖い顔をしていたり、ピリピリしていたら、それが子どもに伝染することは疑いのないことです。 私は、教師としての資質能力など大してないと開き直って、とにかく楽しい先生でいたいと、極めて単純ですがそれだけを考えていました。 アクティブラーニングなんて難しい言葉を使っていますが、要は子どもと対話しながら学習を進めるってことでしょう? 何か、これもしなくちゃあれもしなくちゃと思い詰めると、確かに今も昔も教育現場はパンクです。仕事の忙しさを勤務時間で計ってもパンクです。 けれども、要はスタンスじゃ…

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