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さい
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沖縄市
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豊見城市
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2008/02/19

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  • 呼ばれて・・・

    近所をうろついてみた所で、雄二の気分が晴れることは無かった。丁度日が暮れ始め、商店街の通りを歩く人間が増えてきたことも雄二の苛立ちを増長させていた。 商店の軒先の親子連れ、帰宅途中であろうサラリーマン、脇を駆け抜ける小学生。至って普通の日常が、普通であるが故に我慢がならない。雄二が周囲の人間を威嚇する様に睨みつけながら歩くのに合わせ、通行人が道路脇へと寄ってゆく。 ふと雄二の視界に一人の女性…

  • 黒の童話

    一人の天使がおりました。 天使の仕事は水汲みでした。 バケツに水を汲むのです。 一つのバケツに一掬い。次のバケツも一掬い。 次々水を汲んで行きます。 お休みはありません。毎日毎日汲むのです。 その日も天使はバケツに水を汲んでおりました。 そこに一匹の悪魔が通りかかりました。 悪魔は足を止め、暫く天使の仕事を眺めておりましたが、不思議に思って天使に話しかけました。 「君はどうして穴の空いたバケ…

  • Abaddon

    「この画面上のものがそのプログラムということです。」 女性アナウンサーがカメラに向かって告げた。傍らに立つ白衣の男性が頷きながら説明する。 「そうです。これが現在実験中の感情モデルプログラム、A10です。」 「人間の感情がこのプログラムに組み込まれているそうですが。」 大げさなほど真剣に尋ねてみせるアナウンサーに、軽く笑みを浮かべつつ男が答えた。 「いえ、人間の感情そのものが此処にあるわけで…

  • アフロディーテ5

    可奈はこれまでの日課だったバスケ部の練習見物に行けなくなっていた。勿論、志郎に対する熱が冷めてしまった訳ではない。ただ、あの神社で願掛けを行って以来、得体の知れない罪悪感が可奈の心に巣食ってしまい、その為志郎の姿を見に行くという他愛無い行為ですら躊躇われていたのだ。 そんな可奈の変わり様を、親友と呼べる間柄である裕子が見逃す筈もない。裕子にはその理由も見当が付いていたのだが、敢えてその話題には触…

  • Roots

    ふと、筆が止まった。 少女が辺りを見回すと、すでに部室に人の姿は無かった。 一つ大きく伸びをして少女が立ちあがる。 電灯のスイッチを入れ、部屋の隅に目をやる。 そこに並んだ友人達の作品。少年の肖像画、校舎、楽園のような風景画。 それは一人の少年を弔う作品群。友人へのいわばレクイエムだ。 少女は微かに溜息を…

  • 更新再開します。

    お久しぶりです。管理人の さい です。 ご報告もなく更新が滞っておりました。 大変申し訳ありません。 2ヶ月程前から個人的に環境の変化があり、PCを暫くネットに繋げることすら出来ませんでした。 今後はまた随時更新して行きます。 更新頻度は以前より更に少なくなりそうですが どうぞよろしくお願いします。

  • 君はどっち

    私の友人にある男がいてね。 普段から社交的で顔も広い男なんだが・・・ある時まるで人が変わったように塞ぎこんだ時期があったんだ。 その時、私も友人として何とか力になりたくて理由を聞いたんだ。 その男から聞いた話はこうだったよ。 彼が一人で街を歩いていた時の事だ。頭上からなにやら風を切るような音が聞こえたらしい。彼がそれに気付いて上を見上げた瞬間だ。彼のほんの数メートル目前に派手な音を立てて…

  • 死後の世界

    僕なりの研究結果。 まずはロープをしっかり固定する。絶対に外れないように一度体重をかける。 問題ないようだ。 ロープの長さは先が床上180cmで固定されている。計算通りだ。 おしぼりのように巻いたタオルを2本、首に当てる。 位置をずらさないように注意しながらガムテープで固定。此処が一番重要だ。気管を圧迫してはいけない。確実に動脈のみ、押さえるように・・・。失敗は許されない。慎重に。 椅子の…

  • 応援ありがとうございます。

    お久しぶりです。管理人の さい です。 このブログを始めて2ヶ月ほど経ちますが、今回人気ランキングで100位内に入ることができました。非常に嬉しく思います。 これも皆様の応援あってのこと。 一言お礼を申し上げたく、今回の記事を書かせて頂きました。 本当にありがとうございます。 小説に関してですが、長編は現在書き溜めている途中です。暫く更新できないかもしれませんがお許しください。長編がある程度…

  • アフロディーテ4

    僕はすっかり舞い上がっていた。あの夜を思い出すだけで自然と顔がにやけてくる。 柔らかい唇、細い肩。ああ、もう何と言っていいやら・・・。いやいや、キス程度で喜んでちゃいけない。これからもっと二人の仲を進展させなければ。・・・進展か・・・いいなぁ。 突然、強い衝撃が僕の頭部を揺さぶった。と同時に妄想も全て吹っ飛ぶ。 「何をにやついてんだよ、気色悪い。」 僕は足元に転がったバスケットボールを拾いな…

  • 鳥の飛ぶ岬

    夢の中で恋に落ちたことがありますか。 僕にはずっと忘れられない人がいる。 いつも夢に出てくる、白い帽子にワンピースの女性。そこは決まって眼下に海を見渡す岬で、彼女はじっと海を見詰め佇んでいる。彼女の周りには白い海鳥が飛んでいて、僕は少し離れた場所でそれを見ている。それだけの夢。 子供の頃から何度となく見続けてきた夢。 彼女に恋をしていると気付いたのは何時だったか。もう覚えていない。もう、だい…

  • 私に出来なかった事

    ちょうど私の高校生活が終わりを告げようとしていた春の話だ。 一人の教師がいた。彼は別段生徒から嫌われているふうではなかった。 しかし間違いなく好かれているわけでもないことは、彼の居る教室内の空気から容易に察することができた。まるで影のように生徒に扱われていた男だった。それは恐らく、最後まで変わることは無かったのだろう。 その教師は私にとっては好感の持てる人物だった。とは言っても特別な交流があっ…

  • 短編挟みます。

    ちょっと短編をはさみます。 どうしても書いておきたい話がありました。 長編の続きを待ってくださっている方、もしいらっしゃったらもう少しお待ちください。 ちょっと調整中なんです。少しでも完成度を高くしたいので。 本当すいません。

  • アフロディーテ3

    目の前に大きな鳥居が見えてきた。どうやら結衣に聞いた通りの道を迷わずに辿れたらしい。 可奈は迷っていた。こんなことをしたって意味が無い、引き返そうか。そう思いつつも可奈は、その歩みを止められずにいた。最早、出来る事といったらこんな事しか無いのだ。このまま、何もせずにこの恋を諦めてしまうのは辛すぎる。意を決した可奈は、境内に続く石段を駆け上った。 神社の境内に入り暫く歩くと、今度は社が見えてくる…

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