赤い芍薬も咲く。ふんわりと。折々風に花びらが巻かれたりして。芍薬には異名として顔佳草(かおよぐさ)もあるという。見てまさしくそのとおりだと。そういえば顔佳草はカキツバタにも充てられている。昔の人の感性が美しい女性の面影をそれらの花に投射しての名付けなのだろう。あやおや、脚を花粉まみれにして……。 紅芍薬はそろりとそろりの平安の女(ひと)しなやかであでやかで (上武旋転子)...
アヤメの横では背丈の低いこぶりの白いアヤメも。ずっとシロアヤメと呼んできたが正しいのかどうかはよくわからない。検索すると鎌倉長谷寺ではそれは“三寸アヤメ白”と紹介されている。それが本来の名かもしれない。アヤメのような強い繁殖力もなく、何年もその大きさの株のまま。小さいけれどその楚々とした佇まいがいい。ひとまずこの時期のアヤメ科の花はこれで終わり。残りは夏盛りのヒオウギのみとなる。 そうか五月も終...
ハコネウツギは色移りの花。白い花とピンクの花と赤い花が一緒に。その色の違いは、それぞれの花の咲いた時間。花言葉は「人の魅力を引き出す」だとか。魅力……かあ。 移ろいのはこねうつぎに浮かぶ楽しい日々悲しい出来事 (奈美あや)...
青い空にツルバラ。高いところでツルバラ。枝を撓めてツルバラ。木により掛かってツルバラ。五月の庭に赤いツルバラ。それは家で一番古いバラだ。それはほんの小さな苗だった。 薔薇を見て過ぎ去りし時のさまざまさくっきりとあるいはぼんやりと (居山聞涛)...
たっぷりとした白い八重の芍薬がある。白い花びらの芯の部分に赤いマーブリング模様が施される特徴がある。一年に一度出会えるこの花の不思議と美しさ。植えてからもう10数年以上になる。「氷点」という名が付いている。ほかにも芍薬があるが、印象深いこの花の名前だけを知っている。その昔、『氷点』いう小説があった。 「五月がそろそろ終わるのだよ」と自分に言い聞かせて日記を閉じる (居山聞涛)...
近くの多くでは田植えが終わった様子。10㎝程の苗が整然と並んで水面の上で揺れている。秋の実りに向けて、「これから始まり」の様は見ていて清々しい。我が家の庭の横を流れる井水の量も増えて勢いよく流れている。私は生涯においてたった一度だけ手で田植えをしたことがある。それは20代の初めの頃、職場の先輩が「何事も経験」と自宅の田んぼに誘ってくれた。だいぶラインが曲がっていたこと、泥の中の足がなかなか抜けなかっ...
カルミアはツツジ科だという。花の大きさや形はまるで異なるが。たとえば蕾は濃いピンクの美味しそうな金平糖。たとえば花は開いた日傘。傘を内から見るように中にはビザギザ模様が施され、雄蕊が骨のように並び雌蘂は柄。かわいい、楽しい花。「ズームで研修会を開きます」と案内があった。無理だ。やめておこう。...
姫沙羅がぽつぽつと咲き出した。それは白い5弁花の花。いい味を醸している。姫沙羅は2本を一緒に並べて植えた。でもこちらのがいつも早く咲く。花も少し大きめで花数も少ない。品種が違ったのだろうか。その横にはやはり同じ時に植えた沙羅もあるのだが、それには蕾はまだ一つもない。入梅は来週後半だと天気予報士を語っていた。野山を、草木を潤す季節を迎える。それも人の生活に支障を与えずにほどほどであればいいが。...
芍薬にも時が訪れる。先に咲いたのは外花弁のみを薄紅色に染める白い芍薬。物静かでふんわりとしたそれは風の誘いに任せて乱れ。あふれる黄色い蕊の中で虫も恍惚に。「芍薬は好きな花」と言ってた人がいた。何かの思い出でもあるのだろうか。 そろりと歩く着物姿の女性を思い描かせて悩まし白芍薬 (居山聞涛)...
白木蓮の下に咲く花がある。それは夏蝋梅。ずっとこの日当たりの悪いところで。でもそこに植えたのは私。人目に付きそうもない場所なのに。なぜそこだったんだろう。しっとりとした花だ。しとやかで。 咲くのはいつも白木蓮の下しとやかに微笑み返して夏蝋梅 (上武旋転子)...
柿の花は目立たない。大きな葉に比してそれは小さ、しかも葉色と同じ萼に包まれるようにしてある。花そのものも地味なクリーム色で。厚みのある4枚の花びらは反り返る。中にはやはり先をくるりとした雌蘂。今年も秋の実りは期待できそうだ。義姉さんが箱いっぱいの苺と一束のミツバを持ってきてくださった。いつもありがとう。 歌人の姿を忘れさせる程に苺届け...
白、ピンク、青の矢車菊が咲いている。どれも去年のこぼれ種からのもの。今年は今年でまた新たに紫、紫のも加えて蒔いた。それらはたぶん盛夏の頃に顔見せしてくれるはず。青いのにクロアリが遊んでいるのを見つけた。安心、安全の中を気ままに自由にのんびりと。知人から恒例になっている個人の薔薇園への誘いがあった。27日金曜日、いつものメンバーでということである。そろそろ来るかなと思っていたところだった。楽しみに出か...
ピラカンサ(Pyracantha・タチバナモドキ) ~気持ちのいい五月の空~
たくさんの小さな白い花はピラカンサ。梅に似た5弁花で、中には50本程の雄蕊が立つ。咲いたばかりの雄蕊は象牙色で、時間とともにだんだんに赤茶色に変わる。それは秋にヒヨドリやジョウビタキなどの好物のオレンジ色の実になる。この木は鋭い棘を持ち、枝張りが強い。それで毎年冬の内に強い剪定をする。上の電線にはピチュクチュピチュクチュとツバメが一羽いた。 手を広げ五月の空に心干し (奈美あや)...
梨の木を2本伐った。先に作業がしやすいように、葉のついた枝を太枝切り鋏で落として片付ける。そして残りをチェーンソーで短く切っていく。生木なので切りやすいが、その分幹は重い。もう一本の“豊水”はしばらくそのままにしておく。秋になれば少しは収穫できるだろうから。花畑の向日葵も順調に育って伸びている。一月前に4種類を2つずつ8袋、およそ200個ぐらいの種を植えた。夏の青い空には幸せの黄色い花が似合う。 ...
チェリーセージ(Cherry sage) ~コンパクトにシンプルに~
赤いチェリーセージも咲き出した。小さな紙人形のようなかわいい花だ。その花期は秋遅くまで、とかなり長い。ずっと植えっぱなしの株でだいぶ背が伸びた。茎も木化してきているので、そろそろ切ってコンパクトにするのがいいのかもしれない。生活も思い出もダウンサイジング。今日は少し迷っていた梨の二十世紀と幸水の2本を伐ろう。年相応に今できる能力体力に合うよう少しずつ減らしてシンプルに。 カッコウがアソコで鳴い...
細い枝に並ぶ黄色い花がはエニシダ。遠目では小さな蝶がとまっているようにも見える。近寄ればその咲き方の特徴からマメ科であることがわかる。通常、蕊は花の中に隠れているが、それは受粉を終えると外に露出するのだという。漢字では金雀枝・金雀児が充てられる。でもなぜ“雀”が入るんだろう。見た目で言えば「黄蝶枝」の方があっている気もする。あるいは少しロマンチックに「愛縁花」なんてのはどうだろう。 あふれる黄蝶...
茂る緑葉に囲まれて上品な色は紫蘭。両手を広げたようにやわらかに開く側花弁。唇弁に走る縦襞の魅力。花の不思議な造形。中に小さな花蜘蛛が遊んでいた。 やさしき紫蘭から聞こえる「言葉遣いは心遣いぞ」と (上武旋転子)...
木漏れ日が李を抜ける。そこに枝いっぱいに葉を広げるのは真弓。見ればそれに無数の小さな淡い黄緑色の花。その地味な色と形故、この時期にこの木に花が咲くことを知る者以外は気づかない。葉と枝と花とそれがまとまり調和する真弓。それががこの木の味。 昔、「真弓」という名の人がいた今でも顔を覚えている元気だろうか (居山聞涛)...
久しぶりに青空が広がった。気温も上がった。ああ、気持ちいい。華やかにセイヨウシャクナゲ。艶のある反った蕊の形も、今にもという蕾の形も。ああ、みんないい。花は毎日いくつも落ちている。私は毎日は掃いている。 「あれは何?」と鳥の声箸をとめて立ち「黄鶺鴒だね」と答える二人の食の時 (居山聞涛)...
ジャーマンアイリス(German iris) ~「こつこつ」と~
久しぶりに眞民さんの詩集を読んだ。 「こつこつ」 坂村眞民 こつこつ こつこつ 書いてゆこう こつこつ こつこつ 歩いてゆこう こつこつ こつこつ 掘ってゆこうこつこつはものになり。こつこつは形になり。こつこつは厚くなり。こつこつは高くなり。こつこつは深くなる。こつこつとこつこつを続けよう。青いジャーマンアイリス。白いジャーマンアイリス。並んで薄青のジャーマンアイリス。絵の具の混色みたい。 ...
李の叉に薄紫の花。まとまり咲くそれは着生蘭の石斛。何年も前からそこで。花茎の数にその過ぎた月日を感じる。人にも花にもそれぞれに好きな場所とそれぞれが輝ける居場所。 石斛は李の叉のそこが私の一番好きな場所なのと (奈美あや)...
しばらく前から海老根が咲いている。あるのは楓、花水木、李の下と甘野老(あまどころ)のそばの4箇所。それぞれの場所で毎年少しずつ株を増やしながら。また昨日も雨蛙が来てくれた。その表情、その姿に和む。この庭を気に入ってくれくれてありがとう。 月下美人の葉にちょこんと雨蛙私が目を近づければ彼も私をじっと見る (上武旋転子)...
クレマチスは地植えと鉢植えと二つある。玄関横に置いてある鉢にも少し前から咲き出した。色はさわやか淡紫。でもそれらは私が植えたものではない。以前ある作家の名を冠した彫刻美術館を訪ねたことがあった。そこに併設してさまざまな彩り花が咲くクレマチスの丘があった。その緩やかな丘陵を歩きながら家にもほしいと思った。それからしばらくして庭の“ポンポン咲きの金糸梅”の中にクレマチスが出て咲いた。鳥がプレゼントしてく...
ビジョナデシコ(美女撫子・ヒゲナデシコ) ~自由に交じりあえる道~
白や赤いやピンクなどの美女撫子。花の中に輪を持ったりするものも。カリフォルニアポピーとケイランサスの黄色に見え隠れて。あっちにこっちで。幸せを運ぶという燕。その飛び交う数も増えた。空は彼らのどこでも道。のどかで平和で自由に交じりあえる道。 「寄り添うという言葉を軽々しく使って欲しくない」と、何をすればいいのか五月の燕よ (居山聞涛)...
奥に風知草と楓。手前には大きな二つのホスタといくつものミニホスタ。その中に一輪の青い花。今年も花びらに白い一筋を引いてカキツバタ。花言葉に『思慕』とあるのは古き歌人の妻恋う歌に因るのか。そして貌吉花(かほよはな)の異名もあるというその佇まいはまさに。日当たりの良いところへ移してやればいいのだが。私はその場所がこの花には似合うような気がして。そこで眺めるのが好きで。 いつか覚えた古(いにしえ)人...
このところ毎日のように、雨蛙が庭のそこここに来てくれる。昨日も月下美人の広い葉にちょこんと座って。ずっとじっとしてして。私は目を近づけ、前から横からそして後ろに回る。背中を人差し指でちょんちょんと押す。彼は体の向きを少し変え、一二歩前に動く。また押す。また向きを変える。そして右指で持って左の掌に乗せる。いやがるふうではない。また葉に戻す。「遊んでくれてありがとう」 悟りの顔して雨蛙今日は月下美...
アヤメの横には白いジャーマンアイリスも。そして近くで聞こえたのは雨蛙の声。ゲッゲッゲッ……。彼らにとっても動くにいい季節。そのうちガラス戸にへばりつく裏姿が見られるか。 人の心にも時には雨もいい少し立ち止まらせて思いを深くさせて (上武旋転子)...
ラナンキュラス・ゴールドコイン(Ranunculas repens 'Gold Coin' ) ~心励まされ~
黄金色の艶のある八重の花はラナンキュラス・ゴールドコイン。辺りを明るく賑やかに。そして励まされる気分にもなって。ふと自分の心の金貨は……と。 小さな花に心洗われて歳を見つめる (奈美あや)...
ナンジャモンジャノキ(ヒトツバタゴ・一つ葉田子) ~この木の名を誰も知らず……~
木に雪が降り積もったような様はナンジャモンジャノキ。花びらは4枚に細く切れ込む。その奥にわずかに赤い色を覗かせる。清楚で爽やかで。時に散歩やウオーキングの人にその名を尋ねられたりする。「ナンジャモンジャノキです」と答えると、だいたい「えっ?」と返ってくる。「江戸時代にはそう呼ばれていたようですが、正しくはヒトツバタゴという木です」と付け加える。高くなりすぎないように主幹の頂部は切った。横に広がり、...
アヤメは増える。それはたった一つの株だった。その一つの立ち姿もまとまりの様もそれらはいつか見た日本画の世界。そして蕾も、咲きかけも、開ききったのも。どれも菖蒲としての美しさ。さらには花の奥にある妖し文様も魅力的で。アヤメは増えた。これからもきっと増える。 隣り合う高さに差のありて琴の音の響きを見る菖蒲かな (奈美あや)...
道路から家へ入るところにまとまって小さな桜色の花がある。それは毎年咲く宿根草のツルコザクラ。この愛らしい花が咲くともう夏は隣。そういえば、きのう卯の花にもいくつも蕾があるのに気がついた。 スパティフィラムの鉢替えをするまた一つ歳を重ねた私も一回り大きくなれと (居山聞涛)...
山茱萸の下ではコデマリも咲く。小さな白い花が密集し丸くまとまる。花は五弁でたくさんの蕊を持つ。近くの里山から小綬鶏(コジュケイ)の大きな声が届く。今年の初鳴きだ。「チョットコ~イ、チョットコ~イ」と、聞いていて楽しくなる。 野山には彩りと笑いありて変わらなきゃと言い聞かせている五月の私 (上武旋転子)...
田に水が張る。その中を首を下にしてサギが歩く。餌になるものがいるらしい。中山さんが農作業車に乗って手を振っていく。義姉さんがまた袋いっぱいに三ツ葉を届けてくれる。庭には長い距のある赤みのセイヨウオダマキ。 何気ない景色と日常こその幸せとしみじみに五月 (居山聞涛)...
今年はこれまでにいろいろを切った。そして昨日は高くなった金木犀を一本。幹には苔もだいぶ生えている。植えてから30数年は経つのではないか。その周りが少しすっきりした。まだ何本かあるので花と香りを楽しむに差し支えない。李の木の下では黄花碇草が咲いている。少し光沢があって淡黄色のシルクのような肌の花である。 不思議な生をつくづくと考える五月の吾 (実野滸人)...
竹箒を買った。広葉樹の中にはこの時期、古い葉が枝を新葉に譲って自ら散るものがある。たとえば金木犀などのように。その落ち葉を掃くために。前のはまだ使えないことはないが、穂がだいぶ短く固くなった。去年も同じ頃に買い換えた記憶がある。だいたい1年ごとに新しくしているのだと思う。さっそく使ってみた。長く細い穂先が柔らかくていい感じだ。私は庭や畑を掃くのが好きだ。畑の一角には大きな株になったラズベリーが立ち...
鮮やかな赤と紫の牡丹も咲く。どうやら今年はこれでおしまい。黄色いのには花は咲かなかった。家人が6日間の旅から帰ってきた。いろいろに楽しめただろうか。これでようやく食事の心配をしなくてすむ。よかった。 「高きに灯をともしましょう」と牡丹が語りかける5月10日 (居山聞涛)...
姫楮に雌雄の花が一緒に咲いている。細い糸状の集まった赤いのが雌花。それは夏にラズベリーのような朱色の実となる。甘味があるが、食べた後に口の中に残滓があるのが気になる。雄花は濃紫色の球状の蕾が割れて、中から黄白色の花と蕊が飛び出す。両方ともに一般的な花びらの形をしていない。この木も近縁の楮と同じく皮が和紙の原料に使われるらしい。それがなぜ家にあるのかよくわからない。邪魔にはならないのでいいが。 ...
ジャーマンアイリス(German iris) ~たっぷりとして~
ジャーマンアイリスも咲く。花びらはたっぷりとして。おおらかで堂々として。華やかで。原産地は欧州。………………。 アイリスのなんと豊かなことラジオからは『花はどこへ行った』の歌が流れて (居山聞涛)...
ギザギザ花びらの白牡丹は御国の曙という品種。膨らむ赤い蕊を朝陽を見立てての名付けだろうか。黄鶺鴒が来て地面を突いていた。何を食べているのだろう。その上の桜には小啄木鳥(コゲラ)も鳴く。 白牡丹咲く庭に黄鶺鴒の来て遊ぶ風さわやかに五月 (奈美あや)...
一人のティータイム。今後の予定をカレンダーに書き込みながら。公募展の搬入は9月21日と。するとお客さん。玄関に出ればご近所の西山さん。南アルプス村という袋を差し出して「主人と行ってきたの」と。そこは私も20年以上も前に訪ねたことがある仙丈ヶ岳の麓の道の駅。袋を開くとクロワッサンが10個。家族はまだ連休中の旅。夕食にした。美味しかった。残りは冷凍に。五月はアヤメ科の季節。イチハツも咲いている。好きな花の一...
衝羽根空木も咲きます。鐘状花の中にはオレンジの網目模様が入ります。やわらかな毛を持って二つずつが寄り添うようにして。花言葉は「長い友情」。老いてもなお、友の存在はうれしいものです。 木の花に生き方問われる五月かな (奈美あや)...
薄紫のクレマチスがあるのは染井吉野の下。“ポンポン咲き金糸梅”の中で、その枝に蔓を絡めて。蕊の形もなかなか美しい。仕事もすべて終えて一息ついていた夕方、旧友から電話があった。特段の用事があったわけでなく、物作りの事や近況報告などを。アヤメ、カキツバタ、イチハツ、そしてヒオウギについても。15分程話しただろうか。「千畳敷にも来れると良いね」と結んで切った。クレマチスの花言葉には「心の美」「精神的な美し...
ニシキギの花は小さい。しかも葉色に近い。だから目立たない。そばを通る人も咲いていることに気がつかない。与えられた錦という名は花にではなく、葉のためのもの。それは秋に鮮やかに紅葉する。その美しい様は楓に並ぶ。植物もそれぞれに輝く部分や時を違えて持つ。...
ブルーベリーの木にたくさんの白い花。膨らむ形は空に浮かぶバルーンのようにも見え。その基部は青紫色。夏の盛りの頃にはこれがみんなその色の実に。今朝起きてメール開けば知人から写生会の誘い。半年ぶりとなる。楽しみに出かけよう。 携帯ラジオで人の動きやイベントの様子を聞きながらつば広帽子を被って剪定作業が私の大型連休 (居山聞涛)...
ケイランサス(ニオイアラセイトウ・匂紫羅欄花) ~「そうだ、髪を切ろう」~
ケイランサスが咲いている。菜の花に似た総状の濃黄色の花で香りがする。交通量が多くなった。県外ナンバーの車が目立つ。何処へも出かけない私。「そうだ、髪を切ろう」理容店に行き、短くカットしてもらった。すっきりした。10年余続いた髭もさっぱり落とした。心の中もこうしてバッサリ切ることができるといいのだが。 高校の同期生に黄綬褒章の知らせある当時よりのその誠実な顔が思い浮かぶ (上武旋転子)...
斜めになった花茎に垂れて並ぶ甘野老。細長の白い花が寄り添って二つずつ。先端だけが少し薄緑に染まり。閉じられたその部分が控え目に開く。葉は笹に似て、その縁辺に白い斑が入り。見ている自分の心と顔が穏やかになっている。 アルバムの中にグローブ構える小学生の私そんな時もあったモノクロのこどもの日 (居山聞涛)...
リナム ペレネ(Linum perenne・宿根亜麻) ~海の色を思わせる青~
海の色を思わせる青い花は“リナム ペレネ”5弁の花は少しの艶を乗せる。去年の株からまた咲いて。「出てきてくれてありがとう」。私は染井吉野の木に登って張り出す長くて太い枝を切った。薔薇やクレマチスなどへの陽の入りが良くなった。「いい仕事してます」と自分を褒める。...
白い牡丹に木漏れの光が届く。一つひとつの花びらは白とグレーのソフトグラデーションとなり。前の花びらは後の花びらの影絵となる。上から覗けばその中にはたくさんの黄色い蕊。麗しさと気高さと優しさと。 白牡丹に昔そういう佇まいの麗女がいたかもしれないとふと春草(しゅんそう)の絵を思い出し (上武旋転子)...
細い花茎の先に黄色やオレンジの花。中にはわずかだが白いのも。やわらかな花びらは少しの風にも揺れて。それはこぼれ種からのカリフォルニアポピー。和名では花菱草。家人は今日から6日間の旅に。料理の出来ない私……。 花菱草の花言葉に「私の願いを叶えて」とあって今更何を願う私 (居山聞涛)...
桃色の牡丹がいい香りを放つ。風が花びらの形を崩す。「二十日草」の名もあって花は「花開き花落つ二十日」とか。見て味わい楽しむに長すぎず短くもなく。 見た絵のように牡丹咲いて木漏れ日の中で時間は止まる (居山聞涛)...
春闌の五月。人々は動き、娯遊する。草花は冬に蓄えていたエネルギーを色や形にする。鳥の声も幾種類かの響きとなり。そして私は一人、この時期だかからこそしなくてはならない手仕事に春仕事に明け暮れる。気温も湿度も作業するにはほどよくて。花を下向きにして黄花宝鐸草。まだ途中のように見えるが、これで全開。 吾月娯月悟月期月GO月と字に遊んで私は五月が好き (奈美あや)...
私の部屋には君子蘭。太い茎に花が11個。外向きに8個、内側の3個は上向きに。去年大きな鉢に植え替えた。そしたら咲かなかった。2年ぶりという事になる。西日が当たる。一つの花の花弁は六つ、それに相応するかのように雄蘂も六つ。広線形の葉の濃緑色と鮮橙色のコントラストが美しい。 五月の風にドドドドとバイク連なる私は草払い器をうならせて汗をかいている (居山聞涛)...
鈴蘭を初めて植えたのは15年前の新聞に載っていたコラムがきっかけだった。当時、次のように書き残している。 【スズランの花は、なぜ下向きに咲くの?】(中日新聞)こういう事だという。スズランは下向きに1列に咲き、しかも花びらの先端が上に反り返っているが、これには立派な理由がある。ではスズランなど下向きに咲く花の先は、なぜ反り返らなければならないのか。それはハナバチが蜜を吸いやすいようにするためであり、彼...
ライラック(リラ・lilac・lilas) ~紫丁香花(むらさきはしどい)~
今から3年前の今日、古い友人が家族で我が家を訪れてくれた。前日に碌山美術館を見て蓼科で泊し、その翌日に脚を伸ばして。その時、ちょうどライラックが咲いていた。「これがライラック……、初めて見た」と感慨深げに話してくれたのを思い出す。今年の連休はどう過ごしているのだろうか。あの後は東山魁夷の描いた御射鹿池にも立ち寄ったようだった。「次来るときは中央アルプスの千畳敷を案内するよ」と話しておいたが。同じ時が...
「熊の目撃情報が寄せられました」と町の広報が注意を呼びかけていた。場所は川向こうの地区なので、心配はない。先だってはインター近くのドラッグストアへ買い物に行く途中で数匹の猿を見た。果樹園地帯なので野生動物がよく出没する。互いに影響及ぼすことなく共存できればいい。楓の下に海老根がある。風知草やホスタや燕子花に囲まれて。立ち上がる1本の花茎には十数輪が咲く。花はおさなごが手を広げているようにも見える。...
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知人の画家、Hさんから電話があった。12時19分、昼食を摂っていた時だった。「これから桜を見に行きたいと思いますが、都合はいかがですか」と。「何時頃ですか?」「2時半を予定にしています」「いいですよ。人数は?」「私一人です」「わかりました」食事を済ませ、外のテントの下にお茶と少しのお菓子を用意して待つ。彼岸桜の花びらが地に広がる庭に青い車が入って来る。「これ、どうぞ」とレジ袋を渡される。中を見ると、桜...
花蘇枋は紅白あって、少し遅れて白花も咲く。丸味を持つ小さな蝶形花が枝にびっしり付く。このあとハート型の葉が展開する。マメ科の木で、花後にはエンドウなどと同様に莢を付けた実が生る。飯山の“菜の花畑”が例年より早く満開だとローカルニュースが伝えていた。行ってみたいとも思うが、ちょっと遠いか。 四月の風に新しい物語があるように感じてどこか遠くへ出かけたくなった (居山聞涛)...
四月の楓は爽やかな青い葉です。そしてその今、たくさんの花を咲かせます。それは赤みのごく小さな花で目立ちません。あまりにも地味できっとそこで咲いていることさえほとんど気づかれないでしょう。春の木の花、たとえば人を惹きつける梅、桜、桃、あるいは花水木等々を思い浮かべればその差は歴然としています。楓の主役はやはり紅く染まる葉であり、輝く季節は秋なのでしょう。...
カリンも薄紅色の花を咲かせている。それは私には初心な乙女の顔のように見えもする。この2~3日は風があった。花もだいぶ散らされた。下に色が広がる。その小さな花は秋には拳よりも一回り大きな黄色い実になる。数年前までは砂糖漬けにしていたが、もうやめた。 モノもやることも少しずつ減らして身も心も軽くするまたもうすぐ誕生日 (上武旋転子)...
緑の葉がびっしりと長く敷かれる。そこはワイルドストロベリーのところ。今その中に白い花がいくつも顔を出す。それはもれなく実となり、5月から7月頃にかけて収穫できる。実は小指の頭ほどの小粒だがいい香りがしてとても甘い。ワイルドの名が付くように本来は野生種のイチゴ。繁殖力が強く、葉もハーブとして利用できる。私はグランドカバーを兼ねてヤマブキの下に植えてある。ほかの雑草が生えるのを抑えてくれている。 ...
花水木は2本ある。金木犀のそばには薄色のでこれが先に咲く。もう一つ濃い色のが利休梅の横にあり1週間ほど遅れる。枝の広がりや花数にも違いが見られ、濃い方のはコンパクトに収まる。それぞれに味があってどちらもいい。友人が図書館から齋藤孝の本を5冊借りてきて読んでいると連絡をくれた。そして「読後はとてもいいですね。心が潤います」と。 「花を本を愛を贈る日です」とラジオの人が語っていた“サン・ジョルディ”...
カラタチには太くて鋭い棘がある。何度か当たって痛い思いをしている。たとえば落ち葉を掃きながら後へ下がって背中を。花は白い。スプーン状の5弁で蕊から少し香りがする。花びらを落としたものはすでに小さな実の形になっている。食用にならないのが残念。少し肌寒かった。カーディガンを羽織った。風も強かった。玄関の外に出してあった孔雀仙人掌の鉢が倒れていた。3つ付いていた蕾は無事だった。内側に移動した。役場から「...
彼岸桜の下では三葉躑躅が咲いている。私には色辞典が二冊ある。【つつじいろ(躑躅色)】として載るその色見本は両方ともまさにこの色である。その一冊には次のように説明が記される。【つつじいろ(躑躅色)】赤躑躅の花の色から名付けられた色名で、紫みの赤い色を表わしている。すでに平安時代、そのいつの頃からかはわかはわからないが、躑躅という色も名前も知られていたことはまちがいない。たとえば「枕草子」の中で、清少...
ラズベリーはアートガーデンの北側に並ぶ。私の背よりも高い。今それに白い花。花びらが落ちると花托がふくらみ、そして実となる。家のは濃いオレンジ色。およそ6月前後が収穫の時期。消毒などしないのでその場で採って口に入れたりする。気の早い薔薇が咲き出した。この黄色いのはたしかゴールドバニーの名だったか。 木苺に白い花白い花たくさん生れよたくさん生れよ摘みたいよ (居山聞涛)...
昨日は29℃に。風も出て。キクザキヤマブキの花びらは細い。その枝がしなやかに揺れる。せっせと働かなきゃ。春だもの。もっともっと動かなきゃ。 しなやかにゆらゆらりと山吹の風に誘われて四月の29℃ (上武旋転子)...
一仕事を終えてお茶を飲んでいた。枝が屋根に当たりそうになっていた李の剪定などだ。それにしても暑かった。電話が鳴った。ディスプレイに義姉の名が表示される。「リーフレタスを収穫したから持ちに来ない?」と。「分かりました。すぐに伺います」車で5歩ほどの所に一人で住んでいる。玄関にレジ袋に入れて用意してあった。「葱も取ってあったので」ともう一袋。歌の選者でもある歌人が表の顔だが、野菜作りにも年季が入る。私...
茶筒の中がだいぶ低くなっていた。そろそろ用意しなくてはとお茶屋さんにでかけた。長年同じのを愛飲している。それの新茶が出ていた。もうそんな時期なんだ。「今日は暑いですね」「真夏のようですね」そんな会話を交わしながら一つ求めた。利休梅も満開。花は純白の五弁。花びらは縮織りの様。さわやかに。おだやかに。卓にも一枝を。...
今、いろいろに花。小さな草にも高い木にも。そろぞれの色で。それぞれの形で。青い空の下、花水木にも溢れる。花はゆるやかにうねり。色を少しの階調にして。「花水木のすてきな色は造形の神にしか出せない…」以前、そんな文を読んだことがある。 愛の歌がこぼれてくるような気がしてあふれる花水木を見上げている (居山聞涛)...
遅れて鬱金桜も咲きます。黄色い八重の桜です。花びらには黄緑色の斑が見られます。そして咲き進むと中のほうから赤みがでてきます。一味違う桜です。 四月の風に黄桜咲いている道ゆく人は気づかず (上武旋転子)...
梅桃の花は5弁の白い花です。梅のようでもあり桜にも似ています。それは6月頃、赤い小さな実になります。甘味と酸味がほどよく混じります。この可憐な花には「郷愁」の花言葉がありました。「郷愁」……ですか。さて、あと二ヶ月後の収穫を楽しみにしましょう。...
山吹が並ぶ。家を挟んで、花水木の下と桜の下に。あふれて気持ちいい。風に応じて枝がふわっと揺れる。一つは一つでゆかしく。手を添えたくなり。今日は画家の知人宅を訪問する日。石楠花の広がる庭、アトリエ見学、そしてこだわりのコーヒーを淹れてくれるというお誘い。昨夏の約束を忘れずにいてくれて。 やさしく揺れてそっと触れてさまざまな思いを振り返らせるごとに山吹のある (上武旋転子)...
ラジオでパーソナリティーがリスナーに問いかけていました。「あなたが春を感じるのはどんな時、どんなことでしょう」と。草花、人事、伝統行事などの答えが届けられていました。 私の頭に出てきたのは食器洗いです。水の温みを感じ、手袋を外すようになったことです。片栗とか福寿草とか蕗の薹なども思い浮かんだのですが。洗い物をするとき、少し前までは水が冷たくて、手袋をしていました。それが今は素...
庭桜は白い八重の桜。蕾の時は少しの赤みをまとっている。他の桜が散った今、時を置いて咲く。埋め尽くすように白シロしろ。私にもそんな白い時があった。 白いままでいたいと詩の中の青い頃いろんな色に染まり混濁しまった今戻れない (奈美あや)...
昼食を終わって一休みしていた時、穂波さんがやってきた。そして「今朝、清人さんがタケノコを掘ってきたの」と言って大きな袋を差し出す。受け取るとずっしりと重い。「ありがとう。お茶でも飲んでいかない?」「まだ友達のところにも届けるので、これで。じゃあ」中に4本入っていた。新聞に広げる。まだ湿った土がついたままだ。1本はかなり太くて大きく、1面の横幅ほど。それ一つで2.6㎏あった。全部で5㎏を優に超える。家人...
花蘇枋は葉のない枝に鮮やかな躑躅色の花を付けます。マメ科の植物なので同様に蝶形花です。細くて低い木です。太くて大きな山茱萸の木の下にあります。あ~あ。青大将がでーんと。いやいいや。つねよりかなり早いご登場です。このところ5月頃の陽気が続いていたのからでしょうか。1分ほどしてのそのそと離れていきました。毎年何度か勝手にやってきて庭を散策します。おとなしいのですが、苦手な相手です。ん~ん。 枝に吹...
ウコギも食べ頃です。手を伸ばして枝を切りとります。さらに作業しやすいように短く揃えます。枝から一つ一つ摘み取ります。葉の付け根には棘がありますので気をつけてします。けっこう時間がかかります。ゆっくりとのんびりと。洗って。茹でて。けずりぶしを乗せて。醤油をかけて。ああ、いい食感。またまた旬をいただきました。 空を切って軽やかに飛び翔る燕今日は一羽二羽三羽 (居山聞涛)...