紫陽花水やりをしていた。と、そこにひょっこり友の顔。時計を見れば8:15、予定では9:00のはず。「いや、ごめん。暑さが気になって家を6:00に出てきたんだよ」「熱中症が心配になってね。私がせかしたの」と元養護教諭の奥様。小諸から途中休憩を挟んで、2時間15分。「お疲れさん。とりあえず、中で冷たいものでも飲んでから始めよう」喉を潤しながら、大まかな作業の手順や道具、材料の確認をする。そして20分、「じゃあ、始める...
糊空木は清涼感のある爽やかな白い花。装飾花は3枚、4枚、5枚とそれぞれ。その様はいくつもの小な蝶がとまっているようにも見え。中の真花も蕊を伸ばしている。今日は小諸から友人夫婦が来て一日いっしょに外働きの日。気温がかなり上がりそう。気をつけつつ、休みつつ、水分を摂りつつ……。 小蝶舞うごと六月の糊空木おしゃれオシャレお洒落 (実野滸人)...
柏葉紫陽花も咲く。杏や楓の枝を抜けるようにして。白い花は何段もの円錐状。たっぷりと。撓んで。下向きに、横向きに。幅広の葉にはほかの紫陽花にはあまり見られない深い切れ込み。それが柏の葉に似ていることにその名は由来する。逆光で見る重なり合う花びら(萼)が美しい。 老いるほどに人生や本物が見えるという言葉を読み紫陽花の前に立つ (上武旋転子)...
アルストロメリア( Alstromeria・Angela) ~最も早い梅雨明け~
やはりそうかと。今年の六月はは雨が少ないと思っていた。そしたら昨日観測統計において最も早い梅雨明けだと。平年より22に日早く、期間も21日と過去最短だったという。すでに真夏日も続く。これからの七月、八月になればどんな暑さになるかと心配にもなる。冷静に、適正に対処と自己管理をしなくてはだ。アンジェラという名の黄色いアルストロメリアがしばらく前から咲いている。そこで咲くようになってから相当の年月が咲く。そ...
二人の来客があった。来てくれたのはおよそ10年ぶり。それぞれ現役の看護師と銀行員。彼女らとは40年来の付き合い。言葉交わせば互いに自ずとその頃の顔になる。当時の思い出話に花が咲いて。育ち行くお子さん達の今にほころんで。時の経つのも忘れて。近況の伝えが一段落したところでNさんが訪問の本旨を話してくれる。その心遣いをありがたく受け止めてお礼を言う。私も29日から始まる自身のプロジェクトについて話す。それが...
花菖蒲も咲きそろう。虚子の句に はなびらの垂れて静かや花菖蒲 いずれもそんなさまに。それは奥ゆかしい和の美。見る心も自ずと穏やかに。 六月流れる時もゆるりと垂れて花菖蒲 (上武旋転子)...
「ん?んん?」草取りをしていた時だった。その音(声)をもう一度確かめた。まちがいない。姿を見つけることはできなかったがそれはまさしく初蝉。去年よりだいぶ早い。これから少しずつボリュームが上がっていくことに。同時に日々地面の穴の数も。また目に耳に夏が一つ。遅れて咲く二本目の小さなヒメシャラ。日々咲き、そして日々落ちて。 今年も変わらずに大きな声を届けてくれてありがとうなセミ嬉しいよ (居山聞涛)...
甘茶も咲く。はなやぐ人がいて。饒舌な人がいる。控え目な人がいて。訥々な人がいる。花もそんな風。甘茶の花言葉には「謙虚」と。この花を見ては自分を振り返る。『仰臥漫録』正岡子規(明治三十五年) 六月二十五日 晴 盆栽の写真、岐阜三浦某より。 写真数枚古竹より。 光琳百図虚子より 六月仰臥する子規写真と絵で景色を眺め私は甘茶を見る (居山聞涛)...
クジャクサボテン(孔雀仙人掌) ~いっしょに咲くといいのだが~
咲き出した白い孔雀仙人掌を玄関前に移動した。いくつかの蕾があって、それが段々に開いていく。花は3日程でだらりの姿に。みんないっしょに咲くといっそうきれいなのだろうが。それはこちらの勝手な思い。花には花の都合がある。夜に咲く月下美人に似るが、これは朝から咲く花。そういえばきのう、月下美人にも小さな蕾を見つけた。七月の半ば頃になるか。今年の梅雨は早く明けそうだとラジオで気象予報士が伝えていた。 ...
こんもりとしたさまで咲いているのはシモツケ。目を寄せれば小さな赤い花が散房状に。一つの花は数㎜ほどの小さな5弁花。その中には多くの細い蘂。この花には「繡線菊」とのやさしい名も。目には素朴な花だが、文字にするとなにか深い物語がありそうで。 いつしか繡線菊とその名を書けるようになったもう何年になるかとしみじみ眺めて (上武旋転子)...
梅を漬けた。去年より数日早い。この時期、毎年する私の楽しみの作業。塩の濃度を10%と20%の二種類に分けて4㌔。一月後の7月の下旬にはできあがるはず。白い河原撫子が咲いている。五枚の花弁は少し波打ち。その先は糸状に細く切れ込む。繊細で優しくて嫋やかで。 言葉せずにそっと支えるような美しさ撫子は (奈美あや)...
房になって咲くピンクと白のやさしいツートンの花があります。庭藤です。これは藤とは違って蔓を伸ばすことはなく、高くもなりません。基本、放置しても元気に育ちます。時々広がる枝を剪定するだけです。昨日もカッコウが鳴いていました。最近それが「アッホー、アッホー」と聞こえるようになりました。私の様々なことへの戒めでしょうか。気をつけます。 耳にアッホーアッホーと届く鳥の声自戒せよやとか六月の空 (居山...
スイートアリッサム (Sweet alyssum) ~笑うしかない~
朝起きて先ずお茶を淹れる。そして一口。それが一日の始まり。昨日もいつものように茶筒を開けて茶匙のすり切りを急須に入れて。そしてお湯を……。だが私が注いだのは急須でなく、左手に持っていた蓋の開いたままの茶筒だった。気づいた時には中の茶葉はお湯に浸かって冠水状態。あ~あ。何やってるんだろう。家人が起きてくるにはまだ2時間近くある。茶筒の中をすべて捨て、中を洗い流し、布巾できれいに拭く。さらにドライヤーを...
紅額の装飾花の多くは今は白い。それは先端のから少しずつ紅くなっていく。そしてしまいにはその名が示すようにすべてが染まる。目を近づければ真花も咲き出しているのがわかる。その形もまた愛らしく楽しい。 光太郎の哀しみと額の花とそこにある六月の感傷 (実野滸人)...
八重十薬が梅の木の下にあります。何段かになって構成される円錐状をしています。最下段の白の中には緑が混ざっているのも見られます。花に見えるそれが葉の変じた総苞であることが分かります。ほんとの花はその上に見えるたくさんの小さな黄色の部分です。花びらを持たない珍しい独特の形をしています。先日、この花がほしいという方がいて、差し上げました。「増えますので植える場所に気をつけてくださいね」と言って。 寄...
上には八つ手。下には風知草。あいだに挟まれてアナベルも花を大きくする。蕾は緑。開いてライムグリーンへ。咲き進むにつれさらに色を薄くし。満開は真白になる。そして形は大きな白手毬のごとに。昨日家人は3つ切ってガラスの器に挿した。 緑より出(いで)色を脱ぎ行く手毬花梅雨晴間の朝 (居山聞涛)...
「気が早くないですか?」と言いたくなる。春の名残の花や咲き始めた夏の花に混じってコスモスが咲いている。それは去年のこぼれ種からの。まだ梅雨の中だというのに。これからが夏本番だというのに。でもまあ、こんなフライングなら愉快。この時期だから、「梅雨桜」あるいは「夏桜」とでも名付けてあげよう。手前には向日葵が伸び始めている。 数えられるコスモス揺れてきょうは夏至 (奈美あや)...
藍色を集めて山紫陽花。野趣の佇まい。素朴な味わい。やさしい装飾花。目立たずに真花。いにしえ人の歌に預ける心をふと思う。あじさゐに私だけの時間。 掌にあぢさゐと書いて思ひ出を包む (奈美あや)...
庭の隅にはドクダミ。山茶花の下の陰するところ。そこらを灯すように。4枚の白い総苞と中に立つ黄色い花穂(かすい)の均衡と調和。その小さな真花にヒラタアブがとまる。 アブよ君と同じに私もドクダミの花と匂いが好きなんだ六月の (居山聞涛)...
薔薇のそばに青い花菖蒲。花はアヤメに似るがそれより一月ほど遅れて咲く。花びらの奥の黄色に網目模様がないことでもその区別ができる。この花には雨もいい。しっとりと濡れる様はいっそう感慨をもよおさせる。 梅雨合間ひたすら手を動かし草を取る過去もあれこれ片付けたいことばかり (居山聞涛)...
久しぶりに美術館へ出かけた。知人の彫刻展が開かれている。ヤギがいて、猫がいて、牛がいて、ヘビも加わったり。動物をモチーフとして、あたたかさとやさしさ、諷刺とユーモア、愛と正義等をテーマに機知に富んだ作品の数々。屋外の木々の下、テラスの上、そしてアトリエ棟内では畳に、風呂場に、壁と障子にと、展示も工夫されて観る者を惹きつける。心洗われた思い。そして刺激と励みに。庭の薔薇も咲く花と散る花が同居して。ミ...
レンズキャップをなくしたのは5月の末だった。それから二週間と少しの昨日、見つかった。庭掃きをしていたときだった。風知草の中にあった。誰かが歌ったように、「探すのを止めたとき、見つかることもよくある話で……」ほんとに。ヒガンザクラの下ではバイカウツギ・ベルエトワールが咲いている。この花は甘い果物のようないい香りがする。花数はいつもの三分の一ほど。弱っているようにも見える。 花を見つつ一人語りいっし...
ユキノシタに囲まれた小さな花はツクシカラマツ。蕾は淡紫。開けば白みを帯び。形は放射状。線香花火のように。どんなに小さかろうが、花は自分の咲く季(とき)を知っているから不思議である。 私に見られるためだけに今年もそこに咲く筑紫唐松は (居山聞涛)...
庭の周りには紫露草。白から赤まで色を違えて。三枚の花びらはそれぞれ丸味を帯びたり三角に近かったり。そして6本の雄蕊と多くの繊毛。それにいろいろな昆虫が引き寄せられる。中には脚に花粉団子をつけている蜂も。花は朝に開き、午後には萎む。午前のやわらかな光が好きらしい。小諸の友人からメール。「午後一時頃、妻と二人で訪問します」と。彼とは学生時代、同じ研究室。そしてまったくの偶然、就職したのも同じ職場。奥さ...
びっしりと長く垂れ下がる黄白色の花。それは雄花。隠れるようにしてある小さな丸い花。それは雌花。そこから特有の強い香りが辺りに放たれる。今、栗の木に花が満ち、六月、梅雨さなかであることを告げる。木は大実の“丹沢”と”筑波”の2本。その向こう遙かには伊那山脈と南アルプス。毎年毎年私はそこに居る。その不思議な花と青くさい香りを浴びながら。 目をとじても胸の奥に届く奇妙な匂い花栗の六月 (居山聞涛)...
朝仕事をしていた。カッコウが鳴いた。近づいた。上の電線にとまった。でもすぐに飛んでいった。カッコーはデクレッシェンドになって。そして消えた。玄関前には孔雀仙人掌。美しい翅を広げておもてなし。 翅を広げ「私のすべてを見てください…」と鮮やかに妖しげに仙人掌の花 (上武旋転子)...
アマリリス(アイスクイーン・Ice Queen) ~スイカを食べた~
「スイカを買ってきた~」と嬉しそうに出す。まだ6月だというのに?早すぎないか。そして「切ってね」と。食べやすいように少し小さめに切る。熊本産だった。フォークで口に運ぶ。甘かった。6月にスイカを食べたのは初めてではないか。。玄関横にはアイスクイーンの名の白い八重アマリリス。 少しの諦めと表に出さぬ嘆き白きアマリリスよ慰めてくれないか (居山聞涛)...
たくさんのユキノシタ。花びらは5枚。下の二つは白く、長く膨らむ。上の三つは短く、赤い点化粧。黄色い蕊はつぶつぶつやつや。いろんな方向へ伸びた細い茎の上でそれぞれがバランスを取るかのようにして。それはまるでキネティック・アート。 「ユキノシタってかわいいね」「かわいい」「モビールをみたいだね」「そうそう」と六月 (上武旋転子)...
ゲラニウム ブルックサイド( Geranium h ybrid Brookside) ~「採ってきたよ」と~
青い花はゲラニウム ブルックサイド。細い茎の上で。ゆらゆらと。5裂した紫色の蕊が伸び出る。蜂がやってきてとまる。「ユスラウメを採ってきたよ」と家人が言った。開いた手に7個乗っていた。その場で一つ取って口に入れた。 花が咲いて花を見てふと思った花に見られているのだと (上武旋転子)...
久しぶりに町の温泉施設に行った。駐車場には愛知、岐阜、山梨、東京などの県外ナンバーも多く見られる。以前は県内客に限定されていた。そして入ってすぐのところには係の人がいて、居住地と氏名、それに電話番号を記入し提出させていた。それらはすべて撤廃されたようだ。(マスク着用は継続されている)少しずつ元に戻りつつある。メインの展望大風呂、次に露天風呂、ラジウム鉱泉、絹の湯、ジェット風呂、そして薬湯に。ああ、...
ウツギの花人知る夏の歌。ほのかに香り。ウツギの葉。肌はザラザラ。白い星状毛。ウツギの枝。芯は抜けて。中空の木。そして今、3時50分。キョッキョッキョキョキョキョ。杜鵑が鳴いた。 早朝に杜鵑嬉し思わず聞きなしを真似て合わせ (居山聞涛)...
ゲウム ゴールドボール(Geum chiloense goldball) ~宿根草~
6日に梅雨入り宣言があった後、雨は降らなかった。そして昨日ようやくの夕立。多量というわけではなかったが。それでも花や木たちにとっては喜び。咲く八重の黄色い花は宿根草のゲウムゴールドボール。放っといてもちゃんと伸びて。蕊や花びらが取れた終わりの姿は何かに似ている。ウニ?その隣ではセントーレアパープルハートが二輪咲いている。 雨がほしいと思っていたら雨が降った外に出て山紫陽花を見た (上武旋転子...
アスチルベ(Astilbe・泡盛草) ~小さな花が集まって~
アスチルベは毎年の宿根草。それも今咲く時。小さな花が集まって。穂状となって。和名で泡盛草とあるのは小花が次々に咲く様を泡に喩たのだろうか。近くでは梅の実が「そろそろ採って」といった表情をしている。 小綬鶏の声の渡る梅日かな (奈美あや)...
古い知人からメールがあった。「今月26日の日曜日に、○○さんと一緒にお宅にお伺いしたいのですが、ご都合はいかがですか」と。カレンダーを確認すると、予定は何も入っていない。「大丈夫です。お待ちしてます。訪問時刻を連絡ください」と返信した。メールをくれたNさんは看護師、もう一人のUさんは銀行に勤めている。今から10年前にもその二人で訪ねてきてくれたことがある。その時持ってきてくれたセロームは今でも私の部屋の中...
ヒペリカム(Hypericum) ~黄色い花と赤い実と蓑虫と梅雨~
ヒペリカムは黄色い花。中からたくさんの長い蕊。ああ、楽しい。それは赤い実にかわり。つやつや、ツヤツヤ。ああ、きれい。蓑虫が一つぶら下がっている。上手な家づくり。ああ、面白い。梅雨入りしたというのに雨は降らず。作業は捗り。ああ、嬉しい。 梅雨の合間李に四十雀来て賑やかに六月の庭 (居山聞涛)...
役場産業観光課からお知らせいたします。本日午前8時半頃、○○地区の県道付近でツキノワグマの目撃情報がありました。危害を加える恐れがありますので十分気をつけてください。また熊を見かけたら、役場産業観光課までご連絡ください。出没したのは、町の温泉施設のある地域。比較的近い場所だ。果樹園が多いこの地では折にそんな広報がスピーカーから流れる。サルナシの花も咲いている。 ...
鮮やかなピンクの花が溢れるように咲いている。モーツアルトは房咲き一重の薔薇。華やかというより賑やかというのが合っている。奔放な芸術家の作った軽快な音楽のように。旧友から電話がある。知人からメールが届く。たんたんと六月が進む。 房咲きの小さき薔薇放縦に我は我なりと言い聞かせて六月 (居山聞涛)...
4月中旬に白い花を咲かせたジューンベリー。今それは小さな丸い赤い実に。ぼつぼつと黒みを増したのも出てきて。食べ頃が近くなったと。でも見る度にそれが少なくなっている。昨日、分かった。ヒヨドリが来て食べていた。そうだったのか。しょうがないなあ。そういえばサクランボもすべてが食べつくされて、一つも口に入らずじまいだった。今年の収穫はあきらめて彼の好きなように。それでもと黒みがかったのを一つ選んで口に入れ...
ノスタルジィは覆輪の薔薇。白味の花びらは縁を紅色に包まれる。それは咲き進むにつれ全面染まっていく。そんな色移りに少しの寂しさも。ところでなぜノスタルジィの名が付いたのだろう。異郷にて遠い故郷を懐かしむ……と。 そうびよ自分一人の胸に納めたままにして語らないこともあるのだ (居山聞涛)...
ワイルドストロベリー(Wild strawberry) ~色を選り分けて~
一面に広がるワイルドストロベリー。ここ数日ほぼ毎日摘む。置き去りにされたかのように白い花の一輪。 それも芯はすでに膨らみ。花びらを落として色づくのを待つ。実は小指の先ほど。洗って蔕を取り笊に入れる。そしてデザート。つまんで口に放る。甘い味と香り。 野いちごに朝陽射す色を選り分けて潰さぬように三つ指で摘む (上武旋転子)...
バラ(薔薇・オールドローズ キング・ジョージ4世) ~品ある佇まい~
各地からバラ便り。そんな季節。我が家でもだんだんと。こぶりのキング・ジョージ4世も。品のある深い赤。これはオールドローズで香りが良い。おりに仕事の手を休めてはそのそばに。 紅茶を手に漫ろに歩く庭オールドローズの前にしばし佇み言葉を探す (上武旋転子) ...
オオテンニンギク(大天人菊・ガイラルディア) ~天人のような花と~
オオテンニンギクはほかの花々より少し頭を出して咲く。色は濃いオレンジと黄色の覆輪。個体によってその面積比はさまざま。中央の蕊は向日葵に似た形に少し盛り上がる。これはこのまま次々と秋まで長く。...
更紗空木も枝いっぱいに。蕾は少しの赤みに包まれる。それが解けると中からたくさんの白い花びら。外側のは薄紅をまとい。それは更紗の染め模様。花びらが細かく分かれて風に散る。 見上げる月のそばをISSが通り南アルプスへ消えていった人類のロマンと宇宙の平和6分 (上武旋転子)...
それは春には白い花だった。夏になって朱い実となった。そして熟した。それで摘んだ。小籠の半分ほどになった。子ども気分で楽しかった。「ラズベリー摘んできたよ」と渡した。家人は喜んだ。デザートにした。まだ何日かは摘めそうだ。 ラズベリーを摘んだ小籠に摘んだ二人で食べた笑って食べた (居山聞涛)...
バラ(薔薇・ピンクノックアウト) ~長い付き合いの甘い香り~
ピンクノックアウトはこうして毎年甘い香りを届けてくれる。通る度に私は鼻を寄せる。「ああ~」ここ数年、株が弱ってきたのがわかる。枝と枝に隙間ができ、花数も少なくなった。植えてからもう20年以上にもなるのだろうから仕方ないことだとは思う。思えば私も、瑞々しい苗木で来た時の君と同じようにその頃は元気だった。互いに体に苔が生えそうになってきているが、無理せずに一所懸命でいこう。何事も終わるときは必ずくるの...
色とりどりのひなげし。細い茎の上で。薄い花びらが。ひらひらと。やさしく。蕊はきれいに揃って花火のよう。そして一枚ずつ散り。残る形も愛らしく。 夢見る少女になります麦稈帽子を乗せてポピーの花の中で遠い過去 (奈美あや)...
花の形が桜に似て。花の色も桜に似て。それで桜空木。わかりやすい。五弁の花は白から紅への階調。白い雌蕊を取り囲む10本の雄しべしっかりと閉じた蕾と中から黄色い蘂が覗く開きかけもまた……。 六月の時にうつうつあればやさし潔し紅うつぎ (実野滸人)...
緑葉の中にすくっと和の佇まいの黄菖蒲。でも違う。これは繁殖力の強い外来種が野生化したもの。いつの頃からか住み着いて。それで抜いて減らしてそこだけに。見れば美しいものでもほどほどがいい。 風の歌雲の声聞いて静かに黄菖蒲六月のしみじみ (奈美あや)...
梅花空木は白い花。お椀のような形で。ほんのり香り。見れば自ずと静められ。花言葉には「思い出」とあって。こんな私にもこの先まだ思い出作りができるのだろうか。 入梅前にやることをやろうと働き働く腕腰の痛みも心地よいと褒めて (居山聞涛)...
八重の赤芍薬は二輪。たっぷりの花びら。重そうに少し傾いて。上で明るく軽やかな声がする 見上げると電線にホオジロがいた。しばらくそこに居てくれた。さて六月の仕事をしよう。 「人生というのは究極に孤独なんですね」と美術家は語った「そうなのか。そうなんだろう」 (上武旋転子)...
アンネのバラ(Souvenir d'Anne Frank) ~アンネ・フランクの形見「long for peace」~
今年も「アンネのバラ」が。花は黄色からオレンジ、淡いピンクからさらに赤へと色を濃くしていく。まるで多感な十五歳の少女のように。日々表情豊かに。恒久の平和を希求する象徴として知られるこのバラ。そして今。そして六月。 薔薇が咲く夢見る少女の平和のバラが静かに (奈美あや) ...
黄花山法師も少し前から。うっすら黄色のひらひらの花(総苞片)。花びらはやわらかにうねり。写真に収めて部屋に入る。レンズキャップがないのに気がつく。急いで戻ってその周辺をくまなく探す。ない。歩いた箇所に範囲を広げる。見つからない。ほんの数分前のことなのに。これで何度目だろう。過去にはしばらくしてから見つけることができた。たとえば三ヶ月程して草むらからとか、二週間後に机の片隅からとか。一応、予備の古い...
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知人の画家、Hさんから電話があった。12時19分、昼食を摂っていた時だった。「これから桜を見に行きたいと思いますが、都合はいかがですか」と。「何時頃ですか?」「2時半を予定にしています」「いいですよ。人数は?」「私一人です」「わかりました」食事を済ませ、外のテントの下にお茶と少しのお菓子を用意して待つ。彼岸桜の花びらが地に広がる庭に青い車が入って来る。「これ、どうぞ」とレジ袋を渡される。中を見ると、桜...
カリンも薄紅色の花を咲かせている。それは私には初心な乙女の顔のように見えもする。この2~3日は風があった。花もだいぶ散らされた。下に色が広がる。その小さな花は秋には拳よりも一回り大きな黄色い実になる。数年前までは砂糖漬けにしていたが、もうやめた。 モノもやることも少しずつ減らして身も心も軽くするまたもうすぐ誕生日 (上武旋転子)...
緑の葉がびっしりと長く敷かれる。そこはワイルドストロベリーのところ。今その中に白い花がいくつも顔を出す。それはもれなく実となり、5月から7月頃にかけて収穫できる。実は小指の頭ほどの小粒だがいい香りがしてとても甘い。ワイルドの名が付くように本来は野生種のイチゴ。繁殖力が強く、葉もハーブとして利用できる。私はグランドカバーを兼ねてヤマブキの下に植えてある。ほかの雑草が生えるのを抑えてくれている。 ...
花水木は2本ある。金木犀のそばには薄色のでこれが先に咲く。もう一つ濃い色のが利休梅の横にあり1週間ほど遅れる。枝の広がりや花数にも違いが見られ、濃い方のはコンパクトに収まる。それぞれに味があってどちらもいい。友人が図書館から齋藤孝の本を5冊借りてきて読んでいると連絡をくれた。そして「読後はとてもいいですね。心が潤います」と。 「花を本を愛を贈る日です」とラジオの人が語っていた“サン・ジョルディ”...
カラタチには太くて鋭い棘がある。何度か当たって痛い思いをしている。たとえば落ち葉を掃きながら後へ下がって背中を。花は白い。スプーン状の5弁で蕊から少し香りがする。花びらを落としたものはすでに小さな実の形になっている。食用にならないのが残念。少し肌寒かった。カーディガンを羽織った。風も強かった。玄関の外に出してあった孔雀仙人掌の鉢が倒れていた。3つ付いていた蕾は無事だった。内側に移動した。役場から「...
彼岸桜の下では三葉躑躅が咲いている。私には色辞典が二冊ある。【つつじいろ(躑躅色)】として載るその色見本は両方ともまさにこの色である。その一冊には次のように説明が記される。【つつじいろ(躑躅色)】赤躑躅の花の色から名付けられた色名で、紫みの赤い色を表わしている。すでに平安時代、そのいつの頃からかはわかはわからないが、躑躅という色も名前も知られていたことはまちがいない。たとえば「枕草子」の中で、清少...
ラズベリーはアートガーデンの北側に並ぶ。私の背よりも高い。今それに白い花。花びらが落ちると花托がふくらみ、そして実となる。家のは濃いオレンジ色。およそ6月前後が収穫の時期。消毒などしないのでその場で採って口に入れたりする。気の早い薔薇が咲き出した。この黄色いのはたしかゴールドバニーの名だったか。 木苺に白い花白い花たくさん生れよたくさん生れよ摘みたいよ (居山聞涛)...
昨日は29℃に。風も出て。キクザキヤマブキの花びらは細い。その枝がしなやかに揺れる。せっせと働かなきゃ。春だもの。もっともっと動かなきゃ。 しなやかにゆらゆらりと山吹の風に誘われて四月の29℃ (上武旋転子)...
一仕事を終えてお茶を飲んでいた。枝が屋根に当たりそうになっていた李の剪定などだ。それにしても暑かった。電話が鳴った。ディスプレイに義姉の名が表示される。「リーフレタスを収穫したから持ちに来ない?」と。「分かりました。すぐに伺います」車で5歩ほどの所に一人で住んでいる。玄関にレジ袋に入れて用意してあった。「葱も取ってあったので」ともう一袋。歌の選者でもある歌人が表の顔だが、野菜作りにも年季が入る。私...
茶筒の中がだいぶ低くなっていた。そろそろ用意しなくてはとお茶屋さんにでかけた。長年同じのを愛飲している。それの新茶が出ていた。もうそんな時期なんだ。「今日は暑いですね」「真夏のようですね」そんな会話を交わしながら一つ求めた。利休梅も満開。花は純白の五弁。花びらは縮織りの様。さわやかに。おだやかに。卓にも一枝を。...
今、いろいろに花。小さな草にも高い木にも。そろぞれの色で。それぞれの形で。青い空の下、花水木にも溢れる。花はゆるやかにうねり。色を少しの階調にして。「花水木のすてきな色は造形の神にしか出せない…」以前、そんな文を読んだことがある。 愛の歌がこぼれてくるような気がしてあふれる花水木を見上げている (居山聞涛)...
遅れて鬱金桜も咲きます。黄色い八重の桜です。花びらには黄緑色の斑が見られます。そして咲き進むと中のほうから赤みがでてきます。一味違う桜です。 四月の風に黄桜咲いている道ゆく人は気づかず (上武旋転子)...
梅桃の花は5弁の白い花です。梅のようでもあり桜にも似ています。それは6月頃、赤い小さな実になります。甘味と酸味がほどよく混じります。この可憐な花には「郷愁」の花言葉がありました。「郷愁」……ですか。さて、あと二ヶ月後の収穫を楽しみにしましょう。...
山吹が並ぶ。家を挟んで、花水木の下と桜の下に。あふれて気持ちいい。風に応じて枝がふわっと揺れる。一つは一つでゆかしく。手を添えたくなり。今日は画家の知人宅を訪問する日。石楠花の広がる庭、アトリエ見学、そしてこだわりのコーヒーを淹れてくれるというお誘い。昨夏の約束を忘れずにいてくれて。 やさしく揺れてそっと触れてさまざまな思いを振り返らせるごとに山吹のある (上武旋転子)...
ラジオでパーソナリティーがリスナーに問いかけていました。「あなたが春を感じるのはどんな時、どんなことでしょう」と。草花、人事、伝統行事などの答えが届けられていました。 私の頭に出てきたのは食器洗いです。水の温みを感じ、手袋を外すようになったことです。片栗とか福寿草とか蕗の薹なども思い浮かんだのですが。洗い物をするとき、少し前までは水が冷たくて、手袋をしていました。それが今は素...
庭桜は白い八重の桜。蕾の時は少しの赤みをまとっている。他の桜が散った今、時を置いて咲く。埋め尽くすように白シロしろ。私にもそんな白い時があった。 白いままでいたいと詩の中の青い頃いろんな色に染まり混濁しまった今戻れない (奈美あや)...
昼食を終わって一休みしていた時、穂波さんがやってきた。そして「今朝、清人さんがタケノコを掘ってきたの」と言って大きな袋を差し出す。受け取るとずっしりと重い。「ありがとう。お茶でも飲んでいかない?」「まだ友達のところにも届けるので、これで。じゃあ」中に4本入っていた。新聞に広げる。まだ湿った土がついたままだ。1本はかなり太くて大きく、1面の横幅ほど。それ一つで2.6㎏あった。全部で5㎏を優に超える。家人...
花蘇枋は葉のない枝に鮮やかな躑躅色の花を付けます。マメ科の植物なので同様に蝶形花です。細くて低い木です。太くて大きな山茱萸の木の下にあります。あ~あ。青大将がでーんと。いやいいや。つねよりかなり早いご登場です。このところ5月頃の陽気が続いていたのからでしょうか。1分ほどしてのそのそと離れていきました。毎年何度か勝手にやってきて庭を散策します。おとなしいのですが、苦手な相手です。ん~ん。 枝に吹...
ウコギも食べ頃です。手を伸ばして枝を切りとります。さらに作業しやすいように短く揃えます。枝から一つ一つ摘み取ります。葉の付け根には棘がありますので気をつけてします。けっこう時間がかかります。ゆっくりとのんびりと。洗って。茹でて。けずりぶしを乗せて。醤油をかけて。ああ、いい食感。またまた旬をいただきました。 空を切って軽やかに飛び翔る燕今日は一羽二羽三羽 (居山聞涛)...
さーっと、軽やかに。アートガーデンの上を横切って。見ました。初燕です。まだ一羽だけでしたが。また、一つ春の姿が加わります。 初燕来てうれしうれしと作業の手を休めて茶を口に眺めている (居山聞涛)a href=
ハナニラの英名は“Spring starflower”とあります。春の星花とでも訳すのでしょうか。たしかにその6弁の花はきれいな星の形です。昨日はクレマチスの誘引をしました。モッコウバラの整枝もしました。梅と杏には肥料の施しです。お供は携帯ラジオにルイボスティーの入ったボトルです。園芸作業にあれこれ手が求められる楽しい毎日です。遠くの山はかすんでいます。黄砂でしょうか。...