「見てごらん、渉。怪奇月食が始まる」 言って夕凪が指差す先には、少しずつ欠けて行く真紅の月が浮かんでいる。 「そうか、今夜は月食だったんだ」 二人して瞳を輝かせ、暫し自然の神秘に見とれ
夕方、相変わらずの大雨の中帰宅した渉を、心配顔の母が玄関で出迎えた頃には、もうすっかり陽も暮れてしまっていた。 「随分と遅かったのね。裏の路地で土砂崩れがあったから、まさか渉が巻き込まれ
いつもならば美術館へは最短距離で辿り着ける裏の細い路地を通るのだが、この日はどうしても大通りを歩きたいからと言う夕凪に従い、あえて遠回りをした。 大通りは、買い物帰りの家族連れや老婦人
八月十日。その日は珍しく土砂降りの雨で、暇を持て余していた渉は、縁側から庭をぼんやりと眺めながら大きな溜息を落とした。 突風が雨粒をさらい庭の木々を激しく揺らす。 視線を門の方へと滑ら
突き当りを右に折れ、浅い石段を五十段ほど下ればもうそこは一面の砂浜で、すっかり群青に染まった空と碧海の境界線からは金の満月が顔を覗かせつつあった。 「渉、月だ!」 とたんに笑顔を輝かせ
夕暮れだと言うのに、8月末の風はまだまだ蒸し暑い。 ただでさえ今年の夏は猛暑で、庭の草花も、たった1日水遣りを忘れるだけで元気を無くすと言うのに、今日の暑さはいつにも増して厳しかった。 母
管理人、急性胃腸炎のため、暫くサイトの方をお休みすることに致しました。 こんな辺境の地までわざわざ私のような者の書く拙い小説を読みに来てくださる方々には、いつも心より感謝致しております。 病気が治り
食後俺は、アリスに言われた通りに食べ終わった食器を軽く水洗いしてから、シンクの隣にあるカウンターに置かれている食器洗い乾燥機へと並べていた。 ふーん…食洗機ねぇ…。 電気店などではよく見かけ
リビングへと通じるドアは開け放たれ、そこからニンニクを炒めたような何とも香ばしい香りが流れ出してくる。けれど良い香りではあったが、それはこのすがすがしい初秋の朝にはどうにも似つかわしくない気
その時俺は無性に腹が減っていた。何故かは分からないが、やたらと腹が減って仕方がなかったのである。 とにかく今はこの空腹をなんとかして満たさなければ! そう思った俺は、どこかも分からないその
「着いたよ、すみれ」 言って貴子を玄関へと上がらせると、入江医師は嬉しそうにその顔に笑みを浮かべた。 「さぁ、入江君、あなたはもうそろそろ寝ないと。私は明日休日だからいいけど、あなたは明日夜
タクシーが立派な二十回建てのマンションのエントランス前に停車し、その後部ドアを開く。美和子が支払いを済ませている間に、急いで貴子は隣で眠り込んでいる入江医師へと声を掛けた。 「先生、起きてく
「でもね入江君、この子はすみれではないのよ。さぁ、もう帰りましょう?」 言うと女性は彼の腕を貴子の身体から解かせ、そのふらつく身体を脇から支えた。 「ごめんなさいね。ご迷惑をお掛けして…」
「Amethyst Eyes~邂逅~」 後書きと言う名の言い訳&謝罪文
す、すみません。。 またしてもこんな駄文をUPしてしまいまして。。(^^;; 何か、たまには思いっきりギャグを書いてみたくなったんですよね。それがこれかよ! って感じですが。。 最初ホラーのよ
次に俺が目を覚ました時、そこには見慣れた自室の天井が広がっていた。 --夢…だったのか……。 蛍光灯の白い輪を呆然と見詰めながら、随分と悪い夢を見たものだとぼんやり考える。 先ほど見たリアル
街のネオンが瞬く中、俺の友人である白鳥真里菜は午後十時きっかりに迎えに来たリムジンに乗り込むと、華やかな笑顔で俺達へと手を振りながら帰って行った。俺達は先に帰る彼女を見送るべく、店の前に出ていたのだ
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