会社の鍵を自宅に忘れて出てしまい、それでひどい目にあったというだけの話なのだけれども、例によって雑念が浮かんでしまい話がなかなか進まない。江戸城の堀端を歩き、半蔵門を目指しているところであった。そしてようやく半蔵門にたどりついたところで、さらにまっすぐ進むか、左折するかと考える。もっと進めば千鳥ヶ淵で、そこから北の丸公園にかけては桜の名所として有名なところだ。左折すれば麹町を抜けて市ヶ谷へと向かうコースとなる。千鳥ヶ淵コースの方が飯田橋までの距離は短いように思うものの、べつに急いでいるわけではない。いささか馴染み深い市ヶ谷コースにした。新宿通りは車がうるさいので、それから一本内側に入った道を歩いてみる。知らなかったけれど、その通りには麹町学園通りなる名称がついている。たしか、駐日パレスチナ常駐総代表部がこのへん...鍵を忘れた(4)
政宗像の話を少し続けておこう。信州上田に行けばよくわかると思うけれど、信州人なんてキラーコンテンツがあればえげつなく使いまくる人種である。上田の駅前には真田幸村の像があるし、六文銭のノボリ、アニメやらゲームのイラストなんかもあふれている。しょせんは観光地なのだから、そうしてウェルカム体制を作っておけば観光客のテンションも上がり、外貨をさらに落としていただけるわけでウィン‐ウィンではないか、ということだ。それは県内で上田にかぎったことではない。松本も長野も同じようなものである。それぞれに松本城なり善光寺というキラーコンテンツを持っているから、それをフル活用するなんて当り前だと、信州人たる小生は思っていた。その思い込みがあったせいかもしれないが、政宗像が仙台駅前にはなかったということに、いささか新鮮な印象を持ったの...鍵を忘れた(3)
腹が減ったなあとため息をつきつつビルの谷間に腰を下ろしていて無念無想の境地に達するわけもなく、3分おきくらいに手ににぎりしめているケータイを確認することになった。しかし、待てど暮らせど妻からの連絡は一向に入らない。イライラしながら待っているうち、ついに13:30を回ってしまった。ここまで待って連絡がないのだから、妻は妻で忙しくしていて、小生からのメールに気がついていないのだろう。妻のことはあきらめ、とにかく腹になにか入れようと、安そうなお店を探すことになる。中央通を東京駅側に渡り、路地裏のお店を探してみた。すると、サンマ定食680円なる貼り紙が目に留まったので、迷わずその店に入り、生ビールとサンマ定食を注文。日陰にいたとはいえ、蒸し暑いなかをジーッと座っていたのだから、のども渇いている。出されたビールをグビグビ...鍵を忘れた(2)
6月の、時おり強い日が差し込んでくる曇りの日、このなにもやる気がわかない病からの脱却を試みるべく、ジョギングでの通勤に努めることにした。走る意欲の出ない日は、歩いて会社に向かうことにしよう。その日は、新聞紙の回収日であった。先月は雨にたたられて出せなかったので、2ヵ月分の新聞紙を建物入り口の脇に置き、会社に向けて走り始めた。日が強くなると疲労を感じるものの、ペットボトルの水を飲み飲み、いつものペースで会社の近くにたどりついた。ところがそこで、鍵を家に忘れてきたことにはたと気がついたのだ。小生のあとに妻が会社に向かうことになっていたので、新聞を出したところで鍵のことをすっかり忘れてしまい、キーホルダーをそのまま自宅内に置いてきたというわけだ。そのホルダーには、会社のものから自宅のものまで付いている。ありゃあ~、困...鍵を忘れた(1)
数年前のこと、その決着が終わったのが6月ごろだったような気がするけれど、弊社があるくだらない訴訟に巻き込まれたことがあった。結果として、弊社にはなんの問題もないという裁判所の判断がくだり、小生にしてみればヤレヤレとなったものの、その過程でずいぶんとしんどい思いをすることになった。なにせ、こちらは法律的にはただの素人である。W弁護士にいろいろとご教示いただき、難を逃れてヤレヤレという疲労感しか残らなかったことがある。そのとき、ある判決文を見るため、東京地裁に出かけた。簡易裁判所の方に回されたりと、お役所的なたらいまわしを味わわされたのち、地裁本館(という表現があるのかどうかを知らない)の閲覧室でお目当ての判決記録を読むことができた。アレ?民事の訴訟記録ってだれでも見られるのだっけ、それとも関係者しか見られないのだ...地裁にて
5月の連休明けから、極端に弊社の売上が落ちている。そのうえ、これから夏場という本が売れなくなる季節を迎えることになる。困ったものだ。頭が頭痛。夏前にはなんとかしようと立て直し策を考えてはいたのだけれど、例のなにもやる気がわかない病で、結果としてはただただ漫然と手を拱いていたということになる。近くの出版社仲間の話も似たようなもので、やはり5月から売上が落ちているのはよく聞く。また、某取次(書籍の問屋さん)からの返品が急増しているというのも、しょっちゅう出る愚痴だ。弊社もここ数ヶ月返品過多で入金がないぞ。それは弊社が大変だということにとどまらず、取次そのものの与信の問題にもなっていくことだろう。つまり、仕入れ商品の販売率が低下し、返品率が上昇しているということなのだから、取次業自体が成り立っていないことを意味してい...ナマズ
雨が降ると調子が悪い。そう感じている人は多いのだろうけれど、そんな統計データを見たことがない。あくまでも主観的なものなのか。気圧が下がると脳内のナンチャラという部位の働きが低下して云々なる説明がなされるのだろうけれど、とにかくオツムの後部が重く感じるし、体もだるくなる。そこに追い討ちをかけるように、金欠鬱によるやる気ないない病が昂進してしまう。おかげで、ポケーとしていたら一日が過ぎていた。とにかく憂鬱さから解放されないことには、アイデアも出てこない。こういうときは、楽しいことを考えるしかない。しかし、楽しいことねえ。な~んにも思いつかない。70年代前半、ある著名なCMディレクターが自殺された。その遺書に、「ハッピーでないのに/ハッピーな世界などえがけません」と綴られていて、話題となったそうである。当時、小生はま...ハッピーな世界などえがけません
朝食を食べていると、「ねえ、『長いお別れ』って、どんな小説だったっけ?」と妻が突然言い出した。あれ?どんな小説だったかな。思い出せない。探偵のフィリップ・マーロウが金持ちだったかのガキと出会うのだけれど、そのガキがなんかの事件に巻き込まれてしまい、探偵は事件の解決に奔走する。そして最後は、そのガキがメキシコだったかに逃げ出すんだっけ?(この記憶は完全にでたらめであることだろう)ストーリーの輪郭を思い描こうとしても、さっぱり出てこない。ちなみに、小生の学生時代に『長いお別れ』(ハヤカワ文庫)というかチャンドラーを教えてくれたのはHという男で、現在はどこかの大学で教授をしているはずだ。「エーッ、どんな話だったか、み~んな忘れちゃった」と妻に答えると、「『長いお別れ』という映画が今度あるらしいのね」「へー、またリメイ...長いお別れ
しょっちゅうその前を走っているお茶の水女子大の春日通に面したところに、最近、留学生会館なるものが建てられた。いまごろ、なんでそういう建物を造る必要があったのかを小生が知るよしもないし、また関心もないのだけれど、その1Fにシアトル・エスプレッソ・カフェなる小洒落た店がオープンしている。会館そのものはまだ稼働していないようだけれども、稼げるところは早々に稼ごうという姿勢は悪くはない。ところが、その前を走りすぎるたび、ご近所のいかにもいけ好かないオバハンどもが、ハイソな雰囲気で朝からコーヒーをすすっている風景が気に入らない。そこである日、「クソババアどもがたむろしているところでも観察に行こうよ」と朝食後に妻を誘い、自宅からタラタラお茶大まで歩いていくことにした。それが、連休中のことだったか。要は、休日のお遊びというわ...カフェへ
あ~ぁ、まいったなあ。月末資金繰りのクリア状況がかんばしくない。さらには、次の月末資金繰りの当ても、好材料がまったく見えない。現在ぶち当たっている壁に、再び頭をぶつけることになりそうだ。この状態はゼウスの刑罰に苦しむシジフォス以上なのではないかとも思う。希望がないのはシジフォスも一緒だろうけれど、各月をどうやって乗り越えればいいのか、それすら見込がないという状態が恒常化しやがってきた。困ったなあ。これまでも資金繰りには常に頭を悩ませてはいたものの、それまでに蓄積された経験則と知恵でなんとかなるような段階ではなく、いよいよ異次元の悪化となってきたのだろうか。ところが、かといって弊社が倒産するという事態にはすぐに陥らないことが、小生の苦悩を増進させていく。どういうことなのか。要するに、現在の風塵社は手形や小切手を振...此の月末を如何にすべきか
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