杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫) - 古井 由吉文学の世界で登場する筆頭「病いの女」は杳子と言えるだろう。古井由吉が丸で秘蔵っ子のように生み出してくれた。『脳が揺れ比喩ではなく、実際にめまいを感じました。身体に直接影響を及ぼす小説があることに驚きました』ピース又吉が愛してやまない20冊新潮文庫と書かれた帯が付いている。私がまだまだ「若かった頃」リアルタイムで手にとった作家たちの中に「古井由吉」は入っていたとおもう。20代後半頃に「杳子」を読み、文学について話せる友人がいた。遠藤周作、吉行淳之介、島尾敏雄など、彼らは第3の新人と言われた。ピース又吉みたいに能が揺れることはなかったが(笑)私は..
こちらあみ子 (ちくま文庫) - 今村夏子昨今、話題を集めたり、高い文学的評価を得ている作品たちに共通しているのは?それはヒロインたち彼女を包んでいるのが「精神・神経」「こころ」の病いと言われていることなのだ。ブログを書こうと思って「あみ子」「杳子」「古倉恵子」コンビニ人間に登場これらの女性(女児もいるが)に共通している人間としての根幹を知るにつれ、読者というのは「こころ」の病を纏った女性(ひと)に引き寄せられるのだなぁ~あみ子は小説中に、作者は一言も病名を語っていない。読者は、だが、語られていない病名については凡そ、或いは、何となく察しがつくが、生み出した作者と共にあみ子の病名を決して口には..
春の庭 (文春文庫) - 柴崎友香, 数年前に映画化された「きょうのできごと」を観た。或る一日、或る時間における様々な体験を切り取って貼り合わせただけの内容はあまり興味を抱けずに原作を読みたいとまでは思えなかった。が「春の庭」はSFでもない、恋愛でもない静かな「ものがたり」を期待して頁を開くと六行目には先を読み進む気持ちが萎えてしまった。村上 龍氏の選評から「わたしは三作(引用者注:「どろにやいと」「メタモルフォシス」と共に)いずれも評価できなかった。」「「アパートは、上から見ると“「”の形になっている」という文章だ。わたしは、その一行で、感情移入がまったくできなくなってしまった。言うまでもな..
ずっとBIGLOBEのブログでやってきたのに、ここへきて別のブログへ移行しなければならない。旧いブログは喪失してしまっているのもあるが、山の記録や本の記録等々、僅かでも閲覧してくれる人がいる。というよりは何よりも自分のための備忘録となっている。移行手続きが、難しい!!年令に相応して難しくなってゆく。気分一新、過去は見限っ…
年月日 (白水Uブックス) - 閻連科, 谷川毅大分以前から話題になっていた本でようやく手にするチャンスに恵まれた。はるか大昔の日照り続きのその年、年月はあぶられ、ほんのひとひねりで灰のようにボロボロ崩れ、日々は燃えている炭のように貼りつき、手のひらをジリジリと焼いていった。毎日毎日数珠つなぎに出てくる太陽は、飽きもせず頭上にかかっていた。先じいは、朝から晩まで一日中、自分髪の毛が黄色く焼けるこげ臭さを感じていた。手を空に伸ばすと、またたく間に爪が焦げる匂いがした。まったく、もう、いいかげんにしろ!先じいはいつも太陽に向かってこう毒づきながら、人っ子一人いない村から出てくると、果てのない寂しさ..
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