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酔生夢死浪人日記 https://blog.goo.ne.jp/ck1956/

 映画、音楽、書物、スポーツ、政治に至るまで、日々思いついたことを記していきます。

ck1956
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2005/08/24

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  • 「アット・ザ・ベンチ」~癒やしと和みの会話劇

    竜王戦第5局は前局で完敗した藤井聡太竜王(七冠)が佐々木勇気八段にリベンジし、3勝2敗と防衛に王手をかけた。42手の△8六歩が敗着のようで、藤井は封じ手前に優勢を築いていたが、逆転の目もあった。藤井の67手の6六歩が受けの妙手で、その後は藤井が押し切った。ここまで先手番が勝っており、次局が先手の佐々木にもチャンスは十分ある。テアトル新宿で先日、「アット・ザ・ベンチ」(2024年、奥山由之監督)を観賞した。写真家、CM、MV、PVのディレクターとして活動してきた奥山にとって、本作は初の長編映画だが、5編の短編からなるオムニバス形式のインディーズ作品だ。タイトルから窺える通り古ぼけたベンチが舞台で、場所は奥山がよく訪れる二子玉川の川沿いだ。保育園造成に向けて閉鎖された公園で、唯一残されたベンチに集う者たちによ...「アット・ザ・ベンチ」~癒やしと和みの会話劇

  • 星野智幸著「ひとでなし」~アイデンティティーが拡散して浸潤する

    当ブログで最も多く紹介した作家は星野智幸か奥泉光だ。今回は最新作「ひとでなし」(文藝春秋)の感想を記したい。「虚史のリズム」を<過去作のエキスをちりばめた〝奥泉光の集大成〟>と評したが、「ひとでなし」も星野の志向性を織り込んだ600㌻超の長編小説だ。アメリカで生まれ、産経新聞記者を経て26歳でメキシコに渡った星野自身の経験が、脚色して描かれている。星野は俺より9歳年下で、流行や風俗のみならず共有した時代が背景になっている。オウム真理教を彷彿させるカルト集団、自衛隊派遣、ヘイト、コロナ、そしてロシアのウクライナ侵攻まで描かれている。ラストで主人公は還暦のオヤジになるのだ。最初に読んだ「俺俺」では<俺>が増殖し、<俺>同士による血みどろの削除が進行する。「ひとでなし」では主人の樹(イツキ)の書く架空日記が、ア...星野智幸著「ひとでなし」~アイデンティティーが拡散して浸潤する

  • 「アイミタガイ」~偶然の糸が織り成す柔らかな円環

    火野正平さんが亡くなった。「必殺シリーズ」や「ハングマン」、そして数多くのドラマや映画、Vシネマに出演した火野さんだが、〝兄貴分〟的な感覚を覚えるようになったきっかけはナビゲーターを務めた「日本縦断こころ旅」だった。視聴者の「こころの風景」を自転車で訪ねる紀行番組で、不良っぽさはそのまま、火野さんは時には自嘲的に出会った人たちと交流する。スタッフと食事するシーンが楽しみで、好物はオムライスだった。親近感を抱くようになった火野さんはここ3年、スクリーンで存在感を示すようになる。「土を喰らう十二ヵ月」ではジュリーにアドバイスする大工役を、「生きててよかった」ではジム会長を好演する。前々稿で紹介した「ラストマイル」ではラストでの奮闘に喝采してしまう。60年以上にわたって活躍してきた火野さんはここ数年、腰痛を訴え...「アイミタガイ」~偶然の糸が織り成す柔らかな円環

  • 「刑罰」~法の網をアップダウンする罪と罰

    竜王戦第4局は佐々木勇気八段が藤井聡太竜王(七冠)を破り、2勝2敗の五分に戻した。1日目で優勢を築いた佐々木の完勝譜で、午後4時前に投了した藤井の表情に悔しさが滲んでいた。将棋とは必ずKOで決着する残酷なゲームで、常勝の藤井が痛みから立ち直れるか注目している。ミステリーも伊坂幸太郎以外は、逮捕された犯人が相応な刑罰に科されるというパターンを踏襲しているが、色合いが少し異なる短編集を読了した。フェルディナント・フォン・シーラッハ著「刑罰」(2019年、酒寄進一訳/創元推理文庫)で、世界中でベストセラーになった「犯罪」と「罪悪」に続く第3作である。両作は旧AXNミステリー(現ミステリーチャンネル)で放映されたドラマを観賞したが、原作を読んだのは「刑罰」が初めてだ。シーラッハはドイツを代表する刑事弁護士で、その...「刑罰」~法の網をアップダウンする罪と罰

  • 「ラストマイル」~謎解きとシステムの二重螺旋を疾走する

    米大統領選について記した前稿を<(民主)党内でリベラルが復権し、弱者の側に立つことを期待している>と結んだ。セレブは失望をあらわにしているが、富裕層の実感など無視していい。バーニー・サンダース上院議員(無所属、民主党会派)の<労働者階級を見捨てた民主党が労働者階級から見捨てられても驚きではない。中南米系や黒人の労働者の支持も失った>(論旨)の指摘は正鵠を射ている。さらに<格差拡大に手をこまねき、療や福祉の整備に消極的な民主党は富裕層や大企業に支配されている>と疑問を呈した。今回の上院選でも当選したサンダースは党内左派に支持されており、環境危機に関心が強く、パレスチナ側に立って反戦を掲げるZ世代(18~29歳)も裏切った。民主党が機能不全から立ち直るのは難しそうだ。新宿ピカデリーで「ラストマイル」(2024...「ラストマイル」~謎解きとシステムの二重螺旋を疾走する

  • 決着したアメリカ大統領選挙~リベラル封印がハリスの敗因?

    前稿の枕で、<トランプ勝利は動かない。リベラルや左派の専売特許だった草の根運動で、トランプ支持側が拮抗しているからだ>と記した。予想は外れてほしかったが、上院選でも敗れて過半数割れと、民主党はダブルパンチを食らったことになる。ドキュメンタリーや報道番組を見ただけの俺が何を言っても説得力はないが、以下に敗因と思える点を挙げてみたい。この間、米国社会は大きく変わった。地方紙廃刊で〝ニュース砂漠〟が広がり、その隙間を埋めるように共和党系のネットニュースが浸透し、トランプ支持のサイトとリンクしている。中絶反対など保守派の理念に賛同した8万社が協賛するプラットフォーム「パブリックスクエア」がニューヨーク証券取引所に上場した際、壇上にはトランプ・ジュニアの顔があった。4年前の民主党ミシガン州予備選では社会主義を掲げる...決着したアメリカ大統領選挙~リベラル封印がハリスの敗因?

  • 「口訳 古事記」~〝言霊の人〟町田康のパンキッシュな爆発

    次稿は結果を踏まえてアメリカ大統領選挙について記す予定だが、報道やドキュメンタリーを見る限り、トランプ勝利は動かない。リベラルや左派の専売特許だった草の根運動で、トランプ支持側が拮抗しているからだ。ハリスが掲げる<民主主義・ジェンダー・環境・多様性>といった理想も、生活苦の現状では有権者の心に響かない。もちろん、予想が外れることを切に願っているが……。<分断>がテーマの米大統領選の予習をするため「シヴィル・ウォーアメリカ最後の日」(2024年、アレックス・ガーランド監督)を見た。内戦が続くアメリカで、大統領を取材するためニューヨークからワシントンDCに向かう4人のジャーナリストを描くロードムービーだったが、想定していた内容と違った。<分断>の内実が示されず、暴力が戯画化されている印象があった。見どころはあ...「口訳古事記」~〝言霊の人〟町田康のパンキッシュな爆発

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