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酔生夢死浪人日記 https://blog.goo.ne.jp/ck1956/

 映画、音楽、書物、スポーツ、政治に至るまで、日々思いついたことを記していきます。

ck1956
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2005/08/24

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  • 「縄文号とパクール号の航海」~時間の意味を問う4700㌔

    もっともらしく自然や環境について論じることがあるが、自分に資格があるとは思っていない。幼い頃、京都の田舎町で過ごしたが、郊外のベッドタウンに引っ越した6歳の時、家の裏手に立ち並ぶ団地群を見て、〝これが自分の未来〟と衝撃を受けた。コンクリートジャングルへの憧憬がインプットされたのだ。一貫して怠け者だった俺だが、上京してからも時間に追いまくられ、効率に縛られてきた。今さら手遅れだが、感性や価値観を変えるきっかけになるようなドキュメンタリー映画「縄文号とパクール号の航海」(2015年、水本博之監督)を見た。〝自然と暮らす〟をモットーに全世界を旅してきた冒険家・関野吉晴の初監督作品「うんこと死体の復権」公開に合わせてのアンコール上映である。武蔵野美術大でゼミを開講していた関野は、<手作りの工具や材料を使って造った...「縄文号とパクール号の航海」~時間の意味を問う4700㌔

  • 「時々、わたしは考える」~孤独な女性が社会のドアを開けた

    古希が近づいたせいか、ノスタルジックな気分になって10代、20代の頃を振り返ることが増えた。消したい記憶ばっかりで、最低とまでは言わないが、寛容で温かい友人たちに支えられていたことに気付いた。躁鬱――今風にいえば双極性障害――を俺はずっと抱えてきたのだ。大卒後のフリーター時代に知り合った者たちにとって、俺は〝暗い奴〟だった。ある男性には「おまえ、爆弾でもこしらえているんか」とからかわれ、ある女性には「あんた、友達いないでしょう。付きまとわないでね」と言われた。両親も〝息子が事件を起こしてニュースに出るのでは〟と心配していたぐらいだから、心外ではあるけれど、〝犯罪者予備軍〟と映っていたことは間違いない。勤め人になってから、誤った社交性を発揮した。〝誤った社交性〟というのは、自分を中心に周りを動かしたいという...「時々、わたしは考える」~孤独な女性が社会のドアを開けた

  • 「東京都同情塔」をアナログ風に読み解く

    アラン・ドロンさんが召された。「太陽がいっぱい」、「若者のすべて」、「山猫」、「冒険者たち」といった洋画史に輝く傑作を見たのは大学入学後で、中高生の頃の俺にとってドロンさんは、二番館で上映される「サムライ」、「ボルサリーノ」といったフレンチ・ノワールのクールなヒーローだった。広島の原爆資料館を訪れて戦争の悲劇を訴え、モロッコの政治犯に救いの手を差し伸べるなど知られざる顔も持つ。〝世紀の二枚目〟の死を悼みたい。1980年代半ばまでは日本の戦後文学を読み漁ったが、以降は海外、とりわけ南米文学に関心が移った。里帰りするきっかけになったのは仕事先の夕刊紙で開催されるバザーである。2009年4月、平野啓一郎の「決壊」を購入し、内容に感嘆したことで、1990年以降にデビューした作家たちの小説を追いかけるようになったが...「東京都同情塔」をアナログ風に読み解く

  • シャーリイ・ジャクソンが「くじ」に込めたリアリティー

    ミステリーでは伏線を回収するという表現が頻繁に使われる。作者が周到に用意した糸口がラストに煌めく瞬間こそミステリーを読む醍醐味なのだろう。こじつけ気味だが、将棋界にも<伏線>はある。10歳の頃、伊藤匠叡王に負けた藤井聡太七冠が号泣する様子が残っている。プロになって竜王戦、棋王戦に挑戦するもスイープされた伊藤だが、叡王戦で藤井に勝ち、全冠制覇を崩した。伊藤は伏線を回収したのだ。さらに伏線回収を狙っているのが佐々木勇気八段だ。竜王戦挑決トーナメント決勝で広瀬章人九段に連勝し、藤井に挑戦する。佐々木といえば藤井のデビューからの連勝を29で止めて名を上げた。昨季のNHK杯における大逆転勝利で回収済みと見做すことも出来るだろうが、〝イケメンの自然児〟が初めてのタイトル戦で藤井を追い詰める姿を見てみたい。前稿末に<材...シャーリイ・ジャクソンが「くじ」に込めたリアリティー

  • 酷暑の日々の雑感~パリ五輪、角田大河騎手、気候危機、長崎平和祈念式典

    連日の酷暑で心身にダメージを受けている。読書も進まず、映画館に足を運ぶ元気もない。前稿から中5日の更新になる今回は<酷暑の日々の雑感>を記したい。行き着けの接骨院の青年施術師は院長に連れられてパリを訪れ、柔道選手をチェックするスタッフとして活躍した。フェンシングチームの健闘、レスリングの金メダルラッシュに加え、男女マラソンの6位入賞にも驚かされた。アフリカ系ランナーが絶対的な資質の違いでレースを支配するのが従来のパターンだが、赤崎と鈴木は終盤まで食らいついていた。〝駅伝はマラソンランナーを育てない〟という定説は覆るかもしれない。五輪で輝いた選手たちと同世代の角田大河騎手の死を、JRAが公式に発表した。藤田伸二元騎手がYouTube公開中に第一報が伝えられ、スタッフの「電車で」という声に、上野幌駅で起きた人...酷暑の日々の雑感~パリ五輪、角田大河騎手、気候危機、長崎平和祈念式典

  • 「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」~スカーレットのキッチュな魅力に魅せられた

    79年前のこの日、広島に原爆が投下された。人々の願いもむなしく、世界で戦火が消えることはない。ロシアのウクライナ侵攻は続き、イスラエルは被害の刃を反転させ、パレスチナでジェノサイドを行っている。広島市はなぜ、核保有国とみなされるイスラエルを招待し、パレスチナを招待しなかったのか。ニヒリスティックな気分になり、猛暑で脳は溶けかけている。込み入った内容は厳しいので、リラックスして観賞出来そうな映画をチョイスした。TOHOシネマ新宿で上映中の「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」(2024年、グレック・バーランティ監督)である。1969年、アポロ11号のアームストロング船長とオルドリン操縦士は月に着陸し、その光景は全世界に生中継された。中学1年生だった俺もテレビ画面に見入った記憶がある。本作はアポロ計画を背景に描か...「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」~スカーレットのキッチュな魅力に魅せられた

  • 「書記バートルビー/漂流船」~時代を先取りするメルヴィルの巨視

    炎暑の日々が続いている。気候危機に関心のある知人は<今年は序の口で来年以降、確実に悪化する>と話していた。先進国に暮らす俺は〝無為〟のツケを払っているというべきで、部屋で干からびている。何となくパリ五輪を眺めているが、柔道における誤審が問題になっていた。買収疑惑まで囁かれているが、糸を引いているのは欧米で巨額の金を動かすスポーツ賭博業界かもしれない。映画の中で現れる小説が気になることがある。「オットーという男」で亡き妻と出会うきっかけになった「巨匠とマルガリータ」については別稿(昨年5月)に記したが、「ありふれた教室」のHPで、チャタク監督がインスパイアされた小説「バートルビー」が紹介されていた。残念ながら、同作が映画といかにリンクしているのかはよくわからなかった。俺が購入したのはハーマン・メルヴィル著「...「書記バートルビー/漂流船」~時代を先取りするメルヴィルの巨視

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