●0-1DeNA(3回戦:バンテリンドーム) 思いがけないことが起こる世の中だ。まさか東京ドームでの奇跡の逆転劇を経て、本拠地ナゴヤで3連敗を食らうとは考えもしなかった。なんなら小笠原慎之介、高橋宏斗、松葉貴大の強力裏ローテで3連勝できる予感こそしていたのだが、蓋を開けてみればこの有様である。 本拠地に3日連続で足を運んだという熱心なファンも多かろう。大敗ならまだ諦めもつくが、初戦を除けば決してワンサイドの劣勢ではなかった。だからこそ歯がゆい。「あと一本」がどこかで出ていれば、まったく違った展開になっていただろう。 昨日チャンスでダブルプレーを叩いたビシエドが、今日はマルチ安打。先発の松葉貴大…
●6-7DeNA(バンテリンドーム) 一方的な負け試合をよく追い上げたと言うべきか、勝てた試合を落としたと言うべきか。8回裏1死一、二塁で打順は4番。これ以上ないお膳立てのはずが、このチームでは機能しない。この日最高の盛り上がりを一瞬にしてため息に変えるダプルプレー。主砲ビシエドのブレーキが反撃ムードに水を差す格好となった。 厳しいようだが、敢えて言わせてもらう。4番とはああいう場面で打ってこその存在ではないのか。3番を打つ鵜飼航丞がガッツポーズをみせた執念のタイムリー。あの流れでトドメを刺さなければ、一体いつ打つというのか。 新外国人を補強しなかったのは、「お金がない」という身も蓋もない事情…
●0-4DeNA(1回戦:バンテリンドーム) いよいよ本拠地、バンテリンドームでの試合が始まった。今年の始球式はめるること生見愛瑠さん。そのボールは同じ稲沢市出身の大先輩、金田正一ばりの剛速球……ではなく山なりだったが、ホーム開幕戦での大イベントに緊張したに違いない。 ところで試合は相手先発のロメロに翻弄。右打者のインコースに食い込むツーシーム、アウトコースに逃げるカットボールを効果的に投げられ、手も足も出なかった。 一新された首脳陣と抜擢された若手選手を除けば、新しくなったのは人工芝とドアラのパフォーマンスくらいか。それだけ昨年と何ら変わりない光景を3時間目の当たりにしていたようにも思える。…
●0-4-DeNA(1回戦:バンテリンドーム) 稀にみる大逆転劇の勢いそのままに、立浪ドラゴンズがナゴヤに帰ってきた。開幕3連敗で本拠地開幕なんてことになれば、いきなりお通夜ムードが漂っていたところだが、驚異的な粘り勝ちによりムードはあきらかに追い風。オープン戦から火力不足が不安視される打線も、東京ドームでは3試合で14得点と、「打てない、打てない」と言う割には活発に働いた印象だ。 立ちはだかるは昨年3勝を献上した苦手・ロメロ。なんでも「去年3勝? なら明日は4勝目だね」などと小癪(こしゃく)なコメントをぬかしていたそうで。この天敵を打ち砕いてこそ、今年の中日は違うぞと確信できるというもの。か…
敵地・東京ドームでの巨人3連戦を1勝2敗で終えた立浪ドラゴンズ。明日29日からはDeNAを迎え、本拠地開幕シリーズを戦う。 しかし、巨人とのGame 3はよく勝ったと思う。昨季までなら柳裕也が初回に4点を失った時点でジ・エンド。8回から6点を奪って逆転勝ちを収めるなんて、久しく観てない気がする。ここで負けて3タテを喰らっていたら「やっぱり立浪監督でもアカンがね」と言われて微妙なムードになりかねないだけに、大きな1勝だった。 開幕シリーズで出なかったのは桂と根尾のみ 巨人戦を観ていて思ったのは、立浪監督はビハインド時に攻めのタクトを振るうこと。特に野手陣の起用に関して、その傾向が出ていた。オープ…
○7-5巨人(3回戦:東京ドーム) 4時間超の熱戦の末にヒーローになったのは、坂本勇人でも赤星優志でもなく溝脇隼人だった。この展開を予期できた者がどれだけいるだろうか。Twitter界隈にはびこる胡散臭い自称・預言者どもは、数打ちゃ当たる地震予想なんかせこせこしている暇があるなら、こっちを的中させてみろよと思う。 「きょう中日勝つよ」。序盤の段階でこの預言を出せたなら否応なく “ホンモノ” だと信じるのに、なぜか預言者という人達は世界規模の陰謀は暴けても野球の結果は分からないようで。じゃあ私はといえば、言うまでもなく初回の時点で負けを確信したクチである。 そりゃそうだろ、開幕連敗の悪い流れを断…
次はプロ通算50打数4安打の投手・勝野昌慶。打撃は全く当てにならない。しかしながら、気が付いた時には打球がレフトスタンドに突き刺さっていた。
●5-7巨人(2回戦:東京ドーム) 今夜の我が家の夕飯はすき焼き。何もプロ野球開幕にかこつけてそうした訳ではないが、立浪ドラゴンズの船出と初勝利にはうってつけの御馳走だとニヤニヤしながら祝杯の準備をしていたわけである。だが、用意した飛騨牛600グラムもろとも “勝利の美酒” になるはずだったスーパードライは無念のやけ酒になってしまった。 いったい何が起きたのか、今は思い出そうとするだけで軽く目まいがする。ただ一ついえるのは、「田島さん、またトラウマ増えちゃったね」という慰めにもならない皮肉だけ。思い出すのは2017年の開幕カード、未だに脳裏に焼き付いて離れない「開幕2戦目の悪夢」だ。敢えて詳し…
立浪竜の初陣を現地観戦! 岡林勇希を見守るスタンスが決まった夜
●2-4巨人(開幕戦:東京ドーム) 毎年、開幕日というのは気持ちが昂ぶるものだ。まっさらな状態でペナントレースが始まるワクワク感、そして「始まったら元には戻れない」不安感。相反する感情を内包して、選手たちの躍動を見つめていく。 今シーズンの場合は、より昂ぶる“舞台装置”があった。開催地が幾度の死闘を繰り広げてきた東京ドーム、そして満を持しての立浪和義監督の初陣だからだ。筆者は、はやる気持ちを抑えきれず、仕事を休んで昼から後楽園入り。三塁側内野席で現地観戦をしてきた。 ……深夜になった今も、キーボードをたたく際に、まだ熱がこもっている気がする。 3番と5番で負けた 試合は逆転負けを喫し、残念なが…
気持ちが切れた瞬間〜コロナ禍にはなかった「圧」に呑まれた大野雄大
●2-4巨人(開幕戦:東京ドーム) 大野雄大と菅野智之。2010年代以降のセントラルリーグを代表する両右腕だが、そのライバル同士のマッチアップは回数にしてわずか6度と思いのほか少ない。菅野の状態がピークに達した2016〜2018年頃がちょうど大野の低迷期に重なり、また大野が再ブレークした2019年から今度は菅野が故障がちになったことが、両者の “疎遠” の要因である。 数少ない対戦のなかで大野が白星をあげたのは8年前の2014年までさかのぼる。そしてこれが、大野が菅野に投げ勝った唯一の登板でもある。当然、大野自身にも菅野への意識は無いといったら嘘になるだろう。 そんな二人を比較する上で、大野に…
●2-4巨人(1回戦) 得点圏であと一歩が出ずに負けた、まるで去年を見るような負け方だった……。という見方はあるかもしれない。だが直接的な敗因は5回の裏に凝縮されているようにも思えた。あっという間に許した逆転は取られるべくして取られた3点だったように見える。 ミスの積み重なった5回裏 2アウトまでは危なげなく奪った訳だが、先頭打者の吉川尚輝は完全に死んだ当たり。これをビシエドから大野雄大にトスしたものの大野の足がベースに触れたそのわずか後にボールが渡った。 精一杯のプレーだったことには間違いないが、大野の足をつくタイミング、ビシエドのトスのタイミング、刹那の差で許した出塁が勝敗を分けてしまった…
立浪和義「辛抱」と「負けん気」〜置かれた場所で咲き続けた野球人生
立浪和義の監督就任が報じられた昨年10月12日から今日に至るまで、ずっと考え続けてきた事がある。 「なぜ立浪は中日ファンにとって特別なのか?」 秋口には『君は立浪和義を知っているか』と題した連載モノを通して、その野球人としての足跡をあらためて振り返り、去る23日にオンライン開催された『bpstudy』というトークイベントでは、『君は〜』の内容を補足する形で25分間にわたり自分なりの「立浪論」を語らせてもらった。 膨大な量の資料を読み漁り、この半年間で相当な立浪マニアになったと自負している。おそらく今なら『TVチャンピオン 立浪通選手権』に出場しても、いい線まで行けるんじゃないだろうか。 「辛抱…
オープン戦も終わり、シーズン開幕が目前に迫ってきた。開幕投手こそ予告制になり、各球団早めの告知が恒例となってきたが、それに加えて開幕試合のオーダー発表をするチームもあるなど、いちプロ野球ファンとして12球団の動向が楽しみでならない。 中日ドラゴンズは開幕スタメンに福留孝介が入ってくることが立浪監督から名言された。大島洋平や岡林勇希の怪我の具合も気になるが、監督の初陣はなんとしても勝ちを手に入れたいところだ。 そんな中、以下のニュースを目にした。 www.bengo4.com 昨年の契約更改の記者会見で、福敬登が記者陣に訴えたことでニュースになったSNSでの誹謗中傷被害。記事の見出しは「福投手に…
野村シダックスとドラゴンズは縁があった?~『砂まみれの名将 野村克也の1140日』を読む~
オープン戦で体と心を慣らすとともに、野球本を読んで気持ちを高める今日この頃。そこで本稿では『砂まみれの名将 野村克也の1140日』(新潮社)について記したい。 本書はノムさんが社会人野球・シダックスを率いた、2002年冬から05年冬にわたるノンフィクションだ。著者は当時のスポーツ報知の野村番で、現在は同紙デスクを務める加藤弘士氏。加藤氏とは筆者も何度か顔を合わせたことがあり、とても明るい方で会話が弾んだ記憶がある。 www.shinchosha.co.jp 2003年秋、監督要請は本当にあったのか? さて、そんな「野村本」の最新作(といっても前例のないパターン)の中で、ドラゴンズはどんな関わり…
2022年最初の野球観戦。あえてこの日を選んだのは理由がある。純粋に佐々木朗希が観たい! ただそれだけ。ところが、チケットを購入する時点で予想ができたとはいえ、佐々木朗が登板することはない。残念ながら名古屋とは縁がなかったようだ。それでも、ドラゴンズには高橋宏斗がいるではないか。その日に投げる可能性も大いにありそうだ。覚醒の予感が漂う右腕の登板を願い、背番号19のレプリカユニフォームと共に家を出た。 戦慄の前触れ バンテリンドームに到着した時には、ロッテの打撃練習が始まっていた。流れていたのは、田島貴男をゲストボーカルに迎えた、東京スカパラダイスオーケストラの『めくれたオレンジ』。“東京” と…
前編はこちら 2001年の少年ファンクラブ会員証は所属選手全員から選ぶことができた。おそらくほとんどの会員証には立浪和義や山崎武司といった一流選手の写真が入っていたことだろう。だが少年のファンクラブ会員証には少年の誕生日と、これまで1軍出場ゼロのショーゴーが写っていた。 そしてその日はやってきた。忘れもしない5月1日の出来事だった。 前日、横浜に大敗を喫した中日ドラゴンズ。中日スポーツには5回途中でノックアウトされた武田一浩と、記憶が定かではないが関川浩一が2軍降格するという誌面を目にした記憶がある。 隅には森野将彦とショーゴーが用具をタクシーに詰め込む写真があった。少年はその記事を読み嬉しく…
オープン戦終了! 目立った若手の躍動と、中堅ベテラン勢の不甲斐なさ
●2-10ロッテ(オープン戦:バンテリンドーム) 高橋宏斗は宇宙だぁぁ! と大声で叫びながら町中を走り回りたくてたまらなかった。祝日の真昼間から30過ぎの男がこんな事したら即・通報案件だろう。さすがに前科を付けたくないのでかろうじて思い留まったが、胸の内の高揚感はそう簡単には収まらなかった。 オープン戦最終戦の主役の座は、背番号19が一人で掻っ攫った。まさしく高橋宏斗ワンマンショー。高校時代から凄い凄いと聞いてはいたが、まさかここまでとんでもない逸材だとは。 5.1回2安打1失点という結果以上のインパクトは、11奪三振という数字が物語っている。先発9人のうちレアードを除く8人から三振をとり、1…
二つの収穫~天才・岡林勇希とリリーフ転向ジャリエル・ロドリゲス
〇4-2ロッテ(オープン戦:バンテリンドーム) オープン戦も残り2試合となり、いよいよ本番に備えた選手起用が見られるようになってきた。その中で未だに日替わりの様相を呈するのが打順である。1,2番の大島洋平、岡林勇希の快速コンビ、4番ビシエド、7番石川昂弥、8番京田陽太はほぼ確定として、今日は木下拓哉を遂に5番に昇格。実質的に他の誰よりも秀でた長打力を活かすため、「捕手だから」という固定観念を捨て去ってクリーンアップに据えたのは英断だと思う。 その期待通りに豪快な先制3ラン、さらにタイムリーと全打点を叩き出す活躍ぶりには、とうとう中日にも木俣達彦以来の強打の捕手が現れたかと感慨を覚えたものだ。 …
△2-2楽天(オープン戦:バンテリンドーム) 勝野か、岡野か、それとも……。一説には福谷浩司という選択肢もあるとかないとか。26日の開幕2戦目の先発マウンドを懸けた争いが、にわかに熱くなってきた。大野雄大と柳裕也のダブルエースの狭間という日程的に、リリーフ陣を惜しみなくつぎ込むことが想定されるが、もし今日の登板がテストの意味合いを持つとしたら、勝野昌慶は「表ローテ」の座をググっと引き寄せたことになる。 今日がオープン戦初登板ながら140キロ代後半の真っすぐと得意のフォークを丁寧に投げ込み、、5回1安打無失点。二塁すら踏ませない完璧な内容で、“駆け込みローテ入り” へ猛アピールに成功した。 思え…
△1-1楽天(オープン戦:バンテリンドーム) 「岡本、グランドスラム打ったってよ」 ちょうど開幕まで一週間となり、各球団の開幕投手が一斉に登板した花金のオープン戦。我がドラゴンズも2年ぶり4度めの大舞台に立つことが決まっているエース大野雄大が、開幕前最後のマウンドに上った。 結果だけみれば3回3安打無失点と無難にまとめた印象を受けるが、内容的にはボール先行の場面が目立ったり、2四球を許すなど決して万全とはいえない状態にみえた。オープン戦の防御率1.93という数字こそ立派なものだが、4度の登板で「さすが!」と唸るような投球が最後まで見られなかったのは、少し気がかりだ。15イニングで合計7奪三振と…
梅津晃大が右肘内側側副靱帯の再建手術、いわゆるトミー・ジョン手術(以下、TJ手術)を受けるそうだ。今朝の『中日スポーツ』と『スポーツ報知』がスクープしている。 ドラゴンズ所属投手のTJ手術といえば、直近だと田島慎二の例が挙げられる。田島は一昨年4月に手術を受け、翌2021年7月に一軍のマウンドに帰還。その間、ざっと1年3カ月。症状に多少の差はあるかもしれないが、少なくとも1年は実戦機会から遠ざかるだろう。 本人は「手術を許可していただいた球団には感謝しています」とコメント。大卒4年目、勝負の決断である。 TJ手術のメリデメ TJ手術は成功率の高い手術とされ、近年多くの投手がメスを入れている。田…
1999年6月。 中学生になったばかりの少年は、朝から自転車で最寄りの駅まで向かい、地下鉄鶴舞線に揺られていた。同級生とふたり上前津駅で乗り換え、終点の大曽根駅で降りる。そう、まだ名城線がすべて繋がる前の話であり、ナゴヤドーム前矢田駅が開業する前の話だ。 その日は土曜日で、ナゴヤドームでウエスタン・リーグの中日 vs 近鉄戦が行われた日だった。グッズ売り場でプロ野球カードを買い漁り、入場のときを待っていた。入場待ちをするには理由があった。この日は先着で選手と写真撮影会というイベントがあったのだ。 少年にはお目当ての選手がいた。今中慎二ーー。かつて天才サウスポーとしてセ・リーグ各球団の主力打者を…
●0-4巨人(オープン戦:バンテリンドーム) コロナ禍がもたらした「よかった事」のブッチギリ首位を走るのが、会社の飲み会文化である。とりわけ春といえば歓送迎会。花見の場所取りを早朝から……なんて光景はコロナ前から既に消えつつあったが、それでも酔い潰れた上司の介抱やら一発芸の類は、この国でサラリーマンでいる限りは逃れられない処世スキルでもあった。 忘年会と並び、若手社員が一年間のなかで最も神経を消耗するこのシーズン。しかし必ずしも気配りができるヤツ、場を盛り上げることのできるヤツばかりではない。当然、そうした “飲み会しぐさ” が不得手な人間だっているわけだ。それでも2,3時間の飲み会の間に必ず…
〇6-2巨人(オープン戦:バンテリンドーム) 「今年の中日は手ごわいと思わせる」と開幕カードの前哨戦となる巨人戦に向けて抱負を語っていた立浪監督。久々に帰ってきた本拠地でDH制を採用せず、このままの形で開幕と言われても違和感のないガチオーダーを組んできた。 試合は初回から大きく動いた。先頭の岡林勇希が初球を捉えて出塁すると、大島洋平、福留孝介も続いてあっという間に無死満塁である。立ち上がりに苦しむ山口俊は顔をしかめるなど早くも青息吐息。一気呵成に攻め込みたいところだが、ドラゴンズファンは知っている。このパターンは、得点にならないことを。 余談になるが昨年、メットライフドームに西武-オリックスを…
13日のオリックス戦で興味深い場面があった。 8回裏、制球を乱した石森大誠のもとへ落合英二ヘッド兼投手コーチが駆け寄る。肩を抱き、柔和な雰囲気の中で言葉を交わす。マウンド上の輪が解けたあと、石森のボールは明らかに変わり、結果ノーアウト満塁のピンチを無失点で凌いだ。 オープン戦初登板の新人には荷が重いと思われた場面。そこで絶妙な間を取り、場を和ます。14日付『中日スポーツ』によれば、「ボディータッチは山田(久志)さんの受け売り」とのこと。これぞ数々の経験を積んできた落合コーチならではの芸当だろう。 www.chunichi.co.jp 思い出したのはWBC、岡田を救った小林 一連の流れを見ていて…
忖度なき改革~レフト大島洋平を断行した立浪監督の恐るべき実行力!
〇4-1オリックス(オープン戦:京セラドーム大阪) 立浪監督は圧倒的に「攻め」の将だと思う。やりたい事、やるべき事を即決即断で実行に移せるのは大所帯を率いるうえで必要不可欠な能力だが、現実にはこれができる監督はそう多くない。このあたりは星野仙一と落合博満という両カリスマの下で働いた経験はさる事ながら、元来生まれ持つリーダー的素質も大きいのだろう。 とりわけ今季のドラゴンズのように、「若手育成」を旗印に掲げるチームは勢いに乗る若手を旬のうちに登用する積極性が求められる。監督が黙っていても働いてくれる選手が揃った成熟したチームならいざ知らず、実績のない若手が多数を占めるドラゴンズの監督として立浪は…
●0-3阪神(オープン戦:甲子園球場) 今さら打てないことをどうのこうのと嘆くつもりはない。歴史的な貧打にあえいだ昨季から一切の補強を断って若手育成に舵を切ったのだから、これしきの苦悩は織り込み済みだ。まさか中村紀洋コーチを迎えただけで目が覚めたようにポカポカ打ちまくるなんて、そんな甘い世界じゃないことは25年もプロ野球を観続けていれば分かる。「でもちょっとは期待したでしょ?」と問われれば、グギギと唸らざるを得ないが……。 しかし強がりでも何でもなく、焦りや心配はない。この時期のチーム成績が大してアテにならないのもそうだが、今日のような若手主体の打線はシーズンを通して徐々に形になっていくものだ…
●1-6阪神(オープン戦:甲子園球場) バットがボールを捉えたときの効果音といえば、一般的にはもっぱら「カキーン」が主流を占める。たぶん街頭調査をすれば8割方が「カキーン」と答えるだろう。実際は木製バットで「カーン!」と気持ちのいい音が響くのは本塁打など真芯を食ったときくらいで、ほとんどが「カツッ」とか「コンッ」という鈍い打球音だ。 「カキーン」の金属バットを使用する高校野球に比べて、プロ野球が味気ないと言われるのは、この “音” 問題の影響も大きいと思う。灼熱の甲子園に響き渡る乾いた金属音は、青春の輝きを聴覚でも感じさせる作用を持つ。「カキーン」という音色、打球の行方を追う女子生徒の眼差し、…
www.nikkansports.com ニュースページにワクワクする見出しが踊った。いよいよ昨年のドラフト1位がお披露目となる。今年は北谷キャンプを完走すると紅白戦、対外試合でもアピールし、ついに落合ヘッド、立浪監督のGOサインが出ることとなった。 2019年に行われたドラフトでは奥川恭伸を入札有力としながらもギリギリで石川昂弥に方針転換。そして2020年も地元・名城大学からトヨタ自動車へと就職した栗林良吏から高橋宏斗へと入札の方針が変更になった。 結果として昨年、奥川はヤクルトの先発陣で安定感抜群のピッチングを果たし日本一に貢献。栗林に至っては開幕からクローザーとして起用され、ルーキーの無…
プロ野球の歴史は、記憶にも記録にも残らない「ある日」の積み重ねで出来ている。 年間140試合のうち10年後も思い出せる試合は幾つあるだろうか。何の変哲もない日常はやがて記憶の彼方へと埋もれてゆく。 しかし、忘れ去られた「ある日」もたまに引っ張り出してみれば案外懐かしかったり、楽しめるものである。今回紹介するのは1991年5月のある日の出来事。入団2年目の立浪和義が最大のピンチに陥った話をお聞きいただこう。 1991年5月15日vsヤクルト(石川県立野球場) ASKAの名曲「はじまりはいつも雨」がヒットチャートを席巻していた、まさにその時期の出来事である。 激しい雨が降りしきる金沢の夜、マウンド…
嗚呼、零封のナゴヤ球場~光明は「ドラ1ローテ」に割って入る岡野祐一郎の好投
●0-2オリックス (オープン戦:ナゴヤ球場) ナゴヤ球場のドラゴンズといえば「イケイケどんどん」の強竜打線が名物。5点取られたなら6点取ればええがね的な派手な野球は見栄っぱりな名古屋人の心をつかみ、あの頃のドラゴンズはナゴヤ球場共々、地域に広く愛されるシンボル的な存在だった。ナゴヤドーム移転から26年の月日が経っても、古いファンの中には未だにナゴヤ球場を懐かしむ声が根強く残る。かく言う私もその一人だ。 近年、そのナゴヤ球場でオープン戦が開催されるようになった。2019年に「一日限定」と銘打って復活した時には小躍りしたくなるほど嬉しかったが、それ以降は毎年この時期に開催している。しかし、残念な…
ドライチの賞味期限〜5年目鈴木博志の先発挑戦が俄然楽しみになってきた
●1-4オリックス(オープン戦:刈谷球場) “ドラフト1位” の賞味期限はいつまで何だろう。たまにこんな残酷なことを考えたりする。同期の中でもぶっちぎりの注目と期待を受けて入団し、1年目のキャンプでは一挙手一投足が詳細に報じられる。一軍初出場の暁には万雷の拍手で迎えられ、その結果にファンは明るい未来を夢想するのである。 同じルーキーでも、ドラフト1位とそれ以外の扱いは雲泥の差。ドラフト5位入団の井端弘和氏は、「ドラフト1位は10回失敗してもおそらく11回目のチャンスがもらえる。でもドラフト5位のオレは1回失敗したら次のチャンスはないと思っていた」と、待遇の差を生々しく語る。実力主義、横一線など…
「今年がラストチャンス」笠原祥太郎、不退転の覚悟で臨む2022年
〇2-0東京ヤクルト(オープン戦:バンテリンドーム名古屋) 鬼気迫る投球だった。まだ開幕まで3週間弱を残しているが、柳裕也はあきらかに本気だった。立ち上がり、先頭の塩見泰隆に対してオール直球の3球三振。意図したように全て143キロと、近代野球ではむしろ「遅い」部類に入る球速ながら、塩見のバットにはかすりもせずキレイに木下拓哉のミットに収まった。 相手は昨季の日本一チームだが、そんなことで怯む “最優秀バッテリー” ではない。ここから柳の、いや柳と木下による奪三振ショーが幕を開けた。 圧巻だったのは4回表の投球だ。山田哲人、村上宗隆、中村悠平と続く恐怖のクリーンアップに対し、バッテリーは執拗にカ…
〇5-1東京ヤクルト(オープン戦:バンテリンドーム名古屋) 「次の球をどう対処するかですよ」 本日の放送で解説を務めた権藤博氏は、試合中に何回このフレーズを使っただろうか。主に鵜飼航丞、石川昂弥の若い二人が打席に立つたびに、一球ごとに打者心理とバッテリーの思惑を考察。結果よりもプロセスを重んじ、忖度なしで選手を評価する権藤解説を聞くと、いよいよ春の訪れを感じる。 ちなみに石川に関しては直球、変化球共にしっかり対処できており、最後のファーストライナーも内容がよく「明日が楽しみ」と絶賛。また鵜飼の積極スイングにもやはり高評価を出していた。ファンが期待を寄せる若き大砲候補だが、ひとまず権藤御大のお眼…
春季キャンプと平行して行われていた冬季五輪、とりわけカーリング女子の日本チームには連日感動をもらい、勝っても負けても毎日のように涙と勇気をもらった。カーリングは氷上のチェスと呼ばれ、考えるスポーツとしての面白さを知ることができた。 スコアの表示方式、考えてゲームを組み立てるところ、一度に複数点入るようなところから野球との親和性を感じた方も多かったのではないだろうか。特にTwitterでは「日本×中国」などの表記を「日×中」と略すとまるで「日本ハム×中日」という錯覚にも見え、一部ではスコアに準えた野球経過を妄想する人なども存在していた。 地方ゲームで行われた試合は8回雨天コールド。日本ハムは1点…
4回2失点ではあったものの、最速153キロを武器に先発の高橋宏斗が試合を壊さずに予定イニングを投げきると、鵜飼航丞が特大の一発をレフトスタンドに叩き込み、逆転勝利をもぎ取った。好調の阿部寿樹はダメ押しの2点タイムリーを放つなどアピールに成功。見どころの多い試合となった。 8回に岩嵜翔がオープン戦初登板。馴れた福岡の地での対外試合デビューはランナーを背負ったものの無失点に切り抜けた。おそらく開幕してからは今日の8回が仕事場となると思われるが、これで中日ドラゴンズ・岩嵜翔が本格的にチームの戦力となってフル回転していくことになるだろう。 オープン戦序盤の楽しみ方 この時期のオープン戦はイニングを追う…
若さ躍動!高橋宏斗を引っ張った女房役・桂依央利の絶妙の間合い
〇5-3ソフトバンク(オープン戦:福岡PayPayドーム) 見慣れない光景に戸惑ったのは、きっと私だけではないはずだ。1点ビハインドの6回表、打席には鵜飼航丞。高めに浮いた直球を捉えた打球は、まるで滞空時間を楽しんでいるかのようにゆーっくりと放物線を描きながら、熱心な中日ファンが待つレフトスタンド上段に着弾した。外野手が一歩も追わない、特大のオープン戦1号アーチだ。 追いかける展開での逆転ホームラン――夢見たことは幾千もあったが、実際にお目にかかれるのは年に数度あるかどうか。よしんば中盤以降での一発となると、その出現頻度はますます下がる。相手が背番号3桁の投手である点は差し引いて考えるべきだろ…
3月2日付の『中日スポーツ』で、ナゴヤ球場に人気バンド・サカナクションの広告が掲出されたことが明らかになった。かねてから魚民(サカナクションファンのこと)の間では噂になっており、記事をもってその真偽がハッキリした形だ。写真を確認すると、ライト線あたりに「サカナクション」とシンプルにバンド名が記されている。 www.chunichi.co.jp バンドのフロントマン・山口一郎は「幼少期から実際に行けたことはないですけど、映像や写真を通じてずっと目に焼き付けているナゴヤ球場のフェンスに広告を出せるチャンスがあると聞いて、すぐに飛び付きました」とコメント。紙面には「自費で購入」とも書かれている。 一…
石川昂弥、鵜飼航丞のヤングクリーンアップ不発!でも「ええでー」
●1-3ソフトバンク(オープン戦:福岡PayPayドーム) 「ええでー、ええでー」と往年の上田利治監督の口癖をマネしながら、ソフトバンク戦を鑑賞した。 一か月にわたりお世話になった沖縄の空に別れを告げ、名古屋へ帰る道中の福岡シリーズは毎年の恒例になっている。ここからはキャンプ気分も抜け、いよいよ開幕に向けての最終仕上げ段階に入る。まず目を惹いたのが、本日のオーダーだ。上から4人目、なんと4番レフトに鵜飼航丞の名が記されているのではないか。 前の試合まで7番を打った石川昂弥は3番を打ち、下位を阿部寿樹、京田陽太、福留孝介が名を連ねる新鮮な並び。ビシエド不在のDH仕様ということで、このままのオーダ…
「開幕は歌舞伎でいえば、劇場が張り詰めて緞帳(どんちょう)が開く瞬間で特別な舞台だ」(日刊スポーツ) 阪急時代に12年連続で開幕投手を務めたミスターサブマリン・山田久志の言葉である。試合の立ち上がりは難しいと若手からベテランまで、ほとんどの先発投手が口を揃えて言うが、いわんや開幕戦であればその緊張感は想像を絶するものがあるに違いない。 日本で12人しか立つことができない特別なマウンド。まるで優勝決定試合のような空気感が初回の第1球から球場全体を包むのは、長いシーズンの中でもこの日くらいのものだろう。 全ての投手が憧れるその舞台を踏むのは、エースと呼ばれる存在だけだ。今年のドラゴンズの開幕投手に…
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