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道元禅師に、次のような教えがある。曩祖道、我説法汝尚不聞、何況無情説法也。これは、高祖、たちまちに証上になほ証契を証しもてゆく現成を、曩祖、ちなみに開襟して、父祖の骨髄を印証するなり。なんぢなほ我説に不聞なり。これ凡流の然にあらず、無情説法たとひ万端なりとも、為慮あるべからず、と証明するなり。このときの嗣続、まことに秘要なり。凡聖の境界、たやすくおよびうかがふべきにあらず。『正法眼蔵』「無情説法」巻この「曩祖」というのは、中国曹洞宗の先駆的立場としてある雲巖曇晟禅師のことである。その雲巖禅師が、洞山良价禅師と「無情説法」について問答をした際の言葉について、道元禅師が提唱されたのが上記一節である。それで、この一節とは無情説法そのものよりも、それをどのようにして「得聞」するかが問われている。そもそも無情説法と...十月二日『正法眼蔵』「無情説法」巻参究(令和5年度版)