裁判官は裁判官席に座った。 原告側の代理人と、今回の事件について話を始める。 今回は「口頭弁論期日」といって口頭弁論を行う日を決めるだけだったので、特に尋問のようなものがあるわけではなく、ざっくばらんといった形で裁判官と弁護士は会話をしていた。 被告人席は空席だった。 どうやら被告人は弁護士を付けているというわけでもなく、また本人は遠方に住んでいてまた病気がちということで裁判所に行くのも難しいようだった。簡単な訴訟では、弁護士を付けない場合も多いらしい。今回の訴訟も「過払い金の返還請求」といった簡単な訴訟だったので弁護士を付けるまでもなかったのだろう。 原告側の弁護士も、「こちらとしても和解で…