15 静寂に包まれた部屋の中に純はいた。 机の上のデスクライトが、開かれたテキストの上を照らしている。自分の部屋で一人、数学の問題を解いていた。 陽一も優子も寝ているのか、家の中は怖いくらい静かだった。遠くで救急車のサイレンの音が聞こえた。それはとても小さな音だったのだけど、周りの静けさの中で強調され純の耳に聞こえてくる。純はそれでも目の前の数学の問題を解くことに集中する。明日はフリースクールの登校日になっていて、それまでにこの数学の課題を終わらせなければならなかった。 突然、机の上に置かれていたスマホが震えて、机との間でガガガッと大きな音を立てた。 静寂を切り裂くような音に純は驚き、びくっと…