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2023/10/11

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  • I DO 7

    夕刻、小学校のチャイムが鳴っている。校庭はがらんと静まり返り子供たちの姿はない。用務員の男は一度見回りを終えると用務員室に戻り腰を下ろした。この学校は至って普通で穏やかだ。なんの問題もない。用務員室奥にあるキッチンで湯を沸かすとお茶を入れた。これから夜間から朝までが男の時間である。その後交代の職員が来るが小学校に泥棒が入るということはない。湯のみを持ちモニターの前に座る。時間つぶしの動画が流れ始め...

  • I DO 6

    タカハシはホワイトボードを指差す。『そもそもこの波というのはそれぞれが持っています。標準が100から150.皆さんもそれくらいかと思います。ええ、今影響が出ていませんから皆さん標準ですね。さて、200というのをAとしましょうか。Aは周りの人に影響を与えます。たとえばBが影響を受けた場合にBが持つ欲を増幅させます。それはB以外の人間にも見ることができます。』『はい。』『それではこの国で起きた事件、それは小さな...

  • I DO 5

    『バディが死んだんだと?』軍服がカツラギの隣を通り過ぎ、ハハハと笑う。カツラギはポケットの中でぐっと拳を握るとギッと睨みつけた。笑う軍服の向こうから顔見知りが歩いてくる。笑っていた軍人の肩を叩くと、カツラギに近づいた。青い瞳の軍人。チャーリーはカツラギたちの上司にあたる。チャーリーはカツラギの前に立つと頭を下げた。『すまない、ちゃんと話しておく。カツラギは大丈夫か?』『ああ、大丈夫だ。でも気をつけ...

  • I DO 4

    繁華街の片隅。路地裏に男が娼婦を一人連れて入った。足元は汚く仕事着とハイヒールが汚れるのを嫌がりながらも、男の誘いに乗っている。奥まった場所は少し開けていてそこで男は女に奉仕するように求めた。スーツの胸元から財布を取り出してピン札を指で数える。女は札を数えてから頷くとそこに座った。出勤前の同伴、本来ならば食事をしてから店に行くはずなのになんでこんな事になっているのか。女は恍惚としていく男の顔を眺め...

  • I DO 3

    高層マンションのベランダに出た女は缶ビールを片手に目の前に広がる夜景を眺める。先ほどまで恋人との逢瀬を重ねていたが、男は左手に指輪を嵌めて部屋を出て行った。女は口に銜えていた煙草を指で挟んでビールを飲む。高層であるこの場所もまだムアっとした空気が流れている。人工天気のせいで予定は立てやすいものの、胸糞悪い空気がいつまでも滞留している。小さく溜息をついてベランダの柵にもたれて隣の部屋のベランダを見た...

  • I DO 2

    午前二時、ポリスと軍が集まる中で検査服を着ている男が規制テープを貼っている。軍人と話していたポリスの一人が大きく溜息をついた。もう何度目だという顔をして目の前の青い目の男を睨みつける。『だから、二件だ。一件に纏めないでくれ。』彼はすっと奥を指差す。暗がりの中で数人の検査服に囲まれたビニールの死体袋。青い目の男は首を振る。『同じことだ。どちらにしろ被害者が増えただけ。我々は本部に戻る、君たちは捜査を...

  • I DO 1

    午後七時。街は仕事へ行く者、家路に着く者がすれ違いそれぞれが目的地へと向かっている。遠くビルの向こう側では獣のような声が大きく響いては消え、その先でポリスのサイレンが鳴っている。少女はサラリーマンの体にぶつかりながら走っていた。時々後ろを振り返ってはその目に恐怖を抱えている。両手で鞄を抱えて小さな子供がぬいぐるみを抱くように。丁度信号が変わって急ぎ渡り終えると塾の看板のあるビルへと飛び込んだ。ビル...

  • 月夜に溺れて 35

    真夜中、一人、部屋の中で琥珀が日記を前に泣いていた。他愛のないことが書かれているのに、どうしてだか涙が零れてくる。病状の悪化から文字が乱れて、最後のほうはほんの少しだけだった。最後の頁を捲り、ふと指先に触れたそれが厚いことに気がついた。『ん?』くっついた頁は隙間があり、そっと指を入れると簡単にはがれた。先ほどまで読んでいた女性の文字とは違う筆跡。綺麗な文字は男性のものだ。見つけたよ、君の事。どうし...

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