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2023/10/11

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  • スケルトンデバイス

    恋なんて簡単ですよ。AIがそんな文字を映し出すものだから、わたしはムッとしてキーボードを叩いた。では堕としてごらんなさいな。先ほどまで異常に動いていたPCが静かになり、小さくただピッと音を鳴らした。いいですよ。古都子は三十路手前の女だ。容姿は彼女に言わせれば下の下らしいが、実際の所はもっと見目の良いものだ。何故そのような認知の歪みが出るのか?それは彼女自身のプライドのせいだろう。今も目の前のPCと...

  • 内緒話

    旦那様、わたくしは言ってない事がございました。本当は言うつもりなど存在しなかったとお思いでしょうが、本当に旦那様はわたくしをよく知っておいでです。結婚式の後のことです。わたくしは朝から結婚衣装に身を包んで、昼、夜と旦那様の隣におりました。本当にクタクタで、旦那様はわたくしと目が合うたびに、大丈夫か?と心配をくださいました。ええ、大変嬉しかったのを覚えています。疲れきっておりましたから、お部屋に戻っ...

  • 薔薇の園

    僕は毎日を生きている。朝起きて食事をして、出かける支度が済んだら家を出る。でもその前に君の部屋のドアを叩いて、行って来ますのキスをする。笑っているように見えるから機嫌がいいのだろうと、僕は仕事をして夕方には家路に着く。そしてまた食事をして眠る。僕の住む町は煉瓦の壁が続いていて、どこもかしこも赤い。高い場所から眺めると、迷路みたいだと観光客が言っていた。僕は迷路の意味がわからずに聞いたっけ。観光客は...

  • 輪廻

    世界は遠回りを続けている。星がこの町を一回りしたとして、この地面には美しい影が映り、光が差し込んでは消えていく。風が吹き、全てを包み込んで、木々を揺らし、草花が揺れると小さな花びらの中から羽虫が飛んでいく。鮮やかな景色の中で瞼を閉じるだけだ。世界は遠回りをしている。夢を見る。世界の夢を、見続けている。どうしてここにいるのかも分からずに、ただここにいて夜空を見上げている。星が流れ、願い事をすれば叶う...

  • mozart 07

    老人は一人小さな箱の前にいる。箱には貝殻の混じった砂と赤い土が入っている。それを時折、手に取っては捏ねて丸めてを繰り返す。老人の手元には得体の知れない形のものが転がっている。幾つかは少し壊れて歪に見えた。老人は手の平で丸めて小さな団子を作る。もう一つ小さな塊を捏ねると細長い形を幾つか作った。それを小さな団子につけていく。形を整えて手の中に包み込むとふうと息を吹き込んだ。すると手の中の団子がぴくぴく...

  • mozart 06

    森を火が覆いつくし、煙を上げて燃え上がる。木々のざわめきの中で動物達は一斉に駆け出した。皆同じ方向へひたすら走っている。小さな獣は大きな獣の背に乗り、互いを助け合い、灰が降りしきる森を走る。枝葉が燃え、火がついたまま落下する。その隣の木にはルリビタキの巣があった。小さな小鳥は緑の葉を銜えてゆっくりと飛び立つ。青い羽根を広げて、動物たちの後を追った。『誰が燃した?誰が森を?』灰が降りしきる小道を道化...

  • mozart 05

    戦ばかりで人が死ぬ。お触れが出る度に人々の心は枯れ果てて、遂には傭兵が街に住むようになった。町の人々は始めの頃は喜んだ、彼らのおかげで戦に出ずとも幸せに暮らせるのだと。しかしそれもすぐに終わりが来た。傭兵は当たり前の権利だといい、酒場や店で踏み倒し、道を歩く女を見つけると自分達の下へ引っ張り込んで犯してしまう。酷く暴れたために殺された者もあり、時折町の片隅に身包み剥がされて棄てられている。人々は傭...

  • mozart 04

    町外れの小さな教会には誰もいない。いや、たった一人牧師だけが悔い改めている。石造の前に跪き、両手を組んで頭を垂れていた。明朝にはきっとまた多くの子供が川で見つかることだろう。耳を澄ませると今朝からの雨がまだ酷く降っている。また増水は免れない。昨日説教した言葉を思い出して牧師は顔をあげた。ふと床板がきしむ音がして牧師は振り返る。そこには一昨日酒場であった男がいた。その男は若い紳士で、神が端整を込めて...

  • mozart 03

    鶫が空を飛んでいる。街を挟む石の橋を旗のかかった棺が運ばれている。橋の下は昨日の大雨で増水し川べりを削っていた。雨は長く続いている。だらだら降ったかと思うと、急に大雨になり、嵐が来る。風が酷く吹く時は、街の家々はどこかしら不具合が出た。雨漏りに屋根の欠損、それから川の増水を気にした老人が行方不明となり、その週末あたりには死体で見つかった。老人だけならまだしも子供が見つかると街は通夜のように静まり返...

  • mozart 02

    愚か者どもの行進だ。パペットが奇妙で奇抜な服を着てラッパを吹きながら人々を引き連れている。ぞろぞろと歩く愚か者どもの服はボロボロで、金も家もない浮浪者だ。街の者たちはそれを屋内で眺めている。ほんの少し開けた窓の隙間から、ドアの隙間から、何も言わずただじっと見ている。パペットは時折道の端にある家々に視線を投げる。それは恐ろしい目つきで、見られたものたちは瞬時に戸を閉めた。今までも愚か者たちはこの街に...

  • mozart 01

    夢は夢、まどろみの中でみる国の安寧など望んではいない。全ては奪いつくすためにあるのだと、人々は手に武器を持ち、知らない者は敵だとする。世界はゆっくりと闇に落ちていた。教会の屋根の上に何かがいる。地上では殺戮と略奪が続いているのを、それは普通の光景だというような顔で見つめている。人々はそれには気付かない。目の前にある欲望と飢えに興奮している。屋根の上のそれは足を組むと小さな声で歌い始めた。聞いたこと...

  • I DO 30

    血だまりに座り込んでいたアライはその場に倒れこみ、ゆっくりとまた参加者たちのほうへリクドウは歩き出した。参加者達も今度ばかりは絶望し、中には神に祈る者までいた。雨は少し小降りになり始め、それでも狂乱は続いている。一番隅で泣いていた男をリクドウは引っ張り出す。優しい口調で宥め始めた。『君は怖くないのかい?』『こ、こ、怖いです・・・。』『正直だね、いい子だね。』そっと頭を撫でてやり、その手で男の目を突い...

  • I DO 29

    恐ろしい光景に参加者たちが一斉に顔を背ける。それに気付いたのかリクドウは笑った。『なんだ、助ける気もないのか。こんなに可愛い子なのに。あ、君素敵な顔をしている。ほら、もっと怒ってごらんよ?』地面に手をついて睨みつけているアライが歯を食いしばった。何かに耐えるように拳を握る。『なんだ・・・君も駄目かい?じゃあ仕方ないね。』リクドウが彼らの目の前でソメキを弄ぶ。服を剥がされてソメキの泣き声が響いてくる。...

  • I DO 28

    雨雲が広がり雨が音を立てて降り出すと、公園の中は一層暗闇に包まれた。秘密のパーティの参加者たちは大きな木の下に入り、空を見つめている。少女は隣にいる女性の手を不安から握り締めると、女性は微笑んだ。『大丈夫だよ。ねえ、まだ自己紹介してなかったね。私、アライよ。』『ソメキです。よろしくお願いします。アライさん・・・私たち大丈夫なんでしょうか?私もうずっと怖くて。』『どうだろう。私にもわからない。でもソメ...

  • I DO 27

    ポリスのクレームを聞き終えてうんざりした顔で対策本部に入る。カツラギは青い顔をしてラップトップの前のタカハシを見た。『どうしましたか?』『あ、カツラギさん!』タカハシの傍に近づき彼の見ているディスプレイを確認する。『これって・・・ミライの?』『そうです。ミライ君のです。ここ見てください。』『・・・?本日二十時より秘密のパーティを開始。一緒に治しましょう?』『ここも見て下さい。』指で操作しメールを開く。メ...

  • I DO 26

    照明器具の横にカメラが置いてある。女は裸の体に腕を巻きつけて、先ほど脱いだ服に手を伸ばそうとした。『何をしてる。こっちへおいで。』甘ったるい匂いが充満している。女は戸惑いながら彼の手を取った。『・・・ねえ、ここあんたの部屋なの?』『そうだよ。ほら膝にお座り。』男の膝の上に腰かける。これから多分この男に抱かれるのだろうが、体の震えが止まらない。何か異常なのだ。テーブルのワインを飲み干して男は女にキスを...

  • I DO 25

    ラザロたちの捜索で、公園での黒い女の怪物に変身していた女と、路地裏で少年達を殺した黒い怪物に変身していたと思われる男を病院で保護した。二人とも嫌にリアルな恐ろしい夢を見ると精神科に通院していた。彼らの事情聴取を行い、夢のような時間として話が聞けた。女は以前あの公園で被害にあった者で、トラウマを克服すべく治療を続けていたが、あの日少女が追われているのを見てしまった。女は少女を隠れて追っていたが、柄の...

  • I DO 24

    あの事件以来、繁華街は夜になると人気が少なくなっていたが、それ以外ではやけに目立つ連中が集まり始めていた。店も居酒屋などは深夜近くまで開いていたがこの頃には二十四時を回るころには閉店し客を帰していた。売春倶楽部だけが煌々と看板をつけている。その前にいるのは金持ちの頭のいかれた奴かギャングくらいだった。ポリスは彼らギャングとは交渉済みで、所場代と問題さえ起こさなければ何も関係することはない。軍にもこ...

  • I DO 23

    『だから秘密のパーティか。』『ええ、意味が分かるものだけが来るでしょう、日時はラザロさんたちの結果を待って決めたいと思っています・・・駄目でしょうか?』ミライは上目遣いにカツラギを見る。『駄目って言ってもやるんだろうが・・・無茶はするなよ。』『はい!』すっと立ち上がりカツラギはドアに近づいた。『俺は一旦席を外す。戻るのは明日・・・になる。悪いがそのつもりで。』そう言い残して彼は部屋を出て行った。二人きりに...

  • I DO 22

    繁華街での事件は絶望的だった。多くの人々が目撃し皆が口々に噂する。デマも何もかもを食い尽くしたかのような話が吹き荒れている。繁華街は一時的に立ち入り禁止とされ、大掛かりな清掃が行なわれた。ポリスでも何人死んだのか把握できておらず、行方不明の連絡が後を絶たない。またこれも遊びの一環として使われ、状況は酷くなる一方だった。対策本部ではカツラギの話を聞いたタカハシが大体を纏めてくれていた。しかし防ぎよう...

  • I DO 21

    繁華街にて黒い化物が暴れている。通報を受けてカツラギは急いでいた。現地でラザロと合流となっているが、彼のいる場所が離れているためカツラギは走っている。どうやら現場に近づくごとに立ち止まっている人が多いことから、相当の人間が目撃している。ぜえぜえと肩で息をして唾を飲み込んだ。遠くで悲鳴が聞こえてカツラギは視線を上げる。そこには黒い影が聳え立っている。ビルの大きさくらいはあるだろうか。カツラギはホルス...

  • I DO 20

    最愛だと感じていた。なのにどうして?タイガは目の前に横たわる血だらけのユハナを抱き寄せる。涙が止まってしまった。背中を蹴られてユハナを守るように腕で包み込む。『ほら、死ねよ。早く。』罵倒され、頭が酷く痛んだ。なのに痛みはなくなり、じわじわと体が燃えていく。タイガはゆらりと立ち上がった。ユハナをそこに置いて後ろを振り返る。さっきまで酷く自分を詰っていた小さな男がそこにいた。夕刻。タイガはユハナと二人...

  • I DO 19

    ビジネス街の古い建物は廃ビルだ。入り口は鎖で施錠されているが裏口のドアの鍵は壊れていた。電気は通っておらず中は真っ暗だ。裏口付近には幾つかの汚れた靴が落ちている。暗い廊下を進むと水音が響いている。用務員室と書かれた部屋から聞こえている。用務員室には汚れた服が詰まれて酷い臭いがしていた。水音が止まり、タオルで体を拭きながら青年がふらりと現れた。細身の体は筋肉質で濡れた髪は癖なのかクシャクシャしていた...

  • I DO 18

    トオルは事件が起きた時のことをよく覚えていた。時々泣き出しそうになると、小さな拳を握って堪えるように俯いた。『それで・・・君の前で犯人の男が黒い怪物になったのかい?』『そうです。びっくりした・・・。』その顔に嘘はなかった。トオルの聴取の前に塾にいた生存者たちの聴取も行なわれていた。その証言から犯人はトオルにかまっていた事が分かっている。『何を話したのかな?』その質問の意味にトオルは首を捻った。この少年は...

  • I DO 17

    事件が起きてから二ヶ月が経とうとしている。その間も黒い影の目撃情報、殺人事件、模倣事件などは絶えず起きていたが、人々の関心は少しずつ薄れていき、大きな話題に上がることはなかった。ただ人々の敵意だけが残り、何かしら事が起きるとポリスのせい、軍のせいだと声が上がる。ポリスの中でも徐々に腐り始めた者が出て、市民との賄賂取引や共謀でマスメディアに対する餌がまかれ続けていた。対策本部はひっそりと活動を続けて...

  • I DO 16

    時刻は午後十九時を回ろうとしている。チャーリーはソルジャーたちを連れて街の巡回に出ていた。ここの所、緊急ダイアルが頻繁に鳴っている。車をゆっくりと走らせて人々の暮らしを監視する。誰の目にも穏やかな日常に見えるはずなのに、どこかしら狂っているのはもう止められないらしい。信号待ちの群れの中に、少女趣味な女が派手な男に殴られている。周りは気にも留めずに信号が変わると行ってしまった。『止めますか?』運転席...

  • I DO 15

    対策本部前、チャーリー率いる軍人達がずらずらと歩いてくる。それを横目にポリスたちは陰口を叩いていた。どうにもこの空気は変わらない。自分達が支配されこき使われているという意識がある限り、敵対は続くのだ。対策本部のドアを開くとミライとタカハシがこちらを振り向いた。『やあ、皆さん。』『二人とも顔色が悪い、寝てないのか?』部屋の隅にあるコーヒーポットの前に立つとミライは首を振る。『そんなことはないとは思い...

  • I DO 14

    真っ暗な現場には少女がぽつりと座っている。その前には均等に並べられた人だったものがあった。チャーリーたちが声をかけても少女の耳には届かないのか、うつろな瞳は目の前のそれに注がれている。ソルジャーが少女の肩に触れると、少女は気が触れたように体を震わせ、這ったまま隅に行くと両手で耳を塞ぎサイレンのように叫んだ。その場にいた者たちは彼女は恐ろしいものを見たのだと思った。数分してポリスたちが駆けつける。規...

  • I DO 13

    ビル郡の中にぽつんとある公園。人通りもなく夜間は男の一人歩きすらない。追い立てられるように後ろを振り返りながら少女が走っていく。真っ青な顔をして破れた服を手で押さえながら、公園の前に立つと首を振って中に飛び込んだ。少女は息を切らして公園を走っていく。その後ろを数人の少年たちが奇声を上げながら追って来る。やだ、やめて、怖い。少女は漏れ出す声を抑えて、視界が歪む中で公園の向こうを目指す。公園は中央に池...

  • I DO 12

    町の外れの小さな一軒家。この辺りは貧困層が多く治安はあまり良くない。一軒家のドアから飛び出してきたのは四歳と12歳の少年二人。身奇麗にはしているがTシャツの襟はボロボロに解れている。幼児の手をしっかり握り少年は歩き出す。『にいたん、きょうはどこいくの?』赤いほっぺをした幼児は兄を見上げると、その目を見て微笑む。『うん、今から教会でご飯を貰う。』少年は穏やかな目で幼児に微笑みかける。いつものやり取りだ...

  • I DO 11

    対策本部にぞろぞろと人が戻ってくる。チャーリーとカツラギが合流すると、細胞研究所からマリエが飛び込んできた。ミライが持ち込んだ猿の毛と唾液と口の中の組織のついた飴の棒。猿の毛からは波のような文様。あの路地で殺された少女の瞼についていたものと同じ形だった。しかし、唾液からは何も出ることはなかった。『報告書はここに置いておきます。』マリエは急いで説明し紙を置くと去って行った。現在も細胞研究所は小学校で...

  • I DO 10

    『お久しぶりです。ドクター。』ホワイトボードに向かっていたタカハシは声をかけられて振り返った。長身の男は片手を上げると、胸元に当てて小さく会釈した。『ん?んん?』タカハシは何か思い出したように左右に目玉を動かすと大きく目を見開いて笑った。『ミライ君か!』『はい。』ミライは屈託なく笑うとタカハシの差し出した手を両手で握る。『大人になったな。あんなに小さかったのに。』『はい、まだ三歳でしたから。ドクタ...

  • I DO 9

    呆然としたタカラダを残しチャーリー率いる軍服たちは来た道を戻る。職員の冷たい視線を浴びながら署を後にすると車に乗り込んだ。運転席の軍服が後部座席のチャーリーをフロントミラーで捉える。『チャーリー、良かったんでしょうか?話してしまって。』チャーリーは大きく息を吐くと目を閉じた。『・・・うん、問題は無い・・とは言い切れないが。タカラダが口外するかだ。』『口外・・・するんでしょうか?』『どうだろうな。彼らの根幹...

  • I DO 8

    閉鎖された小学校についての経過報告。対策本部にやってきたポリスが後ろの軍服に嫌な顔をしながら紙を読み上げる。『事件の起きた小学校は現在封鎖されています。学校側が清掃が済み次第に開校したいと希望していますが、問題が解決していないことから生徒達は自宅待機、リモート学習。事件概要については対策本部のほうが詳しいので省きます。被害者はレスキュー隊員2名、軍人を除く全員が死亡、学校用務員の二人については。一...

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