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2023/10/11

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  • 声の魔法

    何気ない一日だったと思う。こうして二人で歩いて、ただランチを二人で食べて。他愛ない話をして笑いあって夕方まで公園で話をしてた。恋人とは呼べない距離、二人の間にあるパーソナルスペースはお互いを拒絶してるみたいに近づくだけでビリビリと音がする。一ヶ月前に出会った。雨の日だった。その日は朝から雨で、やたらと冷たい雨が降っていた。洗濯物は乾かず室内で乾燥機だけがごうごう動いてる音がしていて、私は重い腰を上...

  • トラバスタ博士と猫

    人型アンドロイドにも飽きてしまった。博士は目の前に寝転んでいるふわふわした毛並みの猫アンドロイドに手を伸ばすと、その毛皮に指を沈めた。不思議なことに暖かい。温度センサーがついているらしく、本物の猫と変わりはない。違うのはこの猫に必要なのは時々陽に当てることだ。陽を浴びることで充電が半永久的に可能らしい。猫の首元に指を触れさせるとゴロゴロと鳴く。今では家庭の殆どがこの猫らしい。生きている猫は殆ど皆無...

  • 愛し合うなら君がいい

    高速を車で飛ばしている、随分と走り続けているのに気持ちばかりが逸ってしまう。あの赤い車を抜かせば、そんなスピード狂のように僕は狂っている。早く君に会いたいのにハンドルを持つ手が震えている。共感、シンパシー。君が教えてくれた言葉だ。あの日は雨で僕は部屋の中で君を抱きしめていた。温もりが欲しくてたまらなくて心が飢えていたのかもしれない。手の中で柔らかい君の体が動くのをたまらずに抱きしめていた。指先が柔...

  • レイトレンサ

    夏の空は高い。太陽はじりじり焼き付けるようにアスファルトを照らし、幼子の手を引く母親の背中を焼いていた。もう三時を過ぎているというのにまだ暑い。帽子を被っているのにだらだらと汗が流れ、繋いでいる小さな手を離したくなる。小さな娘は暑いはずなのに私の手をしっかり握り、時折顔を上げては目を合わせて嬉しそうに笑う。何がそんなに楽しいのか、暑さのせいなのか優しい気持ちすら消えうせていた。少しくらい雨が降れば...

  • バタフライレポート ときめきメモリアルGS4 二次作品

    『おっそいなあ・・・。』本多行は待ち合わせ場所の店の前で周りを見渡した。男女二人が並んで歩いている。そういえばこの辺りはデートスポットだ。彼女が選んだ場所だし華やかな雰囲気はこの季節に合っている。十二月、街は緑と赤のクリスマスカラーにキラキラした装飾が多く見られる。彼女なら好きなはずだ。ちょうど待ち合わせの店のショーウィンドウには大きなクマのぬいぐるみが飾られている。両手にはメリークリスマスとメッセ...

  • 神の眠る島

    ロケットは随分と長く飛んでいた。位置情報が分からないようにとのことで周回をぐるぐると続けている。乗客の何割かは青ざめた顔でシートにもたれこんでいた。ロケットの窓からは何も見えない。シールドが張られていて到着するまでお楽しみといわんばかりだ。ちなみにこのロケットに乗っているのは数十人ほど。WaX7a01N0xx4i//ma、この島はそう呼ばれている。随分前からレッドリストに指定されており、世界保健機関だけが立ち入る...

  • for you

    暗闇に沈む一輪の花。ゆっくりと水泡に囲まれながら落ちていく。静かに音も立てず、ただゆっくりとゆっくりと。光りが差し込む場所などない。けれど花は小さな光を放ち自身を魅せつけている。暗がりからそれを見つめる者たちに。水の流れが変わったように遠くから水疱がつうと線を引く。それが渦を巻いて花に触れると、花はくるりと渦に乗って回り始めた。花びらについた水疱が回転で花から離れて周りを踊っている。岩陰で見ていた...

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