written by @mercurys_assets 今回のポイント * 現状のポートフォリオと投資戦略をニュースレターに登録している読者限定で公開する。 ニュースレターに登録 現状のポートフォリオ 今回は本ニュースレターに登録している読者限定で、個人的なポートフォリオを公開する回としたい。 ※以下はニュースレター(無料)登録者向けの限定コンテンツです。未登録の方は、登録して続きをお読みください。 ニュースレターに登録
Mercury'sでは、平日の毎朝7:30にお届けするニュースレターを中心に、グローバルマクロ戦略等の資産運用に関するインサイトを発信しています。
2023年4月分のケースシラー住宅価格指数は、前年比-1.70%とデフレでした。しかし、前月比でみるとインフレが再加速しており、米国のインフレとの戦いは長期化しそうです。 毎朝メールで受け取る 前年比ではマイナスがしばらく続く 2023年6月27日に発表された、4月分のケースシラー住宅価格指数(20都市)は前年比-1.70%でした。これは前回の-1.15%よりも減速しましたが、コンセンサスの-2.55%と比べると高い数値でした。 こちらのグラフを見ても分かる通り、2022年のケースシラー住宅価格指数が高い水準にあったため、前年比マイナス、言い換えるとデフレ的な状況はしばらく続くでしょう。 前月比でみると、再び上昇に転じている 一方で、直近の前月比で見ると、再び上昇に転じている点には注意が必要です。 前月比を年率換算した数値は+11.4%であり、前回の+5.1%から大幅に加速しました。この調子での価格上昇が続けば、今後の住宅価格はまた年率10%といった水準に戻っていくことになります。 高金利が続く インフレ率をなんとか9%から4%台まで下げてきたわけですから、FE
ガンドラック氏が、少なくない量の社債が借り換えの時期を迎えることによるショックをツイッターで指摘しました。 毎朝メールで受け取る 数年前にゼロ金利で調達した資金が返済時期を迎える ガンドラック氏は、6月24日に以下のようにツイートしています。 米国の負債は$32Tを超えて、すでに$33Tに向けて爆増している。そうした負債の利払いは、FEDが5.00%も利上げをしてきたことがアクセルとなり、当然増えている。数年前に0%近い金利で発行された短期の社債の少ない数が返済期限を迎えようとしている。おっと。 本ニュースレターの読者の皆様は、これだけで彼の言いたいことが十分に分かるかもしれません。しかし、それでは付加価値がないので、この内容について詳しく見ていくこととしましょう。 まず、社債が過去の各年にどのくらい発行されたのかを見ると、以下のようになっています。 2020年には新型コロナの影響で資金調達需要が生じて、$2,000Bを超える社債が発行されたことが分かります。ガンドラック氏の指摘する「数年前に0%近い金利で発行された短期の社債」というのは、ここに含まれるものでしょう。
引き続き、ガンドラック氏のインタビューです。 毎朝メールで受け取る 株式のバリュエーションは割高 株式市場について問われたガンドラック氏は、今の株式市場の歪な構造について指摘しています。 株式市場の話をするなら、セクターを分けなければならない。まず、S&P7がある。AIといえば株価が20%上昇するような偏った市場だ。それから、S&P493がある。こちらは直近追い風が吹いているが、数週間前までは年初から横ばいだった。 S&P7の筆頭格はエヌビディアでしょう。AIブームによって、最先端の半導体を製造しているエヌビディアの株価は年初来で3倍ほどになっています。 以前紹介したように、これをピタリとあてて、ロングショート戦略で利益をあげたドラッケンミラー氏もさすがですが、そうした一部の銘柄による相場の牽引を危険視するガンドラック氏の見方も理解できます。 * ドラッケンミラー氏:AI関連のNVDIAやMicrosoft株を購入 ガンドラック氏が、今の株式市場が割高であると指摘する背景には2つの要素があります。 1つは逆イールドなどの景気後退の予兆から、近い将来に企業業績が下が
引き続き、FOMC後に放映された、CNBCのガンドラック氏のインタビュー内容をお送りします。 毎朝メールで受け取る 失業率がFEDの予想通りに上昇すれば景気後退入りする 前回は、ガンドラック氏が利上げはもう終わったと考えていることをお伝えしました。 * ガンドラック氏:これ以上の利上げはない とはいえ、そもそもガンドラック氏はFF金利は5.00%を超えないと年初に予想しており、今は5.25%ですから、すでに過去のガンドラック氏の予想はFEDに裏切られた形となっています。 * ガンドラック氏:FEDが何と言おうとFF金利は5%を超えない この差は、FEDがコアインフレ率と雇用を最重視しており、ガンドラック氏がその他の幅広い経済指標を見ていることから生じています。失業率が下がり切るのを待っていたFEDは利上げを始めるのが遅れて高インフレを招いたし、今は逆にインフレ率が下がり切るのを待っているので、利上げを続けているわけです。 では、ガンドラック氏の予想が再び外れて、FEDが予告している通りに利上げが行われた場合にはどうなるのでしょうか。ガンドラック氏は、以下のように述
日本の消費者物価指数(2023年5月分)は+3.2%で正念場
日本の消費者物価指数は前年比+3.2%で、前回から0.3ポイントの減速となりました。 日本の消費者物価指数ベースのインフレ率は横ばいの形を見せ始めており、今の前年比+3%程度の水準で横ばいになると、日本株や日本経済にとっては恩恵が大きいと考えられます。 一方で、エネルギーおよび食料品を除いたコアコアのインフレ率は+4.3%に加速しています。また、企業物価指数は+5.1%という高水準であり、5月は輸入物価指数も上昇に転じているため、インフレ加速への警戒は引き続き必要です。 日銀が早めに対処して、インフレの加速を防ぎ、今のマイルドなインフレを継続させることが重要でしょう。 毎朝メールで受け取る 日本の消費者物価指数は前年比+3.2% 2023年5月分の日本の消費者物価指数は前年比+3.2%で、前回から0.3ポイントの減速となりました。 一方、エネルギーおよび生鮮食品を除いたインフレ率は、前年比+4.3%で、前回からは0.2ポイントの加速となりました。 前回はインフレが再加速している旨を指摘して、警戒を促しましたが、基本的にはエネルギー価格のデフレが、根っこのインフレを相殺
過去にも本ニュースレターで何度か紹介していますが、レイ・ダリオ氏は「米国債の需給バランス崩壊を発端とした、中央銀行による国債買いからハイパーインフレ」のシナリオをたびたび提唱しています。 * レイ・ダリオ氏:米国債の買い手がいなくなり、米国政府の財政は破綻する 今回もCNBCで同様のシナリオを語ったダリオ氏ですが、非常に分かりやすい話の流れであったため、こちらの内容をあらためてお届けします。 毎朝メールで受け取る アメリカが抱える債務問題の終着点 米国の過剰債務の行き着く先について、警鐘を鳴らし続けているのが世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏です。 国家の経済は、個人や企業の経済と変わらない。あなたは借金をすることなく、収入以上のお金を使うことはできない。そして借金は返さなければならない。違いはお金を印刷できるかどうかだけだ。 世の中には、「国債は国民の借金ではない」、「国家はお金を印刷できるのだから予算の制約はない」といったレトリックを振り回す論者もいます。果たして、その考え方は正しいのか、レイ・ダリオ氏はそうした発
今回は、直近ベア派の筆頭格になりつつある債券王ガンドラック氏のFOMCに対するコメントをお伝えします。 なお、ガンドラック氏は、インフレを早い段階から警告しており、その後、今年のインフレ減速をピタリと当ててきました。一方で、FEDのFF金利については、5%を超えることはないと過去に発言しており、それについては外れています。 * ガンドラック氏:FEDが何と言おうとFF金利は5%を超えない 毎朝メールで受け取る FEDは経済の先行きを予想できない 今回のFOMCは鷹派だというのが一般認識ですが、それについて問われたガンドラック氏は、鷹派ではなかったと回答しました。 言葉遣いは鷹派だったが、行動は利上げの停止であり、鷹派ではなかった。FEDは近眼のマグーのようになっているように見える。前回のミーティングは利上げだが鳩派であり、今回は鷹派の利上げ停止だ。7月のミーティングではどうなるか見ものだ。 ガンドラック氏は、FEDの言っていることと実際の行動がちぐはぐであることを指摘しています。FEDは本音では利上げをせずに様子を見たいと思っているであろうことは、先日のニュースレター
米国小売売上高:2023年5月はマイナス成長を回避して、粘り強さをみせた
最近はお届けすべき著名投資家のコメントや他の重要指標等も多かったため、少し遅くなってしまいましたが、今回は先週発表された米国小売売上高を確認しておきましょう。 米国小売売上高は、アメリカの消費者の動向を知る上で重要な指標であり、前回4月の数値は成長が急減速して、いずれマイナス成長に陥りそうだということをお伝えしました。 * 米国小売売上高は前年比マイナスに迫る水準で景気後退を示唆 しかし、先週発表された2023年5月の数字は強く、プラス成長で踏みとどまりました。 毎朝メールで受け取る プラス成長で踏みとどまった米国小売売上高 2023年5月の小売売上高は、前年比+1.6%でした。 長期でみると下降トレンドが続いていますが、前回からは、ほぼ横ばいの状態となり、プラス成長で踏みとどまっています。 なお、小売売上高は名目ベースの金額ですから、インフレ率が前年比+4.1%ある中での+1.6%というのは、実質ベースではすでにマイナスです。 インフレが下げ渋れば、プラス成長での推移もありうる さて、小売売上高が+1.6%ということは、インフレ率があと1.6ポイント下がれば
国内PPI:2023年5月の企業物価はインフレ減速も高水準、第二波にも警戒必要
先週発表された2023年5月の国内企業物価指数(PPI)は、前年比+5.1%でした。これは前回の+5.9%から0.7ポイント減速して、企業物価のインフレ減速トレンドが維持されていることを示しました。 一方で、前年比+5.1%という水準は依然として高水準であり、企業がこれらの値上がりを最終商品の値上げに転嫁した場合、消費者物価指数にはまだ上昇の余地があることになります。 また、PPIに先んじて下落していた輸入物価指数が反発して上昇に転じたように見えることも気になります。日本のインフレ加速懸念は引き続き存在していると考えます。 毎朝メールで受け取る 0.7ポイント減速して前年比+5.1% 2023年5月の国内企業物価指数(PPI)は、前年比で+5.1%でした。前回の+5.9%からは0.7ポイントの減速となりました。 前年比+5.1%は十分に高水準で注意が必要 上のグラフを見ていると、インフレは順調に減速しているように見えます。 しかし、前年比+5.1%
6月FOMCは利上げ見送り、米国経済へのダメージを見極めたいFED
6月FOMCでは利上げが見送られ、5.00%〜5.25%の政策金利が維持されました。 今の金利水準でも、地銀破綻問題や商業不動産ローンの破綻をきっかけに信用収縮の連鎖が始まる可能性があり、FEDは「許されるならば、これ以上の利上げをせずに様子を見たい」と考えていると思います。 毎朝メールで受け取る 6月FOMCは利上げを見送り FEDは、6月の利上げについて、市場の予想通りに見送りました。政策金利は、引き続き5.00%〜5.25%が維持されることとなります。 前日の米国消費者物価指数(CPI)のデータも前年比+4.0%(前回から0.9ポイント減)と順調なインフレ減速を示していたため、FEDからすると、今回は一旦の様子見の機会を得られたといえるでしょう。 高金利が米国経済に与えたダメージを見極めたいFED 今の政策金利は5.00%〜5.25%であり、これはすでに総合インフレ率の+4.0%を上回っています。 原油および食料を除いたコアコアのインフレ率は+6.0%なので、これに対しては、まだ政策金利が負けていますが、先日のニュースレターでも書いたように、
2023年5月の米国CPIは前年比+4.0%まで急減速、秋以降を警戒
6月13日に発表された2023年5月の米国消費者物価指数は、予想の前年比+4.2%を0.2ポイント下回る+4.0%で、前回の+4.9%からは急減速しました。 毎朝メールで受け取る エネルギー価格の下落を受けて、4.0%まで急落した米国消費者物価指数 6月13日に発表された、2023年5月の米国消費者物価指数は4.0%まで急落しました。 この消費者物価指数(前年比)の+4.0%という数値は前回の+4.9%から0.9ポイントの急落であり、予想の+4.2%を0.2ポイント上回る下落でした。 本ニュースレターでは、4%台で横ばいに入ることを予想していましたが、予想以上の急落となりました。 * 米国CPI:アメリカのインフレ率は4%台で横ばいへ その背景にあるのが、原油価格の急落です。 4月には80ドル台まで戻していた原油価格は、5月に入って70ドル台前半にまで下落して、5月中に75ドルを超えることはありませんでした。 結果、
前回に引き続き、DoubleLine Capitalのオンラインセミナーから、ガンドラック氏の相場見通しをお伝えしていきます。 毎朝メールで受け取る マネーサプライの減少は、いずれインフレを低下させる ガンドラック氏は、以前から米国のインフレは下げ渋ると発言していました。 * ガンドラック氏:FEDの予想する年末インフレ率3%は実現できず、インフレは高止まりする 今回も同様の発言は見られましたが、もしもFEDが今の引き締めを続けるのであれば、遅かれ早かれ、いずれCPIは下がってくるだろうとも述べました。 その根拠となっているのが、マネーサプライの減少です。 以下のグラフでは、マネーサプライの前年比とインフレ率が連動する様子が示されています。 良い点は、マネーサプライの減少はインフレを減速させるということだ。このグラフはその証明だ。これはM2とCPIを並べたもので、M2が大きく下がると、インフレも落ち着くことが見てとれる。これはCPIも下がっていくであろうことを示唆している。 マネーサプライについては、以前のニュースレターで詳しく触れました。 * 米国実質マネー
ガンドラック氏:3月の銀行破綻は過去の経済危機に匹敵する規模
債券王としても知られる、DoubleLine Capitalのガンドラック氏が、年半ばのオンラインセミナーを行いました。今回はそこから今年3月の銀行破綻に触れた箇所をお伝えしたいと思います。 毎朝メールで受け取る 3月の銀行経営破綻問題 2023年3月にはシリコンバレー銀行などを中心にいくつかの銀行が経営破綻しました。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ この話については、本ニュースレターで何度も取り扱ってきたため、再度の詳しい説明は避けますが、(1)米国債などの資産がFEDの急速な利上げで大きく値下がりしたこと、(2)短期金利が上がったことで銀行預金を引き出して、短期のMMFや米国債を購入する動きが広がったこと、の2つが組み合わさった結果、取り付け騒ぎのようになったことが、その経営破綻の原因でした。 ガンドラック氏は、利上げが終わらない限り、人々が銀行から預金を引き出す動きは止まらないので、銀行の経営破綻が続くだろうと指摘していました。 * 利上げを止めないと預金の引き出しは止まらない 多くの人々は、米国6ヶ月国債が当時で5%、今でも4.5%や
引き続き「Bloomberg Invest New York」から、今回はドラッケンミラー氏のインタビューをお送りします。 ドラッケンミラー氏は、中国の将来性についての悲観的な見方と、日本株の強さ、AIブームの大きさなどについて語りました。 毎朝メールで受け取る 中国には将来性を感じない まず、今の中国については魅力を感じないと一刀両断しました。 私は6年〜7年前まで中国が大好きだった。上海のエネルギーは、コカインを吸ったニューヨークのようだった。素晴らしいエネルギーがあり、起業家たちは興奮していた。しかし、習近平が彼の政策をとった。中国の台頭をみると、国内には大きな資本主義があった。ダイナミックな経済の中で、ニューヨーカーのように次々と新しいビジネスを起こす人たちがいた。 中国は鄧小平が資本主義を取り入れて以降、急速に成長しました。 グラフからは、1980年に底打ちしてから、一人あたりGDPが急速に伸びていったことがわかります。これが中国という広大な土地と膨大な人口を抱える大国が資本主義を取り入れた成果でした。 だが、習近平は彼が資本主義者ではないと証明したし
引き続き「Bloomberg Invest New York」から、今回はドラッケンミラー氏のインタビューをお送りします。 ドラッケンミラー氏は、中国の将来性についての悲観的な見方と、日本株の強さ、AIブームの大きさなどについて語りました。 毎朝メールで受け取る 中国には将来性を感じない まず、今の中国については魅力を感じないと一刀両断しました。 私は6年〜7年前まで中国が大好きだった。上海のエネルギーは、コカインを吸ったニューヨークのようだった。素晴らしいエネルギーがあり、起業家たちは興奮していた。しかし、習近平が彼の政策をとった。中国の台頭をみると、国内には大きな資本主義があった。ダイナミックな経済の中で、ニューヨーカーのように次々と新しいビジネスを起こす人たちがいた。 中国は鄧小平が資本主義を取り入れて以降、急速に成長しました。 グラフからは、1980年に底打ちしてから、一人あたりGDPが急速に伸びていったことがわかります。これが中国という広大な土地と膨大な人口を抱える大国が資本主義を取り入れた成果でした。 だが、習近平は彼が資本主義者ではないと証明したし
ソロス・ファンド運用担当者:プライベートクレジットは銀行の貸し渋りを埋められない
前回のレイ・ダリオのインタビューに続き、「Bloomberg Invest New York」のインタビュー内容をお伝えします。今回は、現在ジョージ・ソロスのソロスファンドを運用しているフィッツパトリック氏のインタビューです。 毎朝メールで受け取る いま投資妙味のある資産クラスは住宅ローン証券 フィッツパトリック氏は、最初にいま一番投資妙味のある領域として、住宅ローン証券をあげています。 いま最も興味深いのは、退屈な資産クラスだが、住宅ローン証券だ。現在、主な保有者のうち3分の2である中央銀行と銀行が売りに回っている。金利のボラティリティも大きいため、その領域のバリュエーションは他の資産クラスに比べて、非常に安くなっている。それに、いくつかの地銀が経営破綻して、FDICがそのポートフォリオをオークションにかけているので、それも価格の下落に影響している。住宅ローン証券は唯一、興味深い資産クラスだ。 住宅ローン証券というのは、住宅ローンを証券化したもので、満期まで金利収益を受け取って、満期になると元本が償還されます。 不動産ローンの領域は、商業不動産ローンは今後が危険視されて
レイ・ダリオ氏:米国債の買い手がいなくなり、米国政府の財政は破綻する
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏は、「Bloomberg’s David Westin at Bloomberg Invest New York」に出演して、いずれ米国債の買い手がいなくなり、最終的にはFEDが米国債を買うしかなくなると指摘しました。 毎朝メールで受け取る 長期サイクルの終盤で起きること レイ・ダリオ氏は、長期サイクルの終盤で起きることとして、財政ファイナンス、国内対立、覇権国家の対立をあげました。 歴史上は繰り返してきたが、我々の世代では経験していなかったことが3つ起こっている。膨大な量の財政ファイナンス、貧富の差の拡大に伴うポピュリズムの台頭などの国内対立、日米の権力対立と戦争の可能性だ。 さて、財政ファイナンスが行われるほど、インフレ的な経済になります。 このとき、債権者はインフレ率を上回るリターンを求めるため、インフレを抑えようと思うと、金利がインフレ率を上回る(実質金利がプラスになる)必要があります。 金利は、債権者と債務者の両方を満足させる水準でなければならない。つまり、金利は債権者に実質リ
米国ISMサービス業景況指数:サービス業は景気拡大するも減速がみられる
ISMサービス業景況指数は50.3%で景気拡大を示しましたが、前回の51.9%と比べると1.6ポイントの減速となりました。また、注文残の減少、顧客在庫の増加など、ISM製造業景況指数と同様の悪化傾向が見られました。 毎朝メールで受け取る ISMサービス業景況指数は50.3% 6月5日に発表された、2023年5月のISMサービス業景況指数は50.3%でした。 5 月のサービス業景況指数は50.3%を記録しました。4月の51.9%と比べると、1.6ポイントの減速となりました。 本指数は、50以上であれば景気が拡大していることを意味します。そのため、50.3%という数値は2023年5月もサービス業全般は景気が良かったことを示しています。これは景気の悪さを示していたISM製造業景況指数とは大きな違いです。 * 米国ISM製造業景況指数:5月は46.9%で悪化、今の米国経済はインフレ頼み 一方、上のグラフを見ていただくと、景気の拡大速度については、2021年の下旬から減速傾向が続いていることも分かります。このペースであれば、早ければ来月には景気減速に転じる可能性もあります。
CMEの債券先物市場参加者は、FEDが7月にもう一度利上げすることを予想しはじめました。1ヶ月前には、7月頃には利下げに転じて、年末には4.50%〜4.75%というシナリオを予想していたことを考えると、大幅な金利予想の上方修正です。 毎朝メールで受け取る 債券市場の参加者は、7月の追加利上げを予想 直近、インフレ率が4%台で下げ渋るようになったのをみて、債券市場は7月にもう一度利上げがあることを予想しはじめました。 * 米国CPI:アメリカのインフレ率は4%台で横ばいへ * 米国雇用統計:5月は失業率がやや上昇 CMEの債券先物価格をもとに算出されたFEDの利上げ予想は、2023年7月に5.25%〜5.50%を予想しています。 利下げは11月に先延ばし 次に、FF金利が5.00%〜5.25%になる、つまり利下げが行われるタイミングについては、11月が予想されています。 4月下旬に以下のニュースレターで確認した際には、年末時点で4.50%〜4.75%を予想していた債券市場ですが、この1ヶ月で年末時点のFF金利予想を0.5ポイント上方修正したことになります。 *
米国ISM製造業景況指数:5月は46.9%で悪化、今の米国経済はインフレ頼み
2023年5月の米国ISM製造業景況指数は46.9%で、4月の47.1%からさらに悪化しました。今の米国の状況は、経済活動は実質的に停滞しており、雇用の強さとインフレ頼みの名目成長が続いている状態だといえます。 毎朝メールで受け取る 米国ISM製造業景況指数の概観 米国ISM製造業景況指数は、前月の47.1%から悪化して46.9%となりました。 ISMの景況指数は、製造業、非製造業などに分かれており、いずれも50%を下回ると景気が悪化していることを示します。 米国の製造業景況指数は悪化しました。5月に46.9%を記録して、4月の47.1%から0.2ポイントの悪化となりました。7ヶ月連続で50%を下回っており、2022年6月に始まった下落トレンドが継続しています。そのトレンドが反映されて、ISM製造業景況指数の12ヶ月平均は49.4%へと下落しました。 米国製造業景況指数の詳細 内訳の数字を個別に見ていくと、製造(Production)やEmployment(雇用)で成長が見られたものの、新規注文(New Orders)や注文在庫(Backlog of
5月の雇用統計は失業率がやや上昇して3.7%となりました。今後、継続して上昇した場合は景気後退が強く意識されるでしょう。一方、賃金インフレは4%台で下げ渋りをみせています。やや、スタグフレーション的な状況が強まっているように見えます。 毎朝メールで受け取る 2023年5月の米国雇用統計では失業率が上昇 非農業部門の雇用者数は339,000人増えました。これは予想の190,000人を上回りました。 一方、失業率は3.7%となりました。これは前回の3.4%から0.3ポイントの増加となり、予想の3.5%も上回りました。 しかし、上のグラフを見ていただくと分かるように、3.7%というのは昨年にも8月と10月にタッチしている水準です。そのため、今回の失業率の上昇を持って、米国が景気後退に向かっていると判断するのは少し尚早でしょう。 一方、失業率が今後3.7%を超えて、4%に向かって上昇を続けることがあれば、市場では景気後退が強く意識される展開になると思います。その場合、金利は下がり、景気に敏感な業種の株式も下がるでしょう。 以前、ガンドラック氏の失業率と景気後退に関する発言をお伝
米国実質マネーストックは、すでに2020年の水準まで減少している
現在、米国の中央銀行(FED)は、インフレ抑制のために金融引き締めを進めています。その進捗を確認する方法のひとつがマネーストックですが、インフレを考慮した実質ベースでみると2020年4月〜5月の水準まで減少しており、金融引き締めはあと一歩だと考えられます。 毎朝メールで受け取る 米国の金融引き締めは、まだ足りないのか 現在、米国の中央銀行(FED)は、インフレを退治するために金融の引き締めを続けています。FEDが行う金融引き締めは主に2種類あります。1つが利上げ、もう1つが量的引き締めです。 利上げは金利をあげることで、事業者や消費者がお金を借りることを難しくする金融政策です。事業者や消費者がお金を借りると、銀行の信用創造機能によって世の中のお金の量が増えます。逆に、お金を借りにくくすれば、過去の借金が返済されるに従って、世の中のお金の量は減っていきます。2023年5月末現在、政策金利(FF金利)は5.00%-5.25%です。 また、量的引き締めは、FEDが保有する米国債などを市場で売却する金融政策です。米国債を市場で売却すると、買い手は対価としてFEDにお金を支払うので、
さて、引き続き、ドラッケンミラー氏のインタビューをお送りしています。ドラッケンミラー氏は、以前よりドルに対してネガティブな見方をしていますが、その背景に深く入っていたので、今回はその部分をお伝えします。 毎朝メールで受け取る 債務上限問題よりも本質的な年金問題 まず、現在米国は債務上限問題で騒いでいますが、ドラッケンミラー氏はより本質的な問題を指摘します。 近い将来の2040年には、年金と金利の支払いが税収を超える。2052年には、税収の117%となる。 先進国は基本的に慢性的な赤字に陥っていますが、年金と負債の利払いだけでも赤字になってしまうというのは、根本的に構造問題を抱えていることになります。そうした構造問題と素直に向き合わない政治家をドラッケンミラー氏は詐欺師だと切り捨てています。 年金の支払いカット以外の資金源はなくなる。お金はそこにある。私たちは、確実にこの国の年金をカットすることになる。「年金をカットしなくても大丈夫」という言論は嘘か妄想だ。 そして、支出を削って、負債を減らさなければ、その間、利払いを続けることになります。今のアメリカは長期金利が4%もあ
「ブログリーダー」を活用して、マーキュリーさんをフォローしませんか?
written by @mercurys_assets 今回のポイント * 現状のポートフォリオと投資戦略をニュースレターに登録している読者限定で公開する。 ニュースレターに登録 現状のポートフォリオ 今回は本ニュースレターに登録している読者限定で、個人的なポートフォリオを公開する回としたい。 ※以下はニュースレター(無料)登録者向けの限定コンテンツです。未登録の方は、登録して続きをお読みください。 ニュースレターに登録
written by @mercurys_assets 今回のポイント * JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏は、現在の世界情勢においてラテンアメリカと北米が比較的安定している地域として際立っていると指摘。特に、新型コロナウイルスや戦争による影響を受けた北米企業が生産ラインをメキシコに移す可能性があることを強調した。これにより、メキシコはグローバル企業にとって魅力的な投資先となっている。 * ダイモン氏は、メキシコの経済インフラが既に充実しており、資本市場はさらなる成長の可能性を秘めていると述べた。メキシコのGDPと株式市場の時価総額を例に挙げ、これらがもっと大きい数字であるべきだと指摘。また、高度な技術セクターの存在もメキシコの魅力の一つとして挙げられた。 * ダイモン氏は、メキシコが実施した金融政策、特に金利を早期に引き上げたことを正しい判断と評価した。メキシコでは、政府債務GDP比率も減少に転じており、メキシコ・ペソの価格もそれに伴って反発している。メキシコは投資家にとって、為替リスクの観点からも魅力が増している。 ニュースレターに登録 ジェイミー・ダイモ
written by @mercurys_assets 今回のポイント * 日本のインフレ率は前年比+3.3%に加速し、日銀の目標の2%をオーバーシュートしているが、昨年の急な加速と比べると横ばい傾向にある。これにより、日銀は金融緩和政策を継続しやすい状況にある。 * 日本のインフレ率の将来には加速と減速の2つのシナリオが考えられ、米国の金利や為替レートの動向に左右される。インフレが減速すれば株価は上昇し、インフレが再加速すれば株価は下降する可能性がある。 ニュースレターに登録 日本のインフレ率は前年比+3.3%に加速 11月24日に発表された日本の消費者物価指数(10月分)は、前年比+3.3%で、前回の+3.0%から0.3ポイントの加速となった。 昨年に急加速したあと、今年に入ってはどちかというと落ち着いていたインフレ率だが、今回は再加速した形で、基本的には今後も前年比+3.0%を上回る水準で推移するのだろう。 また、今年に入ってからも加速を続けていたのが「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(以下、コアコア)」である。 以下の表を見ていただくと、一番下のコアコアは
written by @mercurys_assets 今回のポイント * 分散投資の重要性:ダリオ氏は、リスクの80%を削減しつつ期待リターンを維持するためには、相関性の低い異なる資産に分散投資することが重要であると強調した。彼の「オールウェザー戦略」は、株式、債券、コモディティなどの様々なアセットクラスにまたがる徹底的な分散を特徴としている。 * 財政が健全な国への投資:ダリオ氏は、現在の経済状況下で良いパフォーマンスを発揮する可能性が高いのは、良好な財政状態にある国々であると指摘している。 * 社会的対立の少ない国々への投資:ダリオ氏は、国内の左右対立が顕著な国々では、資産の没収などのリスクが高まる可能性があるため、そのような国々に投資することは避けるべきだと述べている。また、戦争に巻き込まれる可能性が低い中立国への投資を推奨している。歴史的に見て、中立国は戦争に勝った国よりも良いリターンを生み出すことが多いと彼は指摘している。 ニュースレターに登録 前提として重要なのは分散投資 今回は、レイ・ダリオ氏のMoney Maze Podcastによるインタビューから
written by @mercurys_assets 今回のポイント * 米国の利上げサイクルが終了し、直近は金利が低下している。米国10年国債の金利は5%から4.3%に下がった。しかし、レイ・ダリオ氏は中長期的な米国債の金利上昇の可能性を指摘している。 * レイ・ダリオ氏は、今後の期待インフレ率を3.0%〜3.5%と予想している。また、投資家はインフレ率に加えて実質金利も求めるが、ダリオ氏はこの実質金利を1.5%〜2.0%と見積もっている。これにより、米国債金利の適正水準は4.5%〜5.0%程度になるとしている。 * さらに、財政問題に伴う需給の悪化や政治的不安定性が、金利に上昇圧力をかける可能性があると指摘している。 ニュースレターに登録 金利の先行きは低下か上昇か 今回は、世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏のCNBCインタビューをお届けする。 まずインタビューは、直近の金利低下の話から始まっている。 直近、米国の利上げが終わったという見方が広がり、金利は低下傾向にある。本ニュースレターでも、目先は金利が低下
written by @mercurys_assets 今回のポイント * 2023年は米国経済が予想に反して強く、株価が上昇し続けた。これは消費者がクレジットカードを利用して消費を続けたことが背景にあるとガンドラック氏は考察している。 * ウクライナ戦争と中東の混乱にも関わらず、原油価格は100ドルを超えた後に70ドル台まで下落した。ガンドラック氏は、米国の景気後退を予想してコモディティ市場全体が下落しているとの見方を述べた。 * ガンドラック氏は、経済が弱まり、来年には景気後退が到来すると予測している。この景気後退は、一時的に金利の低下を招くだろうが、長期的には財政問題により長期金利が上昇する可能性が高いと見ている。 ニュースレターに登録 クレカ消費による好景気が続いた2023年 今回は、ガンドラック氏のChannel11によるインタビュー内容をお届けする。今回は、ガンドラック氏にとって今年サプライズだった2つの点についてだ。 ガンドラック氏にとって1つめのサプライズは、米国が景気後退入りせずに株価が上昇を続けた点だ。 順を追って振り返ろう。もう1年前なので記
written by @mercurys_assets 今回のポイント * アメリカの消費者物価指数(CPI)の動向:最新のCPIは前年比で+3.2%と報告されており、予想された+3.3%よりもわずかに低く、前回の+3.7%から減少した。このデータは、インフレが低下傾向にあることを示している。 * 株式市場の反応: インフレの収束を受けて、株式市場は上昇傾向にある。S&P 500は過去1ヶ月で+3.09%上昇し、10月の底からは約10%の上昇を見せています。投資妙味のあるセクターはグロース株や暗号資産、新興国株など。 * 中長期的な金利の見通し: 複数の著名投資家の見解によると、短期的には金利が低下する可能性もあるが、中長期的には財政問題などにより長期金利の上昇が見込まれる。これは株式市場に逆風をもたらす可能性があるが、目先は株式+債券のポートフォリオを維持する予定。 ニュースレターに登録 アメリカのインフレ第一波は収束へ 本ニュースレターは週3回な上に、書き溜めもしているので、少し遅くなってしまったが、改めて先週火曜日に発表された米国の消費者物価指数(CPI)を振り
written by @mercurys_assets 今回のポイント * ガンドラック氏は、現在の金利水準は経済にとって耐え難いと警告している。ガンドラック氏は2024年第2四半期までに景気後退が始まり、金利が低下すると予測しており、次の利上げはないと考えている。 * 一方、米国10年国債などの長期債は必ずしも金利が低下するとは限らず、むしろ上昇する可能性もある。長期金利が上昇するのは、米国が財政問題を抱えているためで、2028年には税収の半分が米国債の金利支払いに当てられるとの試算もある。 * 米国の財政問題については複数の著名な投資家や金融関係者が懸念を表明している。 ニュースレターに登録 今の金利水準に経済は耐えられない 今回は、Yahoo! Financeによるガンドラック氏のインタビュー内容を紹介する。 まず、FRBの金融政策について問われたガンドラック氏は、FRBが昨年3月に一気に金利を2%引き上げていれば、現在のような高い政策金利にせずともインフレを抑えられたと回答した。 もしFRBが私のアドバイスに従って、昨年の3月に0.25%や0.50%ではな
written by @mercurys_assets 今回のポイント * ハワード・マークス氏は、2023年から「Sea Change」と呼ぶ新たなパラダイムシフトの到来を語っており、過去40年間にわたる低金利時代が終了したと主張している。 * 長期的な金利低下によって、債券やクレジットよりも株式に投資をするのが資産運用の主流であり正解となっていた。しかし、マークス氏は金利のある時代時代には、資産運用のアプローチを変える必要があると提言している。 * マークス氏は、金利のある時代に適した資産運用として、債券などのクレジット商品を推奨しており、金利上昇によって株式に匹敵するリターンを得られるようになったとしている。また、クレジット商品は、企業の倒産時に株主に優先して資金回収できるメリットもある。 ニュースレターに登録 低金利の時代は終わった 今回は、Bloombergによるハワード・マークス氏のインタビュー内容を紹介する。 ハワード・マークス氏は、2023年の年初から「Sea Change」と自身が名付けるパラダイムシフトについて語ることが多い。それは1980年から
written by @mercurys_assets 今回のポイント * JPモルガンのCEOであり、金融業界の"太陽王"として知られるジェイミー・ダイモン氏は、インフレの収束には時間が掛かるため、金利にはまだ上昇余地があると考えている。 * 政策金利については、最大で0.75%の追加利上げ、長期金利については7%までの上昇を想定しており、これに対するリスク管理が必要だと述べている。 * 一方で、経済や消費者の状況については、コロナ期の余剰貯蓄は使い果たしそうなものの、失業率も低く、賃金や保有する住宅の価格も上昇しており、非常に強いとしている。 ニュースレターに登録 年初に金利5%を予想していたジェイミー・ダイモン氏 今回は、JPモルガンCEOの"太陽王"ことジェイミー・ダイモン氏のインタビュー内容を紹介する。本インタビューはJPモルガンのイベントにおいて、米Yahoo!ファイナンスが行ったものだ。 ダイモン氏といえば、今年1月に開催されたダボス会議でのインタビューにおいて金利5%がありうると発言したことが記憶に新しい。 私は金利が5%以上になると考えている。こ
written by @mercurys_assets 今回のポイント * ドラッケンミラー氏は景気の先行きに弱気。原油、金利、ドルの上昇が経済に悪影響を及ぼすと考えており、米国2年国債を大量に保有している。 * 一方、米国30年国債については金利の低下余地があまりないと考えてショートしており、債券全体ではロングショート戦略をとっている。これは逆イールドの解消からリターンを得るポジションである。 ニュースレターに登録 ドラッケンミラー氏は、景気の先行きに弱気 引き続き、Robin Hood NYC 2023からドラッケンミラー氏のインタビュー内容を紹介します。前回は、ドラッケンミラー氏の米国株についての長期展望を紹介しました。 * ドラッケンミラー氏:米国株は今後10年上昇しない 今回は米国債の展望について、ドラッケンミラー氏の見解を紹介する。 まず、ドラッケンミラー氏は今後の米国経済について、悲観的な見方をしている。 原油も金利もドルも全て上昇している。それが経済にとって良かった試しがない。そうした環境下において、通常なら私は債券をロングする。それが過去35
written by @mercurys_assets 今回のポイント * ドラッケンミラー氏の見立てでは、長期間続いた量的金融緩和(QE)の時代が終わり、金利がある時代へと移行している。 * ドラッケンミラー氏によると、長期金利は4.5%〜5.0%が妥当であり、米国株市場はそれに伴うマルチプルの調整を迫られる。今後10年間の米国株は、AI関連株など一部を除いて、横ばいとなる可能性が高い。 ニュースレターに登録 多くの投資家は環境の変化に適応できない ドラッケンミラー氏は、Robin Hood NYC 2023に登壇して、同じく優れた投資家であるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューを受けた。 その中で、ドラッケンミラー氏は投資環境が全く新しい時代に入ったことを強調した。具体的には、リーマンショックからコロナ相場まで続いた金融緩和の時代が終わり、金利がある環境に戻ったのだという。 しかし、こうした環境の変化はすぐに相場に織り込まれるわけではない。投資家の多くが根本的な環境の変化を受け入れて適応するのには時間がかかるからだ。 私は1981年にデュケイン・キャ
今回のポイント * 次の株式市場の上昇相場でリターンを生む条件について、2つの要点が考えられる。まず、銘柄が大幅に割安であり、上昇余地が大きいこと。さらに、相場のテーマに関連した銘柄であること。 * 金利上昇局面で売り込まれたハイグロース株が、金利低下のテーマに関連し、リターンを生む可能性がある。ハイグロース株は金利上昇に弱いが、金利低下が進むとその逆の展開が期待される。 * ビットコインも金利上昇により売り込まれた資産の一つである。今後についてはポジティブな要因も存在する。 * 新興国への投資も検討しうる。米国の金利上昇が収束すると、ドル高が緩和され、新興国への投資が魅力的になる可能性が高まる。特に、フロンティア国への投資はリショアリングの恩恵を受けやすいと考えられる。 ニュースレターに登録 次の上昇相場で大きくリターンを生む条件 以前のニュースレターでは、利上げサイクル・金利上昇の局面が終わった可能性が高いことに触れた。 * FRBは政策金利を維持、利上げサイクルは終了 金利がピークを超えて、低下に転じるのであれば、(景気後退がなければ)株式にとってはプラス
written by @mercurys_assets 今回のポイント * 2023年10月の米国雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を下回り、失業率が予想を上回る結果となった。インフレの収まりつつある中で、失業率が上昇していることから、FRBは今後雇用に重点を置く可能性が高まっている。 * 債券王のガンドラック氏によれば、失業率が12ヶ月移動平均を上回ると景気後退が確実とされている。現在の失業率3.9%は12ヶ月平均の3.6%を上回っている。しかし、債券市場では長期金利が下がっている一方、米国債とハイイールド債のスプレッドはまだ低下しており、景気後退への見方はまちまちである。 ニュースレターに登録 予想よりも悪かった米10月雇用統計 11月3日に、2023年10月の米国雇用統計が発表された。 まずは、ざっくりと内容を確認しよう。 * 非農業部門雇用者数:前月比+150.0千人(予想は+190.0千人) * 失業率:3.9%(予想は3.8%) * 平均賃金:前年比+4.1%(予想は+4.1%) 雇用者数の伸びは予想を下回り、失業率は予想を上回った。つまり、
written by @mercurys_assets 今回のポイント * 今週のFOMC会議において、FRBは政策金利を5.25%-5.50%に維持する決定を下した。これは7月の利上げ以降、政策金利が横ばいとなり、利上げサイクルが終了したことを示している。 * インフレ率の低下と賃金インフレの収まりが、FRBにとって安心材料となっている。失業率が上昇に転じている中で、政策金利のさらなる引き上げよりも雇用や景気の状況を注視すべき時期に入ったことが背景にある。 * 利上げの終了に伴い、債券市場の金利も低下しており、金利上昇に関する懸念は一時的に収束している。今後の焦点は景気後退の有無であり、ガンドラック氏は逆イールドが解消に向かっていることを根拠に景気後退が近いと警鐘を鳴らしている。 ニュースレターに登録 FRBは政策金利を5.25%-5.50%に維持 今週の火曜日・水曜日にFOMCが開催され、FRBは政策金利を5.25%-5.50%に維持することを決定した。 7月の利上げを最後に、米政策金利は横ばいが続いており、2022年から急ピッチに進められてきた利上げは基本的に
米国7月のISM製造業景況指数は46.4%でした。 前回が46.0%でしたから、製造業の景況感は引き続き後退しているものの、その速度は緩やかになっていることが分かります。 * 6月の米ISM製造業景況指数はさらに悪化 景気後退が遠のく、あるいはソフトランディング的な環境になる確率は上がっていると思います。 ニュースレターをメールで受け取る ISM製造業景況指数は46.4% ISM製造業景況指数は46.4%でした。 ISM製造業景況指数は、50%を下回ると景気後退的であることを示しますが、すでに9ヶ月連続で50%を下回っています。 内訳を見てみると、多くの項目において、数値が少し改善していることが分かります。製造業の景気後退スピードは緩やかになっている、つまり底打ちに向かっていると言えるでしょう。 ダウ平均株価は上昇している テック株の比重が大きいS&P500は年初から上昇を続けたのに対して、工業株の比重が大きいダウ平均株価は年初から7月頃まで横ばいが続いていました。しかし、8月に入ってダウ平均株価は上昇を続けています。 ISM製造業景況指数の数値やダウ平均株
ここ数日、米国株市場がぎくしゃくしています。(2023年8月3日執筆時点) その背景に、格付け機関であるフィッチが、米国債の格付けをAAAからAA+に1段階引き下げたことがあげられます。米国債の格下げによって、米国債価格が下がり(米国債金利が上がり)、それを嫌悪してマーケットは荒れ模様を呈しています。 ニュースレターをメールで受け取る フィッチが米国株を格下げ フィッチは、S&Pやムーディーズと並ぶ、大手格付け機関です。 もともと、今年の5月の時点でアメリカの連邦政府の債務上限問題を受けて、米国債の格付けを引き下げる方向で見直すというアナウンスは出されていました。 しかし、米銀行の経営破綻ショック、連邦政府の債務上限問題、インフレが終わるのか、FEDによる利上げはいつまで続くのか、という様々な不安があった中では、マーケット等への影響を考えて、実際の格下げには踏み切れていませんでした。今回、これらの問題がおおむね片付いたように見えるタイミングで格下げを実施したということです。 マーケットの反応としては、米国債の格下げを受けて米国債が売られ、金利は上昇しています。例えば、長
FOMC後のガンドラック氏のCNBCインタビューから、複数回に分けて、債券王ガンドラック氏の見通しをお送りします。今回は金融政策や金利に関する部分をまとめています。 ニュースレターをメールで受け取る FEDは利上げをすべきではなかった ガンドラック氏は、以前から、FEDはこれ以上の利上げをすべきではないと訴えていました。 * ガンドラック氏:FEDが利上げを続ければ、経済は壊れる 今回、FOMCでの利上げを受けて、もはやインフレ率は十分に下がっており、今回の利上げは必要なかったと見解を述べました。 インフレ率は低下しており、CPIは9.1%から2.98%まで下がってきた。それから今後、数ヶ月でいくつかの大きな項目でインフレの減速があり、コアPCEも3%まで下がるだろう。PCEは近いうちに2%台に入るだろう。だから、私たちはインフレ率はFEDが喜ぶ水準まで下がっているはずだ。 また、遅効指数である住宅価格の家賃換算という計算手法を取り除くと、すでにインフレ率は0%になっているとガンドラック氏は述べています。 家主の家賃換算を実際の住宅価格の推移で置き換えたなら、CPI
※本ニュースレターは毎週平日の7:30に配信してきましたが、最近忙しく、2日ほどお休みをいただいてしまいました。しばらく忙しい状態が続きそうなので、今後は月曜日・水曜日・金曜日の配信とさせていただきたいと思います。 7月27日に行われたFOMCでは、0.25%の利上げが行われて、FF金利は5.25%〜5.50%となりました。市場参加者はこれで利上げは終わりだと予想しています。 ニュースレターをメールで受け取る 0.25%の利上げで、FF金利は5.25%〜5.50%に 2023年7月27日に行われたFOMCでは、0.25%の利上げが行われた結果、アメリカの政策金利であるFF金利は5.25%〜5.50%となりました。 上の政策金利の推移をみていただくと、政策金利の上がり方はかなり緩やかになってきていることが分かります。 その背景には、当然ながらアメリカのインフレ収束があります。 * 米国6月消費者物価指数は予想以上のインフレ減速でドル安へ 上のグラフを見ていただくと分かるとおり、アメリカのインフレ率は前年比+3.0%まで下がってきました。PCEデフレーターも前年比+3.
5月頃からは、インフレの再燃と金利上昇を懸念して、ポートフォリオを小さめにし、慎重な投資姿勢を貫いてきました。そのため、ハイテク株を中心とした大相場に乗り損ねた側面もあります。 しかし、米国金利が天井をつければ、債券を中心に投資をしやすい環境が整ってきます。FEDはあと2回、市場参加者はあと1回を予想していますが、いずれにせよ米国金利の天井は近いことが分かります。 今回は、このあたりを確認したいと思います。 毎朝メールで受け取る 米国金利が天井をつけると投資しやすくなる 現在、大きくポジションを取れない最大の理由は、米国金利がいつ天井をつけるかが分からないからです。 米国金利が天井をつけたことが分かれば、株式と債券を組み合わせることで景気後退リスクをヘッジしつつリターンを追求できますし、ドル安を見込んだゴールドや新興国への投資もできます。 つまり、米国金利さえ天井をつけてしまえば、景気後退リスクが残っていたとしても、投資は非常にやりやすくなるわけです。 では、米国金利がいつ天井をつけるかというと、その見通しはFEDと市場で割れており、FEDはあと2回の利上げを予想して
現在、米国の中央銀行(FED)は、インフレ抑制のために金融引き締めを進めています。その進捗を確認する方法のひとつがマネーストックですが、インフレを考慮した実質ベースでみると2020年4月〜5月の水準まで減少しており、金融引き締めはあと一歩だと考えられます。 毎朝メールで受け取る 米国の金融引き締めは、まだ足りないのか 現在、米国の中央銀行(FED)は、インフレを退治するために金融の引き締めを続けています。FEDが行う金融引き締めは主に2種類あります。1つが利上げ、もう1つが量的引き締めです。 利上げは金利をあげることで、事業者や消費者がお金を借りることを難しくする金融政策です。事業者や消費者がお金を借りると、銀行の信用創造機能によって世の中のお金の量が増えます。逆に、お金を借りにくくすれば、過去の借金が返済されるに従って、世の中のお金の量は減っていきます。2023年5月末現在、政策金利(FF金利)は5.00%-5.25%です。 また、量的引き締めは、FEDが保有する米国債などを市場で売却する金融政策です。米国債を市場で売却すると、買い手は対価としてFEDにお金を支払うので、
さて、引き続き、ドラッケンミラー氏のインタビューをお送りしています。ドラッケンミラー氏は、以前よりドルに対してネガティブな見方をしていますが、その背景に深く入っていたので、今回はその部分をお伝えします。 毎朝メールで受け取る 債務上限問題よりも本質的な年金問題 まず、現在米国は債務上限問題で騒いでいますが、ドラッケンミラー氏はより本質的な問題を指摘します。 近い将来の2040年には、年金と金利の支払いが税収を超える。2052年には、税収の117%となる。 先進国は基本的に慢性的な赤字に陥っていますが、年金と負債の利払いだけでも赤字になってしまうというのは、根本的に構造問題を抱えていることになります。そうした構造問題と素直に向き合わない政治家をドラッケンミラー氏は詐欺師だと切り捨てています。 年金の支払いカット以外の資金源はなくなる。お金はそこにある。私たちは、確実にこの国の年金をカットすることになる。「年金をカットしなくても大丈夫」という言論は嘘か妄想だ。 そして、支出を削って、負債を減らさなければ、その間、利払いを続けることになります。今のアメリカは長期金利が4%もあ
先週に引き続き、SOHN2023で行われたドラッケンミラー氏のインタビューの内容をお伝えします。今回は、ハードランディング後に何に投資をすべきかというテーマです。 毎朝メールで受け取る 銅(コモディティ) まず、最初にドラッケンミラー氏があげたのが銅です。銅の需要はもっとも逼迫しているといいます。 景気後退から回復するときには、コモディティの黄金期が訪れるだろう。銅は最も需給がタイトであり、私も勉強をしている。私は阿呆ではないし、景気サイクルで何が起こるかを知っているから、ハードランディングに向かっている現時点でポジションを持とうとは思わない。しかし、そこから回復するときには、電気自動車への動きや政府が後押しするであろうインフラストラクチャ法案の支出を考えると、銅価格が大きなリターンを得られないと考えるのは難しい。 S&P Globalの予想をみると、今後急速に銅の需要(青線)が伸びていくことが分かります。これに対して、棒グラフが供給の予測であり、左側が野心的な目標を達成した場合、右側が苦戦した場合を表しています。 なお、銅価格は過去に以下のように推移しています。 なお
5月10日に全米産業審議会(カンファレンスボード)の最新GDP予想が公開されています。今回はそちらの内容をお伝えします。 毎朝メールで受け取る 第2四半期から実質GDPはマイナス入りする 最新のカンファレンスボードの予想では、第2四半期から年率換算した実質GDPは-0.6%とマイナス入りします。 第3四半期には-1.6%、第4四半期には-1.2%となるということで、第2四半期から米国経済の不調が始まり、それが続くことになります。これは先日、ドラッケンミラー氏が「すでに景気後退が始まっていてもおかしくない」という趣旨の発言をしたこととあわせて注目です。 * ドラッケンミラー氏:すでに景気後退が始まっている可能性もある 景気後退のタイミングは今年の第4四半期から2024年の第1四半期だとされているが、最近の逸話や銀行の問題を考えると、1年後に今年を振り返って、第2四半期から景気の悪化が始まっていたとしても驚かない。確信はないが、投資を生業にしているので、経済予測をせざるを得ない。 また、もうひとつ注目すべき点は在庫(Inventory change)でしょう。第2四半期か
2023年5月26日に発表された東京都物価指数によると、日本のインフレが加速を続けていることが確認されました。東京都物価指数の「総合」は前年比+3.5%と前回の+3.1%から減速しましたが、これはエネルギー価格の下落が要因であり、「エネルギー価格および生鮮食品を除く総合」では+3.9%と前回の+3.8%から加速しています。 毎朝メールで受け取る 2023年5月の東京都物価指数 東京都物価指数は、月前半の数値を用いて発表されるため、全国の消費者物価指数が発表される前に、インフレの傾向を先取りすることができます。 一番右の2023年5月の数字は以下のようになっています。 * 総合:+3.2%(前回比0.3ポイントの減速) * 生鮮食品を除く総合:+3.2%(前回比0.3ポイントの減速) * 生鮮食品及びエネルギーを除く総合:+3.9%(前回比0.1ポイントの加速) エネルギー価格が下がったため、インフレ率は「総合」と「生鮮食品を除く総合」について順調に低下しました。しかし、価格変動の激しい生鮮食品とエネルギーを除いたベースのインフレは加速していることがわかります。
引き続き、ドラッケンミラー氏のSohn2023のインタビュー内容をお伝えします。今回はハードランディングのイメージについて話している部分をまとめています。 毎朝メールで受け取る ハードランディングの具体的なイメージ まず、ハードランディングとはどのような状況かと聞かれて、以下のように回答しています。 企業の利益が下がり、失業率は現在の3.4%から5%以上に上昇するだろう。経営破綻は、1880年以降で最も秩序のない経済状況のおかげで今はほとんど破綻がない。2008年と比べても全然低い。インフレかデフレかという点については非常に難しい。2年前はインフレ率が上昇することに確信があった。この前スタッフミーティングを行ったが、インフレ率8%という状況も想定できるし、デフレという状況も想定できると話した。それは回答としてはあまりに幅があるが。 企業利益の減少や失業率の上昇という一般的なハードランディングの定義までは良いとして、名目ベースでインフレとなるかデフレとなるかについては、予想が難しいとしています。 インフレ要因は、過去数年で行われた過剰な金融緩和 まず、インフレ的になりう
ソロスのポンド売りの裏の立役者であったりと、伝説のマクロトレーダーであるドラッケンミラー氏のSohn2023のインタビューから、何回かに分けて内容をお届けしていきたいと思います。 毎朝メールで受け取る FEDの歴史上最悪の失策が資産バブルを引き起こした まず、ドラッケンミラー氏ほどの伝説のトレーダーでも、現在の状況は、過去で最も難しい局面だとしています。 45年間、経済予測をしなければいけない仕事をしてきたが、今はどう考えても一番難しい時期だ。巨大な金融緩和と急激な変化があった。新型コロナが色々と状況を変えた。新型コロナから脱出したモメンタムは本物か偽物か、持続的かそうでないか。それからウクライナの戦争があり、中国の経済再開がある。だから、今はそれほど経済予測に自信がない。 これは、過去にも別のインタビューで述べていた通りです。 * ドラッケンミラー氏:今はリスクを取るタイミングではない さて、目先の見通しが得にくいときほど、大局観を持つことが重要です。ドラッケンミラー氏は、過去500年の経済を研究したエドワード・チャンスラーの本に触れて、低金利が長く続いたあとには、
1987年の株価大暴落「ブラックマンデー」を予測したり、2020年前半からのビットコイン投資を成功させたりと、著名なグローバルマクロ投資家として知られるポール・チューダー・ジョーンズ氏がCNBCに出演していたため、今回はその発言内容をお伝えします。 毎朝メールで受け取る 短期的には米国株は上昇余地がある まず、ポール・チューダー・ジョーンズ氏は、短期的には米国株には上昇余地があるとしています。 我々は債務上限問題に対する恐怖があるため、その問題が去れば、株式は少し上昇するだろうし、債券は少し下がるだろう。なぜならリスクプレミアムが無くなるからだ。それが最も短期の見通しだ。 債務上限問題というのは茶番に過ぎないので、(米国債のデフォルト等まで繋がらない限り)中長期でみると大した影響はなく、わざわざ取り上げたり・解説をするようなものでもありません。 しかし、茶番ではあるとはいえ、それがいくらかリスクプレミアムを持ち上げているのであれば、理論株価のバリュエーション時の割引率を上昇(= 株価を下落)させているはずです。ですから、セオリー通りに考えれば、債務上限問題が過ぎればリスク
5月16日に発表された小売売上高は前年比+1.6%で、前年比マイナスに向かう勢いを見せました。過去には、小売売上高の前年比がマイナス入りする前後で景気後退が見られているため、いよいよ米国の景気後退は迫っているようにも見えます。 一方で、景気後退はある程度まで債券市場に織り込まれてしまっているため、今後は他のリターンの源泉を探してく必要もあるでしょう。 毎朝メールで受け取る アメリカの小売売上高は前年比マイナス水準に迫る 5月16日に発表された最新の小売売上高は前年比+1.6%でした。 この調子でいくと、早ければ第二四半期、遅くとも第三四半期には前年比でマイナスに陥るように思われます。 また、これはインフレ率が前年比+5.0%ある中での+1.6%であることにも注意が必要です。 もちろん、CPIにはサービス業など小売以外のさまざまな要素が含まれていますから、一概に比較することはできません。しかし、乱暴に計算してしまえば、小売売上高の+1.6%から、インフレ率の+5.0%を引くと、実質的な前年比は-3.4%となります。実質的にはマイナス成長に陥っている可能性は高そうです。
5月19日発表の国内消費者物価指数は前年比+3.5%で、国内のインフレが再加速していることを示しました。日本の金利には上昇圧力が働くこととなるでしょう。 毎朝メールで受け取る 日本の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.5% 2023年5月19日に発表された国内の消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.5%でした。前回の+3.2%からは0.3ポイントのインフレ加速となりました。 総務省の発表している元データも確認しておきましょう。 表の一番右にある4月分を見ると、以下のようになっています。 * 総合が+3.5%(前回から0.3ポイントの加速) * 生鮮食品を除く総合が+3.4%(前回から0.3ポイントの加速) * 生鮮食品及びエネルギーを除く総合が+4.1%(前回から0.3ポイントの加速) 3つすべての指標においてインフレ(消費者物価指数の前年比)が加速していることが分かります。 日本のインフレは再度加速基調へ 本ニュースレターでは何度もお伝えしている通り、今年に入ってインフレ率が抑えられていたのは、原油などのコモディティ価格が下落していたからです。 昨年
2023年5月17日に発表された国内GDPでは、GDPデフレーター(インフレ率)が前年比+2.0%となりました。これで、消費者物価指数に続いて、GDPデフレーターベースでも、日銀のインフレ目標である2%が達成されたことになります。 日本でもインフレが始まったことを受けて、今後、日本の長期金利はいくらか上昇すると思います。 毎朝メールで受け取る 日本のGDPは前期比年率+1.6% 日本のGDPは前期比+0.4%、年率換算すると+1.6%でした。 前期比年率+1.6%というのは、弱くはないものの、強い数字とも言い難いです。プラスではあるものの、微妙な数字だといえます。 GDPベースでもインフレ率は+2.0%へ また、今回最大の注目ポイントはついにGDPデフレーターが前年比で+2.0%となったことでしょう。インフレ率+2%というのは、日銀のインフレ目標だからです。 そもそも、消費者物価指数でみた日本のインフレ率は加速を続けており、本ニュースレターでも過去にお伝えしている通り、
アメリカでは、大きな金額を動かしている投資家は四半期に一度、そのポジションを開示する必要があります。今回は世界的なグローバルマクロ投資家であるドラッケンミラー氏のポジションを見ていきたいと思います。 なお、ドラッケンミラー氏の経済の見立てについては、以下のニュースレターで紹介していますので、あわせてご覧ください。 * ドラッケンミラー氏:今はリスクを取るタイミングではない 2023年1QはAI関連銘柄に積極投資 ドラッケンミラー氏は、2023年1QはNVDIAとMicrosoftを買い増して、AI関連銘柄に積極投資していました。彼はネットでは株式ポジションはほぼ0であると発言しているため、同時に他の株式をショートしているものと思われます。 ショートポジションは開示対象ではないので、具体的な銘柄を見ることはできませんが、彼が経済がハードランディングするという見方をしていることからも、NYダウやラッセル2000などの景気に敏感な指数や個別銘柄をショートしているのではないかと考えられます。 NVDIAについては、35%ほど株数を増やして、ポートフォリオの9%程度を占めています
日本の国内企業物価指数は前年比+5.2%であり、企業物価のインフレ率は前回の7.2%から大幅に減速しました。今回は軽めの内容となります。 毎朝メールで受け取る 国内企業物価指数は急減速した 予想の前年比+5.7%に対して+5.8%と0.1ポイント上回りましたが、前回の+7.2%からは1.5ポイントのインフレ減速となりました。 これは何度も書いてきた通り、原油などのコモディティ価格が下落していることが大きな要因です。 昨年の3月〜5月といえばウクライナ戦争が始まったことで原油や穀物の値段が大幅に上昇していた時期です。そのため、前年比はマイナスになりやすい環境が続いていました。 本ニュースレターでは、3月上旬に発表された東京都のCPIから、そうした兆候を読み取ったため、3月〜4月は米国債を中心にポジションを大きめにとっていました。(現在は縮小済み) * 東京都の消費者物価指数(2月)、全体はインフレ減速もコアコアは加速 インフレ率は前年比で見るため、昨年の原油価格が高かった分、今年の2月〜6月頃にかけては、エネルギー価格は大きなデフレ要因となります。エネルギー価格のデフ
本日は、少し早いですが6月以降の投資戦略について考えたいと思います。 毎朝メールで受け取る 3月〜5月相場のふり返り まず、まだ5月は終わっていませんが、3月〜5月の相場をふり返っておきましょう。 本ニュースレターでは、2月末に米国10年国債金利が4%近くなったことから、米国債の買い増しを行ったことをお伝えしました。 * 米国長期金利は4%近い水準、米国債の買い増しを開始 今回、米国長期金利が4%近い水準に達したということで、債券の買い増しを開始しました。 その後、3月には昨年ウクライナ戦争で原油価格が高騰していた反動で、今後数ヶ月はインフレ率が順調に低下する可能性が高いことから、金利低下の恩恵が受けられる債券をメインに、ポートフォリオのサイズを拡大するという判断を取りました。 * 米国のインフレは、エネルギーのデフレの恩恵を受けて減速する可能性がある 昨年3月に原油価格が110ドルといった水準をつけていたことを考えると、原油価格が80ドル程度のまま推移すれば、3月のエネルギー価格は前年比-27%程度になると考えられます。 * 2023年の3月〜5月相場はリ
2023年4月の米国消費者物価指数は前年比+4.9%で、コンセンサスの+5.0%を下回ったものの、インフレが下げ渋りを見せていることが分かりました。 引き続き、FEDは高金利を維持して、債券市場は景気後退を予想しているという状態が続くでしょう。 毎朝メールで受け取る 消費者物価指数は前年比+4.9%で横ばいへ 2023年4月の消費者物価指数(CPI)は前年比+4.9%でした。前回の+5.0%からは、0.1ポイントの減速となりました。 エネルギーと食品を除いたインフレ率は前年比+6%台が続いている エネルギー価格は-4.9%と前年比でデフレが続いています。 * 米国のインフレは、エネルギーのデフレの恩恵を受けて減速する可能性がある エネルギー価格のデフレが続いている中で、インフレ率が下げ渋りを見せているのは、エネルギーを除いたインフレ率が高止まりしているからです。 こちらの数字は、大きな景気後退でも起こらない限り、目先なかなか大幅に下がることは見込めないでしょう。 そうすると、インフレ自体は減速基調にあるので追加の利上げまでは必要なさそうだけれど、しばらくはFF
引き続き、FOMC後のガンドラック氏のCNBCインタビューの内容をお送りしたいと思います。 * ガンドラック氏:投資家は景気後退に備えて米国債を買うべき インフレは簡単に収まらない まず、ガンドラック氏は、この先インフレ率が順調に減速することはないと指摘しています。 パウエル議長が「インフレーションは以前考えていたいたほど早く減速しないかもしれない」と言ったのは興味深かった。覚えているだろうか、(FEDの予想する)ドットプロットは年末にインフレ率が3%程度に下がると予想していた。私にはそれが実現するとは思えない。そして、(会見では)パウエル議長もその予想にもはや自信を持っていないように聞こえた。 これはガンドラック氏が以前から指摘していることで、彼は年初の時点からインフレは前年比+4%程度で下げ止まると予想していました。 * ガンドラック氏:景気後退で金利が下がり、インフレ率は4%で下げ止まる いま、消費者物価指数は4月に発表された3月の数値が+5.0%程度であり、5月10日に発表される4月の数値も+5.0%と横ばいが予想されています。 * 前年比+4%台まで減
少し遅くなりましたが、2023年5月5日に発表された米国雇用統計では、まだ雇用が強いことが示されました。 前回の3月雇用統計がほっと一息つける内容だったとすると、今回はまた「やはりインフレは油断ならない」と感じさせる内容となっています。 * 無難な3月米雇用統計:失業率の上昇は見られず、賃金インフレは順調に減速 毎朝メールで受け取る 予想を大きく上回った4月の米国雇用統計 まず、失業率は3.4%でした。前回の3.5%から0.1ポイント低下しました。 非農業部門の雇用者数は、前年比で2.6%増で、ほぼ前回と同じでした。推移をみると、雇用ペースは緩やかに減速しているものの、新型コロナ前と比べると、まだまだ強い水準にあることが分かります。 賃金インフレは4%台 賃金の伸び率は前年比4.4%増で、前回から0.1ポイント加速しました。 こちらも少し長期でみると緩やかに減速していますが、新型コロナ前の水準には程遠いことが分かります。 目先は高金利の維持が必要 雇用が強いこと自体は、本来悪いことではありません。 しかし、現在のインフレ環境においては「まだ雇用が強いのだ
先日のFOMCを受けて、CNBCの番組に出演したガンドラック氏は投資家は景気後退に備えて米国債を買うべきだという意見を述べました。 毎朝メールで受け取る FEDは白紙の態度を示した 今回のFEDの感想を聞かれたガンドラック氏は、以下のように回答しました。 とても柔軟な態度を示した。債券市場は、そうしたFEDが次回のFOMCの見通しを示さないという態度を予想していた。それは債券市場が価格に織り込んできたことと全く一致している。 FEDはインフレを抑えるために、インフレ率よりも高い水準にFF金利をなんとか持ってきました。あとはこれを維持して様子を見てみようということで、この先については、現時点では何も作戦があるわけではないということです。 これは、以下のニュースレターにも書いた通りです。 * 5月FOMCでは0.25%の利上げを実施、FF金利はインフレ率を上回った 続いて、ガンドラック氏は、どちらかというと鷹派だったとコメントしました。 いくらか鷹派のトーンが見え隠れしていた。インフレ率2%をターゲットとすることからは決して離れないという断固たる姿勢を見せた。彼(パウ
レイ・ダリオ氏がModern Wisdom 620の動画に出演していたので、その中からポイントをお伝えします。 レイ・ダリオ氏の経済見通しは、たびたび紹介してきており、今回も内容としては変わりませんが、少し丁寧に解説されているため、参考になれば幸いです。 毎朝メールで受け取る 多くの企業がバランスシートを毀損している そもそもシリコンバレー銀行で何があったかは、過去に以下のニュースレターでも解説していますが、改めてレイ・ダリオ氏の言葉も読んでおきましょう。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ レイ・ダリオ氏の説明は、以下の通りです。 シリコンバレー銀行の件をみると、それは彼ら特有の問題ではなく、世界中で起こっている問題だ。銀行が預金を受けて、預金金利よりも高い金利のあった米国債をたくさん買った。次に、預金金利が上がり、米国債の価格が下がった。そして経営が破綻した。 次に、レイ・ダリオ氏は、地銀以外にも多くの企業がバランスシートの問題を抱えていることを指摘しています。 それは銀行だけでなく、保険会社や世界中で同じことが起こっている。ヨーロッパでも起
5月3日のFOMCでは、0.25%の利上げが実施され、FF金利は5.00~5.25%になりました。これはコンセンサス通りでした。これによって、FF金利はついにインフレ率(CPI)を上回る水準となりました。 毎朝メールで受け取る FF金利はインフレ率(CPI)を上回った さて、FF金利が5.00%〜5.25%になったということが何を意味するかというと、それはFF金利がインフレ率(CPI)を上回ったことを意味します。 振り返っておくと、前回のCPIが前年比+4.98%とぎりぎりで+4%台でしたから、今回のFF金利5.00%〜5.25%というのは、それを上回る水準だというわけです。 * 前年比+4%台まで減速した米国CPIと市場参加者の読み間違い 以下のニュースレターでも見たように、1970年代の高インフレを終わらせたポール・ボルカー議長のFEDも、景気後退時を除いて、常にFF金利をCPIよりも上の水準に持っていくことを徹底していました。つまり、今のFF金利を維持できる限り、