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Mercury's:マクロ戦略投資ニュースレター https://www.mercurys-assets.com/

Mercury'sでは、平日の毎朝7:30にお届けするニュースレターを中心に、グローバルマクロ戦略等の資産運用に関するインサイトを発信しています。

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2023/03/17

  • ガンドラック氏:投資家は景気後退に備えて米国債を買うべき

    先日のFOMCを受けて、CNBCの番組に出演したガンドラック氏は投資家は景気後退に備えて米国債を買うべきだという意見を述べました。 毎朝メールで受け取る FEDは白紙の態度を示した 今回のFEDの感想を聞かれたガンドラック氏は、以下のように回答しました。 とても柔軟な態度を示した。債券市場は、そうしたFEDが次回のFOMCの見通しを示さないという態度を予想していた。それは債券市場が価格に織り込んできたことと全く一致している。 FEDはインフレを抑えるために、インフレ率よりも高い水準にFF金利をなんとか持ってきました。あとはこれを維持して様子を見てみようということで、この先については、現時点では何も作戦があるわけではないということです。 これは、以下のニュースレターにも書いた通りです。 * 5月FOMCでは0.25%の利上げを実施、FF金利はインフレ率を上回った 続いて、ガンドラック氏は、どちらかというと鷹派だったとコメントしました。 いくらか鷹派のトーンが見え隠れしていた。インフレ率2%をターゲットとすることからは決して離れないという断固たる姿勢を見せた。彼(パウ

  • レイ・ダリオ氏:信用収縮による債券売りが金利上昇かハイパーインフレを招く

    レイ・ダリオ氏がModern Wisdom 620の動画に出演していたので、その中からポイントをお伝えします。 レイ・ダリオ氏の経済見通しは、たびたび紹介してきており、今回も内容としては変わりませんが、少し丁寧に解説されているため、参考になれば幸いです。 毎朝メールで受け取る 多くの企業がバランスシートを毀損している そもそもシリコンバレー銀行で何があったかは、過去に以下のニュースレターでも解説していますが、改めてレイ・ダリオ氏の言葉も読んでおきましょう。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ レイ・ダリオ氏の説明は、以下の通りです。 シリコンバレー銀行の件をみると、それは彼ら特有の問題ではなく、世界中で起こっている問題だ。銀行が預金を受けて、預金金利よりも高い金利のあった米国債をたくさん買った。次に、預金金利が上がり、米国債の価格が下がった。そして経営が破綻した。 次に、レイ・ダリオ氏は、地銀以外にも多くの企業がバランスシートの問題を抱えていることを指摘しています。 それは銀行だけでなく、保険会社や世界中で同じことが起こっている。ヨーロッパでも起

  • 5月FOMCでは0.25%の利上げを実施、FF金利はインフレ率を上回った

    5月3日のFOMCでは、0.25%の利上げが実施され、FF金利は5.00~5.25%になりました。これはコンセンサス通りでした。これによって、FF金利はついにインフレ率(CPI)を上回る水準となりました。 毎朝メールで受け取る FF金利はインフレ率(CPI)を上回った さて、FF金利が5.00%〜5.25%になったということが何を意味するかというと、それはFF金利がインフレ率(CPI)を上回ったことを意味します。 振り返っておくと、前回のCPIが前年比+4.98%とぎりぎりで+4%台でしたから、今回のFF金利5.00%〜5.25%というのは、それを上回る水準だというわけです。 * 前年比+4%台まで減速した米国CPIと市場参加者の読み間違い 以下のニュースレターでも見たように、1970年代の高インフレを終わらせたポール・ボルカー議長のFEDも、景気後退時を除いて、常にFF金利をCPIよりも上の水準に持っていくことを徹底していました。つまり、今のFF金利を維持できる限り、

  • 2023年5月上旬現在、検討しうる3つの投資アイデア

    最近は、ポートフォリオのサイズを小さくして様子見をしていることは、すでに何度もお伝えしてきた通りです。 この様子見はまだしばらく続くと思いますが、何か相場でトレードしていないと気が済まない方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は待機資金の一部を使ってポジションを取ることを検討しうるアイデア候補を3つほど書いてみたいと思います。 なお、現時点(2023年5月3日時点)では、筆者自身はまだいずれのポジションも取っていませんし、今後取るかどうかも決めていません。あくまでもアイデアだということでお読みいただければと思います。 毎朝メールで受け取る 日本債券のショート まずは、日本の金利上昇にかけるトレードアイデアが考えられます。日本のインフレが続けば、いずれ日本でも金利を上げざるを得ないでしょうし、黒田総裁も退任したため金融政策の見直しが行われる確率も上がっているためです。 このアイデアについては、4月下旬の以下のニュースレターで触れました。 * 国内CPI:日本の長期金利上昇には投資妙味があるか 日本の金利上昇からリターンを得るのにどのようなポジションが良いかを、上の

  • 4月のISM製造業景況指数はスタグフレーション的な再加速

    5月1日に発表された2023年4月のISM製造業景況指数は、雇用や価格インフレの影響で再加速しました。一方で、注文や在庫は減少しており、企業活動は縮小されていることが分かりました。 毎朝メールで受け取る 再加速した4月のISM製造業景況指数 2023年4月のISM製造業景況指数は、予想の46.7を上回る47.1でした。前回の46.3からは0.8ポイントの増加となりました。 とはいえ、相変わらず、50を下回っていますし、下落トレンドにあることに変わりはありません。また、前回同様に依然として新型コロナ前後の水準にあります。全体として、景気が強いというわけでは決してありません。 * ISM製造業景況感指数は新型コロナ前後の水準まで後退している 雇用と価格インフレによる再加速 続いて、内訳を見ておきましょう。 前月からみると、雇用(Employment)が+3.3ポイントで50.2と再び50の水準を超えています。それから、価格(Prices)も+4.0ポイントで53.2と50を超えています。 一方で、注文残(Backlog of Orders)や在庫残(Inventor

  • ドラッケンミラー氏:今はリスクを取るタイミングではない

    ポンド売りでイギリス銀行に勝利した男として知られるジョージ・ソロス氏のファンドで、投資アイデアを練って実務を担当していたのが、スタンレー・ドラッケンミラー氏です。 そんなスタンレー・ドラッケンミラー氏は、現在は自身の個人資産を運用しているだけで、資産運用業の第一線を退いているため、メディア露出は多くありません。しかし今回、NBIMのカンファレンスに出演しており、最新の見通しを知ることができました。そこで、今回はその内容をお届けしたいと思います。 毎朝メールで受け取る チャンスボールがなければバットを振るべきではない まず、現在の状況は過去に見たことがなく、先行きの予想が難しいことを打ち明けています。 金融経済環境の先行きを予想するのは非常に不透明だ。私は、投資を45年行っているし、経済史をたくさん勉強したが、金利ゼロの状況が11年も続き、あらゆる資産クラスがバブルな中で、12ヶ月の間に5%も利上げがされた、今のような状況は見たことがない。私のように、歴史から今後のありうるシナリオを考えるスタイルの人間にとっては難しい時期だ。 その上で、どのような運用をすべきかと訊かれると

  • 米国GDP(2023年1Q)は民間企業の投資が急減速

    今回は、4月27日に発表された2023年1Qの米国GDPを見ていきます。 毎朝メールで受け取る 米国GDPは+1.1%で予想を下回った 4月27日に発表された米国GDPは、前期比の年率換算で約+1.1%でした。 前回が+2.6%なので、1.5ポイントの低下となりました。全体としても長期で右肩下がりの減速トレンドが続いていることが分かります。 以下、詳しく内訳を見ていきましょう。 個人消費は堅調 個人消費は前期比年率で+3.7%と好調でした。 個人消費は再加速しており、2023年1Qの米国消費者には消費余力がまだあったことが分かります。 思い返せば、消費者関連の指標は比較的強いデータが続いていました。 例えば、雇用は2023年1Qを通じて堅調でした。失業率は低い水準で推移しており、賃金も上昇速度は減速しているものの、前年比+4%台の水準で時給が上がっていました。 * 無難な3月米雇用統計:失業率の上昇は見られず、賃金インフレは順調に減速 * 米国雇用統計は労働市場がまだ堅調であることを示した また、物価のインフレ率は3月にはぎりぎり4%台まで減速して、時給

  • 1980年代インフレ終息時の、景気後退、金利低下、ドル安、株価を振り返る

    1970年代のインフレが終息した1980年代前半に何が起こったかを時系列に並べ直して、整理してみました。今回は、この内容をニュースレターでお届けした上で、現在の状況についても整理します。 毎朝メールで受け取る 銀行融資の増加がピークを迎える:1979年9月 まず、1979年9月に銀行融資の増加速度がピークを超えました。 この頃、長期金利が10%に到達しており、金利の上昇を受けて、急激に融資が減速していたことが分かります。 失業率の上昇(1回目):1980年1月 銀行融資の減速を受けて、4ヶ月後の1980年1月に景気後退に突入しました。 このとき、株価は少し遅れて1980年3月にピークをつけて下落に転じています。 一般的に株価は景気後退を先取りして下落するため、これは少し珍しい動きともいえます。この背景には、実質GDPが1980年1Qまで前期比年率プラス圏で推移していたことが考えられるでしょう。 失業率は上昇していたものの、インフレもまだピークをつけておらず、実質ベースでもGDPは高く、ぎりぎりまで景況感はそこまで悪くなかったのだと思います。 しかし、その後、失業

  • 2月のケースシラー住宅価格指数は下げ渋りを見せた

    2023年4月25日に、2023年2月分のケースシラー住宅価格指数が発表されました。 予想は前年比-0.05%でしたが、結果は+0.36%で予想を上回りました。また、前月比では8ヶ月ぶりにプラスに転じて、下げ渋りを見せました。 毎朝メールで受け取る 前年比のインフレ率は順調に低下 以下は、ケースシラー住宅価格指数の前年比の推移です。 前年比でのインフレ率は順調に減速しており、次回からはマイナス圏に入る、つまり前年比で住宅価格がデフレに入ることが予想されます。少なくとも今後半年くらい(2023年3月分〜2023年9月分)の間、住宅価格は前年比でデフレとなるでしょう。 ケースシラー住宅価格指数の前年比がマイナス圏に入るのは、上のグラフからも分かる通り、2012年以来のことです。6月以降はエネルギーのデフレ効果が剥げ落ちていきますが、住宅価格のデフレがしばらくはインフレ率を抑える形となるでしょう。 前月比では下げ渋りを見せた 一方で、今回気になったのは、1月分からわずかに反発して下げ渋りを見せたことです。 ケースシラー住宅価格指数は前月比で+0.05%となり、前月比は8

  • モハメド・エラリアン氏:債券市場は非常に混乱している

    モハメド・エラリアン氏が、債券市場は株式市場ほど楽観的ではなく、不透明性の高まりを表しているとして、警戒を呼びかけました。 毎朝メールで受け取る 不可解な債券市場 モハメド・エラリアン氏は、株式市場が落ち着いてきたように見える件について意見を求められ、以下のように述べました。 株式市場だけを見ていたらそう考える(悪いニュースを織り込み済みだと考える)だろう。いま混乱を招いているのは債券市場だ。長い間、見ていないような状況が発生している。 続いて、債券市場で起こっている不思議な現象について、具体例を挙げています。 1ヶ月金利と3ヶ月金利の乖離 3ヶ月の米国債金利が、過去に見たことのないような水準で、1ヶ月の米国債金利を天文学的な水準で上回っている。 1ヶ月や3ヶ月といった短期米国債の金利を普段見ることはあまりありませんが、この機会に確認してみましょう。 まず、米国1ヶ月国債の金利は、以下のように推移しています。 2023年3月の開始時点では4.7%近くあった金利が3.4%まで低下しています。つまり、米国1ヶ月国債は物凄い勢いで買われているということです。 続いて

  • 米国経済指標の総点検

    引き続き、特段注目すべき指標や発言もないので、今回は米国経済を一度総点検することで、全体を俯瞰してみたいと思います。 毎朝メールで受け取る 債券市場はインフレ減速と利下げを予想している 経済指標に先行するのが金融市場です。その中でも、金額が大きく、数多くの機関投資家が参加しているため、最も賢くて重要だとされるのが債券市場です。そのため、まずは米国債金利から見ていきましょう。 米国の長期金利は、3月にシリコンバレー銀行の経営破綻を受けて、3.4%を割り込む水準まで下がっていましたが、今は少し上昇して3.5%前後で推移しています。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ 現在のFF金利が5.00%で、次回のFOMCでは5.25%への利上げが予想されているため、長期金利は現在のFF金利と比べると、だいぶ低い水準にあります。つまり、債券市場は「今後の大きな流れとしては金利が下がっていく」と予想していることが分かります。 続いて短期金利も見ておくと、3月に3.7%台まで下がりましたが、現在は4.17%まで上昇しています。 今後2年間の平均金利がざっくりと4%前後

  • ポートフォリオの再確認

    今回は、あまり共有すべき経済指標や著名投資家・経済学者の発言もないため、普段とは少し趣きを変えて、自分の現在のポートフォリオを共有しようと思います。 これはあくまでも現時点でのポートフォリオであり、日々の各資産の値動きだけでも割合は勝手に変化しますし、少し時間が経つと全く参考にならないものとなってしまいます。 なので、あくまでも現時点(2023年4月22日執筆時点)の僕の考えを理解する手助けとなる資料として見ていただけると嬉しいです。 また、あまり多くの方に見せるものでもないと思うので、普段は結論部分以外は全体公開していますが、今回はニュースレター全体を購読者の方のみお読みいただけるようにしたいと思います。

  • 国内CPI:日本の長期金利上昇には投資妙味があるか

    日本の国内CPIは前年比+3.2%と前回から0.1ポイント低下したものの、エネルギー価格の下落による恩恵を除くとインフレは加速しています。6月以降は、エネルギー価格の前年比での下落という恩恵がなくなるため、インフレ率の下げ止まりや再加速が意識されるようになるでしょう。 毎朝メールで受け取る 日本国内の全国消費者物価指数は前年比+3.2% 総務省が4月21日に発表した日本国内の全国消費者物価指数は前年比+3.2%で、前回の+3.3%からは0.1ポイントの減速となりました。 アメリカから数ヶ月遅れる形で、昨年の12月に前年比+4.0%とピークをつけた後、インフレは減速に転じて、+3.2%まで順調に下がってきました。 今年の3月〜5月には原油価格が昨年比で大きくデフレしているので、インフレ率が下がりやすいことは、以前から繰り返し述べてきた通りです。 * 東京都の消費者物価指数(2月)、全体はインフレ減速もコアコアは加速 インフレ率は前年比で見るため、昨年の原油価格が高かった分、今年の2月〜6月頃にかけては、エネルギー価格は大きなデフレ要因となります。エネルギー価格のデフレは

  • ハワード・マークス氏:商業用不動産から次の破綻が始まる

    ウォーレン・バフェット氏やチャーリー・マンガー氏も愛読していると言われている、オークツリーキャピタルのハワード・マークス氏のメモが更新されました。今回は、その内容について見ていきたいと思います。 シリコンバレー銀行の破綻に関する固有の問題 まず、シリコンバレー銀行が破綻した理由については、本ニュースレターでも過去にお伝えしてきた通りです。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ 改めてざっくりと説明すると、以下のようになります。 1. 新型コロナ禍の量的緩和と給付金で預金が大幅に増えた 2. その預金をデュレーションの長い債券に投資していたが、2022年の利上げで大きな評価損を出した 3. 心配した預金者が取り付け騒ぎを起こし、債券の売却(評価損の確定)を迫られて破綻した 本メモにおいて、ハワード・マークス氏はこうした仕組みを解説した上で、まずはシリコンバレー銀行特有の問題をあげています。 例えば、スタートアップ投資ブームの中で、テックカンパニーからの預金が大幅に増えて、預金者の属性に偏りがあったことがあげられます。 近年、スタートアップは投資家

  • レイ・ダリオ氏:米ドルの覇権は失われる

    前回に引き続き、レイ・ダリオ氏のインタビューから気になる点をお伝えします。 * レイ・ダリオ氏:債券の保有者は元本を満額で受け取れない 毎朝メールで受け取る 覇権通貨の没落は繰り返し起こっている そもそも、僕たちは米ドル覇権の時代に生きてきたので、多くの人は米ドルの覇権が失われるということを想像するのが難しいでしょう。しかし、歴史を研究してきたダリオ氏は、覇権通貨の没落は繰り返し起こってきたことだと指摘します。 覇権通貨の没落は繰り返し何度も起こっていることだ。イギリスのポンドも没落したし、オランダのギルドも没落した。それらは全て同じ理由で起こる。 覇権通貨が没落する理由として、ダリオ氏は2つの事象をあげています。 1. 政府が負債をたくさん抱えてインフレ(通貨価値の下落)を招く 2. 覇権通貨が武器として利用される 1つめについては、本ニュースレターの読者であれば改めて説明する必要はないでしょう。 * レイ・ダリオ氏:金融市場の信用収縮を受けて、FRBは1年以内に金融緩和を再開する 以下のグラフを見ても、米国のGDPに対する負債の金額は121%であり、過

  • レイ・ダリオ氏:債券の保有者は元本を満額で受け取れない

    世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏がImpact Theoryのインタビューの中で、現在の経済状況を説明しました。 毎朝メールで受け取る 金利高騰で損したのは銀行だけではない まず、レイ・ダリオ氏が強調したのは、米国債への投資で損をしたのは銀行だけではないということです。 シリコンバレー銀行に起きたことは、世界中の数多くの会社に起きていることだ。銀行は預金を受け入れて債券を購入するが、金利が上がると、債券の価格が下がり、預金者への金利支払いも高騰した。また、預金者は市中金利と比べて競争力のある金利を求めて、銀行から預金を引き出した。 銀行は、預金という形で負債を抱えて、米国債という形で資産を持っています。負債の金利が上がる中で、資産の価格が下落すれば、当然ながらバランスシートの状況が悪化します。それを見た債権者(預金者)が負債の返還を求めると、破綻してしまうわけです。詳しい説明は、以下のレターで行なった通りです。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ このバランスシート悪化の問題は、銀行特有の問題ではな

  • サマーズ氏:米国経済はスタグフレーションに向かっている

    サマーズ氏はBloombergの番組に出演して、米国経済がスタグフレーションに向かっているという認識を示しました。 毎朝メールで受け取る スタグフレーションに向かっている 冒頭でサマーズ氏は、経済がスタグフレーションに向かっているという認識を示しました。 経済が停滞している兆候が見え始めているが、インフレの継続にも悩まされている。これは手強い組み合わせだ。 スタグフレーションとは、経済が停滞している(主に失業率が上昇する)中で、同時に物価がインフレしている状況を指します。 通常、経済が停滞するときはデフレになりがちなので、金融緩和で景気対策を行います。実際、リーマンショック後や新型コロナショック後には強力な金融緩和が行われました。 しかし、インフレが発生している状況では、金融緩和を行うと物価がどんどん上がってしまい、消費者や経済が混乱してしまいます。そのため、中央銀行は難しい判断を迫られることとなります。 景気後退の兆候が見られる 経済の停滞側について、サマーズ氏は以下のように述べました。 経済の停滞側では、デフォルト率は上がっているように見えるし、お金を借りる

  • 前年比+4%台まで減速した米国CPIと市場参加者の読み間違い

    2023年4月12日に発表された米国CPIは予想の前年比+5.2%を下回る+5.0%でした。厳密には+4.98%であり、インフレ率はついに4%台まで減速しました。 毎朝メールで受け取る インフレ率はついに4%台まで減速 昨年の夏頃には9%台に迫る勢いだったインフレ率も、FEDの急速な利上げを受けて、ついに4%台まで落ち着いてきました。 本ニュースレターでは、年始に債券王ガンドラック氏の展望を紹介していましたが、これまで見事にその通りとなっており、頭が下がるばかりです。 私たちは、将来6ヶ月程度について正確に予想ができるインフレーション予測モデルを持っている。私たちは、インフレ率が急速に下がっていくと考えており、6月に発表される5月の数値では4%程度まで下がると思っている。 * ガンドラック氏:アメリカのインフレ率は5月に4%まで下がり、債券市場はその後のデフレを意識している 以下のニュースレターでも書いたように、昨年の3月〜5月はウクライナ戦争によってエネルギー価格が上昇していたため、ガンドラック氏の言う通り、5月までは順調にインフレは減速するでしょう。 * 米国

  • 国内企業物価指数PPIのインフレ率は3月も順調に減速

    国内企業物価指数は前年比+7.2%で、インフレは順調に減速しました。5月まではこの傾向が続くと考えています。 毎朝メールで受け取る 国内企業物価のインフレは3月も順調に減速 日本国内の企業物価指数は前年比+7.2%で、前回の+8.2%から1ポイントの低下となりました。 内容をみると、木材・木製品が前月からさらに-3.3%と低下して、前年比では-14.8%となりました。また、石油・石炭製品も前年比-3.2%と値下がりしています。また、電子部品・デバイスは前月比-0.1%、電気機器は-0.2%と、前月から値下がりしました。 一方、企業間取引でのインフレが続いている領域も、パルプ・紙・同製品(前年比+14.3%、前月比+0.4%)、繊維製品(前年比+

  • モハメド・エラリアン氏:利下げするとスタグフレーションになる

    前回に引き続き、モハメド・エラリアン氏のブルームバーグのインタビューの内容をお伝えしていきます。 * モハメド・エラリアン氏:米国経済はQ3〜Q4に悪化する 毎朝メールで受け取る 利下げを行うとスタグフレーションになる エラリアン氏は、今後FEDが取りうる施策について、以下のように述べています。 彼ら(FED)が取りうる最悪の手段は、「信用収縮が起こるから、利下げを行おう」というものだ。もしも彼らがそうしたなら、私たちはスタグフレーションと金融不安に陥る。 エラリアン氏は、金利を高く保ったままで、金融不安の対策を行うことができるという意見を持っているようです。彼が賞賛しているのは、3月の銀行危機の中でも断固とした利上げを実施したECBのラガルド総裁の対応です。 私はラガルド総裁の発言は完全に正しかったと思う。その発言とは「金融政策において、政策金利はインフレ率を目標としており、そしてそれ以外の全ての政策手段は金融の安定を目標としている。これらを混同してはいけない」というものだ。ECBはそれを理解しているが、FEDはそれらを混同するリスクがある。 例えば、FEDは現在

  • モハメド・エラリアン氏:米国経済はQ3〜Q4に悪化する

    元PIMCOのCEOで、現在は経済学者として活動しているモハメド・エラリアン氏が、シリコンバレー銀行から始まった銀行の経営破綻騒動と、今後Q3〜Q4にかけて経済が悪化するだろうという見通しについて、ブルームバーグのインタビューで語りました。 毎朝メールで受け取る 銀行の取付騒ぎは終わった 3月の一連の銀行関連の騒動をふり返って、エラリアン氏は以下のように述べています。 銀行業は信用に基づいているので、信用が失われると悪いことが起こる。良いニュースは、赤信号(最悪の危機)は過ぎ去ったことだ。今は黄信号のフェーズにある。我々は流動性の問題から資本の問題へと移行しているし、金融危機から経済危機へと移行している。 流動性の問題というのは、預金が引き出せなくなることを意味しています。シリコンバレー銀行がどのように破綻したのかは、以下のニュースレターでも解説した通りです。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ 昨年からの急速な利上げと金利上昇によって債券価格は低下しているので、債券のエクスポージャーが高い米国の銀行は含み損を抱えています。これらの債券を満期まで保有

  • 東京都は引き続きインフレ減速も、食料品や家具家電で値上げが見られる

    3月31日に発表された2023年3月の東京都消費者物価指数は、前年比+3.3%で前回から0.1ポイント下落しました。 インフレが減速した主な理由はエネルギー価格が前年比で下落しているためです。一方で、エネルギー価格と生鮮食品を除いたインフレ率をみると、前年比+3.4%に加速しており、今後も注目が必要です。 毎朝メールで受け取る 東京都のインフレ率は前年比+3.3%まで減速 少し前ですが、3月31日に発表された、東京都の2023年3月の総合インフレ率は前年比+3.3%で、前回の+3.4%から0.1ポイント低下しました。 前回の東京都物価指数をお伝えした際に、3月〜5月はエネルギー価格が前年比で下落しやすいので、インフレ率は減速するだろうということをお伝えしており、その通りの展開となっています。 * 東京都の消費者物価指数(2月)、全体はインフレ減速もコアコアは加速 インフレ率は前年比で見るため、昨年の原油価格が高かった分、今年の2月〜6月頃にかけては、エネルギー価格は大きなデフレ要因となります。エネルギー価格のデフレは、その他のインフレを今後もある程度まで相殺してくれる

  • 無難な3月米雇用統計:失業率の上昇は見られず、賃金インフレは順調に減速

    4月7日に発表された雇用統計は無難な内容でした。 失業率は3.5%で前回の3.6%からほぼ横ばいとなりました。賃金の前年比上昇率は4.2%で前回の4.6%から約0.4ポイントの低下となりました。 失業率は3.5%で上昇は見られなかった 4月7日に発表された3月分の雇用統計では、失業率は3.5%で上昇は見られませんでした。 さて、失業率に関して、以前から債券王のガンドラック氏が指摘しているのは、失業率は最後に悪化する指標であり、それが悪化したときには既に景気後退に突入しているというものです。 また、失業率が過去12ヶ月の移動平均を上回ると、ほぼ景気後退が確実となります。現在の過去12ヶ月の移動平均は3.7%〜3.8%程度ですから、これを上回るとほぼ景気後退入りは確実となります。 * ガンドラック氏:FEDの予想する失業率4.6%は、確実に景気後退を保証してしまう 労働市場が強いという意見があるが、労働市場は遅行指標で、いつも最後に悪化する指標だ。失業率はたしかに3.6%と低い。しかし、FEDは2023年末には4.6%になっていると予想している。それは12ヶ月移動平均を大

  • 米国における銀行預金の流出はシリコンバレー銀行の破綻以前から始まっている

    以前、米国銀行の預金流出が今後も続くであろうという債券王ガンドラック氏の見立てを紹介しました。 今回は、米国の銀行預金残高データが2023年3月22日週の数値まで更新されたため、そちらを確認していきたいと思います。 銀行預金の流出は続いている 3月22日週の銀行預金残高は$17.3Tでした。前週が$17.4Tほどなので、3月22日週にも$100Bほどの預金流出が続いていることが分かります。 以前のニュースレターでは、FEDが実質的に量的緩和を再開してまで銀行を支援している様子をお伝えしました。 * 銀行破綻への対応で、FEDは実質的に量的緩和を再開している 改めてFEDのバランスシートを確認してみると、3月15日週、3月22日週と続けて資産が拡大しており、これは銀行から米国債を担保として受け入れて、現金を貸し出したことを表しています。 FEDが現金を貸し出す反対側には、現金を借りる銀行、つまり預金流出に見舞われている銀行がいるわけですから、「FEDの貸し出し増加」と「銀行の預金流出」は同じ事象の裏表であるといえます。 3月29日にはFEDのバランスシート拡大(FED

  • ISM製造業景況感指数は新型コロナ前後の水準まで後退している

    最近は、連日のように景気後退をシグナルしている各種数値をお伝えしていますが、本日もISM製造業景況感指数という製造業の景気を表す指数が悪化している様子をお伝えします。 毎朝メールで受け取る ISM製造業景況感指数は新型コロナ前後の水準まで後退 4月3日に発表された3月のISM製造業景況感指数は予想の47.6を下回る46.3でした。前回は47.7であったことから、1.4ポイントの下落となります。 ISM製造業景況感指数は、全米の製造業の300人以上の購買・供給管理の役員に、生産、新規受注、在庫、価格、雇用などの項目について、前月と比較して「良い」、「変わらず」、「悪い」のいずれかを選択してもらい、その結果をパーセンテージで表したものです。 この指数が50を割り込むと製造業の景気が後退していることを示すので、2022年11月以降は一貫して製造業の景気が悪化していると読むことができます。 過去をふり返ると、46といった水準まで下がったのは新型コロナ前後以降で初めてです。当時は、2020年2月に50.1だったところから、3月には49.1と50を割り込み、4月〜5月には41.5、4

  • ケースシラー価格指数:2023年1月の住宅はデフレが継続、来年は前年比もマイナスへ

    先週3月28日にケースシラー住宅価格指数が発表されています。 インフレの一角を占めて昨年は随分と話題になっていた住宅価格ですが、現状はすでに下落トレンドにあり、来年には前年比もマイナスになることが予想されます。 毎朝メールで受け取る S&Pケースシラー住宅価格はすでに下落中 S&Pケースシラー住宅価格指数が下落に転じていることは、以前のニュースレターでもお伝えしている通りです。先週3月28日に発表された最新(2023年1月)の数値でも住宅価格がすでにデフレに入っていることが改めて確認されました。 S&Pケースシラー住宅価格指数の中でも一般的に確認される主要20都市の数値を前年比で見てみると、まだプラスを維持しているものの前年比で+2.54%となっており、前年比が急減速していることが分かります。 今のペースで住宅価格が下落していった場合、来年には前年比もマイナスに転じている可能性が十分にあります。 ケースシラー住宅価格が前年比マイナスになるのは2012年以来 もしもケースシラー住宅価格が前年比でマイナスになった場合、2012年5月以来のことになります。 2008年〜

  • ガンドラック氏:銀行の貸し渋りによって、米国は数ヶ月以内に景気後退へ

    ガンドラック氏は、数ヶ月以内に米国は景気後退入りするという見立てをCNBC番組のインタビューで披露しました。 その背景には、FEDの利上げによる米国債と銀行預金金利の利回り差の拡大があります。この利回りの差が拡大することで、銀行預金から米国債へと資金が流出し、これが銀行の貸し渋りを招く結果、資金繰りが苦しくなって倒産する企業が増えるというのがガンドラック氏のシナリオです。 毎朝メールで受け取る 利上げを止めないと預金の引き出しは止まらない シリコンバレー銀行の経営破綻から始まった銀行の混乱は、以前紹介したようにFEDが銀行支援策を打ち出したことで、一旦は収まったように見えます。 * 銀行破綻への対応で、FEDは実質的に量的緩和を再開している しかし、取付騒ぎが収まったとしても、銀行からの資金流出は止まらないとガンドラック氏は指摘します。それは、今回の件を通じて、銀行預金と債券の金利差に消費者が気づいてしまったからです。 多くの人々は、米国6ヶ月国債が当時で5%、今でも4.5%や4.25%といった金利がある中で、自分の銀行預金の利率があまりに低いということに気付いていな

  • 2022年4Qの実質GDPは強かったが、2023年2Qには景気後退入り

    3月30日(木)に2022年4Qの実質GDPが発表されました。 年初から(特に3月に入ってから)大きく経済が動いているため、2022年4QのGDPというと少し今更感もありますが、一応確認しておきたいと思います。 毎朝メールで受け取る 実質GDPは、2022年内の景気が強かったことを示した GDPは、前期比を年率換算した数値をみるのが一般的ですが、大きなトレンドを確認するために、まずは前年比でも見ておきましょう。 前年比は+0.9%となっており、前回の+1.9%からは約1.0ポイントの下落となりました。上のグラフを見ていただくと、基本的に下落トレンドが続いている状態であることが分かります。 続いて、前期比を年率換算したものを見てみましょう。 こちらは+2.6%となっており、おおむね横ばいが続いています。なお、名目GDPは+6.6%となっており、その差の約+4.0%分はインフレ率となっています。 ここから分かることは、2022年内のGDP、つまり米国景気は十分に強かったということです。インフレの影響で決算が冴えなかった企業は多かったですが、景気自体は順調に拡大していたこと

  • Indeeed掲載求人数は減少トレンド、米国の賃金インフレも減速に向かう

    収まりやすいインフレと収まりにくいインフレ インフレには収まりやすいインフレと収まりにくいインフレがあります。 前者の例としては、原油などのコモディティがあげられます。このような金融市場で取引されている商品は、FEDの金融政策の影響を受けやすく、価格が高騰しても利上げ等の引き締め的な金融政策を行うことで比較的容易に価格を下げることができます。 実際、新型コロナ以降の金融緩和で上昇していた原油価格は、2022年にFEDが急激な利上げを開始したことで下落に転じています。 金融に詳しくない人の間では、原油価格の高騰理由をウクライナの戦争に求めることも一般的ですが、こちらのグラフをみると原油価格は基本的に金融政策によって動いていることが分かります。 また、コモディティほどではありませんが、住宅価格も金融政策によってインフレを抑えやすいです。金利が上昇すると住宅ローンを借りて家を買うのが難しくなるからです。 主要な住宅価格指数であるケース・シラー指数をみると、利上げによって住宅価格のインフレが止まり下落に転じていることが分かります。 逆に、インフレを止めるのが難しいことで知られてい

  • ハワード・マークス氏:割高・割安はその程度問題が重要

    今回は、普段の経済指標や金利のウォッチとは少し趣きを変えて、TALKS AT GSにパネル出演した際の内容から、ハワード・マークス氏の投資に関する教えを学んでいきたいと思います。 マークス氏自身はバリュー投資家であることから、マーケットの先行きを読んで投資をするということはしていませんが、長年に渡ってマーケットを見てきた経験から、割高・割安には程度問題があり、その程度が重要であるという教えを述べました。 毎朝メールで受け取る 割安・割高の程度が極端であるほど、その修正は起こりやすい マークス氏の述べたポイントは、割高・割安の程度が少しであれば、まだフェアバリューへの修正が起こらない可能性は高く、割高・割安の程度が極端に大きいほど、フェアバリューへの修正が起こる可能性は高いというものです。 例えば、次の6ヶ月で市場価格が下がる可能性はどのくらいあるだろう?と訊いたとしよう。もし今の市場価格が極端に高いのであれば、私の考えでは100%ということはありえないので、95%の確率で下がるとしよう。今の市場価格がそこまで極端ではないけれど高いのであれば、75%の確率で下がるかもしれない

  • 銀行破綻への対応で、FEDは実質的に量的緩和を再開している

    シリコンバレー銀行などの破綻を受けて、混乱が広がらないように、FEDは新たに「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」という金融緩和プログラムを実行しています。 結果、FRBは量的引き締めを行なっている中ですが、逆に保有資産が拡大するという事態を招いています。 毎朝メールで受け取る 銀行破綻に対応したBTFP(バンク・ターム・ファンディング・プログラム)とは BTFPとは、FEDから市中銀行への資金融資プログラムです。 そもそも、シリコンバレーが破綻したのは、預金者の取り付け騒ぎに対応できなかったからです。預金の引き出しに対応するためには、米国債などを売却して現金を用意する必要があるけれど、利上げで米国債は含み損となっているから、売れば売るほど実現損が出てしまうわけです。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ しかし、債券は本来満期まで持てば券面の額面で全額が償還されます。つまり、途中で取り付け騒ぎ等によって債券を売って現金を用意する必要性に迫られなければ、銀行はそこまで危ない状況ではないといえます。 そこで、もしも現金が必要なときは

  • サマーズ氏:FEDはインフレ警戒を緩めてはならない

    FOMCを受けて、CNNの番組で元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がコメントしていました。 サマーズ氏は、FRBの対応について「合理的だ」と評価した上で、インフレへの警戒を緩めてはならないという旨の発言をしました。 毎朝メールで受け取る FEDは正しい決定を行った 先日のFOMCでは、0.25%の利上げが決定されました。 * FOMCは0.25%の利上げ、今後の利上げには慎重な鳩派姿勢が示された この利上げについて、ラリー・サマーズ氏は以下のように述べて評価しました。 難しい選択肢の中で、FEDは正しい選択をしたと思う。利上げをする計画があったにも関わらず、利上げを停止するようなことがあれば、パニックや警報をシグナルすることになってしまうリスクがある。もしもFEDがそこまで警戒していたら、マーケットも同様に警戒を強めてしまうだろう。だから、予定通りに利上げをするのはマーケットが期待していたことでもあり、正しいことだったと思う。 また、声明文の中で、今後の見通しの難しさについて述べたことも、サマーズ氏は高く評価しています。 FEDが将来の不確実性について

  • 日本のインフレは減速へ:PPI、東京CPIに続き、全国CPIでもインフレ率が低下

    3月24日(金)に日本の全国消費者物価指数が発表されました。 結果は、CPIの前年比が+3.3%で、前回の+4.3%から1.0ポイントの低下となりました。東京消費者物価指数の発表以降、本ニュースレターでは原油価格の前年比が有利に出やすいのと円安の揺り戻しでインフレが減速しやすいという見方を伝えてきましたが、全国消費者物価指数でも同様の事象が確認できています。 * 東京都の消費者物価指数(2月)、全体はインフレ減速もコアコアは加速 毎朝メールで受け取る 日本の全国消費者物価指数(2月分)の結果 まずは、改めて2月分の全国消費者物価指数の結果を確認しておきましょう。 まず、右上の前年比2月分を見ていただくと、「総合」が+3.3%(1.0ポイントの低下)、「生鮮食品を除く総合」が+3.1%(1.1ポイントの低下)、「生鮮食品およびエネルギーを除く総合」が3.5%(0.3ポイントの増加)となっています。 エネルギー価格の前年比がマイナスであることを受けて、「総合」と「生鮮食品を除く総合」は順調に低下、

  • FOMCは0.25%の利上げ、今後の利上げには慎重な鳩派姿勢が示された

    FOMCでは、事前の市場予想通りに0.25%の利上げとなりました。 一方で、シリコンバレー銀行の経営破綻を端緒とした銀行への不安の広がりは、信用収縮を起こして経済を萎縮させる効果があるとして、今後の利上げについては慎重な姿勢が示されました。 毎朝メールで受け取る FRBは今後の利上げに慎重姿勢 3月22日に行われたFOMCで、FRBは事前の市場参加者の予想通りとなる0.25%の利上げを決めました。これによって、FF金利は4.75%〜5.00%となりました。 一方で、シリコンバレー銀行の破綻を端緒とする一連の混乱が経済やインフレに与える影響について懸念する文言が声明に盛り込まれ、今後の利上げについては慎重姿勢が示されました。 最近の動きは家計や企業の信用状況を厳しくし、経済活動や雇用、インフレに影響を与えるだろう これは、まさに大手建設会社であるレナー社のCEOが述べていた不安と一致しており、いまアメリカは景気後退への警戒ムードが広がりはじめていることが分かります。 * 住宅大手レナー社CEO:住宅市場は底打ちも地銀の貸し渋りに注意が必要 記者会見でも、パウエル議長

  • レイ・ダリオ氏:金融市場の信用収縮を受けて、FRBは1年以内に金融緩和を再開する

    レイ・ダリオ氏がLinkedInの投稿で、シリコンバレー銀行等の経営破綻を受けた今後の流れを予想しています。ダリオ氏は、シリコンバレー銀行等の一部の銀行の破綻はまだ信用収縮の始まりに過ぎず、今後さらに信用収縮が拡大すると考えていることを示しました。また、それに対応するためにFRBは金融緩和を再開し、ドルの価値は下落すると考えています。 シリコンバレー銀行等の経営破綻から信用収縮が始まる シリコンバレー銀行が経営破綻してから、1週間以上が経ちました。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ レイ・ダリオ氏は、このような経営破綻は約7年サイクルで起こる短期債務サイクルの終盤に見られる典型的なものだとしており、シリコンバレー銀行等の一部の経営破綻だけでは終わらないという考えを示しています。 a) 私たちはこのサイクルの縮小段階の初期段階にあり、b) レバレッジをかけた資産の長期保有の量が多いため、この銀行の破綻に続いて、経済の縮小段階の前にさらに多くの問題が発生する可能性があります。 こうしたサイクルがシリコンバレー銀行だけで終わらないのは、資産価格の下落による

  • ガンドラック氏:米国人口の74%は雇用減に面しており、地域では景気後退が始まっている

    ガンドラック氏は、自身の経営するDoubleLine Capitalのオンラインセミナーにおいて、米国の雇用統計は全米の実態を表していないと述べました。 雇用統計だけを見ていると、失業率は低いし、まだ雇用も増えているように見えます。実際、本ニュースレターにおいても、景気後退への警戒は必要なものの、雇用はまだ堅調だということをお伝えしてきました。 * 米国雇用統計は労働市場がまだ堅調であることを示した しかし、個別の実態を見ていくと、異なる様相が見えてくるとガンドラック氏は指摘しています。それは一部の州が強烈に雇用状況を引き上げているものの、全米でみると、すでに多くの州では失業が増加しているというものです。 毎朝メールで受け取る 失業率が12ヶ月平均を上回ると景気後退入りする ガンドラック氏は、以下のニュースレターでも紹介したように、以前から失業率が12ヶ月平均を上回ると景気後退入りすることを指摘してきました。 * ガンドラック氏:FEDの予想する失業率4.6%は、確実に景気後退を保証してしまう 上のニュースレターでも書いた通り、足元の失業率は3.5%という低水準で

  • ガンドラック氏:3月FOMCの0.25%が最後の利上げになる

    ガンドラック氏はCNBCの番組に出演して、今後の利上げの見通しについて、次回の0.25%が最後の利上げになるだろうと述べました。 毎朝メールで受け取る 次回のFOMCでは0.25%の利上げが行われる 直近は、シリコンバレー銀行の経営破綻などを受けて、米国債金利は急速に下落してきました。特に短期金利が大きく下落したことで、以下のニュースレターにも書いた通り、景気後退が強く意識されています。 * ガンドラック氏:イールドカーブの急激なスティープ化は景気後退を強烈に示唆 過去の金利推移を見ても、短期金利と長期金利が逆イールドから元に戻った後には景気後退(グレーの網掛け)入りしていることが多いことが知られています。今回のSVB破綻をきっかけに短期金利が下落して逆イールドが解消に向かい始めていますから、景気後退を警戒するのは自然だと思います。 そのため、次回3月22日のFOMCにおいて、利上げが行われないのではないかと考える市場参加者も出てきています。以下は、次回FOMCにおける利上げ幅の市場予想ですが、これを見ると、0.25%の利上げが8割、0%の利上げが2割となっています。

  • 住宅大手レナー社CEO:住宅市場は底打ちも地銀の貸し渋りに注意が必要

    米国の住宅建設大手レナー社の決算発表が3月15日にあり、アナリスト向けのカンファレンスコールも行われました。 レナー社は、住宅建設業者の中でもキャッシュフローを重視しており、土地の取得から販売までを短期で回す経営をしています。そのため、景気動向に敏感な建設業者となっており、その決算からは経営陣が米国の景気をどのように考えているかを伺うことができます。 毎朝メールで受け取る 住宅インフレは頭打ち、納品数も底打ちか まずはLENNAR社の新規注文数・納品数と納品単価の推移をまとめたグラフを紹介します。 レナー社は、注文キャンセル等を防いで納品数を維持するために、値下げ等で対応してきたため、住宅の納品単価は2022年Q3に頭打ちとなり、その後は下落してきました。 また、住宅の単価が上がるのと反比例するように新規注文数が緩やかに下降していましたが、2022年Q4で底打ちしたように見えます。実際、LENNAR社では、2023年の納品数は62,000軒〜66,000軒の間になると予想しており、これは2022年から概ね横ばいの数字となっているので、一旦は底打ち・横ばいとなりそうです。

  • 2023年2月分の米国消費者物価指数は順調に低下

    3月14日に発表された米国CPIは、前年比+6.0%で、前回の+6.4%から0.4ポイント減速しました。以前からもお伝えしている通り、この先、5月いっぱいくらいまではインフレ率が順調に低下しやすいと思います。 毎朝メールで受け取る 米国のインフレは順調に減速 3月14日に発表された米国消費者物価指数は約6%で、前回の6.4%から0.4ポイントの低下となりました。 その主な要因は、以下のニュースレターでもお伝えしていた通り、エネルギー価格の下落です。 * 米国のインフレは、エネルギーのデフレの恩恵を受けて減速する可能性がある エネルギー価格が昨年の6月上旬まで高かったので、今年の3月〜5月いっぱいまでは前年比が大幅マイナスになります。そのため、今後も消費者物価指数の前年比は順調に低下すると思います。 また、エネルギーと食糧を除いたインフレ率は、まだ低下には転じていないものの、上昇率は減速しており、徐々にピークが見えてきました。 さらなるインフレ率の低下には家賃インフレの減速が必要 5月までは順調にインフレ率が低下するとして、その後もインフレの減速が続くためには、エ

  • ガンドラック氏:イールドカーブの急激なスティープ化は景気後退を強烈に示唆

    債券王として知られるガンドラック氏は、米国債のイールドカーブが急激にスティープ化したことを受けて、景気後退を強烈に示唆しているとツイートしました。 毎朝メールで受け取る 逆イールドと景気後退の関係性 まずは、ガンドラック氏のツイート内容から確認しておきたいと思います。 継続的な逆イールドの後に、米国債の利回り曲線が急激にスティープ化しているのは、差し迫った景気後退を強く示唆している。 通常、米国債は長期債ほど金利が高く、短期債ほど金利が低いです。これは長期債の方が資金の拘束期間が長く、様々なリスクも高いためです。 しかし、債券市場が「いずれ景気後退に陥る」と考えている場合、短期債の金利の方が、長期債の金利よりも高くなる場合があります。今は景気が良くて株式投資等でも高いリターンが期待できるので、短期金利には高い利回りを求めます。一方で、1〜2年以内に景気後退に陥るのであれば、少し長期では経済の低成長が予想されるので、長期金利には高い利回りを求めません。結果、短期金利が長期金利を上回ります。これを逆イールドと呼びます。 逆イールドは、債券市場が「いずれ景気後退に陥る」と考え

  • 黒田総裁最後の金融政策決定会合は緩和も利上げもなし

    先週金曜日は本当にイベントが盛りだくさんでした。 * シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ * 米国雇用統計は労働市場がまだ堅調であることを示した シリコンバレー銀行の破綻や米国雇用統計もありましたが、黒田総裁の最後となる金融政策決定会合も行われました。さらにいえば、国内企業物価指数もありましたが、こちらはまた後日タイミングがあれば触れたいと思います。 毎朝メールで受け取る 日銀政策金利は変更なし さて、黒田総裁の最後となる金融政策決定会合であり、サプライズが何かあるかという見方もありましたが、日銀の政策金利には変更なし、つまり-0.1%を維持という結果となりました。 昨年12月からの国内銀行株の大相場の発端となったイールドカーブ・コントロールにも特に変更はありませんでした。 * 日銀黒田総裁の長期金利0.5%容認を受けて、日本の銀行株買いポジションを開始 植田新総裁の元で金融政策の正常化は行われるか さて、4月からは植田教授が日銀総裁となり、植田新総裁が誕生します。 植田新総裁の元で、日銀の金融政策が改められるかどうかに注目が集まっています。

  • 米国雇用統計は労働市場がまだ堅調であることを示した

    シリコンバレー銀行の破綻の方に注目が集まってしまいましたが、先週の金曜日は雇用統計も発表されました。 雇用統計そっちのけで銀行破綻に反応しているマーケットを見ていると、雇用統計をきっかけに始まった2月のインフレ警戒相場もすっかり過去のものとなった印象ですが、雇用統計は大事な経済指標なので、一応確認しておきたいと思います。 毎朝メールで受け取る 予想を上回る就業者数 非農業部門雇用者数は、前月から311千人増加しました。これは前回の+517千人からは減速していますが、予想の+223千人を上回りました。 先日、まだ消費者の購買行動は十分に強いというウォルマート経営陣の見方を紹介しましたが、雇用・消費ともに一般層はまだまだ好景気を享受していると言えるでしょう。 * ウォルマート経営陣:消費者の購買力はまだ強いが、今年後半は不明 失業率はほぼ横ばい 失業率は、前回の3.4%から3.6%まで増加しましたが、基本的には横ばいの範囲内だといえるでしょう。 債券王のガンドラック氏は、失業率が過去12ヶ月平均を超えると、景気後退の可能性が高いとしています。 * ガンドラック氏

  • シリコンバレー銀行が経営破綻、米国債金利は低下へ

    シリコンバレー銀行が突如として経営破綻しました。 米国は利上げを行なっていますが、金利上昇によって保有している債券に含み損が出ている中で、取り付け騒ぎ(預金の引き出し)が起きると、これらの債券の売却・現金化を迫られて、含み損が実現損になってしまいます。それがさらに不安を喚起して、預金に引き出しが進むと、このループを止められずに、経営が破綻してしまいます。 これを受けて、他の銀行にも不安が広がっており、米国債の金利は大幅に低下しました。 毎朝メールで受け取る シリコンバレー銀行が経営破綻 米国テック企業などに積極的な融資を行っていたシリコンバレー銀行が経営破綻したというニュースが飛び込んできました。 ブルームバーグは、以下のように報じています。 銀行業界の一部は既に、金利急上昇によるポートフォリオ価値の毀損(きそん)に見舞われていた。またテクノロジー業界や暗号資産(仮想通貨)業界の新興企業の間では、事業不振の中で預金を引き出す動きもあった。SVBのケースでは、同行の健全性への懸念から顧客が資金引き揚げを急いだという事情もあった。コーネル大学のサウレ・オマロバ教授(法律)は

  • ウォルマート経営陣:消費者の購買力はまだ強いが、今年後半は不明

    グローバルマクロ投資を行うにあたって、情報を収集するのであれば、「主要な経済指標に関する情報」や「思慮深い投資家や経済学者の考え」に加えて、「企業の経営陣の見立て」を知るように努めるのが良いでしょう。企業の経営陣は、常に売上やコストの状況を監視しており、それはまさに経済動向の最前線だからです。 そこで本日は、少し古い情報となりますが、2023年2月21日に行われたウォルマートのアナリスト向け決算カンファレンスコールから、気になったコメントを紹介しておきたいと思います。 毎朝メールで受け取る 消費者の購買行動は選択的だが前向き アナリストの質問に対して、消費者の購買行動については、思慮深く・選択的になっているものの、まだ健全で前向きであると、ウォルマートの経営陣は述べました。 ウォルマートUSのCEOであるジョン・ファーナーは、以下のように述べました。 消費者に関しては「選択的である」というのが、今の状況を言い表すのに最適な言葉だと思います。 サムズ・クラブのCEOであるキャスは、以下のように述べています。 第4四半期(2022年11月〜2023年1月)を通じて、私たち

  • 新興国とフロンティア国に投資する4つのETF

    以前のニュースレターで、2月はインフレ警戒から米国金利が上昇してドル高となりましたが、このインフレ警戒トレンドは3月〜5月にかけて反転し、金利低下・ドル安になるだろうと予想しました。 * 米国のインフレは、エネルギーのデフレの恩恵を受けて減速する可能性がある そのため、3月〜5月はリスクオンで臨もうと思っていますが、特に投資妙味があるトレードとして、新興国やフロンティア国の株式をロングするというアイデアを紹介しました。 インフレ警戒懸念が後退して金利が低下するのであれば、株にはポジティブな影響が働きますし、米国金利低下によるドル安も新興国やフロンティア国にとってはポジティブです。 * 2023年の3月〜5月相場はリスクオンで挑む そこで、今回は新興国やフロンティア国に投資するにあたって、具体的にどのようなETFがあるのかを4つ紹介したいと思います。 毎朝メールで受け取る 新興国に投資するETF3選 $EEM(iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF) 新興国に投資するETFとしては、MSCIエマージング・マーケット指数をトラックする、ブラックロ

  • 2023年の3月〜5月相場はリスクオンで挑む

    昨日のニュースレターにおいて、3月〜5月にかけて、今のインフレ警戒ムードが緩和して、金利が低下するのではないかという予想を紹介しました。 * 米国のインフレは、エネルギーのデフレの恩恵を受けて減速する可能性がある 簡単にふり返っておくと、昨年の3月〜5月はウクライナ=ロシア戦争の開戦を背景としてエネルギー価格が高騰していたため、そことの比較となる今年の3月〜5月のエネルギー価格は前年比が低く出てきます。例えば、原油価格が現状の80ドル程度で推移した場合、昨年の3月は110ドル程度でしたから、前年比は-27%程度となります。これがインフレの減速に貢献するのではないかという趣旨でした。 そうであれば、長期金利が4%に達しており、FF金利は6%になるのではという話まで出てきている今のムードは、少し行き過ぎており、今後数ヶ月は金利が低下しやすいでしょう。 そこで、2月はポジションを落として守りに徹していましたが、3月〜5月は積極的にリターンを狙いにいこうと思います。 毎朝メールで受け取る 米国債のロングを継続 今年のメインポジションは、年始から繰り返し述べている通り、超長期(

  • 米国のインフレは、エネルギーのデフレの恩恵を受けて減速する可能性がある

    昨日のニュースレターでは、エネルギー価格のデフレの恩恵を受けて、東京都のインフレが全体では減速したことをお伝えしました。 原油価格は(為替を除くと)世界共通であるため、2月以降は米国のインフレ率も当然ながらエネルギーのデフレによる恩恵を受けて減速圧力が働くこととなるでしょう。 そのため、短期的にはインフレ原則を背景とした金利低下を受けて、株価や債券価格が反発する可能性があります。 毎朝メールで受け取る インフレへの警戒で金利が上昇した2月の相場 まずは2月の相場やマクロ経済の状況を振り返っておきましょう。 2月は、予想よりも強い雇用統計やCPIなどが出てきたことで、「インフレは落ち着かないのでは?」という不安が台頭しました。 2023年2月3日に発表された1月分の米国雇用統計では、雇用者が517,000人増でした。これはコンセンサスの190,000人増を大きく上回る数値でした。 * 2023年2月発表の米国雇用統計は予想を大幅に上回るも、賃金インフレは低下中 前回、0.6ポイントも低下したのと比べると、ややインフレ減速の勢いが失われている印象であるため、今後、再び

  • 東京都の消費者物価指数(2月)、全体はインフレ減速もコアコアは加速

    東京都の2023年2月分の消費者物価指数が発表されました。 今回、エネルギー価格の下落を受けて、「総合」および「生鮮食品を除く総合」はインフレが減速しました。一方、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」(コアコア)のインフレは加速を続けました。 日本のインフレは、全体的な物価高感が収まってくる中で、今後サービス業や賃金などのインフレがどこまで続くかが注視ポイントとなってくるでしょう。 毎朝メールで受け取る 総合は前年比+3.4%に減速、コアコアは+3.2%に加速 日本全国の消費者物価指数よりも数週間早く発表される東京都消費者物価指数ですが、2月数値は、以下の通りでした。 一番右の2月を見ていただくと、「総合」と「生鮮食品を除く総合」のインフレが減速しているのに対して、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」のインフレが加速している様子がご覧いただけます。 具体的には、以下のような数値でした。 * 総合: 前年比+3.4%(前回:+4.4%) * 生鮮食品を除く総合: 前年比+3.3%(前回:+4.3%) * 生鮮食品及びエネルギーを除く総合:

  • ガンドラック氏:米国債市場は依然として景気後退を示唆している

    ガンドラック氏は、Yahoo Financeのインタビューにおいて、短期の米国債金利は最高値を更新しているものの、長期の米国債金利は最高値には至っておらず、イールドカーブは景気後退(リセッション)を示唆しているとの見解を示しました。 毎朝メールで受け取る 短期の米国債金利は最高値を更新している 米国2年国債の金利は4.84%に達しています。 ガンドラック氏はインタビューの中で、以下のように答えていましたが、今の水準はそこからさらに上昇しています。 2年国債金利は新高値となった。昨年10月の4.72%が最高値だったが、昨晩は4.74%に達した。 2年国債金利が上昇しているのは、本ニュースレターで何度も書いてきた通り、雇用統計を中心に強い経済指標が相次いでいるからです。 * 2023年2月発表の米国雇用統計は予想を大幅に上回るも、賃金インフレは低下中 * アメリカの消費者物価指数は1月も順調に低下したが、今後に注目 * 下げ渋りをみせた米国PPIと3.9%に達した米国長期金利 この辺りは、元米国財務長官でマクロ経済学社のサマーズ氏の解説がわかりやすいでしょう。

  • S&Pケースシラー住宅価格指数は前年比+4.65%でインフレ減速

    2月28日にS&Pケースシラー住宅価格指数が発表されました。結果は、前年比+4.65%で、予想の+4.75%を下回りました。また、前回の+6.77%からは2.12ポイントの低下となり、インフレ減速を示唆しました。 毎朝メールで受け取る ケースシラー住宅価格指数はインフレ減速を示唆 ケースシラー住宅価格指数は、前年比+4.65%でした。予想の+4.75%を下回っており、住宅価格のインフレは順調に減速していることが改めて確認できました。 前回の+6.77%からは2ポイント以上も減速しており、もしもこのペースが続けば、3ヶ月後には前年比+0%といった水準になる可能性もあります。 サマーズ氏のいうとおり、インフレ率は高いほど減速しやすく、4%あたりから減速が難しくなりがちですが、昨年2022年の5月頃までは住宅価格が前年比+20%台でインフレしていたことを考えると、少なくとも5月頃まではケースシラー住宅価格指数の前年比も低下しやすい環境が続くでしょう。 * サマーズ氏:現在の水準からのインフレ減速は困難 家賃インフレが減速に転じるのは5月以降か 住宅価格のインフレが落ち着

  • 日本のインフレは1月も加速して前年比+4.3%、日銀は金利を上げざるを得ない

    2023年2月24日に、最新の日本全国消費者物価指数(CPI)が発表されました。 * 全体: 前年比+4.3%(予想+4.3%、前回+4.0%) * 生鮮食品除くコア: 前年比+4.2%(予想+4.2%、前回+4.0%) インフレ率は前回の+4.0%からさらに加速して、前年比で+4.3%となりました。 毎朝メールで受け取る 日本のインフレ率は、前年比+4.3%で加速中 改めてになりますが、日本のインフレ率は予想通りの前年比+4.3%となりました。これは前回の+4.0%から0.3ポイントの上昇で、インフレが加速していることを示しました。 以前、

  • 米国長期金利は4%近い水準、米国債の買い増しを開始

    直近のインフレ長期化の懸念を受けて、米国長期金利は3.947%と4%に近い水準となっています。これは昨年の11月近い水準であり、投資妙味があると考えたため、少しずつ米国債の買い増しを開始しました。 毎朝メールで受け取る インフレ長期化懸念から、米国長期金利は4%近い水準に 直近、米国経済が強いことを示す雇用統計などの経済指標が相次いでいることを受けて、インフレが長期化するという懸念が高まっています。インフレが長期化するのであれば、FRBの金融引き締めも長引くため、金利が上昇して、株価や債券価格は下落に見舞われています。 この辺りについては、連日、本ニュースレターでもお伝えしてきた通りです。 * サマーズ氏:現在の水準からのインフレ減速は困難 * 下げ渋りをみせた米国PPIと3.9%に達した米国長期金利 * アメリカの消費者物価指数は1月も順調に低下したが、今後に注目 * 2023年2月発表の米国雇用統計は予想を大幅に上回るも、賃金インフレは低下中 米国長期金利は、先週の2月24日(金)には3.947%という4%近い水準まで上昇しました。 これは昨年12月の金利上

  • クレジットカードの延滞率は上昇を続けている

    最近は、雇用統計等の強さを背景として、インフレは収まらないのではないかという「ノーランディング」論が台頭しています。 しかし、個人的には、まだ景気後退の可能性を意識した投資をすべきだと考えています。その背景の一例として、クレジットカードの延滞率や貸出審査基準の引き締め率などを見ていきたいと思います。 毎朝メールで受け取る 台頭しはじめた「ノーランディング」論 現在、アメリカでは「景気後退」論が息を潜めたと思えば、「ソフトランディング」を通り越して、「ノーランディング」が唱えられるようになっています。これはインフレが2%前後に着陸せずに、再度上昇してしまうのではないか、つまり再加速してしまうのではないかというものです。 * サマーズ氏:現在の水準からのインフレ減速は困難 「景気後退」も「ノーランディング」も(前者はEPS悪化、後者は金利上昇を意味するので)どちらも株式にとっては同じくネガティブです。しかし、景気の強さという意味では正反対であり、これがたった1ヶ月の間に揺れ動いていることに、いまの経済の読みにくさが、まさに現れています。 * サマーズ氏:FEDは将来の金

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