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Mercury's:マクロ戦略投資ニュースレター https://www.mercurys-assets.com/

Mercury'sでは、平日の毎朝7:30にお届けするニュースレターを中心に、グローバルマクロ戦略等の資産運用に関するインサイトを発信しています。

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2023/03/17

  • 2023年12月:現状ポートフォリオと投資戦略

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * 現状のポートフォリオと投資戦略をニュースレターに登録している読者限定で公開する。 ニュースレターに登録 現状のポートフォリオ 今回は本ニュースレターに登録している読者限定で、個人的なポートフォリオを公開する回としたい。 ※以下はニュースレター(無料)登録者向けの限定コンテンツです。未登録の方は、登録して続きをお読みください。 ニュースレターに登録

  • ジェイミー・ダイモン氏:メキシコは最も魅力的な投資先である

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏は、現在の世界情勢においてラテンアメリカと北米が比較的安定している地域として際立っていると指摘。特に、新型コロナウイルスや戦争による影響を受けた北米企業が生産ラインをメキシコに移す可能性があることを強調した。これにより、メキシコはグローバル企業にとって魅力的な投資先となっている。 * ダイモン氏は、メキシコの経済インフラが既に充実しており、資本市場はさらなる成長の可能性を秘めていると述べた。メキシコのGDPと株式市場の時価総額を例に挙げ、これらがもっと大きい数字であるべきだと指摘。また、高度な技術セクターの存在もメキシコの魅力の一つとして挙げられた。 * ダイモン氏は、メキシコが実施した金融政策、特に金利を早期に引き上げたことを正しい判断と評価した。メキシコでは、政府債務GDP比率も減少に転じており、メキシコ・ペソの価格もそれに伴って反発している。メキシコは投資家にとって、為替リスクの観点からも魅力が増している。 ニュースレターに登録 ジェイミー・ダイモ

  • 日本CPI:10月消費者物価指数は前年比+3.3%に再加速

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * 日本のインフレ率は前年比+3.3%に加速し、日銀の目標の2%をオーバーシュートしているが、昨年の急な加速と比べると横ばい傾向にある。これにより、日銀は金融緩和政策を継続しやすい状況にある。 * 日本のインフレ率の将来には加速と減速の2つのシナリオが考えられ、米国の金利や為替レートの動向に左右される。インフレが減速すれば株価は上昇し、インフレが再加速すれば株価は下降する可能性がある。 ニュースレターに登録 日本のインフレ率は前年比+3.3%に加速 11月24日に発表された日本の消費者物価指数(10月分)は、前年比+3.3%で、前回の+3.0%から0.3ポイントの加速となった。 昨年に急加速したあと、今年に入ってはどちかというと落ち着いていたインフレ率だが、今回は再加速した形で、基本的には今後も前年比+3.0%を上回る水準で推移するのだろう。 また、今年に入ってからも加速を続けていたのが「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(以下、コアコア)」である。 以下の表を見ていただくと、一番下のコアコアは

  • 地政学リスクの高い時代に、レイ・ダリオ氏の考える理想の投資先とは

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * 分散投資の重要性:ダリオ氏は、リスクの80%を削減しつつ期待リターンを維持するためには、相関性の低い異なる資産に分散投資することが重要であると強調した。彼の「オールウェザー戦略」は、株式、債券、コモディティなどの様々なアセットクラスにまたがる徹底的な分散を特徴としている。 * 財政が健全な国への投資:ダリオ氏は、現在の経済状況下で良いパフォーマンスを発揮する可能性が高いのは、良好な財政状態にある国々であると指摘している。 * 社会的対立の少ない国々への投資:ダリオ氏は、国内の左右対立が顕著な国々では、資産の没収などのリスクが高まる可能性があるため、そのような国々に投資することは避けるべきだと述べている。また、戦争に巻き込まれる可能性が低い中立国への投資を推奨している。歴史的に見て、中立国は戦争に勝った国よりも良いリターンを生み出すことが多いと彼は指摘している。 ニュースレターに登録 前提として重要なのは分散投資 今回は、レイ・ダリオ氏のMoney Maze Podcastによるインタビューから

  • レイ・ダリオ氏:米国の金利は4.5%〜5.0%以上が妥当

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * 米国の利上げサイクルが終了し、直近は金利が低下している。米国10年国債の金利は5%から4.3%に下がった。しかし、レイ・ダリオ氏は中長期的な米国債の金利上昇の可能性を指摘している。 * レイ・ダリオ氏は、今後の期待インフレ率を3.0%〜3.5%と予想している。また、投資家はインフレ率に加えて実質金利も求めるが、ダリオ氏はこの実質金利を1.5%〜2.0%と見積もっている。これにより、米国債金利の適正水準は4.5%〜5.0%程度になるとしている。 * さらに、財政問題に伴う需給の悪化や政治的不安定性が、金利に上昇圧力をかける可能性があると指摘している。 ニュースレターに登録 金利の先行きは低下か上昇か 今回は、世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏のCNBCインタビューをお届けする。 まずインタビューは、直近の金利低下の話から始まっている。 直近、米国の利上げが終わったという見方が広がり、金利は低下傾向にある。本ニュースレターでも、目先は金利が低下

  • ガンドラック氏:2023年の相場と2つのサプライズを振り返る

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * 2023年は米国経済が予想に反して強く、株価が上昇し続けた。これは消費者がクレジットカードを利用して消費を続けたことが背景にあるとガンドラック氏は考察している。 * ウクライナ戦争と中東の混乱にも関わらず、原油価格は100ドルを超えた後に70ドル台まで下落した。ガンドラック氏は、米国の景気後退を予想してコモディティ市場全体が下落しているとの見方を述べた。 * ガンドラック氏は、経済が弱まり、来年には景気後退が到来すると予測している。この景気後退は、一時的に金利の低下を招くだろうが、長期的には財政問題により長期金利が上昇する可能性が高いと見ている。 ニュースレターに登録 クレカ消費による好景気が続いた2023年 今回は、ガンドラック氏のChannel11によるインタビュー内容をお届けする。今回は、ガンドラック氏にとって今年サプライズだった2つの点についてだ。 ガンドラック氏にとって1つめのサプライズは、米国が景気後退入りせずに株価が上昇を続けた点だ。 順を追って振り返ろう。もう1年前なので記

  • 米国CPI:予想を下回る前年比+3.2%を株式市場は好感

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * アメリカの消費者物価指数(CPI)の動向:最新のCPIは前年比で+3.2%と報告されており、予想された+3.3%よりもわずかに低く、前回の+3.7%から減少した。このデータは、インフレが低下傾向にあることを示している。 * 株式市場の反応: インフレの収束を受けて、株式市場は上昇傾向にある。S&P 500は過去1ヶ月で+3.09%上昇し、10月の底からは約10%の上昇を見せています。投資妙味のあるセクターはグロース株や暗号資産、新興国株など。 * 中長期的な金利の見通し: 複数の著名投資家の見解によると、短期的には金利が低下する可能性もあるが、中長期的には財政問題などにより長期金利の上昇が見込まれる。これは株式市場に逆風をもたらす可能性があるが、目先は株式+債券のポートフォリオを維持する予定。 ニュースレターに登録 アメリカのインフレ第一波は収束へ 本ニュースレターは週3回な上に、書き溜めもしているので、少し遅くなってしまったが、改めて先週火曜日に発表された米国の消費者物価指数(CPI)を振り

  • ガンドラック氏:米国は2024年2Qまでに景気後退入りする

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * ガンドラック氏は、現在の金利水準は経済にとって耐え難いと警告している。ガンドラック氏は2024年第2四半期までに景気後退が始まり、金利が低下すると予測しており、次の利上げはないと考えている。 * 一方、米国10年国債などの長期債は必ずしも金利が低下するとは限らず、むしろ上昇する可能性もある。長期金利が上昇するのは、米国が財政問題を抱えているためで、2028年には税収の半分が米国債の金利支払いに当てられるとの試算もある。 * 米国の財政問題については複数の著名な投資家や金融関係者が懸念を表明している。 ニュースレターに登録 今の金利水準に経済は耐えられない 今回は、Yahoo! Financeによるガンドラック氏のインタビュー内容を紹介する。 まず、FRBの金融政策について問われたガンドラック氏は、FRBが昨年3月に一気に金利を2%引き上げていれば、現在のような高い政策金利にせずともインフレを抑えられたと回答した。 もしFRBが私のアドバイスに従って、昨年の3月に0.25%や0.50%ではな

  • ハワード・マークス氏:デフォルト率が上昇して債権の魅力が高まる

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * ハワード・マークス氏は、2023年から「Sea Change」と呼ぶ新たなパラダイムシフトの到来を語っており、過去40年間にわたる低金利時代が終了したと主張している。 * 長期的な金利低下によって、債券やクレジットよりも株式に投資をするのが資産運用の主流であり正解となっていた。しかし、マークス氏は金利のある時代時代には、資産運用のアプローチを変える必要があると提言している。 * マークス氏は、金利のある時代に適した資産運用として、債券などのクレジット商品を推奨しており、金利上昇によって株式に匹敵するリターンを得られるようになったとしている。また、クレジット商品は、企業の倒産時に株主に優先して資金回収できるメリットもある。 ニュースレターに登録 低金利の時代は終わった 今回は、Bloombergによるハワード・マークス氏のインタビュー内容を紹介する。 ハワード・マークス氏は、2023年の年初から「Sea Change」と自身が名付けるパラダイムシフトについて語ることが多い。それは1980年から

  • ジェイミー・ダイモン氏:長期金利は7%まで想定している

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * JPモルガンのCEOであり、金融業界の"太陽王"として知られるジェイミー・ダイモン氏は、インフレの収束には時間が掛かるため、金利にはまだ上昇余地があると考えている。 * 政策金利については、最大で0.75%の追加利上げ、長期金利については7%までの上昇を想定しており、これに対するリスク管理が必要だと述べている。 * 一方で、経済や消費者の状況については、コロナ期の余剰貯蓄は使い果たしそうなものの、失業率も低く、賃金や保有する住宅の価格も上昇しており、非常に強いとしている。 ニュースレターに登録 年初に金利5%を予想していたジェイミー・ダイモン氏 今回は、JPモルガンCEOの"太陽王"ことジェイミー・ダイモン氏のインタビュー内容を紹介する。本インタビューはJPモルガンのイベントにおいて、米Yahoo!ファイナンスが行ったものだ。 ダイモン氏といえば、今年1月に開催されたダボス会議でのインタビューにおいて金利5%がありうると発言したことが記憶に新しい。 私は金利が5%以上になると考えている。こ

  • ドラッケンミラー氏:景気後退を懸念して米国2年国債を大量に保有

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * ドラッケンミラー氏は景気の先行きに弱気。原油、金利、ドルの上昇が経済に悪影響を及ぼすと考えており、米国2年国債を大量に保有している。 * 一方、米国30年国債については金利の低下余地があまりないと考えてショートしており、債券全体ではロングショート戦略をとっている。これは逆イールドの解消からリターンを得るポジションである。 ニュースレターに登録 ドラッケンミラー氏は、景気の先行きに弱気 引き続き、Robin Hood NYC 2023からドラッケンミラー氏のインタビュー内容を紹介します。前回は、ドラッケンミラー氏の米国株についての長期展望を紹介しました。 * ドラッケンミラー氏:米国株は今後10年上昇しない 今回は米国債の展望について、ドラッケンミラー氏の見解を紹介する。 まず、ドラッケンミラー氏は今後の米国経済について、悲観的な見方をしている。 原油も金利もドルも全て上昇している。それが経済にとって良かった試しがない。そうした環境下において、通常なら私は債券をロングする。それが過去35

  • ドラッケンミラー氏:米国株は今後10年上昇しない

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * ドラッケンミラー氏の見立てでは、長期間続いた量的金融緩和(QE)の時代が終わり、金利がある時代へと移行している。 * ドラッケンミラー氏によると、長期金利は4.5%〜5.0%が妥当であり、米国株市場はそれに伴うマルチプルの調整を迫られる。今後10年間の米国株は、AI関連株など一部を除いて、横ばいとなる可能性が高い。 ニュースレターに登録 多くの投資家は環境の変化に適応できない ドラッケンミラー氏は、Robin Hood NYC 2023に登壇して、同じく優れた投資家であるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューを受けた。 その中で、ドラッケンミラー氏は投資環境が全く新しい時代に入ったことを強調した。具体的には、リーマンショックからコロナ相場まで続いた金融緩和の時代が終わり、金利がある環境に戻ったのだという。 しかし、こうした環境の変化はすぐに相場に織り込まれるわけではない。投資家の多くが根本的な環境の変化を受け入れて適応するのには時間がかかるからだ。 私は1981年にデュケイン・キャ

  • 次の上昇相場で投資妙味のある3つのセクター

    今回のポイント * 次の株式市場の上昇相場でリターンを生む条件について、2つの要点が考えられる。まず、銘柄が大幅に割安であり、上昇余地が大きいこと。さらに、相場のテーマに関連した銘柄であること。 * 金利上昇局面で売り込まれたハイグロース株が、金利低下のテーマに関連し、リターンを生む可能性がある。ハイグロース株は金利上昇に弱いが、金利低下が進むとその逆の展開が期待される。 * ビットコインも金利上昇により売り込まれた資産の一つである。今後についてはポジティブな要因も存在する。 * 新興国への投資も検討しうる。米国の金利上昇が収束すると、ドル高が緩和され、新興国への投資が魅力的になる可能性が高まる。特に、フロンティア国への投資はリショアリングの恩恵を受けやすいと考えられる。 ニュースレターに登録 次の上昇相場で大きくリターンを生む条件 以前のニュースレターでは、利上げサイクル・金利上昇の局面が終わった可能性が高いことに触れた。 * FRBは政策金利を維持、利上げサイクルは終了 金利がピークを超えて、低下に転じるのであれば、(景気後退がなければ)株式にとってはプラス

  • 米10月雇用統計:失業率3.9%は景気後退を示唆か

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * 2023年10月の米国雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を下回り、失業率が予想を上回る結果となった。インフレの収まりつつある中で、失業率が上昇していることから、FRBは今後雇用に重点を置く可能性が高まっている。 * 債券王のガンドラック氏によれば、失業率が12ヶ月移動平均を上回ると景気後退が確実とされている。現在の失業率3.9%は12ヶ月平均の3.6%を上回っている。しかし、債券市場では長期金利が下がっている一方、米国債とハイイールド債のスプレッドはまだ低下しており、景気後退への見方はまちまちである。 ニュースレターに登録 予想よりも悪かった米10月雇用統計 11月3日に、2023年10月の米国雇用統計が発表された。 まずは、ざっくりと内容を確認しよう。 * 非農業部門雇用者数:前月比+150.0千人(予想は+190.0千人) * 失業率:3.9%(予想は3.8%) * 平均賃金:前年比+4.1%(予想は+4.1%) 雇用者数の伸びは予想を下回り、失業率は予想を上回った。つまり、

  • FRBは政策金利を維持、利上げサイクルは終了

    written by @mercurys_assets 今回のポイント * 今週のFOMC会議において、FRBは政策金利を5.25%-5.50%に維持する決定を下した。これは7月の利上げ以降、政策金利が横ばいとなり、利上げサイクルが終了したことを示している。 * インフレ率の低下と賃金インフレの収まりが、FRBにとって安心材料となっている。失業率が上昇に転じている中で、政策金利のさらなる引き上げよりも雇用や景気の状況を注視すべき時期に入ったことが背景にある。 * 利上げの終了に伴い、債券市場の金利も低下しており、金利上昇に関する懸念は一時的に収束している。今後の焦点は景気後退の有無であり、ガンドラック氏は逆イールドが解消に向かっていることを根拠に景気後退が近いと警鐘を鳴らしている。 ニュースレターに登録 FRBは政策金利を5.25%-5.50%に維持 今週の火曜日・水曜日にFOMCが開催され、FRBは政策金利を5.25%-5.50%に維持することを決定した。 7月の利上げを最後に、米政策金利は横ばいが続いており、2022年から急ピッチに進められてきた利上げは基本的に

  • 米7月のISM製造業景況指数は景気後退的だが、やや緩やかに

    米国7月のISM製造業景況指数は46.4%でした。 前回が46.0%でしたから、製造業の景況感は引き続き後退しているものの、その速度は緩やかになっていることが分かります。 * 6月の米ISM製造業景況指数はさらに悪化 景気後退が遠のく、あるいはソフトランディング的な環境になる確率は上がっていると思います。 ニュースレターをメールで受け取る ISM製造業景況指数は46.4% ISM製造業景況指数は46.4%でした。 ISM製造業景況指数は、50%を下回ると景気後退的であることを示しますが、すでに9ヶ月連続で50%を下回っています。 内訳を見てみると、多くの項目において、数値が少し改善していることが分かります。製造業の景気後退スピードは緩やかになっている、つまり底打ちに向かっていると言えるでしょう。 ダウ平均株価は上昇している テック株の比重が大きいS&P500は年初から上昇を続けたのに対して、工業株の比重が大きいダウ平均株価は年初から7月頃まで横ばいが続いていました。しかし、8月に入ってダウ平均株価は上昇を続けています。 ISM製造業景況指数の数値やダウ平均株

  • フィッチによる米国債の格下げと金利上昇は買いのチャンスになる

    ここ数日、米国株市場がぎくしゃくしています。(2023年8月3日執筆時点) その背景に、格付け機関であるフィッチが、米国債の格付けをAAAからAA+に1段階引き下げたことがあげられます。米国債の格下げによって、米国債価格が下がり(米国債金利が上がり)、それを嫌悪してマーケットは荒れ模様を呈しています。 ニュースレターをメールで受け取る フィッチが米国株を格下げ フィッチは、S&Pやムーディーズと並ぶ、大手格付け機関です。 もともと、今年の5月の時点でアメリカの連邦政府の債務上限問題を受けて、米国債の格付けを引き下げる方向で見直すというアナウンスは出されていました。 しかし、米銀行の経営破綻ショック、連邦政府の債務上限問題、インフレが終わるのか、FEDによる利上げはいつまで続くのか、という様々な不安があった中では、マーケット等への影響を考えて、実際の格下げには踏み切れていませんでした。今回、これらの問題がおおむね片付いたように見えるタイミングで格下げを実施したということです。 マーケットの反応としては、米国債の格下げを受けて米国債が売られ、金利は上昇しています。例えば、長

  • ガンドラック氏:FEDの利上げは失策、金利はピークを超えた

    FOMC後のガンドラック氏のCNBCインタビューから、複数回に分けて、債券王ガンドラック氏の見通しをお送りします。今回は金融政策や金利に関する部分をまとめています。 ニュースレターをメールで受け取る FEDは利上げをすべきではなかった ガンドラック氏は、以前から、FEDはこれ以上の利上げをすべきではないと訴えていました。 * ガンドラック氏:FEDが利上げを続ければ、経済は壊れる 今回、FOMCでの利上げを受けて、もはやインフレ率は十分に下がっており、今回の利上げは必要なかったと見解を述べました。 インフレ率は低下しており、CPIは9.1%から2.98%まで下がってきた。それから今後、数ヶ月でいくつかの大きな項目でインフレの減速があり、コアPCEも3%まで下がるだろう。PCEは近いうちに2%台に入るだろう。だから、私たちはインフレ率はFEDが喜ぶ水準まで下がっているはずだ。 また、遅効指数である住宅価格の家賃換算という計算手法を取り除くと、すでにインフレ率は0%になっているとガンドラック氏は述べています。 家主の家賃換算を実際の住宅価格の推移で置き換えたなら、CPI

  • 米国FOMC:FF金利は5.5%へ、市場参加者は利上げ終了を予想

    ※本ニュースレターは毎週平日の7:30に配信してきましたが、最近忙しく、2日ほどお休みをいただいてしまいました。しばらく忙しい状態が続きそうなので、今後は月曜日・水曜日・金曜日の配信とさせていただきたいと思います。 7月27日に行われたFOMCでは、0.25%の利上げが行われて、FF金利は5.25%〜5.50%となりました。市場参加者はこれで利上げは終わりだと予想しています。 ニュースレターをメールで受け取る 0.25%の利上げで、FF金利は5.25%〜5.50%に 2023年7月27日に行われたFOMCでは、0.25%の利上げが行われた結果、アメリカの政策金利であるFF金利は5.25%〜5.50%となりました。 上の政策金利の推移をみていただくと、政策金利の上がり方はかなり緩やかになってきていることが分かります。 その背景には、当然ながらアメリカのインフレ収束があります。 * 米国6月消費者物価指数は予想以上のインフレ減速でドル安へ 上のグラフを見ていただくと分かるとおり、アメリカのインフレ率は前年比+3.0%まで下がってきました。PCEデフレーターも前年比+3.

  • 米国金利の天井は近づいている:FEDはあと2回、市場はあと1回の利上げを予想

    5月頃からは、インフレの再燃と金利上昇を懸念して、ポートフォリオを小さめにし、慎重な投資姿勢を貫いてきました。そのため、ハイテク株を中心とした大相場に乗り損ねた側面もあります。 しかし、米国金利が天井をつければ、債券を中心に投資をしやすい環境が整ってきます。FEDはあと2回、市場参加者はあと1回を予想していますが、いずれにせよ米国金利の天井は近いことが分かります。 今回は、このあたりを確認したいと思います。 毎朝メールで受け取る 米国金利が天井をつけると投資しやすくなる 現在、大きくポジションを取れない最大の理由は、米国金利がいつ天井をつけるかが分からないからです。 米国金利が天井をつけたことが分かれば、株式と債券を組み合わせることで景気後退リスクをヘッジしつつリターンを追求できますし、ドル安を見込んだゴールドや新興国への投資もできます。 つまり、米国金利さえ天井をつけてしまえば、景気後退リスクが残っていたとしても、投資は非常にやりやすくなるわけです。 では、米国金利がいつ天井をつけるかというと、その見通しはFEDと市場で割れており、FEDはあと2回の利上げを予想して

  • 日本の金融政策正常化(金利上昇)をトレードする方法

    前回書いたように、いよいよ日本のインフレ率はアメリカを上回る水準になりました。 * 日本6月CPI:日米のインフレ率がいよいよ逆転、日本株は業績相場へ そこで今回は、将来的に金融政策の正常化を受けて、日本の金利が上昇した場合に、それをトレードする方法を検討したいと思います。 日本債券のショート まずは、金利が上昇するのであれば、シンプルに債券をショートするという手が考えられます。 個人的にもトレードしているのが、日本債券ベアファンド(5倍型)です。 この投資信託は、あまり優れた投資商品だとは言えません。5倍のレバレッジをかけるので減価も激しく、上の基準価格のグラフを見ていただくと、2014年から半値になっていることが分かります。 とはいえ、個人投資家が債券を効率よくショートする方法はほとんど用意されていないのが現状で、もしも債券をショートしたいのであれば、多少の問題には目をつむるしかなさそうです。 上のグラフの「純資産総額」を見ていただくと、同じように考えている投資家が多いのか、2022年以降、残高が急増しているのが分かります。 銀行株のロング 金利上昇は、銀

  • 日本6月CPI:日米のインフレ率がいよいよ逆転、日本株は業績相場へ

    日本の6月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.3%で、アメリカの+3.0%を上回りました。 政策金利が5%程度あるアメリカを上回るインフレ率の日本がマイナス金利だというのは不整合な状態で、今後は日本の金融政策正常化が意識されるでしょう。 それは低金利・円安に支えられてきた日本株のボーナスタイムが終わり、業績相場へと移行していくことを示唆しています。 毎朝メールで受け取る 日本の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.3% 2023年6月の日本の消費者物価指数は前年比+3.3%でした。 一時は前年比+4%を超えていたCPIですが、直近は前年比+3%超で横ばいに推移しています。 今年に入って、消費者物価指数が落ち着いている理由は、エネルギー価格の下落であることは、本ニュースレターで繰り返し書いてきた通りです。 * 日本の消費者物価指数(2023年5月分)は+3.2%で正念場 いま原油価格をふり返ると、原油価格は昨年の6月に115ドルあたりでピークをつけており、秋には80ドル台まで下がっています。 そうすると、昨年の秋にはすでに原油価格が十分に下がっているわけですから

  • 米6月小売売上高は、前年比+0.5%で実質マイナス

    6月の米国小売売上高は前年比+0.5%、前月比+0.2%でした。 直近数ヶ月の米国小売売上高は、名目ベースではぎりぎりプラスを維持しているものの、実質ベースではすでにマイナス成長となっています。 今後のインフレ率次第では、名目ベースでのマイナス成長入りも考えられますが、その場合は景気後退が強く意識されるでしょう。 毎朝メールで受け取る 米6月小売売上高は前年比+0.5%‌ 米国の6月小売売上高は前年比+0.5%でした。前月比は+0.2%でした。 直近の消費者物価指数(CPI)が前年比+3.0%であったことを考慮すると、実質ベースでは小売はマイナスになっています。 * 米国6月消費者物価指数は予想以上のインフレ減速でドル安へ 名目ベースではプラスを維持しているものの、実質ベースではマイナスというのは、ここ数ヶ月の米国小売売上高に共通して見られる傾向です。 * 米国小売売上高:2023年5月はマイナス成長を回避して、粘り強さをみせた * 米国小売売上高は前年比マイナスに迫る水準で景気後退を示唆 最近の小売売上高をどう考えるか 最近の小売売上高を素直に受け取る

  • ナスダックCEO:IPOマーケットに青信号が灯った

    アメリカでは決算シーズンが続いています。今回発表されたナスダックの決算は、EPS・売上ともに予想を上回る好決算でした。また、アデナ・フリードマンCEOは、株式市場の将来について明るい見通しを示しました。 毎朝メールで受け取る ナスダックの決算(2023年Q2) ナスダックの第2四半期決算は、以下の通りでした。 * EPS:$0.71(予想+$0.05、前年同期:$0.69) * 売上:$925M(予想+$8.68M、YoY:+3.58%) 収益の内訳をみると、市場プラットフォームの収益が$397M、資本アクセスプラットフォームの収益が$438M、金融犯罪対策ソフトウェアの収益が$89Mでした。 また、第2四半期にナスダックは、金融ソフトウェア企業のアデンザ(Adenza)を105億ドルで買収しました。Adenzaは、銀行や証券などの金融機関が必要とする「リスク管理」や「規制対応」のためのソフトウェアを提供しています。 ナスダックCEO「IPO市場に青信号が灯った」

  • 6月の米国生産者物価指数(PPI)は前年比+2.4%でインフレ終息の予感

    2023年6月の米国生産者物価指数(PPI)は、エネルギーおよび食料を除くと前年比+2.4%、全てを含めると前年比+0.2%でした。 FOMCが気にしているのは消費者側の物価指数なので、生産者の物価指数はあくまでも参考値に過ぎませんが、それでも2%台まで順調にインフレが減速したのは驚きです。 毎朝メールで受け取る 米国生産者物価指数(PPI)のインフレ率は、新型コロナ前の水準まで減速 2023年6月のエネルギーおよび食料を除いた米国生産者物価指数(PPI)は、前年比+2.4%で、ほぼ新型コロナ前の水準となりました。 前期比の年率換算だと+1.4%であり、これだけを見ると、もはやインフレは終息したかのような数字です。 また、エネルギー価格が前年比で低下しているため、エネルギー価格等も含めた全体のPPIは、前年比+0.2%とデフレ近い水準になりました。 いま見直したい、ガンドラック氏のデフレ指摘 PPIとCPIは基本的には連動しています。そのため、素直に考えると、CPIのさらなる低下も見込まれます。 ついこの間まで、インフレが収まらないかもしれないという警戒感が広がっ

  • J.P.モルガンやウェルズ・ファーゴの好決算をどう考えるか

    いよいよ2023年の第二四半期決算シーズンが始まりました。アメリカの決算シーズンは大手銀行から始まるので、今回はそれらの決算内容をお伝えします。 現在、マクロ経済の先行きを占う上で、銀行セクターは非常に重要になっています。銀行の貸出しや経営状況は経済全体にヒットしますし、金利の上昇が経済にどのような影響を与えるかを考える材料にもなるからです。 毎朝メールで受け取る J.P.モルガンの決算(2023年Q2) J.P.モルガンの第二四半期決算は、以下の通りでした。 * EPS:$4.75(予想+$0.99、前回:$4.10) * 売上:$41.31B(予想+$2.47B、YoY:34.48%) 主に、消費者・コミュニティバンキング部門と商業バンキング部門の特に強く、売上の成長を牽引しました。また、3月からの銀行経営破綻危機で破綻に追い込まれた銀行のひとつ、ファースト・リパブリック銀行も今四半期に買収完了しています。 今年の純利息収入は、約870億ドルを見込んでおり、前回の決算で発表された810億ドルから上方修正されました。また、信用損失引当金は29億ドルで、前回の22.

  • 米国6月消費者物価指数は予想以上のインフレ減速でドル安へ

    2023年6月の米国消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.0%でした。前回の+4.0%からは1.0ポイントの減速となりました。また予想の+3.1%を0.1ポイント下回りました。 ここ最近は景気の強さ・インフレの根強さを示していた中で、今回の消費者物価指数は非常に良い結果となりました。 インフレ率は3%まで急減速 インフレは前年比+3.0%まで減速しました。 2021年3月以来の水準であり、目標の2%台も見えてくる水準となっています。 この大部分は、エネルギー価格の前年比によるところが大きいです。エネルギー価格は、昨年の3月に始まったウクライナ戦争の影響もあり、6月まで高い水準で推移していました。 価格の変化が激しいエネルギーや食料品を除くと、インフレ率は5%近い水準で高く推移しています。 来月以降は、原油価格の昨年比較の恩恵がなくなってくるため、インフレ率は下げ渋りを見せやすくなります。今後は前年比+7.8%の住宅価格が下がってくるかどうかがポイントになってくるでしょう。 金利低下とドル安 4%に達していた米国の長期金利は+3.8%まで低下しました。

  • 米国6月消費者物価指数は予想以上のインフレ減速でドル安へ

    2023年6月の米国消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.0%でした。前回の+4.0%からは1.0ポイントの減速となりました。また予想の+3.1%を0.1ポイント下回りました。 ここ最近は景気の強さ・インフレの根強さを示していた中で、今回の消費者物価指数は非常に良い結果となりました。 インフレ率は3%まで急減速 インフレは前年比+3.0%まで減速しました。 2021年3月以来の水準であり、目標の2%台も見えてくる水準となっています。 この大部分は、エネルギー価格の前年比によるところが大きいです。エネルギー価格は、昨年の3月に始まったウクライナ戦争の影響もあり、6月まで高い水準で推移していました。 価格の変化が激しいエネルギーや食料品を除くと、インフレ率は5%近い水準で高く推移しています。 来月以降は、原油価格の昨年比較の恩恵がなくなってくるため、インフレ率は下げ渋りを見せやすくなります。今後は前年比+7.8%の住宅価格が下がってくるかどうかがポイントになってくるでしょう。 金利低下とドル安 4%に達していた米国の長期金利は+3.8%まで低下しました。

  • ポートフォリオの確認と投資戦略の更新

    日々のニュースレターでも、結論として投資戦略への示唆を書いていますが、しばらくポートフォリオや投資戦略をまとめたようなレターは書いていなかったので、今回はそうした内容を書きたいと思います。 毎朝メールで受け取る 米国債の保有を減らす

  • サマーズ氏:景気後退を起こすまで金利を上げなければインフレは止まらない

    サマーズ氏は、6月分の米国雇用統計を受けて、インフレとさらなる利上げが継続するだろうと指摘しました。 毎朝メールで受け取る サマーズ氏、雇用統計の強さを指摘 先日の米国雇用統計の数字を受けて、サマーズ氏は以下のように述べました。 数字は非常に強かった。新規雇用の増加率は米国の大人の増加率よりも2倍も多かった。すでに加熱している経済の中においてもだ。インフレ率を目標水準まで引き下げることとは相反する状態だ。また、賃金のデータは、FEDの目標よりも遥かに高いインフレ水準を示した。 雇用統計が非常に強かったことは、本ニュースレターでもすでにお伝えしている通りです。 * 米6月雇用統計は強く、引き続き、高金利が維持される 前回の雇用統計では失業率が上昇するかに思えましたが、今回は3.6%に下がり、横ばいトレンドを示したのも、上に書いた通りです。サマーズ氏は、さらに失業率が下がる可能性まで指摘しています。 失業率は3.6%と低かった。そして、他の労働市場のデータをみると、(中略)3.6%よりもさらに低い失業率を示唆している。 さらなる利上げが必要 サマーズ氏は、予想より

  • 6月ISM非製造業景況指数:力強く反発、サービス業の景気は強い

    2023年6月のISM非製造業(サービス業)景況指数は、前回の50.3ポイントから3.6ポイント上昇して53.9となりました。アメリカのサービス業の景気の良さを示した形となりました。 ISM非製造業(サービス業)景況指数は強かった ISM非製造業(サービス業)景況指数の数値は、53.9で、前回の50.3から3.6ポイント上昇しました。前回は50ぎりぎりの数字で、景気の減速が見られると書きましたが、今回は力強い反発となりました。 * 米国ISMサービス業景況指数:サービス業は景気拡大するも減速がみられる ISMの数字は50以上であれば景気が拡大している様子を表すので、アメリカのサービス業は景気が強いことが示された形になります。 内訳を見ても、かなり良い内容でした。 具体的には、新規注文(New Orders)は+2.6ポイント、雇用(Employment)は+3.9ポイントなど、経済活動が順調に伸びたのに対して、価格(Prices)は-2.1ポイントとインフレが減速しています。 このように経済活動が活発なままで、インフレが抑えられていくのであれば、ソフトランディングの可

  • 米6月雇用統計は強く、引き続き、高金利が維持される

    7月7日の米国雇用統計では、失業率が3.6%、賃金上昇率が+4.4%でした。 失業率は3.6%で横ばい まずは、雇用統計の数字をみていきましょう。 失業率は3.6%で、前回の3.7%から0.1ポイント下落しました。 前回の雇用統計では、失業率が3.7%に上昇しました。4%に向けて上がっていくようであれば景気後退が意識されると書きましたが、今回は3.6%なので、まだ横ばいのトレンドが続きそうです。 * 米国雇用統計:5月は失業率がやや上昇 失業率が今後3.7%を超えて、4%に向かって上昇を続けることがあれば、市場では景気後退が強く意識される展開になると思います。その場合、金利は下がり、景気に敏感な業種の株式も下がるでしょう。 賃金インフレは+4.4%で高水準 続いて、時給の伸び率をみると、前年比で+4.4%でした。

  • 逆イールドが解消して、不景気入りするのは2024年末の可能性もある

    短期金利が長期金利を上回る逆イールドは、不景気の前兆として知られています。実際に、過去の例をみると、逆イールドが生じると、それが解消した直後に不景気に陥っています。 そこで、今回は逆イールドが解消するタイミングを考えてみます。 毎朝メールで受け取る 不景気の前兆として知られる、逆イールド 不景気の前兆として、多くの投資家が参考にしているのが短期金利と長期金利の「逆イールド」です。 通常、米国10年国債の金利(長期金利)は、米国2年国債の金利(短期金利)よりも高いことが一般的です。なぜなら、2年後に元本が償還される債券と、10年後まで待たないと元本が償還されない債券では、後者の方がリスクが高いから、その分、高い利回りを求められるからです。 しかし、「近いうちに景気後退入りする」と債券市場が予想すると、この関係性が崩れて、短期金利の方が高くなります。今が景気のピークで、今後景気が悪化するのであれば、景気の悪化にあわせて金利が下がることが予想されるからです。これを「逆イールド」といいます。 実際に、過去の10年金利 - 2年金利の推移をみると、景気後退(グレーの背景部分)の前

  • 6月の米ISM製造業景況指数はさらに悪化

    6月の米国ISM製造業景況指数は46.0で、前回から0.9ポイント悪化。8ヶ月連続で50を下回りました。 毎朝メールで受け取る 米ISM製造業景況指数は46.0で悪化 2023年7月3日に発表されたISM製造業景況指数は46.0でした。ISM製造業景況指数は50よりも低いと、景気が悪化していることを示すので、2023年6月も製造業の景気は悪化したことになります。これで8ヶ月連続の景気悪化となります。 予想の47.1を下回り、前回の46.9からも0.9ポイントの悪化となりました。 * 米国ISM製造業景況指数:5月は46.9%で悪化、今の米国経済はインフレ頼み すべての指標が50を下回る 続いて、ISM製造業景況指数の内訳を見ていくと、今回はすべての数字が50を切る、悪い数値でした。 良い点としては、新規注文(New Orders)や注文残(Backlog of Orders)が前月比プラスな点があげられます。もしも、これらの数字が底打ちして伸びていくようであれば、景気後退の心配は少し緩和されるでしょう。 また、価格(Prices)が前月比-2.4ポイントの41.

  • セス・クラーマン氏:インデックス投資の落とし穴

    セス・クラーマン氏は、最も尊敬されているバリュー投資家のひとりです。 あまり表に出ることを好まないため、TV番組の出演などは少ないですが、ウォーレン・バフェット氏にも、インデックスを上回るパフォーマンスをあげられる投資家として名前をあげられるなど、尊敬を集めています。 今回は、そんなクラーマン氏がバリュー投資家のバイブルであるベンジャミン・グレアム著『賢明なる投資家』の最新改訂版の編集に関わった関係で、その宣伝でいくつかのインタビューに出演していたため、その内容をお届けします。 毎朝メールで受け取る インデックス投資は平均リターンに負けない 著名なバリュー投資家であるウォーレン・バフェットは、平均的な投資家が資産運用をするのであればインデックス投資が最適だと発言したことがあります。 では、まずは改めてインデックス投資の魅力をセス・クラーマン氏に説明してもらいましょう。 インデックス投資は、0%近い手数料で、マーケット全体にエクスポージャーを持てるというものだ。マーケットに負けることもないし、勝つこともない。 インデックス投資の運用においては、個別の銘柄を調査するといっ

  • 米国5月のPCEデフレーターは、前年比+3%台に減速

    FEDが重視しているインフレ指標として知られるPCEデフレーターの前年比は+3.8%で、3%台まで減速しました。 依然として、FEDの目標インフレ率である2%を大きく上回る状態で、高金利も維持されると思いますし、住宅価格の推移などを見ていると、インフレ第二波への警戒も必要です。一方で、インフレとの戦いが地道ながらも進捗していることも確かだと思います。 毎朝メールで受け取る PCEデフレーターは前年比+3%台に減速 個人消費ベースのインフレ率であるPCEデフレーターは前年比+3.8%で、3%台に減速しました。 PCEは、FEDが金融政策を決めるにあたって重要視しているインフレ指標です。 一般的にインフレ率というと、CPI(消費者物価指数)の前年比を見ることが多いですが、CPIベースのインフレ率が世の中で売られている商品のインフレ率なのに対して、PCE(個人消費支出)は実際に消費者が買った商品のインフレ率です。 つまり、CPIは値上げされたけれど売れていない商品も含むのに対して、PCEは実際に消費者が買った商品の値上がりのみを考慮しているということです。 いずれもインフレ

  • 住宅大手レナー社CEO:金利上昇や銀行の貸し渋りで供給が減っている

    経済指標からマクロ経済を見ることも重要であり、本ニュースレターでは経済指標を積極的に紹介していますが、個別企業の決算をウォッチする中で、マクロ状況が見えてくることもあります。 今回は、米国住宅建設大手のレナー社が最新決算を発表したので、確認しておきたいと思います。今回の決算内容は2023年3月〜5月のものです。前回分は以下のニュースレターで紹介しています。 * 住宅大手レナー社CEO:住宅市場は底打ちも地銀の貸し渋りに注意が必要 レナー社の決算は予想を上回った レナー社の決算は、売上の前年比こそ住宅価格デフレの影響などを受けて減少しましたが、EPS・売上ともに予想を上回る好決算でした。 EPSは$2.94で、予想を$0.62上回りました。また、売上は$8.05Bで、予想を$796M上回りました。売上の前年比は-3.75%で微減でした。 売上が前年比で減少した主な理由は、納品単価の下落によるものです。昨年の2Qは平均単価が$505,166でしたが、今期は$449,000であり、約11%ほど下落しています。 前回のニュースレターで見た通り、4月分のケースシラー住宅価格指数

  • 粘り強いインフレを見せる米ケースシラー住宅価格指数

    2023年4月分のケースシラー住宅価格指数は、前年比-1.70%とデフレでした。しかし、前月比でみるとインフレが再加速しており、米国のインフレとの戦いは長期化しそうです。 毎朝メールで受け取る 前年比ではマイナスがしばらく続く 2023年6月27日に発表された、4月分のケースシラー住宅価格指数(20都市)は前年比-1.70%でした。これは前回の-1.15%よりも減速しましたが、コンセンサスの-2.55%と比べると高い数値でした。 こちらのグラフを見ても分かる通り、2022年のケースシラー住宅価格指数が高い水準にあったため、前年比マイナス、言い換えるとデフレ的な状況はしばらく続くでしょう。 前月比でみると、再び上昇に転じている 一方で、直近の前月比で見ると、再び上昇に転じている点には注意が必要です。 前月比を年率換算した数値は+11.4%であり、前回の+5.1%から大幅に加速しました。この調子での価格上昇が続けば、今後の住宅価格はまた年率10%といった水準に戻っていくことになります。 高金利が続く インフレ率をなんとか9%から4%台まで下げてきたわけですから、FE

  • ガンドラック氏:企業の借り換え難がいよいよ始まる

    ガンドラック氏が、少なくない量の社債が借り換えの時期を迎えることによるショックをツイッターで指摘しました。 毎朝メールで受け取る 数年前にゼロ金利で調達した資金が返済時期を迎える ガンドラック氏は、6月24日に以下のようにツイートしています。 米国の負債は$32Tを超えて、すでに$33Tに向けて爆増している。そうした負債の利払いは、FEDが5.00%も利上げをしてきたことがアクセルとなり、当然増えている。数年前に0%近い金利で発行された短期の社債の少ない数が返済期限を迎えようとしている。おっと。 本ニュースレターの読者の皆様は、これだけで彼の言いたいことが十分に分かるかもしれません。しかし、それでは付加価値がないので、この内容について詳しく見ていくこととしましょう。 まず、社債が過去の各年にどのくらい発行されたのかを見ると、以下のようになっています。 2020年には新型コロナの影響で資金調達需要が生じて、$2,000Bを超える社債が発行されたことが分かります。ガンドラック氏の指摘する「数年前に0%近い金利で発行された短期の社債」というのは、ここに含まれるものでしょう。

  • ガンドラック氏:債券は割安で値上がりも見込める、株式は割高

    引き続き、ガンドラック氏のインタビューです。 毎朝メールで受け取る 株式のバリュエーションは割高 株式市場について問われたガンドラック氏は、今の株式市場の歪な構造について指摘しています。 株式市場の話をするなら、セクターを分けなければならない。まず、S&P7がある。AIといえば株価が20%上昇するような偏った市場だ。それから、S&P493がある。こちらは直近追い風が吹いているが、数週間前までは年初から横ばいだった。 S&P7の筆頭格はエヌビディアでしょう。AIブームによって、最先端の半導体を製造しているエヌビディアの株価は年初来で3倍ほどになっています。 以前紹介したように、これをピタリとあてて、ロングショート戦略で利益をあげたドラッケンミラー氏もさすがですが、そうした一部の銘柄による相場の牽引を危険視するガンドラック氏の見方も理解できます。 * ドラッケンミラー氏:AI関連のNVDIAやMicrosoft株を購入 ガンドラック氏が、今の株式市場が割高であると指摘する背景には2つの要素があります。 1つは逆イールドなどの景気後退の予兆から、近い将来に企業業績が下が

  • ガンドラック氏:FEDが利上げを続ければ、経済は壊れる

    引き続き、FOMC後に放映された、CNBCのガンドラック氏のインタビュー内容をお送りします。 毎朝メールで受け取る 失業率がFEDの予想通りに上昇すれば景気後退入りする 前回は、ガンドラック氏が利上げはもう終わったと考えていることをお伝えしました。 * ガンドラック氏:これ以上の利上げはない とはいえ、そもそもガンドラック氏はFF金利は5.00%を超えないと年初に予想しており、今は5.25%ですから、すでに過去のガンドラック氏の予想はFEDに裏切られた形となっています。 * ガンドラック氏:FEDが何と言おうとFF金利は5%を超えない この差は、FEDがコアインフレ率と雇用を最重視しており、ガンドラック氏がその他の幅広い経済指標を見ていることから生じています。失業率が下がり切るのを待っていたFEDは利上げを始めるのが遅れて高インフレを招いたし、今は逆にインフレ率が下がり切るのを待っているので、利上げを続けているわけです。 では、ガンドラック氏の予想が再び外れて、FEDが予告している通りに利上げが行われた場合にはどうなるのでしょうか。ガンドラック氏は、以下のように述

  • 日本の消費者物価指数(2023年5月分)は+3.2%で正念場

    日本の消費者物価指数は前年比+3.2%で、前回から0.3ポイントの減速となりました。 日本の消費者物価指数ベースのインフレ率は横ばいの形を見せ始めており、今の前年比+3%程度の水準で横ばいになると、日本株や日本経済にとっては恩恵が大きいと考えられます。 一方で、エネルギーおよび食料品を除いたコアコアのインフレ率は+4.3%に加速しています。また、企業物価指数は+5.1%という高水準であり、5月は輸入物価指数も上昇に転じているため、インフレ加速への警戒は引き続き必要です。 日銀が早めに対処して、インフレの加速を防ぎ、今のマイルドなインフレを継続させることが重要でしょう。 毎朝メールで受け取る 日本の消費者物価指数は前年比+3.2% 2023年5月分の日本の消費者物価指数は前年比+3.2%で、前回から0.3ポイントの減速となりました。 一方、エネルギーおよび生鮮食品を除いたインフレ率は、前年比+4.3%で、前回からは0.2ポイントの加速となりました。 前回はインフレが再加速している旨を指摘して、警戒を促しましたが、基本的にはエネルギー価格のデフレが、根っこのインフレを相殺

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