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  • 新国「ウイリアム・テル」(11月26日)

    開館以来27年を経た新国立劇場だが、この間に本舞台で取り上げられたロッシーニは「セビリア」と「ラ・チェネレントラ」2演目のみという寂しい状態だった。しかし3演目目にまさかこの作曲家最後の大作「ウイリアム・テル」が選ばれるとはいったい誰が想像したことだろう。まさに大野和士オペラ芸術監督の快挙である。本格舞台初演は1983年の藤沢市民オペラによる邦語訳版だったが、今回は日本初演となる新制作フランス語版である。(2010年にアルベルト・ゼッタが東フィル定期でフランス語版を抜粋の演奏会形式で演ったことはあった。先般早逝された牧野正人さんがテルを朗々と歌っていたことを懐かしく思い出す。)今回は大野監督自ら指揮する東フィルがピットに入り、演出はヤニス・コッコスである。何よりもロッシーニの音楽が凄かった。感情の機微はあ...新国「ウイリアム・テル」(11月26日)

  • 東京シティ・フィル第79回ティアラ江東定期(11月23日)

    当団首席客演指揮者藤岡幸夫の指揮に上原彩子をソリスト迎え、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番ハ長調作品26とラフマニノフの交響曲第2番ホ短調作品27を組み合わせた熱いプログラムだ。プロコフィエフは7月に京都で同じく上原と沖澤のどかの指揮で聴いたばかりだが、上原のピアノは技巧的には一切不満はないのだが、京都の時に比較して音量が不足していささか勢いが無いように聴こえた。これは会場のせいか、あるいはオケの音とのバランスのせいなのかもしれない。一方小さな音の部分ではオケが音量を落とすので透明で繊細なピアニズムに新たな発見があった。抜群の疾走感と爽やかさに貫かれた快演といった印象。アンコールはしっとりと前奏曲op.32-5。まさに対照の妙を感じさせる心憎い選曲だ。休憩を挟んだラフマニノフはもう藤岡の独壇場だった。機...東京シティ・フィル第79回ティアラ江東定期(11月23日)

  • 藤原歌劇団「ピーア・デ・トロメイ」(11月22日)

    藤原歌劇団創立90周年記念公演の一環で、ドニゼッティ後期の珍しいオペラ「ピーア・デ・トロメイ」が日生劇場で上演された。マルコ・ガンディーニによる新演出という触れ込みではあるが、母体となるプロダクションは2007年と2010年に昭和音大がテアトロ・リージオの舞台にかけている。装置的にはいかにも省エネの舞台なので二幕などは空間を持て余す感があったが、衣装の色調が良く演奏も充実しているとそれなりの効果はあるものだ。作品的にはナンバーの接続に多少のギクシャク感はあるのだが、時として中期のヴェルディを先取りしたようなドラマティックな音楽があることに驚いた。そしてカンマラーノの脚本に起因するストーリー展開の早さもあるので最後まで決して退屈することはなく、何故この演目が現在ほとんど劇場にかからないのか不思議なくらいだ。...藤原歌劇団「ピーア・デ・トロメイ」(11月22日)

  • 東響オペラシティシリーズ第142回(11月15日)

    音楽監督ジョナサン・ノットならではの、お馴染みリゲティを加えた何とも不思議なプログラムの演奏会だ。まずはこのホールの専属オルガニスト大木麻里の独奏によるリゲティの「ヴォルミーナ」。これがまるで大きな電気掃除機の中に頭を突っ込んでしまったのではないかと思われるような大音響で始まった。その後はオルガン的であったり、そうでなかったり。健康診断の聴音検査と思うような音も聞こえたり。比較的素朴で単純なトーンクラスターが定期的に変化してゆく。しかしどの音もどの響きもシンセサイザーのようでありながら決して無機質でなく、不思議と人間的な温もりを感じるところがオルガンを使った魅力だ。私は決して嫌ではなかった。どこまでが作曲者で、どこまでが演奏者で、どこまでが楽器なのかまったく区別はつかないが、とにかくハチャメチャでありなが...東響オペラシティシリーズ第142回(11月15日)

  • NISSAY OPERA 「連隊の娘」(11月10日)

    この秋は私にとってベルカントオペラ満載の嬉しいシーズン開幕だ。新国の「夢遊病の女」に続いて、今日は日生劇場のドニゼッティ「連隊の娘」である。今回の粟國淳演出、イタロ・グラッシ美術、武田久美子衣装のプロダクションは、まるでおもちゃ箱をヒックリ返して出てきた人形達によって繰り広げられるファンタジーのような思いっきりキュートでポップなもの。世界各所で戦火が勢いを増すこの時代、リアルな軍隊や制服を一切登場させないこのアイデアは観る者に優しく、同時にとても効果的だったと思う。これにより連隊の中で一人の娘が兵士達によって育てられるといういささか現実離れした筋書きもすんなりと受け入れられる夢の中の物語と化し、観衆はストーリーに内在するほのかなペーソスと喜びを素直に受け入れられたのではないだろうか。そうした一見ドニゼッテ...NISSAYOPERA「連隊の娘」(11月10日)

  • 八ヶ岳高原サロンコンサート(11月1日)

    スヴャトスラフ・リヒテルや武満徹が開設に多く関与した八ヶ岳高原音楽堂で開催された仲道郁代の「ショパンの時代に想いを馳せて」と題されたソロリサイタルにはるばる出かけた。曲目は「幻想即興曲作品66」「練習曲”革命”」「練習曲”別れの曲”」「バラード第1番」「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」までが前半、そして「練習曲”エオリアン・ハープ”」「前奏曲”雨だれ”」「バラード第3番」「夜想曲第20番」「ポロネーズ”英雄”」が後半。仲道は2007年にNHKの番組収録の折りにショパンが愛用したことで知られるプレイエル社製の楽器を偶然にも試奏する機会を得、一瞬にしてその響きに惚れ込み、以来プレイエルを使ったショパンの演奏法を追求し続けている。今回はその成果を楽器に相応しい小さな空間で披露する絶好のチャンスに...八ヶ岳高原サロンコンサート(11月1日)

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