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ゆるさない文庫 https://yurusanaibunko.com/

ブログ小説を掲載していますが、小説なのか雑文なのか、むしろそれ以外の何なのか、僕にはよくわかりません。

ゆるさない
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2022/11/05

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  • 味覚の砂漠が狂おしい⑧(終)

    前ページ 家に着き、匂い付きの消しゴムをテーブルに並べて眺めてみる。 ……何をしているんだろう。 冷静に考えたら、これは食べ物じゃない、消しゴムだ。 どうしろと言うのだろうか。 どうしようもないので、暫く惚けた。 少し間を...

  • 味覚の砂漠が狂おしい⑦

    前ページ 3回。 3回だ。 3回も僕は裏切られた。 カレーにもラーメンにも鉄人にも裏切られた。 何なんだ。 4時頃に飯を食べたいと思うことが、そんなに罪なのか? 昼飯の時間も惜しんでセコセコ働い...

  • 味覚の砂漠が狂おしい⑥

    前ページ 確かこの先を曲がると定食屋があったはず。 そこでいい。 わりともう、何でもいい。 腹を満たすことを優先しだした事に少なからず本末転倒感は感じたが、そもそも少し早く仕事が終わっただけで別に何か良い事があったわけでも何かの記念日で

  • 味覚の砂漠が狂おしい⑤

    前ページ 結局、この世で一番旨いのはラーメンなんじゃないだろうか。 旨くない麺類なんてこの世に存在しないし、そんな麺類の中での圧倒的覇者がラーメンである以上、最高の夕食を望むのであればラーメンこそが常道な気がする。 ウナギだのステーキだ

  • 味覚の砂漠が狂おしい④

    前ページ 立ち止まって少し考える。 ウナギとカレー。 高いウナギと安いカレー。 なんだかんだでお財布に優しい方がいい。 良い匂い。 すごく良い匂い。 あともう空腹が限界だ。 空腹時にカレーの匂いを嗅がせることは軽犯罪...

  • 味覚の砂漠が狂おしい③

    前ページ 僕は道を歩きながら、更に考える。 ウナギを食べる。そこは揺るがない。となると今度はどう食べるかが問題となる。スーパーマーケットで買ってくるか、それともウナギ屋へ食べに行くか。 やはりここはウナギ屋へ出向き極上のウナギを召したい

  • 味覚の砂漠が狂おしい②

    前ページ いや、この際、金銭的な懸念はどうでもいい。お金なんかを出し惜しみをしていたら最高の夕食など程遠いし、そもそも金額的な高低は僕の欲求には何の関係も無いのだ。食べたいものがたまたま贅沢なものだった、ただそれだけの事で。 問題は、ウ

  • 味覚の砂漠が狂おしい①

    他作品へ ウナギなのかステーキなのか。 2つを同時に食べられない僕は、なんて不自由なんだろう。 日が少しだけ傾きだした彼岸の頃。秋風が静かに土の匂いを運んでくる。 どういうわけか仕事が昼過ぎに片付き、僕は早めの帰宅を許された。特に何か

  • 一週間後、滲み寄る⑯(終)

    前ページ 「あの、ナスガキさん」 彼の愚痴の合間を縫って、僕は切り出す。「はい?」「地球征服には何が必要なんでしたっけ?」 今一度、確認をする。「さっきも言いましたが、約1億の宇宙人と、大量のUFOです」 大量のUFO。 1億人...

  • 一週間後、滲み寄る⑮

    前ページ 「いやね、さっきも言いましたけど、税金が急に値上がったんですよ。あと数ヶ月のうちに払わないと焼かれるようで、蓄えがあまりないもので焦ってるんです」 もうこの際彼が本気なのかどうかはさておいて、彼の愚痴に乗る。「どの界隈も同じですね

  • 一週間後、滲み寄る⑭

    前ページ 僕の沈黙を無視し、ナスガキは続ける。「そうですか…… いや、良い商売だと思ったのですが、まだ地球人には早かったようですね……」 少なからず可哀想にも見えてしまったので、僕は少しだけフォローする。「何が早いのかはわかりませんが、料

  • 一週間後、滲み寄る⑬

    前ページ 「まぁ大変なのは理解しましたが、宇宙人にもお金が必要なんですね。もっとこう、科学の力で、お金なんか無くとも色々できるのかと思ってました」 何故僕は話を合わせているのだろうと、ふと思ったが、なんだかもう僕の彼に対するスタンスもよくわ

  • 一週間後、滲み寄る⑫

    前ページ 僕が少し考えていると、ナスガキは続けた。 「まぁそれだけ宇宙人が集まると、やっぱり社会形成といいますか、地球に住むうえではどうしてもお金が必要なんですよね」 なんだか話が戻ってきた気がした。「なので宇宙人の複製レンタルで商売しよ

  • 一週間後、滲み寄る⑪

    前ページ とりあえず僕は聞く。「えっと……ちょっと混乱してはいるんですが、あなたは宇宙人で、以前から地球に住んでいた、ということでよろしいですか?」「そうです。ちなみに産まれも地球です。地球で繁殖した世代ですね」「はぁ……そうですか」 僕

  • 一週間後、滲み寄る⑩

    前ページ ショボくれる丸顔を見ていると、何だか少しナスガキが可哀想に思えてきたので、僕は当初より気になっていた話を振ってみる。「いや、というか、それはそもそも本物の宇宙人なんですか?」 僕がそう聞くと、少し沈黙が流れる。 流れる。 暫

  • 一週間後、滲み寄る⑨

    前ページ 僕は言う。「ナスガキさん、あのですね。僕は別に話し相手が欲しいわけではないんですよ。ほんのちょっとだけでいい、ちょっとでいいので、世の中に対して何かチョッカイを掛けて、憂さ晴らししたいくらいなんです」「ちなみに言語が異なりますの

  • 一週間後、滲み寄る⑧

    前ページ もはや面倒臭くもなってきたのだが、上手く追い払う口実もないので、僕は少し話を促す。 「……ちなみに、宇宙人1人だと何ができるんです?」「宇宙人単体で、ですか…… そうですね、キャトルミューティレーション、あの家畜を拐ったりするや

  • 一週間後、滲み寄る⑦

    前ページ 「いや、あのですね。1億人をレンタルしたら、5兆円ですよ、いや合ってます? 計算。いやそんなことより、そんなお金があったら別に地球征服なんかせずとも幸せなうちに暮らせますよ」 話にならない。 騙すのなら、もう少し上手く騙してほし

  • 一週間後、滲み寄る⑥

    前ページ 僕はナスガキの丸い顔に向かって聞く。「えぇと、もう宇宙人を貸す、というのがもうよくわからないのですが、5万払えば1週間、宇宙人を借りられて、なんか好き放題できるということですか?」「その通りです」 実に胡散臭い。「いや宇宙人って

  • 一週間後、滲み寄る⑤

    前ページ しかし、やっぱり僕はさっぱりわからないので聞いてみる。 「あの、宇宙人を貸す、とは? よく意味がわからないのですが」 ナスガキは僕を見上げながら答える。「そのままの意味です。宇宙人を貸します。おそらく、あなたは宇宙人を呼んで、人

  • 一週間後、滲み寄る④

    前ページ 途端に僕は恥ずかしくなる。 雑居ビルの屋上に不法侵入した挙げ句、宇宙人でもない男に宇宙人かと聞いてしまった。 よく考えると、意味がわからない。 僕は一体、何をしているのだろう。 少し我に帰ると何故か焦りが出てきて汗が流れる。

  • 一週間後、滲み寄る③

    前ページ そうして夜空に願い続けてから何日目だろうか。 夜風が少し乾き始め、いつの間にか半袖のシャツのもとに虫も寄ってこなくなった頃合いだったと思う。 僕は日課のように8階建ての雑居ビルの屋上に忍び込み、人知れず大手を広げて宇宙の果てへ

  • 一週間後、滲み寄る②

    前ページ かいつまんで言えば、良いことが何一つとして無い。 女にはフラれるしギャンブルも勝てないし友達もいない。金も無い。なけなしの金で風俗へ行けば、大抵写真と違う女が出てくる。かろうじて職だけはあるのだが、薄給過ぎて反吐が止まらない。

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