勘平はそれはそれはどうしようもねぇ男でな。 普段は寡黙でなよなよどしでらけど、喧嘩となれば相手が悪ぃとべらべらど嘘八百を並べる。 何か頼めば、他人がやっだごどもおらばやっだと言い張って、少しでも駄賃をねだる。 夫が街さ行っでらどぎに、嫁しかいね家さ行っでよ、無理矢理上がりこんで手っこだそうどする。 普段の大人しさからは考えられねよんた豹変ぶりなのよ。 酔っ払っでらわげでもね、頭悪ぃわげでもね、性格とも言われね。 何が掛け違ったおがしねさがあったのす。 ある日、村は大雨に遭ってよ、あちゃこちゃ崖崩れだ、家が崩れだで大変だったのす。 雨が上がった翌日、村人総出で稼いでらっだのず。 し