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  • 美しい景色について

    5月の半ばからこの季節、近所の田んぼは水でいっぱいになる。微妙な田舎の微妙な広さの田んぼであるが、私はこの景色を世界で一番美しいものと感じる。特に晴れた日は素晴らしい。さわやかな水色の空と、まっしろにほこほこと膨らんだ雲が水面にまさしく鏡のごとく映り込む。短い短い一本道の左右にそれが広がっている。田んぼに水が張られると、春の終わりと梅雨のはじまりを意識する。心なしか空気が湿気じみてきたように感じる。しかしこの季節の風はまだぬるさを帯びてはおらず、さわやかなままにゆるやかに吹く。風と木の詩より『散りゆく枯葉の一瞬の吐息にも耳を傾けほおにさす陽のしみとおる暖かさにも目をむけよう』そして、アスランは瞬間は瞬間へ繋がり、一瞬は一瞬として過ぎ去ることを知る。美しい気づきから絶望の気づき、そして次から次へとうしなわれ...美しい景色について

  • 天気にまつわるエトセトラ

    ある夜の事夜九時半を回ったくらい、最寄り駅から駐車場へ歩く空に満月が輝いていたそれは私がいつも目にしている遠くて静かな月ではなく、異様に強い輝きを放ち、ぽっかりとクウに浮いていた思わず太陽に例えたくなったが、やはりそれとは大きく異なる光り方をしているし、明るければなんでも太陽に例えるというのはひどく無粋な気がした街灯のようだとしよう中央がくっきり丸くひかり、まわりにぼんやりと何層も円をえがいて、徐々に暗闇と同化する光り方がそっくりだ昔のひとびとが、月の光を頼りに夜道や夜の海をいったというのも、これならば可能だと思ったある昼の事お昼休憩で、近くの駅モールでごはんを食べた帰りよく晴れた日だったまばたきをした瞬間、突如目の前に雪が降った普通ははらはらと降り始め、雨かな、雪かな……降ってきた、雪だ、と、雪が降ってくるま...天気にまつわるエトセトラ

  • 恥ずかしいから海でバカヤローと叫ぶことは出来ず、軽自動車の中で叫ぶ女の思考の流れ

    バカヤローバカヤローバカヤロー私が育ててやったのにあんたの力なら大丈夫だって、中学の時も高校の時も大学の時も大学院の時も背中押して、それで得たもの全部、他の女に渡すってかバカヤロー私のプライド返してよバカヤロー自分で選んだ道だって思ってんでしょいいよ別に、あんたが元気でやってけるんなら、なんて言うとでも思ったか、バカヤローあんたの栄光はあたしのもんだ返さなくていい、すべて失え、私が手に入らなかったもの全部バカヤロー、ふざけんな、バカヤロー私はこの小さな軽自動車、54キロで走る軽自動車の中、絶対に届かないバカヤローを、家につくまでの14分間、バカヤロー恥ずかしいから海でバカヤローと叫ぶことは出来ず、軽自動車の中で叫ぶ女の思考の流れ

  • 〆切本

    ツイッターで見掛けて以来、ずっと読んでみたかった一冊。〆切に追われる様々な人たちのエッセイや手記、中にはハガキなどから抜粋している。序盤、“抜粋”感が強く、せっかくの文豪たちの作品を千切れ千切れに読んでしまうのは勿体ないし、少しつまらないなと感じながら読み始め。中盤以降から、面白いテーマごとに集約していることがジワジワと感じ取れるようになり、非常に面白くなった。ツイッターでは非常にキャッチーに紹介されていたが、そこそこ文量があり、内容もしっかりしている(名著者ばかり集めているのだから少し考えれば当たり前のこと)。気に入ったのは以下の二編。・外山滋比古『のばせばのびる、か』「実体ではなく、影におびえてしまうのかもしれない」「兵は拙速をたっとぶ」「仕事はのばせばいくらでものびる。しかし、それでは、死という締切りまで...〆切本

  • 夏服を着た女たち

    https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%8F%E6%9C%8D%E3%82%92%E7%9D%80%E3%81%9F%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC-ebook/dp/B00LBBQL00/ref%3Dsr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1Y2D48C5IB7XT&keywords=%E5%A4%8F%E6%9C%8D%E3%82%92%E7%9D%80%E3%81%9F%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A...夏服を着た女たち

  • 元恋人の結婚式の写真を見た時の思考の流れ

    でも、初めては全部私キスしたのもセックスしたのも、全部私ふふん、ざまあなさい一回目は全部私なんだからざまあみなさい一生忘れないでいなさいざまあみなさい、ざまあみなさい、ざまあみなさい私が一番最初なんだから私が一番にあなたを見いだしてあげたんだからざまあみなさい、ざまあみなさいいつだって無い物ねだり私はあんたにも、あんたの家族にも親しめなかっただろう男と女として、夫婦として、家族になるには決定的にハマらなかっただろうわかっているが、手からはなれると惜しく感じるないものねだりいま、ここ、わたし以外を求めるどんなに特別になったって、それがいま、ここ、私である以上、私は飢えてしまうでもこれに関しては、これでいい(と思い込むしかない)ざまあみなさい、ざまあみなさい、私が全部初めてを奪ったんだからあまりにも理想的な人生スケ...元恋人の結婚式の写真を見た時の思考の流れ

  • 初めましての投稿

    ずっと追いかけているブロガーさんがいるので、ちょっと憧れて、私もブログを書いてみることにしました。日記ではなく、思考ログ、自分のまとめになるのかもしれません。いつも色々なことを頭の中でぐるぐると考えます。考えて考えて考えた果てに、いつもそこに何も残るものはなく、まあ、いっか、いずれ死ぬ定め、この広い宇宙の中の自分が考えたことなんてなんの意味もなさないのだから、と最後に捨ててしまってきた思考たち。ツイッターをかれこれ十年近く使ってきましたが、心が高ぶった時に、何度も何度もすべてのツイートを消してきてしまいました。写真も現像しない時代、文字も一瞬で消える時代。何か残しておかないと、私という存在はあっという間にかき消えてしまうのだと思うようになりました。いえ、ずっと抱き続けてきた思いが、今日、突然大きく噴出しました。...初めましての投稿

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