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  • 竹の子たち 17

    十二月に入ると、一斉に新店舗の工事が始まった。 継ぎ足すように建てられていたプレハブ小屋も取り壊され、工事関係のスペース確保で駐車場も手狭となる。 そこで、「トンボの会」は駐車場スペースを新たに購入し、拡張した。少し前からパン店やコインランドリーなど数店からテナントの申...

  • 竹の子たち 16

    三々五々、会のメンバー達は食堂を出て行く。山崎も皆の後について外に出ようとする。 彼の頭の中は、嬉しさと、恥を掻かなくて済んだという安堵感と、涼音の心変わりの心配と、それらが入り交じって気持ちが高揚しまくっていた。 その山崎の肩を福田が叩く。 「山ちゃん、帰っちゃだめ...

  • 人間の感覚能力

    自分は時々YouTubeを観ている。 その中に、視覚障害の少女の日常を切り取った動画がある。 正直言って、自分が視覚障害になったらあの様に生きられるだろうかと。 一つ強く感じたのが、今まで軽く考えていた点字ブロック。視覚障害者にとっていかに 大切であるかを深く感じられた。 ...

  • 竹の子たち 15

    「厨房も広くしてくれるの?」 涼音が訊ねると、即座に福田が答える。 「勿論! 涼音さんの城だもん。急がして悪いんだけど、涼音さんには厨房の設備配置を考えて欲しい。幸伸君が次の日曜日に来てくれる予定なんだ。動線も踏まえて、ある程度設計してもらうと助かる」 涼音は、心良く引...

  • 竹の子たち 14

    とんぼの舞に、既に何時ものメンバーが閉店前に揃っていた。彼らが閉店の後片付けを手伝ったので、8時半には各自席につけた。 涼音が初めてこの地を訪れた時には、営業時間は10時から3時までだった。当初「心の泉」と称した道の駅に食事処を設けたのだが、最初から昼食時だけ営業として...

  • 竹の子たち 13

    初日だからご祝儀的賑わいかと思いしや、次の日も次の日も来客は少しずつ増えていく。勿論、馴染みの客だけでは無い。新たなお客が日増しに来るのだ。 一週間も経つと、前任の食堂全般を担当していたおばちゃんや、短時間パートだった人も復活していた。 彼女達は、涼音の指示を受け、手...

  • 人生いろいろ趣味もいろいろ

    どうやら私のオリジナル曲の多くは「J-POP]と言う楽曲に属するようです。 オリジナル曲の中の6曲ほどは、子供向け楽曲になってました。 自分でもどんな部類に入るのか分からなかったのですが、YouTubeで判別してくれました 思わず「成る程」と感心しました。YouTubeはそ...

  • 竹の子たち 12

    一ヶ月程過ぎると、涼音は空き家になっていた農家の家に引っ越す。早速食堂の厨房に入り、下ごしらえやレシピの作成に取り掛かった。 涼音が厨房に入った翌日には、食堂担当だったおばちゃんが辞めた。その表情は、やっと重かった荷を降ろしたように、サバサバとした表情だった。 幾ら定...

  • 新曲です

    【Music】遠くの夢 新曲です。 嘘か誠か知らないが、ある人物が数百曲創って始めて、その中から1曲か2曲が 「いいね」と言われるんだよと。 自分には途轍もない大きな数字。現に自分は総ての作曲を合わせても30曲を越えたぐらい。 とても無理。気が遠くなりそう。それこそ、遠い遠...

  • 竹の子たち 11

    「俺が見たかったのは、こういう魚じゃないんだよな」 涼音は、親しい人達の間では「俺」と、自分の事を言う。少し気取る時には「私」と、皆が普通に使う言い方を用いる時もある。 「どんな魚なんですか?」 嘉人は興味無いのか反応しなかったが、幸伸が涼音に尋ねる。 「雑魚」 「若し...

  • 竹の子たち 10

    「成る程。それで、何時でも壊せるようにとチンケな建物と、無駄に広い駐車場が出来上がった訳か」 「こういう案件では、我々に緻密な事業計画なんてとても出来ないから」 一貫して控えめな発言を続ける福田。 「それじゃあ、潰しちゃっても元々という事ね」 涼音は意地悪そうに言う。 ...

  • 竹の子たち 9

    待つこと約30分。やっと注文の料理がテーブルに運ばれて来た。 「作るのに時間掛かるのねぇ」 「すいません。もうお客さん来ないと思って片付けを始めちゃったもので」 調理兼接客係のようなおばさんが、歯切れ悪く答える。 「お一人で、ここ全部対応されてるんですか?」 「いえ、忙...

  • 竹の子たち 8

    ひょんな展開 父親から借りた車を嘉人が運転し、招待を受けた道の駅なる場所へとナビを頼りに走らせる。 車内には、嘉人の他に涼音。そしてもう一人、幸伸だ。 「ノブも、俺たちに付き合うなんて物好きだな」 「今日は授業も無いし、暇だったからね」 幸伸が説明する。その言葉に嘉...

  • 竹の子たち 7

    「成る程ね。趣旨は良いが、中には困ってしまう地域も出てくると言う事なんですね」 嘉人はそう受け止めた。 「そうなんです。その代表なのが我が地域で、もう、こんなの無くなった方がいいんだけど」 店内の多くのスペースは、県の特産物を並べたり、観光地の写真やキャッチコピーで溢れ...

  • 竹の子たち 6

    一方、嘉人の姉・涼音は影森家に出戻りという形で居座っていたが、居候的立場はやはり居心地が良くない。涼音本人は一向に構わないのだが、両親が煙たがる。 せめてもう少し彼女の結婚生活が長かったのなら、両親の対応も多少は違っていたかも知れないとは思う。 何しろ、派手ではなかっ...

  • 竹の子たち 5

    出会い 月日が過ぎ、嘉人も幸伸も残すところ学生生活も一年を切った。何がどう上手く進んだのか、幸伸は紹介された彼女と未だに付き合っている。 彼女の名前は、高宮彩乃。彼女は服飾関係の専門学校を卒業し、デザイナー関係の仕事に従事している。 スタイルも仕事に少しは関係する...

  • 竹の子たち 4

    「寒くなって来たな。なー、ノブ」 「そうですね」 「ノブ、俺に体を寄せろ」 そう言い、涼音は幸伸の体を引き寄せ、自分が首に巻いていた長い手編みのマフラーの端を、幸伸の首に巻き付けた。 「お姉さん。恥ずかしいですよ」 「うるせえな。今言ったばかりだろ。慣れろって」 「でもー...

  • 竹の子たち 3

    彼女 秋田久美子の骨折りで、建山幸伸にも彼女が。いや、彼女になれるかも知れない女性を紹介される。 《何発も撃つ者は、ついには的を射当てる》 という諺もあるそうだが、ダメ元覚悟で久美子が手当たり次第知り合いに声を掛けると、奇特な女性が居たのだ。 少し太め、標準より少し...

  • 竹の子たち 2

    或る日、嘉人が建山幸伸を伴って家に帰って来た。 「おう、ノブ。元気にしてるか?」 「こんにちわ」 顔を合わした涼(すず)音(ね)が幸伸を見て声を掛ける。幸伸は小さく挨拶を返す。 嘉人と幸伸は幼なじみで、小さい頃からの遊び友だち。当然、お互いの家に行ったり来たりしている...

  • 竹の子 1

    金魚の糞 「ねえ、今あそこに、ノブちゃん見なかった?」 影(かげ)森(もり)嘉人の彼女、秋(あき)由(よし)久美子が斜め後ろを指差す。 「えー、嘘だろう? またかよ」 嘉人は、久美子の指差す方向に視線を向ける。 「居ないじゃないか」 「いや、間違いないよ。ノブちゃん...

  • パンドラ後記

    小説「パンドラ仕様」に目を通して頂き有り難うございます 。 文中、中途半端の終了に一言言いたい方もいらっしゃると思います。当初から最後の結末は書くまいとの予定でした。 その後の展開は、読者個々人が作り上げて貰えればと思っています。 例えば、登場人物加奈子。加奈子に情を移すの...

  • 小説 晩秋

    喋る小説 晩秋 短篇小説をYouTubeにアップしました。YouTubeにはその他の作品もアップしています。 読み上げているので、目を閉じてても分かります。

  • 取り時期

    収穫前です。 そして、そして収穫です。皿に盛りきれませんでした。 熟し切ったのは本当に美味しいですよ。

  • パンドラ仕様 18(最終)

    何日か経った或る日の午後。丸畑家の玄関に一人の人物が立つ。彼は、丸畑直樹が死亡した場所の地域を管轄する警察のベテラン刑事。 元警視庁に居たが、両親の面倒を見るため故郷に移動していた。東京近郊にある丸畑家。彼は地理的にも明るいという事で任されて来た。 実は、丸畑直樹死亡...

  • パンドラ仕様 17

    残る謎 「お母さん、お父さんの納骨は何時にするの? お父さんの両親のお墓に入れるのでしょうけど、何処のお墓か知ってるの?」 「ご両親のお墓に入れる積もりはないよ」 「じゃあ、新しくお墓を購入するの?」 「そうよ。何れ私も入れるようにね」 「そこまで愛してたんだ・・・」 ...

  • パンドラ仕様 16

    そこに立っていたのは佐藤祐子改め、阿久津加奈子だった。 彼女の服装は、以前家政婦として通っていた頃と全く違い、実に地味で普通の叔母さん。品や華やかさが消えている。 顔も、スッピンかかなりの薄化粧。肩まであった髪の毛も今は短髪。その姿に、直樹は別人か見(み)粉(まご)う...

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