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  • 文学×科学の醍醐味『藍を継ぐ海』(伊与原 新)

    人類が最初に手にした鉄は、鉄隕石だと言われているんですよ。(本文より) 地学小説という新しいジャンルの開拓者、 聖光学院でも出題実績がある著者の新作。 今作でも科学の知識がごく自然な感じで ストーリーに絡んでくる仕上がりだよ~。 しかも北海道開拓史や大戦史も関わって 一石二鳥どころか三鳥な優れモノですわ。 これはたぶん著者にしかできない芸当だ。 超ユニークだったのはアイヌ流の熊退治。 人に遭遇すると立ち上がる習性を利用し、 出刃包丁で喉を突いて仕留めるって話だ。 これを知っとけばいつ遭遇してもOK? 何より持ってかれたのは戦争被害の話だ。 これは前情報なしに読んでみて欲しいな。 素材文適性アリ…

  • 例のリストを完成させた

    2025年入試版出典予想ランキングに 15作品を追加してベスト100にした。 【2025年入試版】国語出典予想ランキング(2023年9月~2024年8月発売) 周りにやさしく。結局それが一番自分を救う。(本文より) 今回の追加作品リスト 26位『銀河の図書室』(名取 佐和子)28位『東京ハイダウェイ』(古内 一絵)46位『未来地図』(小手鞠 るい)50位『われは熊楠』(岩井 圭也)55位『常夏荘物語』(伊吹 有喜)60位『ちゃっけがいる移動図書館』(髙森 美由紀) 63位『春のほとりで』(君嶋 彼方)82位『グリフィスの傷』(千早 茜)94位『ジンが願いをかなえてくれない』(行成 薫)95位『…

  • 唯一無二のリアリティ『僕たちの青春はちょっとだけ特別』(雨井 湖音)

    この学校に来てから架月はいきなりクラスのうちの一人として学級の当事者になった。お客みたいな特別扱いが終わったんだ。(本文より) あと2週間ほどで書店に並ぶ作品ですわ。 学園ミステリ大賞の受賞作ってことだが そこから想像する内容とは別物なんだな。 これは選考委員達をざわつかせただろう。 とはいえ読んじまえば選ばざるを得ない。 そんだけ新しさと熱量の高さがあったよ。 中学では問題児でしかなかった子たちの 特別支援学校の中での青春を描いた話だ。 いままで想像できなかった世界を近くに 感じられるようになるストーリーだった。 子ども視点の話プラス教師視点のパート、 さらに出身校からの引継書まであるので …

  • 支持率は限界突破『ジンが願いをかなえてくれない』(行成 薫)

    知ってます?動物園の動物って、野生動物よりも寿命が短いらしいすよ。(本文より) 中受界隈では手垢のついていない著者の ぶっ刺さる短編がギュッと詰まった本だ。 この作品は季刊飛ぶ教室紹介本でもある。 SFチックなのは2編であとは現実路線。 心の底から楽しめるアンソロジーだった。 出典予想ランキングでは96位にするが 負い目や引け目、後悔に苦しむ主人公に 共感できすぎて俺の支持率は限界突破だ。 特に『妻への言葉が見つからない』は神。 難易度分類はやや難だけど最初と最後の 短編は子どもの視点が入って読みやすい。 推し素材は『パパは野球が下手すぎる』。 エースで4番の小5男子と不器用な父の 想像を超え…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2024年12月前後)

    12月も熱い発売スケジュールになるよ。 いきなり凄い企画の3冊同時発売がくる。 さらに前期最頻出作のスピンオフを含む 村上雅郁先生の作品が出るし、紹介済の こまつあやこ先生の新作も超強力だった。 ま、以下のリストは未読の本が多いゆえ たぶん出題向きじゃないのも混じってる。 11/28発売 ☆先行レビュー済☆ 『ワルイコいねが』(安東 みきえ) 正直すぎて浮く転校生と少女の友情物語。 12/2発売 Sweet & Bitterシリーズ①~③ 『恋に正解ってある?』(額賀澪,高杉六花,オザワ部長,佐藤いつ子) 『気になるあの子の恋』(柚木麻子,小野寺史宜,高田由紀子,神戸遥真) 『恋ってそんなにい…

  • 思わず手を合わせたくなる『介護の花子さん』(あさば みゆき)

    こんなにたくさんお礼を言ってもらえる仕事なんて、そうそうないよ?(本文より) 子供たちに仕事の魅力と大変さを伝える 感動のお仕事シリーズの9月に出た作品。 児童文庫の売れっ子作家による新境地だ。 特段思いれもなく業界に入った主人公が 責任ある現場の空気や人の温かみに触れ やる気に満ち溢れていくストーリーだよ。 大抵の人が、いつか何らかの形で関わる ことになる分野の話なのでお薦めし易い。 彼らが目指すべきものには学びがあった。 目先の優しさより大切な物があるんだな。 文章難易度は紹介作品の中では普通相当。 以下、俺のレビューから少し持ってきた。 介護職のイメージを塗り替える一冊ですね。 主人公は…

  • 肩の荷フワリ『白紙を歩く』(鯨井 あめ)

    自分の費やしてきたものや、 身に付けてきたこと、継続してきたことを、自信に変えたいんだ。(本文より) まれに入試にでる作家の10月の新作だ。 対照的キャラの女子高生2人の価値観が 関わり合うことで揺れ動いていくんだわ。 簡単に染まらないところが面白かったな。 人は人だし自分は自分、尊重し合えれば いいじゃないかって路線はちょっと新鮮。 登場人物には効かなかったりするんだが、 この本は教師のセリフにいいものが多め。 流行りのサブテーマにも味わいがあって かな~り読み応えのある作品になってる。 例の難易度分類ではやや難といった水準。 また俺のレビューを少しだけ付けとくな。 「あくせくしなくていいよ…

  • 思いのままに花ひらけ『チカクサク』(今井 恭子)

    これが戦争なんだ。終わりはない。って 言葉が恐ろしいまでに胸に迫って来たよ。 わりと入試に出る作家の10月の新作だ。 描かれてるのは昭和28年からの数年間。 心に傷のある少年がその時代ならではの 経験や不思議体験を重ねて変わっていく。 子供には入り込みにくい時代背景だけど たぶん序盤の事件にギュっと掴まれるよ。 素材文適性は3章から急騰していく感じ。 国語素材によさそうな箇所 三章◎叔父の誘いで養蜂の旅に同行する 四章〇叔父の秘密を知った主人公の告白 五章△終わらない戦争の傷跡を思い知る 六章△子犬たちの行方に気持ちが揺れる 八章〇女絵師とのかかわりで心情を吐露 九章◎ひとり叔父の肩を持つ少年…

  • めぐり逢い、湧き出るモチベ『迷子のトウモロコシ』(嘉成 晴香)

    わたしみたいに、夢が迷子になっちゃうこともあるし。(本文より) まれに入試に出る作家の9月の新作だよ。 煮詰まっていた少女が出会いに触発され 新しい自分に突き進んでいくストーリー。 合わないと思っていた子が実は、という 筋書きは王道展開だが俺は好きですわ~。 この先生の作品の中では素材にし易そう。 特に人生で一番大きく長い拍手の場面や、 雨道を姉と帰る中で心を動かされる場面、 あとは親への態度が変わる瞬間がよさげ。 本作は読みやすく小4でもいけそうだよ。 以下はオレのレビューの書き出しパート。 自分にとっての「特別」を見つけたくなる物語ですね。 主人公は中学生にして著名な芸術家という姉を持つ小…

  • あなたは二月の勝者ロス?『問題。 以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』(早見 和真)

    もう私お姉ちゃんの受験イヤだ。受験が近づいてから家の中がずっと変だもん。(本文より) 今期出典予想ランキングでは下位だけど 今年最も楽しんだ作品はコレなんだよな。 俺がノリノリでレビュー書いた翌月には 合不合判定テストの素材にもなっていた。 その著者が来春、中学受験小説を出すよ。 見たことない方向に話が進むので新鮮だ。 主人公の友人や塾の先生、父親の言葉に ハッとさせられる瞬間が幾度もあったわ。 難易度は難しいが教育虐待の話ではなく 素材文に使えそうな箇所が盛りだくさん。 志望校のことで家族会議するシーンとか 中学受験の意義を語る父娘の会話パート、 あとは塾友・講師とのやり取りも要注目。 月刊…

  • 神出鬼没の凄いキャラ『朝読みのライスおばさん』(長江 優子)

    みんなで同じお話を聞いても、感じ方はそれぞれちがうってところがおもしろいんだよねえ。(本文より) 2週間後に発売される作品を紹介するよ。 俺もいろいろとレビュー書いてきたけど、 これほど印象に残るキャラはいないわ~。 小5男子がミステリアスなおばさんとの 関わりで様々なことを学んでいく話だが この脇役のおばさんってのがスゲェんだ。 余りに凄すぎてレビューに主人公のこと 書き忘れちまうほどのインパクトだった。 これには子ども達も大ウケなんじゃね? 国語素材文には、割れるクラスの意見を アンケートで問うくだりなどがアリかな。 主人公達が個々の受け止め方の多様性に 気づかされるパートにも学びがあった…

  • 匂い立つミラクル『大きな玉ねぎの下で』(中村 航)

    爆風スランプってバンドを知ってるのは だいたい40代以上になるんだろうな? その人気グループの名曲の詞を元にして 想像を膨らませて描かれたのがこの作品。 8月22日発売なので作問向け選書には 厳しい時期だが出題者はズバリ世代かも。 切ない恋の物語だけどそれだけじゃない 様々なエッセンスが盛り込まれているよ。 スマホもケータイのない時代が舞台だし 俺なんかは昔を思い出し浸ったりしたが 現代若者パートもありターゲットは広め。 問題文に使えそうな箇所を一つ挙げると 少年が思わぬ役割を果たすことに対して 慕情と罪悪感の狭間で葛藤するシーンか。 文章難易度はやや難といったレベル感だ。 俺のレビューの始め…

  • 幸あれかし!『未来地図』(小手鞠 るい)

    人に助けを求めることを恥じらってはいけないと思うんだ。(本文より) 児童書コーナーにある著書とは一味違う 昨年10月に出た大人の恋愛小説ですわ。 不勉強な俺は作者の道徳色の濃い本しか 知らなかったんだがこの路線もいいな~。 不遇な主人公への共感がもう止まらない。 素敵な街や人との出会いがいやしになり 彼女を変えていくストーリーに釘付けだ。 この作品、国語素材としても面白いかも。 主人公が新天地で中学の国語教師になり 子供達と向き合うシーンなんてどうだろ。 家族の介護をする生徒と出会う2章とか 詩の授業で生徒が気づきをくれる4章は 特に素材文適性がありそうな印象ですわ。 恋愛小説だが子供NGパー…

  • 傍観者から当事者へ『東京ハイダウェイ』(古内 一絵)

    逃げろって言ったって、一体、どこに逃げろっていうんだよ。家にも学校にも逃げ場なんてないじゃないか。(本文より) 去年作った出典予想ランキング41位の 『百年の子』は俺の最推しだったりする。 中学受験や発売日による補正抜きにして 好きな本を選ぶと序列は別物になるワケ。 5月発売の今回の紹介本もよかったわ~。 ままならない社会で大人たちが奮闘する お仕事小説という建てつけなんだけどよ、 素材文適性◎の短編が一つ入ってんだわ。 『タイギシン』は厳しい現実を前にして 途方に暮れていた高1男子の転機を描く。 猛者と出会い導かれる少年の成長がイイ。 主役じゃないが強い女性キャラが眩しく 彼女との対話の中で…

  • 興味の幅を広げてくれる『復活!まぼろしの小瀬菜だいこん』(野泉 マヤ)

    伝統野菜っているのはね、ずっと昔から、限られた地域でつくられてきた野菜のことだよ。(本文より) 伝統や文化の継承に貢献しそうな作品は プラスアルファの価値があると俺は思う。 今回の紹介作品もそんな一つになるよ~。 F1種って言葉、俺は知らなかったけど 世間一般では常識だったりするのかな? スーパーなんかで普通に売ってる野菜は ほとんどは近年品種改良されたF1種で 昔ながらの地場の品種が伝統野菜らしい。 その伝統野菜が危機に瀕してるそうだよ。 なぜそれが困ったことになるのかなどは この作品に触れることで学んでほしいな。 対人関係で大切なことなども書いてあり 全国の学校図書館に置いてほしい一冊だ。…

  • きらめく青さは流麗に『春のほとりで』(君嶋 彼方)

    自分の本心から好きなものが理解され共感されるのが、こんなに嬉しいなんて知らなかった。(本文より) 物語が予想外の方向に進んだりするとよ、 オォ!って驚かされることになるよな? ただし、思わぬ展開に行く際に説得力が 足りないと読者は取り残されちまうわな。 これって多分よほど技量がないと難しい。 今作はアオハルの意外性を流れるように 描き上げて読者を引き込む連作短編集だ。 8月21日発売なんであんまし作問者の 目に触れていないかも知れないんだけど わりと使いどころのありそうな作品だよ。 『真白のまぼろし』・・・素材文適性〇 孤独に漫画家を目指す少女のめぐりあい。 『青とは限らない』・・・素材文適性…

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