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  • 出題されるかもしれない新刊本(2024年2月前後)

    2月の新刊はちょっと少な目のようだね。 追加で判明したらこの記事に書き足すよ。 1/30発売 『こんな部活あります──ココロの花──華道部&サッカー部』(八束 澄子) 入学式で運命的な出会いをする少年少女。 2/1発売 『すきなあの人』(神戸 遥真,令丈ヒロ子,少年 アヤ,こまつ あやこ) 多様性を体感する君色パレットシリーズ。 2/13発売 ☆先行レビュー済☆ 『八秒で跳べ』(坪田 侑也) 若き俊英が描いた青春バレーボール小説。 2/26発売 『なんでもないあの人』(濱野 京子,林 けんじろう,椰月 美智子,昼田 弥子) 『きらいなあの人』(工藤 純子,蓼内 明子,花里 真希,黒川 裕子) …

  • おちゃらけドタバタ劇とは違う『キオクがない!』(いとう みく)

    人ってつくづく、経験や体験の上に成り立っていくものなんだと思う。それを失った状態の僕は、僕自身の軸がどこにあるのかがわからない。(本文より) 入試頻出作家が昨年11月に出した新作。 この先生はシリアス作品がよく選ばれる。 本作はエンタメ色が強いと予想してたが、 読んでみたら意外にもシリアス系だった。 記憶を失った少年の苦悩がガチで描かれ 胸にズシリと迫るものがあるんだもんよ。 序盤に提示される謎要素を引っ張るから 読み始めたら多分止まれなくなるだろう。 相手の立場で想像することの大切さなど、 道徳要素が濃い目なのにメッチャ面白い。 説教臭くならずにこれができるところが いとうみく先生の凄いとこ…

  • ジャイアンのかなしみ『神さまのいうとおり』(谷 瑞恵)

    みんな、いろんな壁にぶつかってきているのだから、人並なんて、どこにもない。(本文より) 子どもの受験のときに栄東で出たもんで 慌てて買った本だが当時は読めなかった。 本命の入試まであとわずかだと思ったら 気が急いて文章が頭に入ってこなくてよ、 あのころは本のレビューも書けなかった。 自分自身の受験でもないのに笑えるだろ。 さて、本作は前触れなく複数校で出た本。 風習や言い伝えを残す田舎に越してきた 訳アリ家族を軸に描かれた連作短編集だ。 未知のしきたりやその背景が面白いけど 序盤の不穏さは少し入り込みづらいな~。 素材文適性◎の第三話『猫を配る』から グッと面白くなると俺なんかは感じたわ。 ジ…

  • 切なさ、ここに極まれり『さよならミイラ男』(福田 隆浩)

    どうしてみんなと同じことができないんだろう。小さいころは、そう何度も思った。(本文より) 入試ではあまり見ない作家の来月の新作。 この先生の本は優良図書が多いんだけど あんまし使われない理由はなんだろうね。 今度の作品は過去最高に気に入ったわ~。 家庭に深刻な問題を抱え学校で問題児と みなされる少年があがくストーリーだよ。 いじめられっ子の彼が立ち上がる場面は 涙腺的にも鳥肌的にも、くるものがある。 重いテーマなのに読後感がいいのが凄い。 テストの素材にも使えそうだと感じたわ。 アノ要素の扱いがちょっと難しいんだが そこは逆に作問者の腕の見せどころかな。 今回は俺の先行レビュー全文をあげとく。…

  • さすがの受賞作『夜に星を放つ』(窪 美澄)

    つらい思いをするのはいつも子どもだけれどね。(本文より) 2022年に発売された直木賞受賞作だ。 今更ながらに読んでみて見事にやられた。 傷ついた人々の話だが読むと救われるよ。 実にいい短編がたっぷり詰まってるから。 とくに鉄人会予想『星の随に』は桁違い。 少年の心情をキレイにすくい取ってるし、 素材文適性でいえばまちがいなく◎だよ。 長年愛される作品になるんじゃないかな。 『銀紙色のアンタレス』は少年の慕情が 瑞々しくって素材文適性△という印象だ。 やや難しいがマセた子なら小5でいける。 俺のレビューのカケラはこんな感じだよ。 『夜に星を放つ』感想・レビュー 年代も性別も様々な主人公たちがあ…

  • 戦火のもと、不可能に挑む『タスキ彼方』(額賀 澪)

    自分のことを、小説の主人公だと思い込むんです。すると不思議なもので、自分の意識と体が切り離される感覚がして、緊張せずに言いたいことがすらすら出てくるんですよ。(本文より) たまに入試に出る作家の12月発売の本。 新旧両方の箱根駅伝の魅力を味わえるよ。 特に戦時中のエピソードにはやられたわ。 次から次へと感情を揺さぶる展開がくる。 知っておいて損のない知識も出まくるし これは出来たら読んで欲しいところだよ。 例えば戦時中の甲子園は選手交代が禁止、 なぜなら突撃精神に反するから、とかな。 球場で赤紙が来た観客の名前が放送され 観客が一斉に拍手する慣行もあったそう。 いかに狂った時代だったかがわかる…

  • 学びをトコトン楽しんで『線は、僕を描く』(砥上 裕將)

    成功を目指しながら、数々の失敗を大胆に繰り返すこと。そして、学ぶこと。学ぶことを楽しむこと。失敗からしか学べないことは多いからね。(本文より) わりと入試で出ている2019年の旧作。 旧作の推奨リストに入れなかった理由は 映像化され回避されるかもと感じたから。 けど名作だしせっかくだから紹介しとく。 大変な境遇の青年が、思わぬきっかけで 水墨画の世界に足を踏み入れていく話だ。 人の心の温かさに心を打たれると思うよ。 つらいときに力をくれそうでもあるわ~。 断片だがオレのレビューはこんな感じだ。 心が通い合うことの美しさを教えてくれる作品。 主人公は大きな喪失体験で心が動かなくなった青年です。 …

  • 驚きが止まらない『ずっとそこにいるつもり?』(古矢永 塔子)

    陽キャにばっか愛想笑いして、自分がターゲットにされないように振る舞うだけで精一杯なんですよ。(最終話『まだあの場所にいる』の本文より) 入試では見ない作家の10月の新作だよ。 短編集で大人視点の話が多くて子供には 共感しづらいだろうな~とは思うんだが ひとつ強烈に薦めたい話があったんだわ。 それがラストの『まだあの場所にいる』。 中高一貫校に転校してきた子の生き様が きっと読む人の心をとらえて離さないよ。 不自然な程クラスに馴染み過ぎる少女が 騒動に巻き込まれてどうなるか要注目だ。 ラストシーンの躍動感があまりに強烈な この短編は小学生にも刺さると思うな~。 あとは、子ども食堂に生きがいを感じ…

  • みなぎる活力『風が吹いたり、花が散ったり』(朝倉 宏景)

    なんで、俺たちはもっと器用に生きられないのだろう?(本文より) 『あめつちのうた』が頻出な作家の旧作。 文庫化を機に読んでみたが大当たりだわ。 過ちを犯した少年が負い目を隠しながら 目の不自由な少女のサポート役になって マラソン走破の手助けをするストーリー。 大別すると職場編と競技編になるんだが とくに職場エピソードがエモいんですわ。 しかも競技編の方も胸熱展開になるしよ。 で、それらの話が絡み合っていくもんな。 いやー、楽しく読んで元気までもらった。 これ、作問者の先生は気づかないかな~。 素材文適性も結構あると俺は感じたけど。 以下、満ち足りた俺のレビューから抜粋。 なんて美しい物語なんだ…

  • 短歌少女が駆け抜ける『わたしたちの歌をうたって』(堀 直子)

    稀に出題される作家の2022年の作品。 小4あたりからいけそうなレベル感かな。 つまり紹介本の中ではかなり平易な部類。 オレは軽い気持ちで読み始めたんだけど、 主人公が自分の殻を破る場面で涙目だよ。 泣いてるのがバレないよう必死で堪えた。 これには自分自身が一番驚いちまったな。 マイレビューの序盤は以下に引用しとく。 主人公はクラスで浮いてる小学四年生。気持ちを出していくのが苦手な彼女が、まわりに生意気扱いされる訳アリ転校生の事情に触れ、関わり合う中で、自分の殻を破るきっかけを掴んでいきます。 『わたしたちの歌をうたって』感想・レビュー 短歌×友情(2022年10月)

  • 知識欲までそそられる『はじまりは一冊の本!』(濱野 京子)

    ちがうタイプだからいいのかな、とも思うの。自分には考えつかないようなことを言ったりするから、新鮮っていうか。(本文より) たまに入試に出る作家の昨年9月の新作。 この先生は明日発売の本にも要注目だよ。 今回の紹介する作品の主人公は小6男子。 目標がある級友をまぶしく感じてた彼が、 自身を輝かせるものを見つけていく話だ。 本ができるまでの流れが解りやすくって 小4あたりでもスイスイ読めそうな感じ。 知ることのワクワク感も伝わってくるよ。 しかも、いい終わり方をするんだよな~。 俺のレビューの断片はこんなテイストだ。 本の向こうに著者だけでなく、編集者を含めたさまざまな役割の人々の貢献があると解り…

  • 紹介作品からの出題(2024年度中学入試の国語出典・随時更新)

    相変わらず笑っちゃう程アクセスが無い 寂れ切ったサイトからお知らせしますよ。 俺の情報網では一部しか拾えないんだが、 旧作も含めて紹介本から出た学校のうち、 現時点で判明しているものは以下の通り。 『教室のゴルディロックスゾーン』(こざわ たまこ) 栄東A1 『きみの話を聞かせてくれよ』(村上 雅郁) 栄東A2 『成瀬は天下を取りにいく』(宮島 未奈) 栄東(東大特待) 『街に躍ねる』(川上 佐都) 愛光 『シタマチ・レイクサイド・ロード』 (濱野 京子) 佐久長聖(2回目) 『あと少し、もう少し』(瀬尾 まいこ) 埼玉栄 以上はここでレビューを書いた作品たち。 +++++++++++++++…

  • 決意を胸に『優等生サバイバル: 青春を生き抜く13の法則』(ファン・ヨンミ)

    プレッシャーもかけすぎると逆効果だよな。大人はそういうところをわかってない。(本文より) 海外作品はそれほど頻出にはならないが 去年の『5番レーン』みたいに複数校で 出題された韓国文学なんかもあるからな。 今回紹介するのは昨年7月に発売された 韓国の進学校の青春を扱った作品ですわ。 サバイバルって題名にいい印象がなくて 軽い気持ちで読み始めたがこれがアタリ。 俺は主人公の熱い決意が気に入ったよ! 成績のことで悩む子が何人も出てくるし 受験生には特に刺さりそうな作品だな~。 様々な解決策があり参考にもなるだろう。 主人公は討論するクラブに入っているが そこでの会話にも気づきが多いんですわ。 自分…

  • 可能性を無駄にしないために『毒をもって僕らは』(冬野 岬)

    昨年3月発売のポプラ社小説新人賞作品。 少年視点の物語だけど、中学受験界隈で 話題になっていないのはダークさゆえか。 いじめの凄惨さなんかちょっと引くもん。 主人公の心情の危うさも教科書的でなく そこが読者を惹きこむ要因でもありそう。 毒が強く素材文適性はあんまりないけど 読みだすと怖いもの見たさで一気だろう。 俺のブックレビューはこう締めくくった。 驚かされ、そうきたか!と膝を打つものもあれば、私の感性が追いつかない部分も少々。ともあれ、響いてくるものは確かにあり、時間を忘れ読み耽りました。 安っぽい感傷をバッサリ切り捨てるくだりは特にド迫力! 持てる可能性を無駄にしないために何ができるのか…

  • 少年の本気度『アオナギの巣立つ森では』(にしがき ようこ)

    身近にある物を見直すきっかけになる本。 たまに出題される作家の10月の作品だ。 素材文適性はそれなりにありそうな印象。 文章難易度は5年生でも読める水準だよ。 オオタカや刀鍛冶がいる土地が舞台ゆえ 非日常な暮らしぶりが新鮮に映るだろう。 自然界と人の身勝手さの相克も見どころ。 目標を見つけて目の色が変わる主人公に 読んでるこちらまで影響されそうな物語。 俺のレビューの内容紹介パートがこれだ。 主人公は本気になれるものが何もない小学6年生。まわりの子との温度差に焦りを抱いていた彼が、夢に真っ直ぐな少女や、世にも珍しい生き物などと関わるなかで、とことん熱くなれる道を見つけていくストーリーです。 『…

  • 弓の素晴らしさも伝わってくる『たまごを持つように』(まはら 三桃)

    一歩一歩しか歩けないのなら、長い間歩いていればいい。(本文より) 2009年に出た優先度Aランクの旧作。 これも長年にわたり愛されてきた小説だ。 努力し続けることの大切さを訴えかける 青春小説なんであらゆる層に薦めたいよ。 弓道を扱うけど斜面と呼ばれる少数派を 題材にしてて主流とは様々な面で異なる。 オレも大学までは弓道部員だったんだが よく調べてんな~と驚かされちまったよ。 日置流弓道の普及にも貢献しそうな本だ。 以下は、俺の古いレビューの要約部分だ。 主人公は弓道に打ち込む中学生。不器用で壁にぶつかっていた彼女が決して順調でない経過をたどりながら、個性あふれる仲間とともに心・技の両面で力強…

  • 月並みじゃない青春『ナカスイ!海なし県の水産高校』(村崎 なぎこ)

    中学入試で出題実績が無さそうな著者の 昨年3月に発売された10代向け小説だ。 読みやすい文章で知らない世界のことを 身近に感じさせてくれるストーリーだよ。 素材文適性は程々だが学びは多そうだわ。 12月に続編も出てるから気に入ったら そちらのほうも読んでみるといいだろう。 俺のレビューの前の方はこんな文章っす。 主人公は自分を変えたい普通女子。 下宿してまで水産高校に通うと決めた彼女には、表向きの理由とは別の意図がありました。 驚いた!栃木の水産科って実在するんですね。 ありもしないものを面白おかしく書いた本なんかじゃないです。 世にも変わった授業や実習、個性派ぞろいの先生や生徒たち。 ページ…

  • まぶしさ溢れる夏の日々『14歳の水平線』(椰月 美智子)

    『しずかな日々』で知られている作家の 2015年に出た優先度Aランクの旧作。 この本もまだまだ入試で見ることがある。 ありふれた新刊より先に読むべき名作だ。 すべてにムカついていた主人公の少年が 父の故郷の島でどう変わるかに注目だよ。 読めばキャンプの魅力に取り憑かれそう。 以下は俺がむかし書いたレビューの一部。 父と二人暮らしの中学2年生の少年が都会の喧騒から遠く離れた小さな島で体験する”しずかじゃない日々”。同じ夏休みの非日常体験を描いている『しずかな日々』と比べると、物語の舞台も人物もキラキラしていて、読みながら明るい気持ちになれましたよ。 『14歳の水平線』感想・レビュー みんな、こん…

  • アイデア冴える『満月のとちゅう』(はんだ 浩恵)

    興味がない。だからやる、見る、聴く。発見がある。(本文より) コピーライター兼作家の10月の新作だ。 フレーベル館ものがたり新人賞で大賞の 『ソラモリさんとわたし』の続編ですわ。 この先生が紡ぐ言葉はとてもユニークで ちょっとしたフレーズにも煌めきがある。 最初のアイデアに飛びついてはいけない、 筆が止まったら心に風を通したらいい等、 幅広~くで役立ちそうな名言もしばしば。 なにより、今作でもスイーツに滅法弱い 子供みたいな大人ソラモリさんが面白い。 かつ仕事モードとのギャップで魅力倍増。 大人にも子供にも学びのある愉快な本だ。 俺のレビューの前半はこんな勢いですわ。 言葉選びが凄い! コピー…

  • ようこそ、活字の世界へ『さがしもの』(角田 光代)

    開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか本しかないだろう。(本文より) 『この本が、世界に存在することに』は 2005年にでた作品集だが、改題して 『さがしもの』になったっていう話だよ。 優先度Aランクの旧作だが今も人気抜群。 同じ作品でも読むときの気分によっては 全く違った印象になるって話が刺さった。 つい懐かしい本を再読したくなったな~。 俺はかつて表題作を人生を変え得る作品 な~んて評しながらこう要約していたよ。 悪い出来事が起きるよりも、悪いことが起きるのではないかと思う考えの方が怖い。出来事より考えが怖い。だから悪い方へ考えないようにしよう。目先のことを一つずつ片付けながら。 …

  • 抑圧と混乱のさなかで『尊敬する人はいません(今のところ)』(中山 聖子)

    「その人たちは僕じゃない」(本文より、他人を引き合いに諭そうとする親に対して少年が放った言葉) まれに出題される作家の10月の作品だ。 母と暮らす普通の少女と優等生然とした 少年の視点で子どもの抱えるモヤモヤを 思い切ったストーリーで露わにしてくよ。 ときに生易しくない現実を活写していて 児童書らしからぬ瞬間もあって面白いわ。 以下は俺が書いた感想からの一部抜粋だ。 子どもたちの感情の発露が圧巻!親たちの反応には虚を突かれた感もありました。少女の割り切れない感情への気づき、少年の不完全さへの気づき、どちらも大切ですね。大人の私にも心地よい読書体験になりましたよ。 『尊敬する人はいません(今のと…

  • 採用、引きも切らず『サクラ咲く』(辻村 深月)

    断れない、はっきり言えない人は、誰かが傷つくのが嫌で、人の傷まで自分で背負ってしまう強い人だと思う。(本文より) 2012年に出た優先度Aランクの旧作。 ファンブックによればこの作品は頻繁に 著作権絡みの許諾申請が来るんだそうだ。 つまり入試・模試・テキストの定番だよ。 それだけじゃなく面白さも抜群なんだわ。 ちょっとしたことに揺れ動く繊細な心に 子どもたちが共感しまくることうけあい。 ま、あらゆる世代に薦めたくなる一冊だ。 昔書いたレビューを少し直したのが以下。 瑞々しい学園生活がメインの短編集。 それぞれが独立した話のようであって、実は繋がりがあると気づいたときには声を上げそうになりました…

  • 多彩なテーマを綺麗に織り交ぜた『わたしに続く道』(山本 悦子)

    わたしはさ、差別されるのが黒人だけってとこが気に入らない。白人は差別されないのに。(本文より) 発売日が11月下旬だったんで外したが 桜蔭向けの企画に入れるか迷った新作だ。 かなり平易だけどテーマ注目度がMAX。 主人公の揺れる心情も問題で問いやすい。 学校で人種差別って言葉が飛び交う日や、 母に気持ちを吐露する場面は特に要注目。 ま、そういうあさましい視点から離れて、 純粋に薦めたくなる一冊でもあるんだな。 これはぜひ読書感想文全国コンクールの 高学年の部で課題図書に選んで欲しいわ。 俺の気合レビュー全文はこんな感じだよ。 主人公はケニアハーフの小学5年生。 肌が黒いことでどこへ行っても特別…

  • 未来の可能性を信じて『君たちは今が世界』(朝比奈 あすか)

    親や先生が護ってくれる世界は、いつか終わってしまうからね。(本文より) 2019年に出た優先度Aランクの旧作。 この作品も長く使われている印象ですわ。 目先のことにばかりとらわれる子供達に、 自分を俯瞰するきっかけをくれる物語だ。 今がつらい人の救いになりそうでもある。 前も書いたが文庫版は『仄かな一歩』が 追加されてるんでこっちのほうがお薦め。 友だちとの約束が世界を明るくする話で 気持ちを前向きにしてくれそうな短編だ。 以下、俺のレビューの書き出し部分だよ。 学級を崩壊に導く2人がいる教室の人間模様。煽る子、流され悪事に手を染める子、傍観する子、常に正しくあろうとする子などを内包しつつ集団…

  • 鮮やかに伏線が活きてくる『小公女たちのしあわせレシピ』(谷 瑞恵)

    好きな本からはきっと、いろんな影響を受けて、成長期の心には深く刻まれているんでしょうね。(本文より) 『神さまのいうとおり』が2022年に 出題されて注目された作家の10月の本。 桜蔭の企画に入れるか迷った本でもある。 ま、作問者が相当アンテナ広げてないと この作品には辿り着けないかもしれない。 名作童話&スイーツの連作短編集だけど 小5から中2にかけての少女視点の作品 『最高のつまらないもの』がすっげーわ。 鮮やかに伏線が決まりまくるんだもんよ。 公園の邂逅、母への思わぬ言葉、そして 意外な組み合わせのスイーツづくりなど 素材になりそうな箇所も抜群に多かった。 メアリさんと呼ばれる人の影を追…

  • 白いほうの代表作『島はぼくらと』(辻村 深月)

    好きなことを続けるためには、好きじゃないこともたくさんやっといたほうがいいよ。(本文より) 2013年に出た優先度Aランクの旧作。 辻村深月先生の作風は黒いのと白いのに 大別できるけど、これは頻出の白い方だ。 地方に住む高校生たちの瑞々しい日常や 地域ならではの葛藤がリアルな作品だよ。 去年の中学入試でも使われてたようだし 教員たちに根強い人気があるようだな~。 以下はむかし書いたレビューの書き出し。 "島の子育ては、みんなでする"そんな習わしが残る瀬戸内海の島が物語の舞台。人情味溢れる大人たちが主役の少年少女の周りにいて、ここぞという場面で少しだけ背中を押してくれるのがいいですね。 『島はぼ…

  • 人生を豊かにするアイデア『今日もピアノ・ピアーノ』(有本 綾)

    自分で考えて、自分で決めたほうが、後悔しないし、なにより一生懸命になれるからね。(本文より) 小川未明文学賞大賞作品がついに出たよ。 この賞は受験界でも注目度高めだろうな。 嫌々受験塾通いしている少年の話だから ああ、後半で自己主張して撤退するん? と思ったら、流石は大賞作、テンプレと 一味ちがうストーリーを見せてくれるよ。 文章難易度は4相当でかなり平易な部類。 5年生でも十分に読めそうなレベルだわ。 新人の作品ながら素材文適性もありそう。 俺のレビューの序盤だけ以下につけたよ。 自分で考え、行動に責任を持つことの尊さを教えてくれる作品ですね。主人公は小学六年生。なにごとにも中途半端だった彼…

  • 読書が初級の高学年には『クラスメイツ』(森 絵都)

    あたしを不安にさせる影は、他の誰でもない、あたし自身がこしらえたものだ(本文より) 2014年に出た優先度Sランクの旧作。 これも受験生にはお馴染みの作品だろう。 これまで何度も入試で使われてきてるが 近年も出題がありチェックは外せないよ。 平易で面白いんで『小学五年生』よりも 受験生読書の入り口には向いていそうだ。 俺の上下巻レビュー要約版は以下の通り。 一人ひとりの個性がキラキラしてる物語。とある中1クラスの全員が主人公になるという連作短編集です。それぞれが無邪気に躍動したり、年相応に苦悩したりする場面が満載で、ローティーンの甘酸っぱい空気に浸れますね。担任の先生が教室の扉にしがみついて号…

  • 変幻自在な筆さばき『椿ノ恋文』(小川 糸)

    「ありがとう、って言葉で人生を終えられたら、幸せだよね」(本文より) たまに出題される作家の11月の新刊だ。 久しぶりに代書屋の鳩子が帰ってきたよ。 今作でも人の心を動かす手紙の書き方が 小説を読みながら楽しく学べちまうわ~。 ま、今作は微妙に子供に見せたくないと 感じるくだりもあるっちゃあるんだよな。 ちょっと反則じゃね?って部分もあるが 得るものが多い読書になったのも事実だ。 やはり感謝を伝えることが大事と再確認。 俺のレビューの要約版はこんな感じだよ。 人の書き文字をそっくり真似る技を磨いた主人公が、依頼人に代わって知恵を絞り、心を込めた手紙を綴ることで、悩める人々に救いをもたらします。…

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