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  • あっぱれ!優良図書『ぼくたちのいばしょ~亀島小 多国籍探偵クラブ~』(蒔田 浩平)

    つまり、ぼくらの仲を裂いていた犯人は、意外と単純だったってこと。「お互いを知らない」、いわゆる「無知」ってやつだ。(本文より) 10歳前後の子どもに薦めてみたくなる 雑誌『日本児童文学』で激賞されてた本。 副題が「亀島小多国籍探偵クラブ」だし チャラついたストーリーかと思ってたが それは大間違いでじっくり読ませんだわ。 なにせ海外ルーツの子とどう向き合うか 真っ正面から描き切った作品だからよ~。 著者はこれが2作目で出題実績はないと 思うけどこの本は後半がやや使えそうだ。 たぶん14章が問題にはベストだろうな。 素材文適性は以下の順になりそうな感触。 14章『運命に負けない』・・・〇 ホームル…

  • 学びと共感あふれる『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(佐野 倫子)

    お受験・中受小説を出版した実績があり 2024年組母でもある佐野倫子先生の 昨日発売されたばかりの中学受験小説だ。 始めのほうは小説未満じゃねーのか?と イラっとしたんだが途中で著者の意図に 気づいてそっからは一気にのめり込んだ。 中盤からはとくにエモくなっていく感じ。 6番目のゆる受験エピソードなんて最高。 やっぱし思い通りにならない現実の中で 足掻くストーリーは訴求力が抜群ですわ。 俺のたぶん世界最速なレビューがこれだ。 お受験小説『天現寺ウォーズ』著者の新作。 お子さんが今まさに受験学年という作家が、取材と実体験をもとに描いた6つの中学受験ストーリーです。 正直、小説というよりプロット、…

  • 血が滾り放題の『エヴァーグリーン・ゲーム』(石井 仁蔵)

    僕は十代の頃に学んだのだ。悔しさこそが何よりの原動力になることを。(本文より) ごく稀に読み終わった瞬間ウオォ!って 叫びたくなっちまう作品があるんだよな。 今月発売のポプラ小説新人賞の本もそう。 あまりに見事だったんで久々に吠えたわ。 東大卒作家がチェスを題材に描いた本作。 ひりつくような勝負がとにかく熱いんだ。 これに作問者が気づけるかワカランけど 素材文適性はとくに序盤が高かった印象。 第一章 素材文適性◎ 小5男子が入院先で同い年の少年たちと 交流する筋書きで使えそうな箇所が複数。 第二章 素材文適性○ 高2男子視点で少し際どい部分もあるが 少女と喫茶店で向き合うシーンは良さげ。 第三…

  • 優しさのキャッチボールに癒される『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』(窪 美澄)

    2023年入試でさっそく使われていた 窪先生の『夜に星を放つ』は有名だよな。 そんな著者の昨年12月に発売された本。 親に捨てられた姉妹のストーリーだけど ちょっと子供にみせたくない部分もあり 紹介するか今の今まで迷ってたんだよな。 ま、心の奥底まで温まるストーリーだよ。 大人が読むぶんには何ら問題ない感じだ。 素材文に使える箇所はさほどでない印象。 俺のレビューはこんな一文ではじまるよ。 不幸のどん底にあった少女の再生の物語です。主人公はこもりがちの夜間高校1年生。親に捨てられ姉とギリギリの生活をする彼女が、見守りボランティアに巻き込まれ、外の世界に触れる中で、ささやかな幸せを見つけていきま…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2023年12月前後)

    12月の新刊本はちょっと少な目ですわ。 追加で判明したらこの記事に加筆してく。 11/25発売 『わたしに続く道』(山本 悦子) 小5視点で日本編とケニア編がある模様。 12/8発売 フレーベル館ものがたり新人賞大賞 『トモルの海』(戸部 寧子) 野球好きの小学5年生の不思議な出会い。 12/13発売 ☆先行レビュー済☆ 『一線の湖』(砥上 裕將) 『線は、僕を描く』の続編に小学生登場。 12/15頃発売 『あけくれの少女』(佐川 光晴) 念願の学生生活には思わぬ波乱が訪れて。 1/10頃発売 『風に立つ』(柚月 裕子) 傑作の予感!少年の更生を描く家族小説。 1/24発売 『彼女たちのバック…

  • 試される絆『東家の四兄弟』(瀧羽 麻子)

    人間は、己の話を真摯に聞いてくれる相手に悪い感情は抱かない。(本文より) 『博士の長靴』を書いた瀧羽麻子先生の 10月に発売されたばかりの最新作だわ。 この先生は頻出度◎なんで注目度大だよ。 父親と次男が占い師という一家の日常を 視点をクルクル変えながら描いていくよ。 正直、序盤は視点の切り替えが早すぎて オレの頭がなかなかついていけなかった。 まぁ、慣れれば大丈夫だったんだけどな。 素材文適性は頻出作の『博士の長靴』を 10とすると6から7ぐらいという印象。 中盤以降には使えそうな箇所がパラパラ。 とくに他人のみならず家族にも無関心と 思われてた長男が関わる場面がいいかな。 技あり選書になり…

  • 経験を今につなげる『伝言』(中脇 初枝)

    みずからをわたくしと呼んだのには驚いた。作業後もお互いに「ごきげんよう」とあいさつをかわしている。(本文より) 『神に守られた島』が頻出だった著者の 8/23に発売された評判の作品ですわ。 名門女学校に通う今でいう中3が主人公。 大戦末期から戦後の満州がおもな舞台だ。 戦争の余波もあり可憐な制服はなくなり 電車通学は禁じられ、鉛筆すら持たずに ひたすら軍のための作業に追われる日々。 それでもお国のためにとがんばる彼女は 身の毛もよだつ計画の片棒を担がされる。 自分が何をしているか自覚もないままで。 まぁ、序盤はこんな感じのストーリーだ。 素材文に使えそうな箇所は少なめな印象。 強いて挙げると非…

  • どこまでも尊い生き様を感じる『一線の湖』(砥上 裕將)

    誰かのすごく良いところは、実は欠点のように見えるものの中に隠れてる。(本文より) 今回紹介するのは来月13日発売予定で、 入試頻出作『線は、僕を描く』の続編だ。 序盤で小1に水墨画を教える場面があり やさしく基本を説明してくれるおかげで 先に今作を手にした俺としては助かった。 学校が舞台になる大事なシーンもあるし 素材文適性はわりと高いって印象ですわ。 ま、テストとか関係なしに薦めたい本だ。 とくに4章の終盤が俺には刺さりまくり。 思わずダッシュで前作も入手しちまった。 今作が親切設計とはいえ、順路の通りに 読んだほうが楽しめるのは間違いないよ。 俺が出版社に送った先行レビューは以下。 主人公…

  • トコトン元気にしてくれる『あなたはここにいなくとも』(町田 その子)

    あなたたちは可能性に溢れているのよ。恋も、友情も、夢も、何もかもがこれからなの。(本文より) 今年『宙ごはん』が頻出になった作家の 2月に発売されたオトナの短編集ですわ。 ちょっと子供に見せたくない話も多くて 紹介するかどうか迷ったまま現在に至る。 面白さは間違いなくズバ抜けている印象。 特に最初の短編のドタバタ感とかいいよ。 ただ、素材に使えそうな箇所は少なめだ。 強いて挙げると幼馴染の行動が気になる 高校生を描いた最後の話になるかもな? この『先を生くひと』は子どもでもOK。 以下は2月に書いたレビューの一部だよ。 危うい生き方をする主人公たちが、意外なきっかけで「大丈夫になっていく」スト…

  • ままならない少女たち『どうしようもなく辛かったよ』(朝霧 咲)

    道徳的な正しさは、所詮他人事の時だけまかり通るのだ。(本文より) 受験勉強しながら高3で小説現代新人賞。 で、今は京大生ってこりゃまたスゲーな。 今回の紹介作品は9月発売のデビュー作。 中学のバレー部員たちを描く短編集だわ。 さわやかとは対極にある展開なんだけど 読者を惹き込む力はハンパじゃない感じ。 名のある賞をとったのはダテじゃないな。 ただ、素材文適性はさほど高くなさそう。 作問者が嫌がりそうな要素もあるからな。 特に先生達をナメすぎてる部分はヤバイ。 強いて出題によさそうな部分を挙げると 少年との対話シーンあたりになるかね? 少年が絡む素材によさげな場面2つ 愛美の章 ○ 公園で少年の…

  • スランプの先へ『八秒で跳べ』(坪田 侑也)

    「覚えておきなさい。不調のときは、成長できる最大のチャンスだ」(本文より) 慶應普通部で労作展のために書いた本で デビューして今は医学部生ってナニコレ。 中3夏休みの自由研究が商流に乗るとか、 そんだけで驚きだけど、その後も凄すぎ。 そんな作家の2作目が今回の紹介本だわ。 発売日はかなり先で来年2月になる模様。 高2男子を主人公にした部活小説だけど 読んでみてさらにビックリしちまったよ。 登場する一人ひとりが超面白いんだもの。 素材文適性は後半にかけ爆上がりしてく。 特に3章の一部と4章には注目したいね。 特にテストに使いやすそうなシーン 4章序盤 エースが語りかけてくる場面 4章中盤 食堂で…

  • 【番外編】2024年高校入試 国語出典予想20選(2023年1月~2023年10月発売)

    試しに高校入試版の予想も作ってみたよ。 中・高入試ともに選書の傾向は似てるが、 高校は10月の作品も割と出ているから、 中学入試版とは少し違う顔ぶれになるよ。 まぁ、そう当たるもんじゃないだろうな。 2024年高校入試国語出典予想20選 (タイトルによるアイウエオ順) 『アップサイクル! ぼくらの明日のために』(佐藤 まどか) 『かたばみ』(木内 昇) 『きみの話を聞かせてくれよ』(村上 雅郁) 『この夏の星を見る』(辻村 深月) 『シタマチ・レイクサイド・ロード』 (濱野 京子) 『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』(天川 栄人) 『宙わたる教室』(伊与原 新) 『つぎはぐ、さん…

  • 学ぶことの意味がしっかりと伝わる『クロワッサン学習塾』(伽古屋 圭市)

    学習は知識ではなく、その先にある“考える力”を、究極的には“よりよい人生”を掴むためにあるものではないか。(本文より) 入試とは無縁っぽい作家の6月の新作だ。 コチラで紹介されてたんで読んでみたよ。 意欲ある元教師が子供達の未来のために 自分に出来ることを模索していくって話。 その結果たどり着いたのが塾ってわけだ。 こいつは思わぬ大アタリ作品だったな~。 何のために学ぶか実感できる筋書きだし スリリングな要素もあって面白いからよ。 大人向けなんでちょっと難しいんだけど 小学生視点のパートは取っつきやすそう。 テーマ注目度も素材文適性も高めな印象。 ただ、ノーマークな著者だけに作問者が この作品…

  • 人をたやすく決めつけないで『川のほとりに立つ者は』(寺地 はるな)

    あの人だけじゃない。かわいそうな女に手を差し伸べたい男っていっぱいいるの。なんでだかわかります?自信がないからですよ。(本文より) 入試頻出作家の昨年10月の作品ですわ。 本屋大賞でも9位というベストセラー本。 手にした出題者もいただろうと思うけど 完全の大人の世界を描いたストーリーで 素材向きの箇所は少なかった印象ですわ。 発達障害や虐待、共感の欠如等の放置が 後々どう出るか真面目に考えさせられて 俺なんかには得るものの多い本だったが。 ありきたりな結末にしなかった点もイイ。 以下は俺のブックレビューの断片ですわ。 特に素晴らしかったのは、レッテルを貼られたくないという発達障害当事者の悲鳴に…

  • 新鮮な驚きもある『ケモノたちがはしる道』(黒川 裕子)

    たまに入試に出る作家の来週の新作だよ。 同し時期に2冊でるってんだから驚きだ。 11/9発売 『ケモノたちがはしる道』 11/14発売 『オランジェット・ダイアリー』 今回紹介する前者では、自然界と人間の 関係について考えさせる場面が多かった。 社会科の勉強になりそうな箇所もあるよ。 特にメガソーラーと馬刺しの章は要注目。 テストで使うんならこの6章がよさげだ。 主人公と行動をともにする少年の見方が 会話のなかで変わっていくくだりとかな。 学び学びって書いたが面白要素も多めだ。 特に少女の母親の言動ってのが最高過ぎ。 熊本の男達のあったかさも後からジワる。 俺の全文レビューは、こぎゃん感じばい…

  • もう、世間知らずじゃいられない『宙わたる教室』(伊与原 新)

    待っているんですよ。我々定時制の教員は、高校生活を一度あきらめた人たちが、それを取り戻す場所を用意して待っている。(本文より) 地学小説という新しいジャンルの先駆者、 伊与原先生の10月に出たばかりの本だ。 定時制高校の異色メンバーが発表の場に 思わぬ場所を選んで波乱の日々を送るよ。 連作短編集だが、全日制普通科の生徒が 主人公になるパートもあって色とりどり。 視野を広げる意味でも有意義な作品だよ。 もちろん、地学分野の勉強にもなるしな。 高校生の課題図書にしたら面白そうだわ。 名門中学の子たちにもぜひ読んで欲しい。 普通の小学生にはハイレベルすぎるけど、 こんなタイトルだし作問者は意識しそう…

  • めげない少女が駆ける『ややの一本 剣道まっしぐら! 』(八槻 綾介)

    勝ちたいと思うなら正しい努力をしろ。(本文より) 今作でデビューした作家の5月に出た本。 ポプラズッコケ文学新人賞の大賞作品だ。 勢い200%!という感じの剣道少女が 願ってやまない目標のために全力を出す。 主人公の魅力ってのが突き抜けてたな~。 友だちのためなら何だってするんだもん。 出題者の琴線に触れるかは判らないけど エンタメ寄りの軽快なストーリー展開で 4・5年生あたりでも楽しく読めそうだ。 俺のレビューの始めのほうはこんな感じ。 こんな友達が欲しい!そんな気にさせられる作品ですね。主人公は元気印の中学1年生。正しい剣道を愛し、部の立ち上げに情熱を燃やす彼女が、仲間たちと力を合わせて困…

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