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3泊4日で旅に出る会社員の旅ブログ https://shinjiyoshikawa.hatenablog.com/

会社員でも旅に出たいをテーマに、サラリーマンの吉川が、駐在するメキシコを中心に旅した記録をつづります。チアパス州の奥地にあるエバーグリーン牧場を舞台に繰り広げられる人や動物との出会いが第1作目です。

吉川 真司
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2020/11/27

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  • 死後の世界はあーるの巻(第25話)

    「これ、なんだか分かる?」 アンヘルが地面から何やら黒い色のついたガラスの破片のようなものを拾った。 プラスチックのかけらのようにも見えたのは、光線の加減か少し紫がかっていたからかもしれない。 「もしかして、黒曜石かい」 「正解。今日しんじはついてる。持って帰りな」 いや、そんな出土品をねこばばなんて、めっそうもない。マヤ文明ではナイフや矢じりに使われていたとされる貴重な石だ。 「心配しなくていいよ。もうこのあたりの大切な出土品は全部発掘された後だから、残りは拾われなかったものってわけ」 そこまで有資格のガイドがいうのであれば、ありがたく頂だいすることにした。 手術用メスより鋭利に割れることも…

  • 土曜日なのに誰もいない頂上での巻(第24話)

    これだけ城壁をよじ登ったり、おりたりしているとコツが分かってくるもので、だんだん疲れなくなってきているのがうれしくなってきた。だから、見れるものはなんでも見てやろうという気分になってきた。 少しややこしい話だが、ニューヨークタイムズというアメリカの新聞のコラムを、メキシコのレフォルマという新聞でスペイン語に翻訳で紹介しているのを読んだ。去年読んだその記事によると、旅行に出て最初の日が一番幸せ度が高いらしい。例えばヨーロッパ人は、そもそもバケーションが1か月を超えるので、ビーチなんかで長居する人が多い。だが、どうやら最初の出発してから飛行機に乗る時から、すでに爆発的に高揚感は上がっていて、結局4…

  • アンヘルのヒミツの巻(第23話)

    カラクムルとはうってかわって、ベカン遺跡は近い。ガイドのアンヘルと会った駐車場から車でたった10分で到着する。 世界遺産に登録されたカラクルムとは違って、ひっそりと、そしてこじんまりとしている。8時過ぎに着いた僕たち以外には、工事をしている男たちと、入場口の受付係員ぐらいしか人はいない。そう、ここでもまた工事中だ。 アンヘルは、ガイドなので無料だけれど、僕は入場料を少し払って遺跡に入っていった。ここにきて、今更ながら、本当に遅いのだけれど、メキシコのピラミッドは、日本でいうお城なのだと納得した。 小さな遺跡なので歩いてすぐ建造物まで行き着く。 「ここ、少し凹んでいるでしょ。分かりずらいけれど、…

  • おしゃれもいいけど、ほどほどにの巻(第22話)

    暗闇の中、目を覚したのは3時前だった。 年のせいとは思いたくないので、これは9時前に就寝したせいだと自分に言い聞かせた。ベッドサイドのライトのスイッチをオンにしたが、つかない。部屋の電気はどこもつかなかった。どうやら停電だ。まあ、あるよねと諦めて、星空をせっかくだから見ようと外に出た。 月明かり。停電でも全く問題ない。 特に北斗七星とオリオン座がくっきり見えた。電気がつかないし、携帯電話の充電が減っても仕方ないので、またベッドに潜り込んで眠ることにした。部屋の裏側についているはずの林を照らすライトも消えている。耳を澄ますとまた、赤フクロウのキリキリっという声が一拍おいては繰り返された。 朝7時…

  • 侵入者はどっちだ? の巻(第21話)

    急いでお別れしたエセキエルからは、そもそもこのベラクルス料理のレストランがどの位置にあるのかしっかり聞いていなかった。レストランから歩いて帰ればいいぐらいに思っていたのだ。でもホテルがある村を通り過ぎて、5分ぐらいは猛スピードで走ってイシュプヒルに向かう途中で降ろしてもらったことはわかった。国道は路肩こそあるが、誰も徒歩で歩いている人がいない、ただまっすぐな道なので早々に歩くのはやめた。 食事をゆっくり済ませると店員にタクシーを呼んでもらった。本当に来てくれるのかと心配していたが、10分ぐらいして無事少し白人系の顔をした30歳前後の筋肉質な運転手がやってきた。 「バレンティン村にあるカサ・カー…

  • 任せっぱなしの客の巻(第20話)

    入り口にショーアップされた石碑。 「ところで」、とエセキエルが切り出したのは、意外な質問だった。 「会ったこともないのに、全部前払いしてくれたけど、一体どうやってそんなに信用できたの?」 「簡単に言うと現金を持ち歩くのが嫌だったからで、カード払いもできなさそうだったから」 僕は旅行に行く時は、できるだけ現金をポケットから出す回数を減らしたいといつも願っている。一つはあまり大金を人前で見せたくないという治安の観点からだ。でもそれよりも何よりもいつの間にか無くなっているとか、リュックに入れっぱなしにしてそれをどこかにおき忘れたりするのが嫌なのだ。 森と遺跡の間に整備された道があるが、おそらく昔は何…

  • 愛が強すぎて絡みつく木の巻(第19話)

    愛し合っているというより、一方的にストーカーされている木。 マヤのジャングルの真ん中を歩いていると、不思議な木の生態に目を奪われることがある。 「ねえ、あの木もしかして愛の木って呼ばれているやつかい」 エセキエルに尋ねてみた。しっかりした灰色の幹に、細い他の木が絡みついている。どうみても絡みつかれている方が太くと強そうだけど、どう見ても苦しそうだ。 「ああ、絡みつかれている方はフィカスだな。なんかこの状況って、結婚みたいだろ。ゆっくりゆっくりお互い死んでいくっていう感じが、すごく似てる」 結婚していないエセキエルは、こんなふうに皮肉屋だから一生結婚しないな、と思いながら、僕も「なるほどね」とう…

  • ギネス認定の「地上で最もうるさい動物」の巻(第18話)

    「上るのはいいんだけど、下りるの怖いの」 一番上の段で腰をかけていた、30代半ばのアメリカ人らしき太めの女性が、メキシコ人カップルに向かってつぶやいた。確かに上まで登るときは下を見ないからいいが、上からいざ階段を見下ろすと、55メートルの高さの建物が、ほぼ直角に切り立っているようなひりひりした感覚が迫ってくるのだ。そして、ジャングルでは結構近くでキングコングがまだ強烈な大声で吠えている。 「見ててあげるから。ゆっくり、一緒に下りようか」 さすがにホスピタリティの国だ。カップルはつかず離れずそのアメリカ人女性に目を配りながら、ゆっくりと下りて行った。前を向かず、身体を横向きにして、足の裏がしっか…

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