反乱をおこしたシパーヒーたちはラクナウに集結し、旧アワド王の子、11歳のビルジース・カーダルを擁立する。しかし、幼いビルジース・カーダルが何の権力も持たないことは周知の事実であり、その実権はビルジース・カーダルの母である王妃ハズラト・マハルとその情人マムー・ハーンが握っていた。旧アワド王国の大臣(ナワーブ)シャラフッダウラがハズラト・マハルの要請により臨時政権の大臣に任命されたが、彼にはイギリス政府へ内通のうわさがあった。イギリス側の史料はこう語っている。「シャラフッダウラは言った。自分は王家の古い家臣であるから自分の任務は果しつづけるが、大臣の御衣は受けたくない、と。彼にはこの間に合せの体制の破局がよく見えていたからであり、政府(イギリス)が最終的に勝利すると確信していたからであった。しかし、逃げ道はな...セポイの乱6